不換銀行券とは、銀行が資産との交換を保証せずに発行する銀行券のことである。不換紙幣の一種とされる。
2020年現在の全世界において、各国の中央銀行が発行する不換銀行券が、現金通貨の大部分を占めている。
不換銀行券とは、銀行が資産との交換を保証せずに発行する銀行券のことをいう。
2020年現在の世界各国の中央銀行は、金塊(金地金 きんじがね)・銀塊(銀地金 ぎんじがね)・土地・建物・株式・国債・社債・CP(コマーシャルペーパー 会社が発行する手形)などを資産として受け入れたとき、その代償として不換銀行券を発行している。
中央銀行は、不換銀行券を差し出されても金塊・銀塊・土地・建物・株式・国債・社債・CPなどと交換する義務がない。「中央銀行が不換銀行券と資産を交換する義務を果たす期日は、極めて遠い将来に先延ばしされている」と考えてよい。
中央銀行にとって、不換銀行券を負債として発行するのだが、負債としての厳しさが皆無であり、「負債性が極度に薄まっている負債」と表現することができる。
不換銀行券を所持する人は、中央銀行に対して、「不換銀行券と引き換えに資産を差しだす義務」を課す機会が永遠に訪れない。
19世紀末から20世紀前半にかけて、世界の先進国諸国は、それぞれの中央銀行が発行する兌換銀行券を通貨としていた。
20世紀前半になると、兌換銀行券の発行をやめて不換銀行券へ切り替える中央銀行が続出した。第一次世界大戦や世界恐慌において、各国政府は巨額の政府支出を行う必要性に直面し、国家が自由に発行できない兌換銀行券の発行をとりやめて、国家が自由に発行できる不換銀行券へ切り替えていったのである。
金塊との交換を保証する兌換銀行券を発行することを金本位制といい、銀塊との交換を保証する兌換銀行券を発行することを銀本位制といい、不換銀行券を発行することを管理通貨制度という。
世界各国が兌換銀行券の発行をとりやめて不換銀行券への発行に切り替えていったのだが、アメリカ合衆国だけは兌換銀行券の発行を続けていた。1945年にブレトンウッズ体制が始まり、アメリカ合衆国で流通するアメリカドルのみが兌換銀行券になり、世界各国の不換銀行券はアメリカドルと一定の交換比率を保つように義務づけられた。つまり、世界各国の不換銀行券は、不換銀行券の体裁を取りながらも、金塊との交換が可能な兌換銀行券としての性質を持つように義務づけられたのである。
1971年8月15日に、リチャード・ニクソン米大統領が「アメリカドルと金塊の交換を停止する」と発表した(ニクソン・ショック)。これにより、世界中のほとんどの現金通貨が完全な不換銀行券となった。2020年もその状態が維持されている。
兌換銀行券と不換銀行券の共通点は、どちらも銀行が発行する銀行券で、どちらも銀行の負債である、というところである。
兌換銀行券と不換銀行券の違いは、負債としての厳しさの強弱である。
兌換銀行券は、それを発行した銀行へ持ち込むと即時に金塊や銀塊といった貴金属に交換できるものであり、銀行にとって支払期限までの期日が極度に短く、経営を圧迫する厳しい負債である。ちなみに、債務者に呈示した日時が自動的に支払期日になる種類の負債証券を一覧払いの負債という。兌換銀行券を持つ債権者にとって、兌換銀行券は、即時に貴金属を得られるものであり、資産価値が極めて高い。
不換銀行券は、発行した銀行にとって、支払期限が極めて遠い将来に先送りされている。「100億年後に金塊や銀塊といった貴金属に交換する」といった具合に、遠い将来にまで支払期限が設定されている、と考えてよい。銀行にとって支払期限までの期日が極度に長く、経営を全く圧迫しない優しい負債である。不換銀行券を持つ債権者にとって、不換銀行券は、貴金属を得られることが永遠にやってこないものであり、資産価値が極めて低い。
同じ負債であっても、支払期限までの期間の長さによって負債の厳しさが変化することは、債権や債務の記事においても解説されているので参照されたい。
以上のことを表にまとめると、次のようになる。
| 兌換銀行券 | 不換銀行券 | |
| 銀行の負債 | ○ | ○ |
| 貴金属との交換 | 一覧払い(即座に支払う) | 無期限停止されている |
| 支払期限までの期間 | 極めて短い | 極めて長い |
| 銀行にとって | 極めて厳しい債務 | 極めて優しい債務 |
| 銀行の経営に対する影響 | 銀行経営を圧迫する | 銀行経営にとって優しい |
| 所持する人にとって | 金塊と同じで資産価値が高い | 紙屑と同じで資産価値が低い |
このように、不換銀行券というのは、本来、所持する人にとって全く無価値である。
それなのに、額面1万円の不換銀行券は、「1万円の価値を持つもの」と人々に認知され、人々の間で交換手段として使われ、流通している。
なぜ不換銀行券が流通するかについては、複数の学説が唱えられている。それについては『不換銀行券が流通する原理』の項目で改めて解説する。
中央銀行は、中央銀行に口座を開設する企業・団体に対して中央銀行預金を発行している。
日本の中央銀行である日本銀行は、日本政府に対して政府預金を発行し、市中銀行や証券会社や短資会社に対して日銀当座預金を発行している。政府預金も日銀当座預金も、中央銀行預金である。
中央銀行に口座を開設する企業・団体たちの間における通貨のやりとりは、不換銀行券の札束など使わず、中央銀行預金の増減で行っている。
中央銀行預金は、不換銀行券と同じような性質を持っている。どちらも銀行の負債であり、どちらも金塊・銀塊などの資産との交換が無期限停止されている負債である。中央銀行預金のほとんどが無利子の負債であり、不換銀行券も無利子の負債である。
中央銀行預金は、不換銀行券と酷似した性質を持っているので、「中央銀行預金=不換銀行券」「中央銀行預金は即座に不換銀行券へ姿を変える」と認識しておいてさしつかえない。
額面通りの金塊などの資産と交換できず、資産価値が極めて低いはずの不換銀行券がなぜ流通するのだろうか。それを説明する学説は、2種類ほど挙げられている。
商品貨幣論によって、不換銀行券の流通が説明されることがある。
商品貨幣論において、「通貨というものは市場に参加する人々のすべてが価値あるものと信認する商品である」と定義される。
ゆえに、「不換銀行券が流通しているのは、不換銀行券を扱う人々が、不換銀行券のことを『額面通りの価値があるもの』と信認しているからである」と説明される。
不換銀行券は金塊・銀塊といった貴金属との交換が停止されているが、人々は不換銀行券に対して共同幻想を抱いており、不換銀行券が価値あるものと信じ込んでいる。人々の思い込みや信じ込みといった大衆心理が、不換銀行券の流通を支えている。不換銀行券を支えているのは、人々の信認である。実際は全くの無価値の紙切れなのだが、それに魔法がかかっている状態であり、人々は魔法によって価値があると思い込んでいる。
共同幻想、大衆心理、信じ込み、思い込み、信認、魔法、といった言葉によって不換銀行券の流通を説明するのが、商品貨幣論である。
国定信用貨幣論によって、不換銀行券の流通が説明されることがある。
国定信用貨幣論において、「通貨というものは政府によって納税手段として認定され、徴税の対象となるものである」と定義される。
ゆえに、「不換銀行券が流通しているのは、政府が徴税して需要を作り出し、本来無価値であるはずの不換銀行券に付加価値を与えているからだ」と説明される。
額面金額1万円の不換銀行券は本来全くの無価値で0円に等しいものだが、政府の徴税権力によって1万円分の付加価値を与えられている。
納税を怠ると警察に逮捕され、検察に起訴され、裁判所で有罪判決を下され、刑務所にぶち込まれる。そうした事態を恐れるため、人々は不換銀行券による納税に励み、本来無価値であるはずの不換銀行券に価値を見出す。つまり、人々の徴税権力に対する恐怖心、もう少し言い換えると納税義務からの解放を求める心が、不換銀行券の流通を支えている。
徴税権力、付加価値、納税手段、徴税権力に対する恐怖心、納税義務からの解放を求める心、といった言葉によって不換銀行券の流通を説明するのが、国定信用貨幣論である。
不換銀行券は、どのように発行されるのだろうか。
※本項目では、中央銀行が中央銀行預金を発行することも「不換銀行券を発行する」と表現した。中央銀行預金と不換銀行券は酷似した存在なので、そういう表現を行った。
2020年現在において、政府が発行する国債と引き換えに、中央銀行が不換銀行券を発行する、というケースが非常に多い。
2019年9月30日を基準日として日本銀行が作成した貸借対照表を見てみると(資料3ページ)、資産の部に記入されている国債の金額が非常に多い。
中央銀行が政府の発行する国債を購入し、代金を新規発行の不換銀行券で支払う(買いオペレーション)。国債の購入は、相手の返済能力を信用しつつ相手の返済能力を自らの資産と位置づけて、その代償として負債を発行する行為であり、信用創造である。
以上のことを日本銀行の貸借対照表としてまとめると、次のようになる。
| 日本銀行の貸借対照表 | |
| 資産の部 | 負債の部 |
| 政府が発行する国債 ※つまり、政府の返済能力 |
日本銀行券 |
不換銀行券の発行は、中央銀行が国債という資産を受け入れたときに行われることが極めて多い。
しかし、国債を購入する以外の方法によっても、中央銀行は不換銀行券を発行することができる。
土地や建物といった不動産、金塊(金地金 きんじがね)、銀塊(銀地金 ぎんじがね)、民間企業の発行する株式(会社所有権の一部)を中央銀行が購入して、代金を新規発行の不換銀行券で支払うことがある。
民間企業や市中銀行が発行する社債、民間企業が発行するCP(コマーシャルペーパー 手形)を中央銀行が購入したり、中央銀行が市中銀行へ貸し付けしたりする。このとき、中央銀行が社債やCPの代金を新規発行の不換銀行券で支払い、市中銀行への貸し付けを不換銀行券で行う。社債やCPの購入も、貸し付けも、相手の返済能力を信用しつつ相手の返済能力を自らの資産と位置づけて、その代償として負債を発行する行為であり、信用創造である。
以上のことを日本銀行の貸借対照表としてまとめると、次のようになる。
| 日本銀行の貸借対照表 | |
| 資産の部 | 負債の部 |
| 土地や建物といった不動産、金塊(金地金)、銀塊(銀地金)、民間企業の発行する株式(会社所有権の一部) | 日本銀行券 |
| 民間企業や市中銀行が発行する社債、民間企業が発行するCP、市中銀行への貸付金 ※つまり、民間企業や市中銀行の返済能力 |
|
中央銀行は、様々な資産を購入することで、不換銀行券を発行して世の中にばらまくことができる。
ただ、やはり、国債を資産と扱ってその代償に日本銀行券を発行する方式が、中央銀行にとって最善の方式である。
国債というのは換金性が極めて高く、とても優秀な売りオペの道具である。中央銀行が「不換銀行券を発行しすぎてしまったので、売りオペして、不換銀行券を回収し、不換銀行券の量を削減したい」と思ったとき、最も確実に売りオペできるのが国債である。
土地や建物といった不動産や金塊や銀塊や株式は、売り手が見つからないことの方が多く、売りオペの道具としてあまり優秀ではない。
民間企業の発行する社債やCPは、売り手が見つからないことの方が多く、売りオペの道具としてあまり優秀ではない。
各国の中央銀行が不換銀行券を発行する方法の中で、「国債の買い取り」の次に多いのが、「市中銀行への貸し付け」である。
2010年1月10日の日銀の貸借対照表の簡易版はこちらである。資産の部を見てみると、国債が71兆9900億円で、貸付金(市中銀行などに対する貸付の総額)が28兆6452億円である。「国債の買い取り」と「市中銀行への貸し付け」の比率は2.5:1、あるいは1:0.4となっている。
「市中銀行への貸し付け」は、中央銀行が「市中銀行の返済能力」を信用して資産と扱い、その代償として不換銀行券という負債を発行する行為なので、中央銀行による信用創造といえる。
「市中銀行への貸し付け」の長所は、政府の国債発行がなくても通貨発行できるところである。日本政府が自国通貨建て国債をあまり発行せず、市中銀行の保有国債が少ない1970年代の時代においても、「市中銀行への貸し付け」で通貨発行することができた。
「市中銀行への貸し付け」の短所は、売りオペしにくく、いったん発行した通貨を削減しにくいところである。「市中銀行に対する債権」は「政府に対する債権」よりも信用度が低いので、買い手が付きにくく、売りオペしにくい。
以上のことを表にまとめると、以下のようになる。
| 国債の買い取り | 市中銀行への貸し付け | |
| 中央銀行による信用創造 | ○ | ○ |
| 中央銀行が資産と扱うもの | 政府の返済能力 | 市中銀行の返済能力 |
| 長所 | 売りオペしやすく、通貨量を削減しやすく、通貨削減権を行使しやすい | 政府が国債を発行しなくても即座に通貨発行できる |
| 短所 | 政府が国債を発行しない限り、中央銀行が通貨発行できない | 売りオペしにくく、通貨量を削減しにくく、通貨削減権を行使しにくい |
不換銀行券の発行は、中央銀行が国債という資産を受け入れたときに行われることが極めて多い。
中央銀行が国債を買い入れるときに、新規の不換銀行券が発行される。中央銀行が「政府の返済能力」を信用して資産扱いし、中央銀行が不換銀行券という負債を新規に発行している。つまり、中央銀行による信用創造だといえる。
中央銀行は政府の返済能力を信用しているのだが、その「政府の返済能力」の正体とは、いったい何なのだろうか。これを説明する考え方は、主に2通り存在する。
1つは、「政府の税収が、政府の返済能力の基礎である」という考え方である。政府には無限に徴税して資産を得る権力がある。
もう1つは、「政府の通貨発行権が、政府の返済能力の基礎である」という考え方である。政府には政府紙幣や硬貨といったものを自由自在に発行できる強大な権力がある。政府がその気になれば、瞬時に、いくらでも、通貨発行することができる。実際に、政府は「製造原価30円の金属片を500円硬貨に仕立て上げる」ということを日常的に行っているので、政府に通貨発行権が存在することは明らかである。中央銀行は、政府の持つ通貨発行権をはっきり把握しているので、その権威に屈服する形で、国債を購入し、新規に不換銀行券を発行している。このことは「政府の通貨発行権を、中央銀行が代行している」と表現することができる。国定信用貨幣論は、政府の通貨発行権をはっきり認める考え方なので、こちらの考え方を導くものである。
すでに述べたように、中央銀行にとって不換銀行券は負債としての厳しさが皆無であり、経営に全く負担を与えないものである。
民間企業にとって、「支払期日が100億年後の額面金額100億円手形」は、とても気軽に発行することができる。振出日と支払期日の期間が極限に長いので、どれだけ巨額の手形でも、好きなだけポンポンと発行することができる。
中央銀行にとっても、話は同じである。中央銀行にとって不換銀行券は「資産との交換期日が100億年後に先送りされている負債証明書」と同じであり、どれだけ巨額であろうとも、好きなだけポンポンと発行することができる。
このため、不換銀行券を発行する中央銀行の通貨発行権は無限大であると表現される。
本項目では、現実の日本政府の貸借対照表(バランスシート)の変化を見て、日本銀行が日本銀行券をどのタイミングで発行するかなどを確認する。
本項目では、政府が徴税したときに得られるものを日本銀行券という表現で統一している。実際の政府は、徴税したときに日本銀行預金の一種である政府預金を得ているのだが、日本銀行預金と日本銀行券は性質が酷似しているので、「日本銀行預金=日本銀行券」として扱った。
まず、政府の貸借対照表は、このように書くことができる。また、前年までに発行された国債が負債の部に残っているとする。
| 政府の貸借対照表 | |
| 資産の部 | 負債の部 |
| 徴税権 | 国民に福利をもたらす義務 |
| 前年までに発行された国債 | |
資産として徴税権があり、負債として国民に福利をもたらす義務がある。徴税権は日本国憲法第30条に明記されており、国民に福利をもたらす義務は日本国憲法前文の「国政は~(中略)その福利は国民がこれを享受する」といった部分や日本国憲法第25条第2項に明記されている。
政府は徴税権を行使する。国民によって日本銀行券を支払うという納税が行われ、政府の徴税権が消滅する。日本銀行券は、政府の資産に入る。
| 政府の貸借対照表 | |
| 資産の部 | 負債の部 |
| 税収で得られた日本銀行券 | 国民に福利をもたらす義務 |
| 前年までに発行された国債 | |
増税して政府支出を削減する緊縮財政を進め、政府支出を上回る数量の日本銀行券を獲得し、新規発行国債の額を0にして、さらに「前年までに発行された国債」を税収で返済することをプライマリーバランスの黒字化という。
通例は、プライマリーバランスの黒字化が行われず、政府支出を下回る数量の日本銀行券だけを獲得する。
プライマリーバランスの黒字化を行うと不況に陥るという恐ろしい法則がある。そのことについては、プライマリーバランスの記事を参照のこと。
政府が、憲法第85条に基づき、国会の議決を受けた上で国債を発行し、市中銀行に売却し、日本銀行券を得る。
市中銀行が余分に保有する日本銀行券の数量が少なくなったら、国債価格の下落(国債金利の上昇)というかたちですぐに現れるので、日銀はそれに対応する。日銀は日銀法第1条で通貨と金融の調節をすることを義務づけられており、国債金利の上昇を放置するわけにはいかない。市中銀行の持つ国債を買いオペし、新たに日本銀行券を発行して、市中銀行に日本銀行券を供給する。これを政府の国債市中消化を助ける買いオペという。
| 政府の貸借対照表 | |
| 資産の部 | 負債の部 |
| 税収で得られた日本銀行券 | 国民に福利をもたらす義務 |
| 新規国債売却で得られた日本銀行券 | 前年までに発行された国債 |
| 新規発行国債 | |
政府は、得られた日本銀行券で支出し、物資を購入し、職員に給料を払い、物資や人員という資産を手に入れる。そして、日本銀行券が民間にばらまかれる。
| 政府の貸借対照表 | |
| 資産の部 | 負債の部 |
| 物資や人員 | 国民に福利をもたらす義務 |
| 前年までに発行された国債 | |
| 新規発行国債 | |
政府は、前年までに発行された国債のうち、償還期限を迎えた国債を置き換え(借り換え)する。償還期限を迎えた国債と同額の国債を発行して市場に売却して日本銀行券を得て、その日本銀行券を支払って国債を償還する。それゆえ、負債の部の「前年までに発行された国債」は減らずに残り続ける。減らないどころか、利子の分だけ少し増える。
借り換えというと、「支払期日が近い手形」を「支払期日が遠い手形」に置き換える手形ジャンプが有名である。政府の借り換えも同じことで、「元本の支払期日が近い国債」を「元本の支払期日が遠い国債」に置き換えている。
| 政府の貸借対照表 | |
| 資産の部 | 負債の部 |
| 物資や人員 | 国民に福利をもたらす義務 |
| 前年までに発行された国債 | |
| 新規発行国債 | |
政府は債務超過になるが、政府というのは債務超過になることを憲法で禁止されているわけではなく、債務超過になっても許される存在である。詳しくは、国債恐怖症の記事を参照のこと。
![]() |
この項目は現代貨幣理論(MMT)風の考えを採用しています |
本項目でも、日本政府の貸借対照表(バランスシート)の変化を見て、日本銀行が日本銀行券をどのタイミングで発行するかなどを確認する。
現代貨幣理論(MMT)という経済理論がある。MMTの信奉者は、「政府支出は、徴税よりも先行する」ということを主張する傾向にある。
その主張に沿うかたちで、国債発行による日本銀行券の獲得が徴税よりも先に行われると論ずることにする。
まず、政府の貸借対照表は、このように書くことができる。
| 政府の貸借対照表 | |
| 資産の部 | 負債の部 |
| 徴税権 | 国民に福利をもたらす義務 |
政府が、憲法第85条に基づき、国会の議決を受けた上で国債を発行し、市中銀行に売却し、日本銀行券を得る。
市中銀行が余分に保有する日本銀行券の数量が少なくなったら、国債価格の下落(国債金利の上昇)というかたちですぐに現れるので、日銀はそれに対応する。市中銀行の持つ国債を買いオペし、新たに日本銀行券を発行して、市中銀行に日本銀行券を供給する。これを政府の国債市中消化を助ける買いオペという。
| 政府の貸借対照表 | |
| 資産の部 | 負債の部 |
| 徴税権 | 国民に福利をもたらす義務 |
| 日本銀行券 | 国債 |
政府は、得られた日本銀行券で支出し、物資を購入し、職員に給料を払い、物資や人員という資産を手に入れる。そして、日本銀行券が民間にばらまかれる。
| 政府の貸借対照表 | |
| 資産の部 | 負債の部 |
| 徴税権 | 国民に福利をもたらす義務 |
| 物資や人員 | 国債 |
政府は徴税権を行使する。国民によって日本銀行券を支払うという納税が行われ、政府の徴税権が消滅する。日本銀行券は、政府の資産に入る。
| 政府の貸借対照表 | |
| 資産の部 | 負債の部 |
| 物資や人員 | 国民に福利をもたらす義務 |
| 日本銀行券 | 国債 |
政府は、得られた日本銀行券で国債を償還する。
国債には利子が付き、日本銀行券には利子が付かない。ゆえに、少なくとも利子の分だけは国債を償還しきれず、国債の借り換えを行って国債を残し続け、政府は債務超過になる。
| 政府の貸借対照表 | |
| 資産の部 | 負債の部 |
| 物資や人員 | 国民に福利をもたらす義務 |
| 国債 | |
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最終更新:2025/12/07(日) 12:00
最終更新:2025/12/07(日) 12:00
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