モンティ・ホール問題とは、確率論の有名な問題の一つ。
問題の内容自体は単純明快であるものの、「直感的な答えと、きちんと確率論に則って導き出された答えが異なる」という人が後を絶たない。
発表された当時、多くの数学者の黒歴史を産み出した。
元ネタはアメリカの長寿番組『Let's Make a Deal』中に登場したゲーム。
番組司会はモンティ・ホール。問題の名称は彼に由来する。
ゲームルールは以下の通り。
さて、このときプレイヤーは最初の選択を変更するべきか、否か。
これらは間違いである。
※ゲームルールが異なっていたり、ゲームの一場面を抜き出して解釈した場合、間違いではなかったりする。
選んだ1枚のドアが当たりである確率 …… 1/3
選ばなかった2枚のドアのうちどちらかが当たりである確率 …… 2/3
さて先ほど述べたように、当たりを引く確率は1/3、ハズレの確率は2/3である。
これはつまり、最初の選択のままで当たる確率が1/3、選択を変えると当たる確率が2/3であると言い換えることができる。
したがって、変更した方が2倍の確率で当たるので変更すべきである。
この問題が確率論として成立するためには「初めから正解の位置が決まっている」「モンティが外れのドアを開けるという行動を必ず行う」ということを「プレイヤーが事前に認識している」必要がある。
もしもモンティが途中で正解の位置を動かすことが出来たり、外れのドアを開けない場合があるという場合、プレイヤーを正解させたいかどうかというモンティの意志が入ってきてしまい期待値の計算が成り立たない。
また、プレイヤーがそれらの要件を事前に認識していない場合確率自体は成り立つが、プレイヤーの立場では上記の可能性が除外できないためプレイヤーの知り得る情報から期待値の計算をすることが出来ない。
感覚的に納得できないのは、このあたりも要因もある。
ゲームの流れとしては2で「ドアを一つ選択する」、4で「選択を変える」と言う表現がされている。
しかし、よくよく考えてみると最終決定がされるのは4の時点なのであるから、プレイヤーが本当に「当たりのドアを選択する」必要があるのは4の時点あり、2の時点で当たりのドアを選ぶ必要は一切ない。
言い換えれば、2の時点でのプレイヤーは「ドアを『選んだ1つ』と『選ばれなかった2つ』」に組みわけしているだけである。
だとすれば、ゲームの流れは以下のように表記される。
このように表記されれば、感覚的にもどちらが当たる確率が高いかは一目瞭然であろう。
ドアの数を100枚に増やしてみよう。当たりのドアは1つで、残り99枚はハズレ。
この状況でドアを1つ選んだ場合、プレイヤーが当たりを引く確率は1%しかない。
つまり、逆に言えば99%の確率で選ばなかった99枚のドアのうちのどこかにアタリがあるわけである。
さて、プレイヤーがドアを一つ選ぶと、モンティは次々とハズレのドアを開けてゆく。
最終的に98枚のドアを開けた。
そして今、自分が選んでいるのは「1%の確率で当たりを含んでいるドア1枚」であり、目の前には「99%の確率でどこかに当たりを含む99枚のドアから、98枚のハズレを除去した残り1枚」が存在している。
となれば、いつ選択を変更するか?今でしょ!
時は1990年。
マリリン・ボス・サヴァントが連載する雑誌のコラム欄に、この問題が投稿された(彼女は最高IQ保持者としてギネス登録されている)。
この時マリリンは「変更すべきである。当る確率が2倍になるからだ。」と解答した。
しかしこれには数多くの反論が殺到。その中には博士号所持者からの物もかなりあった。
対するマリリンは表や解説を掲載する等、理解を得るために手を尽くした。それでも反論・批判の雨は止まず。
話を聞いたアンドリュー・ヴァージョニが、自前のパソコンを用いてゲームのシミュレーションを数百回ほど行った。
その結果は……なんとマリリンの回答と一致した。
「ありえん(笑)」と反論していた多くの数学者も、これには思わず冷や汗。すぐさま手のひらを返した。
かくしてマリリンは、数万通にも及ぶ激しい反論に耐え、自らの理論が正しいという事を証明したのであった。
ちなみに博士号所有者の反論のうち、いくつかは雑誌に名前付きで晒されてしまい、逆に嘲笑を浴びることとなった。
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最終更新:2024/04/25(木) 09:00
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