ローブティサージュ 単語


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ローブティサージュ

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ローブティサージュRobe Tissage)とは、2010年生まれの日本の競走馬。青毛の牝馬。

競走成績よりも京阪杯での"虐待"事件で世間に知られることになってしまった、2012年の2歳女王。

主な勝ち鞍
2012年:阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)
2014年:キーンランドカップ(GⅢ)

概要

父*ウォーエンブレム、母プチノワール、母父Singspielという血統。
父は2002年のアメリカ二冠馬。日本で種牡馬入りしたが、牝馬のえり好みがあまりにも激しすぎてまともに種付けができなかったという逸話で有名。種付けさえできれば産駒の出来は良く、秋華賞馬ブラックエンブレムやダート戦線で活躍したオールブラッシュ、シビルウォーなどを輩出した。ローブティサージュは最もちゃんと種付けができた(最多の69頭)7年目の産駒である。
母は持込馬で不出走。2代母*リッチアフェアーの全姉に、アサクサデンエン・ヴィクトワールピサ兄弟の母*ホワイトウォーターアフェアがいる。
母父は世界を股にかけて活躍し、1996年のジャパンカップ、1997年のドバイワールドカップなどを制した名馬。母父としての主な産駒にはシンハライトなどがいる。

2010年1月28日、ノーザンファームで誕生。オーナーは一口馬主クラブのシルクレーシング。1口3万円×500口(=1500万円)で募集された。
今やアーモンドアイやイクイノックスを擁する社台系有力クラブとなっているシルクレーシングだが、当時は事実上の母体だった早田牧場が2002年に倒産して以降苦しい経営が続き、2011年の東日本大震災が追い打ちとなって天栄ホースパークをノーザンファームに売却(現在のノーザンファーム天栄)。それがきっかけとなってノーザンファームと提携することになり、ローブティサージュら2010年産馬はその提携1期生にあたる。

馬名意味は「ドレスを紡ぐ(仏)」。

シルクのドレスを紡いで

絹の女王のドレス

栗東・須貝尚介厩舎に入厩したローブティサージュは、ゲート試験に4回も落ちたりしつつも、2012年7月15日、函館・芝1800mの新馬戦にて秋山真一郎を鞍上にデビュー。スタートで出遅れたりスローペースで掛かったり4角でぶつかったりしつつも豪快に差し切り、デビュー勝ちを飾る。

続いて札幌2歳ステークスに向かう予定だったが、左前脚の軽い捻挫で回避となり、2戦目は引き続き秋山騎手と11月のファンタジーステークス(GⅢ)となった。道中また掛かる素振りを見せつつ中団で進め、直線でも鋭く脚を伸ばしたが、スローで先行策から抜け出したサウンドリアーナに3馬身ちぎられて2着。秋山騎手は「距離はもう少しあった方がいいですね。今日は距離適性の差でしょう。次の阪神でがんばります」とのコメントであった。

というわけで向かったのは2歳女王決定戦、阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)。この年の阪神JFは混戦ムードで、1番人気は前走アルテミスSを勝った同じ須貝厩舎のコレクターアイテム。2番人気は後のナミュールの母サンブルエミューズ、3番人気は前述のサウンドリアーナ。4番人気が後の桜花賞馬アユサンで、ローブティサージュと秋山真一郎のコンビは8.1倍の5番人気であった。
最内の1枠1番となったローブティサージュは、課題のスタートを決めるとハイペースの流れを内に構え、経済コースを通って好位を確保して直線を向いた。2番手で前を先行していた15番人気の伏兵クロフネサプライズが抜け出すと、ローブティサージュと秋山真一郎は外に出して進路を確保し脚を伸ばす。クロフネサプライズも粘り込みを図り、さらに最内からはこれまた10番人気の伏兵レッドセシリアが猛然と脚を伸ばしてきて、3頭での激しい競り合いとなったが、最後はクビ差競り勝ってゴール板へと駆け込んだ。

秋山真一郎騎手は同年のNHKマイルカップ(カレンブラックヒル)に続くGⅠ2勝目。須貝調教師はゴールドシップの皐月賞・菊花賞に続くGⅠ3勝目。そしてシルクレーシングはシルクプリマドンナの2000年オークス以来、実に12年ぶりのGⅠ勝利となった。

くすんでゆくシルクのドレス

明けて3歳となり、当然牝馬クラシックへと向かったローブティサージュだが、このあとの彼女は苦難が続く。始動戦のチューリップ賞(GⅢ)で完全な前残りの展開を後方から反応悪く9着に終わったのがケチのつきはじめ。桜花賞(GⅠ)は4角でごちゃついたのが響き、直線で前の争いに加わりはしたものの5着まで。秋山真一郎はこれで降板となり、岩田康誠を迎えて優駿牝馬(GⅠ)に向かったが見せ場なく9着。

秋も引き続き岩田康誠とローズステークス(GⅡ)から秋華賞(GⅠ)へと向かったが、6着、11着と見せ場のない敗戦。単なる早熟2歳女王であったか、という評価もやむなしという感じで3歳を終えた。

明けて4歳、初戦の京都牝馬ステークス(GⅢ)は初めての逃げを打ったが、直線で捕まり7着。岩田康誠もここで降板となり、新たにアンドレアシュ・シュタルケを迎えて1400mの阪神牝馬ステークス(GⅡ)へ。すると好位から直線抜け出し、そのまま押し切るかに見えたが、最後は後ろからスマートレイアーとウリウリの末脚に屈して惜しくも3着。距離短縮で復活の気配を見せる。
続いて横山典弘を迎えてヴィクトリアマイル(GⅠ)に参戦したが、特に見せ場はなく11着に終わった。

再び輝くドレス

阪神牝馬Sの好走とVMの惨敗を受けて、陣営は短距離路線への転向を決断。初の1200mとなる函館スプリントステークス(GⅢ)へ、新たに三浦皇成を迎えて挑むこととなった。後方からのレースになったローブティサージュだったが、馬群を割って鋭く末脚を伸ばし、ガルボにクビ差の2着。

続いて札幌のキーンランドカップ(GⅢ)。引き続き三浦皇成とともに、6.4倍の3番人気に支持されたローブティサージュは、前走よりも前目の中団の位置を確保。直線でスムーズに外に進路を確保すると、力強く脚を伸ばし、大外から追い込む1番人気レッドオーヴァルら集団をまとめてクビ差退けて先頭でゴールへと飛び込んだ。2歳女王がスプリントの舞台で1年8ヶ月ぶりの復活勝利。三浦皇成は馬上で力強いガッツポーズを見せた。

輝きを取り戻したローブティサージュは、勢いに乗ってスプリンターズステークス(GⅠ)に参戦。鞍上には久々に秋山真一郎を迎えたが、見せ場なく11着に撃沈。秋山騎手曰く「最終コーナーを回って手前を替えるあたりから、トモのはまりが悪くて反応が出来ませんでした」とのことであった。

JRA発走委員"虐待"事件

続いて向かった京阪杯(GⅢ)。ここでローブティサージュの名が競馬ファンのみなら世間の耳目を集めてしまう"事件"が起きた。

もともとローブティサージュは前述の通りデビュー前にゲート試験に4回も落ちていたりするように、枠入りに難のある馬だった。そしてこのレース、ローブティサージュは枠入りを激しく嫌がり、ゲートに誘導しようとする係員に抵抗する。結局目隠しをされてなんとかローブティサージュはゲート入りしたものの、発走時間は4分遅れ、レースは14着に惨敗。枠入り不良でゲート再審査を課されることになった。

と、それだけならまあたまにあるトラブルだが、問題はこのときのJRA発走委員の見せた行動であった。断固ゲート入りを嫌がるローブティサージュに対し、発走委員が手にした鞭を振るう姿と鞭の音が、中継のカメラに抜かれていたのである。しかも三浦騎手が一旦降りて、ようやくローブティサージュが落ち着きかけたところで、背後からもう一発。これもカメラにはっきりと抜かれていた。

なんでもこの発走委員、暴れたローブティサージュに蹴られて転倒、腕時計を壊されてしまったのだという。このとき三浦騎手は「目隠しをすればすんなり入る」と助言したのだそうだが、発走委員は「手順がある」と却下。その挙げ句、不必要な鞭を振るって馬を余計に興奮させ発走を遅らせたわけである。特に傍から見ても明らかに無意味な最後の一発は、発走委員の八つ当たりと取られても仕方ないもので、競馬ファンの間では「いくらなんでもあれはひどい」とひとくさり発走委員の対応が議論となった。

そしてこの鞭乱打がトラウマになったのか、ローブティサージュはその後のゲート再審査に落ちてしまう。これを受けてシルクホースクラブは会報でこの事件を特集、三浦騎手の「目隠しをすればすんなり入る。主張したのに受け入れられなかった」というコメントとともに、ゲート再審査落ちについて「不必要なムチの使用で精神的ダメージを受けた」との見解を示したが、JRA側は誤りを認めることはなかった。
そして一般紙の朝日新聞がこの事件を取り上げたことで、ローブティサージュの京阪杯は「JRA発走委員による逆ギレ虐待事件」として世間の耳目を集めることになってしまった。

鞭の理由がどうあれ、ローブティサージュが精神的にダメージを受けたことは確かで、陣営は彼女のメンタルの立て直しに尽力。予定していた1月のシルクロードSは回避せざるを得なかったが、目隠しをすることでなんとかゲート再審査をパスし、ローブティサージュは翌年3月の阪急杯(GⅢ)で復帰。池添謙一を鞍上に、内を突いて僅差の3着に好走。なんとかトラウマを乗り越えることが出来たのだった。

その後

しかし結局、阪急杯の好走が彼女の最後の輝きだった。その後は振るわず、高松宮記念(GⅠ)はブービー17着、函館SS(GⅢ)は15着。連覇を目指したキーンランドC(GⅢ)も7着に終わり、スワンステークス(GⅡ)では直線で斜行した前の馬に接触して転倒、競走中止。幸いローブティサージュは大事に至らなかったが、鞍上の福永祐一は全治4ヶ月の重賞を負うことになってしまった。

結局、6歳春の引退期限までの復帰は困難ということで、このスワンSを最後に現役引退、繁殖入りとなった。通算20戦3勝 [3-2-2-13]。

引退後は故郷のノーザンファームで繁殖入り。初仔のリアンティサージュ(父オルフェーヴル)はオープン入りを果たし、第2子、第3子も勝ち上がりとまずまず順調な繁殖生活を送っている。道半ばで外的要因に振り回された母の分まで子供たちの活躍に期待したい。

血統表

*ウォーエンブレム
1999 青鹿毛
Our Emblem
1991 黒鹿毛
Mr. Prospector Raise a Native
Gold Digger
Personal Ensign Private Account
Grecian Banner
Sweetest Lady
1990 鹿毛
Lord at War General
Luna de Miel
Sweetest Roman The Pruner
I Also
プチノワール
2005 青毛
FNo.8-d
Singspiel
1992 鹿毛
In the Wings Sadler's Wells
High Hawk
Glorious Song Halo
Ballade
*リッチアフェアー
2000 青毛
Machiavellian Mr. Prospector
Coup de Folie
Much Too Risky Bustino
Short Rations

クロスMr. Prospector 3×4(18.75%)、Halo 4×5(9.38%)、Herbager 5×5(6.25%)

関連動画

京阪杯の事件についてはYouTubeなどで見てください。

関連リンク

関連項目

  • 競馬
  • 競走馬の一覧
  • 2013年クラシック世代
  • シルクレーシング
  • ウォーエンブレム
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