ロマン砲とは (ロマンホウとは) [単語記事]

ロマン砲とは、漢の夢である。

概要

決まれば絶大な威力や効果を発揮するものの、事前準備が非現実的だったり使用した際のデメリットがあまりにも大きなものの総称である。
それらの手間やコスト・リスクを考えると多少効果が低くてもこっちの方法でよくね？という無難な選択肢が他にある場合が多い。
デメリットを打ち消したり、効果を極大まで引き上げる特殊な環境や特性を備えていないと基本的に採用されることは無い。

だからこそ、浪漫に溢れているのだ！！

一覧

実在した（する）ロマン砲

モンス・メグ
- 1449年製造の最古のロマン砲。ブルゴーニュ公からスコットランドへの贈り物として作られた、砲口径510mm、長さ280 cmの巨大射石砲。現在ではエディンバラ城に安置されているが、かつては軍船に乗せて発射したこともあったと言われ、真実なら大和型戦艦を越える超巨大艦砲ということになる……のかもしれない。
ウルバン砲（ウルバンの巨砲）
- もっとも有名なロマン砲。オスマン帝国が1453年にコンスタンティノープル（現在のイスタンブール）攻略に用いた大砲。口径は75cm以上。500kgの石弾を1,600m先に撃ち込めた。結果的に要塞都市コンスタンティノープルは陥落。しかし、1日に7回しか撃てないとか、運ぶのに牛30頭を用いたとか、下手すりゃ砲身が割れるとか……。80cm列車砲の先祖。
パリ砲
- 第一次世界大戦でドイツ帝国が投入した超長距離列車砲。後述ロンドン砲のパパ。133口径（13口径ではありません、砲身長28m！）210mmカノン砲で高さ40kmの成層圏まで砲弾を打ち上げ130km強という長大な射程を実現した。ちなみのこの砲弾は人類が初めて成層圏に到達させた物体になるとか。
80cm列車砲＜グスタフ＞・＜ドーラ＞
- 元祖ロマン砲。ナチスドイツが開発した口径80cmというトンデモ兵器（ちなみに戦艦大和の主砲の口径は46cm）。確かに破壊力は絶大だったものの、ふつう単線で済む線路が複線分必要になるなど、開発・製造・運用に膨大なコストと時間と人員を必要としたため、ナチスドイツを疲弊させ連合軍に敗れる一因となった。
カール自走臼砲
- 口径60cm、後に54cmの超巨大臼砲（迫撃砲の親分というか先祖）。ドイツってバカだよね（ほめ言葉）。80cm列車砲より使い勝手はよかったらしく6両も製造された。ちなみに自走できたけど時速10km……。
シュトルムティーガー自走臼砲
- ドイツ海軍用の38cm 臼砲をティーガーⅠ重戦車に搭載し、強固な防御陣地を爆砕すべく生まれた自走臼砲。1発で防御陣地を破壊するまではいいのだが、砲弾重量が350kgなので装填用の給弾トレーと専用のクレーンも設置し、5人掛かりで装填を行う羽目に。最終的に運用コストに押し潰され殆どが放棄されてしまう……。
V3 ロンドン砲
- ドイツにより、占領下のフランスからロンドンを直接砲撃するというすさまじい計画のもと「建設」された固定砲台。
  全長150mという頭おかしい長さの砲身に28個の薬室を取り付けて砲弾を段階的に加速させ、152km先のロンドンに撃ち込もうと考えたのである。普通一番後ろに1個の薬室が28個も等間隔で並ぶため「ムカデ砲」と呼ばれた。
  発射時に圧力で砲身が損傷するという致命的な問題を持ちつつも、提案から一年半後に戦局の悪化で試験が中止されるまでの間に88kmという遠大な射程を実現した。
リトル・デーヴィッド
- 日本本土上陸作戦のためにアメリカが開発した超々重迫撃砲。口径914mm（36インチ）は迫撃砲としては文句なしに世界最大。本土上陸する前に終戦になったので使われずにスクラップになった。
46cm 砲（大和型戦艦）
- 大日本帝国海軍の大和型戦艦の主砲。当時……というか、実戦に投入された艦載砲としては現在も世界最大の砲（排水量とあわせてギネスブックに掲載されたこともある）。斉射すると発射した艦にもダメージが発生するとか、不用意に甲板にいた水兵が爆風で死んでしまうとか、そもそも大和型の建造費で国の財政傾けたとか問題ありありな日本版80cm列車砲。より大型の51cm 砲を搭載した超大和型戦艦も計画され、51cm 砲も試作されたらしい。
53cm 砲 Gerät36
- ドイツが試験的に製造した最大の艦載砲。1941年より沿岸砲として運用開始。砲身の長さが初期の超弩級戦艦の幅とほぼ同じという怪物。さらに最大射程は47.5kmと80cm列車砲とほぼ同じ。なお、51cm以上の艦載砲を製造して運用したのはドイツのみ。……なのだが、デカすぎて載せられる軍艦が無かった。まぁ、大和型戦艦が逃げ出すレベルの巨砲だし……。ドイツって（以下略
32cmカネー砲（松島型防護巡洋艦）
- 日清戦争時の大日本帝国海軍の松島型防護巡洋艦の主砲。大和より砲自体は小さいが、肝心の松島型が4,217 トンと大和型の1/15程度の排水量（重さ）なので相対的にハイリスク・ハイリターンと化してしまった。清の北洋艦隊の巨艦「定遠」「鎮遠」に対抗すべく帝国海軍は当時最大の32cm 砲を3隻の松島型に搭載。が、船体が小さすぎて砲を旋回させるだけで艦が傾くとか、砲撃したら針路が変わるなどもう大変であった。1発が命中したらしいが、結局、小型の速射砲と高機動戦が海戦を制したのでロマンの領域に。
30.5cm 砲（M級潜水艦用）
- 第一次世界大戦時のイギリス海軍のM級潜水艦の主砲。排水量は1,594トンと前述の松島型以下というか駆逐艦より小さい上に潜水艦のくせにこんな巨砲を運用しちゃった。英国面。通商破壊戦用の艦砲なのだが、デカイほうが強いという判り易い理由でこの巨砲を採用。まず3隻が建造される。だが、衝突事故で1隻を喪失。沈没原因は30.5cm 砲周辺の浸水のせい。結局活躍出来ずじまい。浮上して商船護衛用の戦闘艦をも打ち倒すというロマンはついぞ叶わなかった。
M65 アトミックキャノン
- 冷戦時代、押し寄せて来るスチームローラー（ソ連機甲師団）を止めるために開発された原子砲。個別記事参照。
バビロンガン
- 現代に蘇ったロマン砲。フセイン政権下のイラクがイスラエルを直接攻撃するために建造したバケモノ兵器^[1]。口径100 cm、口径長100、最大射程1500km、核砲弾や化学兵器砲弾の使用も可能。最大の弱点は向きを変えられないことだが、使う側からすればイスラエルに当たりさえすればいいのでそれはそれでいいのだろう。
2A3 コンデンサトール2P
- 個別記事参照。ソ連ってバカだね（ほめ言葉）。
2S4チュリパン
- ソ連って（以下略）。恐ろしいことに現在も配備中。個別記事参照。
BK 7.5
- ドイツ軍の攻撃機、Hs129に搭載されたロマン砲。口径こそ75mm（7.5cm）と他のロマン砲に比べりゃ小さいけど、こいつの搭載プラットフォームは飛行機である。戦車を叩き潰すには十分過ぎる威力を持ってるしその代わり（機体自体の性能もあまり高くないとはいえ）リスクも大きいという意味では立派なロマン砲の仲間といえよう。
T13E1
- B-25 ミッチェルに搭載された75mm砲。やってることは大体上記ドイツのBK7.5と同じ。
ホ501
- 日本にもあった航空機版75mmロマン砲。上記2つは艦船や地上物を攻撃するためという比較的まともな使い方なのに対し、こいつはB-29を狙うために作られたという狂気の産物。元ネタは高射砲である。変なものならなんでも積める和製ランカスターこと四式重爆撃機「飛龍」を魔改造した迎撃機・キ109に搭載された。
GAU-8 アヴェンジャー
- みんな大好きアヴェンジャー、個別記事参照。実はA-10はコレを積むためだけに作られた、他に採用した兵器はオランダの艦載近接対空砲「ゴールキーパー」ぐらいと運用者側にすると地味に使い難いらしい。
プファイファー・ツェリスカ
- 携帯ロマン砲。拳銃の形をしているがデカ過ぎ・重過ぎ・破壊力強すぎで両手撃ちすら出来ない化け物。詳細は個別記事参照。
S&W M500
- 家庭用ロマン砲。個別記事参照。破壊力はさすがに上のツェリスカに劣るがデザートイーグルの2倍弱のエネルギーを持つ弾を撃ち出す。何より恐ろしいのはコレ、アメリカでは（資格さえあれば）普通に一般人が買えるんです……。