ミックファイア 単語


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ミックファイア

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ミックファイア(Mick Fire)とは、2020年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牡馬。

主な勝ち鞍
2023年:南関東競馬三冠[羽田盃(南関東SI)、東京ダービー(南関東SI)、ジャパンダートダービー(JpnI)]

概要

父*シニスターミニスター、母マリアージュ、母父*ブライアンズタイムという血統。
父はアメリカからの輸入種牡馬で、テーオーケインズ、ドライスタウト、グランブリッジなどを輩出してダート種牡馬として大活躍中。
母はダートを走って36戦4勝。元々故郷の矢野牧場で繁殖入りしていたが、2018年の繁殖馬セールにて300万円(税抜)で売却され高橋ファームに移った。ミックファイアは高橋ファームでの2頭目の仔。しかしミックファイアのデビュー直後の2022年10月に用途変更となっている。
母父は90年代に*サンデーサイレンスや*トニービンと鎬を削った大種牡馬。
こちらもダート種牡馬としての活躍があり、地方馬で著名な産駒ではフリオーソ、この馬を母父に持つ中ではミューチャリーなどが知られているだろうか。

3代母All Alongは1983年の凱旋門賞など米・仏でG1を5勝したフランスの馬で、1983年のエクリプス賞年度代表馬に輝いた名牝。日本でも1982年のジャパンカップで2着に入った実績がある。

2020年4月5日、新ひだか町の高橋ファームで誕生。オーナーはセイカメテオポリスなどを所有する星加浩一。
当初の評価は決して高くなかったようで、2021年の北海道サマーセールでも入札したのは危うく主取りになる寸前に手を挙げた星加オーナーひとりだけ。そのままスタート価格の500万円(税抜)で落札された(下記動画の66:03~)。

馬名意味は「人名より+火の玉」。

Primitive Fire

2歳・I've Been Lonely for So Long

同オーナーのセイカメテオポリスと同じ、大井競馬場の渡邉和雄厩舎に入厩し、2022年9月23日、大井・1600mの新馬戦で矢野貴之を鞍上にデビュー。1枠1番から好スタートを切ってそのままハナを切ると、直線でも後続を悠々と突き放してまずは5馬身差で快勝デビューを飾る。

続いて2戦目は11月1日、同条件の2歳戦。ここも矢野騎手とともに好スタートからハナを切り、そのまま5馬身差で楽勝。

3戦目は12月7日、大井1800mのひばり特別2歳選抜。矢野騎手が3番人気サベージに回ったため本田正重騎手に乗り替わりとなったが2.0倍の1番人気に支持されると、ここもハナを切って逃げ、直線ではサベージの猛追も全く寄せ付けず、悠然と3馬身差で逃げ切り。3戦3勝で2歳シーズンを終えた。

……と戦績だけ並べると何の問題もなく順調に見えるが、実際のところは全然順調ではなかった。ずっとソエ(管骨骨膜炎)に悩まされ続けており、この3戦ともまともな状態で使えてはいなかったという。
逆に言えば全くまともに使えない状態でこのパフォーマンスだったわけで、陣営も全日本2歳優駿やその後の重賞戦線を見ながら「もしミックファイア出てたらあの馬たちの前にいるよな?」と話していたようだ。

3歳・God Gave Me Everything

明けて3歳は雲取賞(SIII)から始動の予定だったが、追い切りで裂蹄を発症し回避。オーナーとの間で候補に挙がっていた京浜盃(SII)にも出れそうにもないほど酷く、渡邉師は一時春全休も考えるほどの状態だったようだ。
それでもどうにか羽田盃の2週間前にはレースに使える状態まで回復したため、除外覚悟でこの年で最後の開催となる「南関東三冠」の第一戦・羽田盃(SI)に登録。運良く無事出走することができた[1]

羽田盃・Dancing in the Starlight

そんなわけで迎えた羽田盃。一応、前走で3馬身差で下したサベージが京浜盃を勝ったことで一定の評価こそされていたものの、無敗とはいえここまでわずかキャリア3戦で重賞実績なし、5ヶ月の休み明けで-16kgという馬体重。
加えてギリギリのタイミングでの出走登録によって鞍上の確保にも手間取り、最終的にこの馬に乗った経験のない御神本訓史騎手に手綱を任すことになるなどいろいろ不安要素も多かった。
この年の羽田盃は、全日本2歳優駿4着、雲取賞ではアメリカのG1・サンタアニタダービーでハナ差2着に入ったマンダリンヒーローを下し、中央の伏竜Sでも3着に入ったヒーローコールが単勝1.4倍と断然の1番人気。かたや上記の通り、不安要素の目立つミックファイアは13.6倍の4番人気に留まる。

ところが迎えたレース本番、クラウンカップを逃げ切ってきたポリゴンウェイヴがハナを切り、ミックファイアはそれを少し離れた2番手で追走。向こう正面で差を詰めていき、3コーナーでもう並んでかわすと、直線ではあとは完全な一人旅に。後ろからはヒーローコールが追いかけ、さらにサベージも後方から追い込んできたが全く相手にならず、そのままヒーローコールを6馬身ちぎり捨てて圧勝。
圧倒的大本命のヒーローコールに対して山積みの不安要素の中、蓋を開けてみれば1800mとなってから初の1分50秒台となる1:50.9のレースレコードを叩き出し、ミックファイアは4戦4勝で無敗の羽田盃馬となったのである。
陣営としても流石にいくらなんでも見せつけたパフォーマンスが信じがたかった様子で、特にこの馬との付き合いが特段薄い御神本騎手は「(初めて乗って手探りの中なのに)こんなに強い競馬をする馬だとは思わなかった」と勝利インタビューで困惑。とても勝った側とは思えないような一幕も見受けられた。

東京ダービー・Don't Look Back

この圧勝で、引き続き御神本騎手と臨んだ東京ダービー(SI)では、「前走が究極仕上げで反動があるんじゃないの?」「2000mへの距離延長がしんどいんじゃないか」という邪推ぐらいしか不安要素も見当たらず、単勝1.5倍の断然人気に支持される。
ちなみに陣営はというと、「羽田盃のあんなレースを東京ダービーでもう一度できるのか?」と疑心暗鬼だった上に、東京ダービー未勝利の御神本騎手は緊張で顔が真っ白になっていたという。

しかしそんな陣営の不安をミックファイアはレースで一蹴する。紅一点のボヌールバローズが逃げを打ち、今回もミックファイアは2番手でそれを追走。3コーナーで捕まえると、直線では悠然と抜け出して独走態勢という前走と全く同じパターンに持ち込み、後続を全く歯牙にもかけず、前走のリプレイのごとく2着ヒーローコールに6馬身差をつけるレースレコードで横綱相撲の大楽勝。タイムは前走に続きレース初の2分4秒台となる2:04.8。このタイム、同条件で開催されるジャパンダートダービーにそのまま持っていっても歴代勝ちタイムの上位に入る時計である。
無敗の南関東二冠は、2001年、あのトーシンブリザード以来史上2頭目。御神本騎手は嬉しい東京ダービー初勝利となった。

ジャパンダートダービー・Wired All Night

残る一冠はいよいよ中央勢との対決となるジャパンダートダービー(JpnI)。デルマソトガケ、マンダリンヒーローらの海外遠征組が回避したため、兵庫CSを持ったまま圧勝したミトノオー、3連勝で青竜Sを快勝したJustify産駒の2億円ホース・ユティタムとの三強対決という構図となったが、三冠への期待から中央勢を抑え、最終的に2.0倍の1番人気に支持された。

レースは大方の予想通りミトノオーが逃げ、テーオーリカード、オマツリオトコ、ユティタムらがそれを追う。ミックファイアはユティタムの後ろで外目につけた。
ミトノオーが掛かって最初の3Fを34秒9という超ハイペースの入りとなったことで苛烈な消耗戦となり、先行勢の多くが3コーナーで脱落。4コーナーでミトノオーが後続を突き放して直線に入り、ミックファイアは崩れた先行勢をかわし、ユティタムと並んでそれを追う。
残り200mを過ぎたところでユティタムを振り落とすと、逃げ込みを図るミトノオーを猛追。残り100mで捕まえると、力尽きたミトノオーを並ぶ間もなく抜き去った。

4コーナーから直線!ミトノオーが先頭!5馬身、6馬身のリード!!
2番手追ってユティタム!ミックファイア!ミックファイア!!並んで前との差を詰めてくる!200を通過!!

外からミックファイア!ミックファイア!!

ッ1歩ずつゥ、迫ってきたァ!!!

ミックファイア外から捉えた!!!!

6番ミックファイア三冠達成ーーーー!!!!!

―2023年ジャパンダートダービー 百瀬和己アナウンサー

終わってみれば2馬身半差の完勝。タイムは良馬場でありながら、重馬場だった東京ダービーよりさらにコンマ2秒速い2:04.6。2001年のトーシンブリザードから22年ぶりの、そして現行方式では最初で最後となる「南関東三冠」を無敗で達成し、さらに大井所属馬のジャパンダートダービー制覇は第1回のオリオンザサンクス以来24年ぶりである[2]
東京ダービーに続きJDDも初勝利となった御神本騎手は満場の御神本コールで迎えられ、馬上で指を三本立ててその声援に応えた。

渡邊師曰く秋の目標はJBCクラシックからのチャンピオンズカップというローテを候補に挙げている。奇しくもこのルートは2週前に帝王賞を連覇したメイショウハリオと同じで、順調なら大井2000の頂点を制した3歳馬と6歳馬が激突するという、ダート競馬体制改革前夜に最大の勝負が実現する事になる。
先代の三冠馬トーシンブリザードはジャパンダートダービーの後骨折で調子を落とし苦戦を強いられたが、当代の三冠馬は秋シーズンや古馬を万全の態勢で戦うことが出来るだろうか、今回こそはどうか無事に走り続けて欲しいものである。

血統表

*シニスターミニスター
2003 鹿毛
Old Trieste
1995 栗毛
A.P. Indy Seattle Slew
Weekend Surprise
Lovlier Linda Vigors
Lida Summers
Sweet Minister
1997 鹿毛
The Prime Minister Deputy Minister
Stick to Beauty
Sweet Blue Hurry up Blue
Sugar Gold
マリアージュ
2005 栗毛
FNo.1-d
*ブライアンズタイム
1985 黒鹿毛
Roberto Hail to Reason
Bramalea
Kelley's Day Graustark
Golden Trail
*アーミールージュ
1999 鹿毛
Miswaki Mr. Prospector
Hopespringseternal
All Along *ターゴワイス
Agujita

クロスMr. Prospector 5×4(9.38%)

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関連項目

  • 競馬
  • 競走馬の一覧
  • 三冠馬
  • 2023年クラシック世代
  • シニスターミニスター
  • 御神本訓史
  • 大井競馬場
南関東三冠馬
南関東限定時代 ヒカルタカイ(1967年) | ゴールデンリボー(1975年) | ハツシバオー(1978年) |
サンオーイ(1983年) | ハナキオー(1986年) | ロジータ(1989年) | トーシンブリザード(2001年)
全国交流時代 ミックファイア(2023年)
3歳ダート三冠時代 達成馬無し
南関東牝馬三冠 チャームアスリープ(2006年)
競馬テンプレート

脚注

  1. *2歳から3歳の春までに重賞レースにロクに使えなかったという事情もあり、登録時点の優先順位はフルゲート16頭中でなんと上から32頭目だったそうな。
  2. *同レースは来年からはジャパンダートクラシックに改称・時期移転される予定が決まっているため、奇しくもこのレースは開催地である大井の馬に始まり、大井の馬によって四半世紀の歴史に幕を下ろした形となった。
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最終更新:2025/12/08(月) 08:00

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