ローリングスタートとは (ローリングスタートとは) [単語記事]

ローリングスタートとは、モータースポーツの決勝レースのスタート方式の一つである。

概要

主に長距離を走るレース、多くのハコ車レースに用いられており、フォーメーションラップを周回した後、グリッドに停止することなく加速し、スタートを切る方式。
スタート時のトラブル回避、また、前輪駆動車、後輪駆動車、四輪駆動車それぞれの加速性能、エンジン性能の違いによるスタート時の有利・不利を無くす為にも用いられる。

これに対するスタート方式として、主にフォーミュラカーレース、走行距離が短く、またマシン性能に差が無いワンメイクレース、二輪レースなどに用いられている「スタンディングスタート方式」がある。

ローリングスタートを採用しているレース

FIA-GT、ル・マンレース、NASCAR、インディカーレース、SUPER GT、スーパー耐久など、走行距離の長い多くのカテゴリで用いられている。
また、走行距離の短いWTCCでも、２回行われるレースのうち※のうち第１レースはローリングスタートの方式を採用している。

※　WTCCは一つの大会で２回のレース（２ヒート制）が行われ、その内の第１レースはローリングスタート方式、
　　第２レースはスタンディングスタート方式でレースを開始する。

スタートまでの手順

ポールポジションは第１コーナーのイン側の先頭グリッドを与えられる。

予選走行などで決定した順にダミーグリッドに着き、セーフティカーの先導によりグリッドを離れてコースを一周を周回し、スタート直前にスタートグリッド順に左右互い違いに二列の隊列を組む。
セーフティカーが先導を外れた後、先頭車両がコントロールライン（スタートライン）に接近したところでシグナルが赤から青に変わり、レース開始となるが、各車両はコントロールラインを通過するまで追い越しは禁止である。

フォーメーションラップ中の車両の速度は各カテゴリによって規定が異なるが、制限が設けられている。この最中、ウェービングという、車両を左右に振りながら走行してタイヤを暖める行為を行ったりするが、追い越し行為、むやみに隊列を崩したり過度に減速する事は禁止であり、故障とみなされたり危険な行為としてペナルティが課せられたりする。
但し、何らかの原因で隊列が乱れてしまい、意図せず追い越してしまったり追い越されてしまった場合、それを修正する事は認められる。

コントロールラインを通過するまでは追い越しが禁止されている為、コントロールライン間際で他車との駆け引きを取ったりするが、やはりここでも速度を落としたりする事は危険行為とみなされる場合がある。

天候やコースの状況、フォーメーションラップ中のトラブルなどで正常なスタートが行えないと判断された場合、セーフティカーは隊列を外れることなく、安全が確認されるまで隊列を先導する。
この場合、その間の周回分はレースの規定の周回数から減算される。

このスタートの際の駆け引き、スタート直後に各車が入り乱れる光景などがローリングスタートの魅力であり、見ている者に緊張と興奮を起こさせる。

　　参考：JAF（日本自動車連盟）
　　　　　　TOM'S エンジニア東條のブログ（TOM'S チーフエンジニア・東條力氏のブログ）
　　　　　　SUPER GT.net（SUPER GT 公式 HP）