ペンギンを蒸す機械とは、ペンギンを中に入れて高温にする機械である。「ペンギン釜」とも。
正式には「スティーム・ダイジェスター(Steam digester)」、あるいは単に「ダイジェスター」と呼ばれる圧力鍋のような機械のうちの1つである。
スティーム・ダイジェスターは17世紀に開発された。骨を脆くする調理用大型機械として、ペンギン以外の肉に多く使われていた。この機械は、後の蒸気機関の発明にも影響を与えることになる。
しかし、一部の地域では、かつてペンギンやアザラシ、オットセイなどの動物から油を採るためにもダイジェスターが使われていた。これが「ペンギンを蒸す機械」と呼ばれている。
タスマニア島の南東約1400kmのところにある、オーストラリア領のマッコーリー島にペンギンを蒸す機械の残骸がある。
ペンギンからは「ペンギン・オイル」と呼ばれる油をとることができる。それに目を付けた人類が、19世紀末から20世紀初頭にペンギンの油を採るためにマッコーリー島のペンギンを乱獲し、蒸して油を精製した。採れた油は灯油や石鹸などに使われた。16年間で約500万羽のペンギンが犠牲になったといわれ、生態系に重大な影響を及ぼした。
オーストラリアのタスマニア州政府もかつてペンギンからの油の採取を推奨していたが、1919年に野生生物の保護の声が高まり、ペンギンの捕獲は禁止された。
現在は稼働せず、ペンギンを蒸すことも行われていない。マッコーリー島にはロイヤルペンギン、キングペンギン、イワトビペンギン、ジェンツーペンギンが生息しており、ペンギンの群れが機械の残骸周辺に集まることもある。
この島以外にペンギンを蒸す機械が存在するのかどうかは不明だが、インターネット上ではマッコーリー島の機械が最も有名となっている。TBSのテレビ番組「THE世界遺産」の2013年5月19日放送の回(参考)で「ペンギンを蒸す機械」として取り上げられ、日本ではこの名称が広まっていった。
なお、マッコーリー島や南米のフォークランド諸島にはペンギン等の脂肪を茹でていた釜が残っているようだ(参考:フォークランド)。これはトライポット(try pot)と呼ばれており、マッコーリー島ではダイジェスターの導入以前に使われていたもので、現在はこちらも残骸となっている。
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最終更新:2025/12/08(月) 01:00
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