不気味の谷 単語

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不気味の谷(現」(英語: uncanny valley)とは、1970年ロボット工学の分野で提唱された経験則である。

(経験則とは、説明することはできないが、経験上そう言えるというだけの規則・法則

※ 某メダリストの事ではない。

   概要

ロボット人工生命疑似生物は、テクノロジーの進歩に伴って、その挙動が日々現実生物に近づいている。
また合成音声や、実物を再現した3D映像なども、実物と区別が付かないほどに再現が可となった。
これらバーチャルリアリティー再現されたもの対し、人の受ける印はその忠実度と深い関係がある。

実物との忠実度が全くないものに人は印を受けない。
これが徐々に忠実度があがってゆくと、それにつれて人間は好印を抱く。
しかし「ほぼ忠実一歩手前」まで忠実度が上昇すると、人間はとたんに嫌悪感を抱くようになる。

さらに忠実度が上がり、実物と見分けが付かないほどになると、人は一転して好印を抱く。
この関係をグラフに表すとV字を示すことから「不気味の谷現と命名された。

不気味の谷の例

CGアニメ映画であるファイナルファンタジー2001年)は制作費1億3700万ドルに対して全での行収入が3200万ドルという失敗作であった。この原因としてしばしば不気味の谷現られる。

また、初音ミクなどのVOCALOIDは不気味の谷現を回避するために現在合成音声技術において最大の忠実度をあえて搭載せず、忠実度を下げていると言われている。

批判と検証

不気味の谷現実験に基づいた説ではないため、しばしば科学的ではないと批判されてきた。
1970年が提唱した時点では、人間そっくりのロボットを作ることは不可能だったので単なる仮説にすぎなかったのである。

しかしながら行収入が重視される映画ゲーム、その他キャラクタービジネスでは、例え科学的根拠がないとしても、重要な問題として捉えられている。

そして2011年カリフォルニア大学サン・ディエーゴ校の認知科学Saygin教授研究チームが不気味の谷の存在を脳科学アプローチで確かめることに成功した[1]

大阪大学開発した人ロボット・リプリーQ2(全な状態と、機械の一部を剥き出した状態の2種)と、そのモデルとなった女性の計3種類の映像を被験者に観せた所、全状態のリプリーQ2を観た場合にのみ頭頂葉に高レべルの活動が見られた。

これは「人間のような外見でロボットのような動きをする」という視覚情報ミラーニューロンに伝わり、それが
共感の予測限界えて処理不能に陥った状態だという。というのも頭頂葉は視覚野の一部と繋がっており、身体運動に際しては共感ミラーニューロンがあるとされる運動野にも働きかける部位だからである。
ともあれ本格的な解明はまだまだこれからである。今後の更なる研究に期待したい。

デフォルメ的表現と不気味の谷

行的な見地から不気味の谷を回避する手段として、しばしばデフォルメという表現技法が用いられる。

人間に似せようとするから、かえって違和感が強くなる。ならば人間以外の『なにか』に似せることを着地点にすれば、違和感がなくなるのでは?」

という考え方から、キャラクターCGで描写する際、その描写するべきビジュアルデフォルメを加えることがある。
この場合、デフォルメの程度は強いほうが(=人間的な要素が少ないほうが)より好ましいとされる。
人間的な要素を残せば残すだけ、グラフィック技術の限界による「似せても似せきれない部分」が顕著になり不気味の谷に落ちる危険が増すためである。

より非人間的な・非現実的なキャラクター造形を「本物」として設定しておけば、受け手側のハードルは下がるということである。なお、デフォルメ定義「対の変形」である以上、不気味の谷現の前提である「対との近似」とは相反する関係にあることにも留意されたい。

具体例としてはgdgd妖精sを挙げることができる。
要な登場キャラクターアニメ的な特徴を備えた二頭身のらしい造形をしているが、モブや装置として登場するリアル頭身の人間動物などは、どこか奇妙な感覚を視聴者に抱かせる。
同程度のCG技術を用いながらも、デフォルメによって「類似性」す先を転換させることで、不気味の谷を飛び越えることができることの実例であるといえる。

アニメ、漫画等における不気味の谷現象

デフォルメリアリティ追求は相反関係にあるため、デフォルメという表現そのものに不気味の谷が発生する余地は非常に少ない。

アニメ漫画美少女キャラを例に挙げると、彼女達のキャラクター造形は人間少女デフォルメであり、アニメなどに慣れていない人によっては、そうした造形に対し「非人間的に過ぎる」と嫌悪感を抱く場合がある。

逆にアニメ的・漫画記号し、より写実的に描けば描くほど、非人間的な要素は減じていき、最終的には写真とみまごうほどのスケッチができあがる。
アニメ的・漫画的な絵柄が好きな人にっては面みがないかもしれないが、この印の推移においてV字を描く転落的変動は、少なくとも普遍的には存在しない。

ある作品が他媒体で展開されるときには様々な表現媒体が存在し、そこには再現度」というものが存在する。
この再現度」追求していくと好意的な印は高まっていくが、ある一点をに印反転する。
それが邪神モッコス邪神セイバーに代表される邪神系」残念な出来のフィギュアである。

それまではキャラクターの持つ記号性を頼りに美少女キャラと認識できていたものが、中途半端に全体像が似ているが細部が微妙にずれているため、一転して違和感を引き起こすことになる。
(ただし、邪神モッコスに関してはフィギュアとしての再現度は低くはなく、元となるキャラクター自体が3CG描画によって不気味機的なイメージを与えられているため、邪神モッコスを見て抱く印はこのパターンに当てはまらない』という見解もある)

別のパターンとしては、イベント等に登場する美少女キャラ着ぐるみがある。
人がコスプレするよりはかに再現度」は高いはずなのに、印の高低差は歴然としている。

これらの細部の練り込みを造形師の技術とクリアし、良質な生産ラインに乗ったとき、印はまた一転して上昇傾向となり、不気味の谷を越えることが出来る。
これらの印の推移にはデフォルメの程度=人間少女との類似性」は関与しない。
四頭身の萌えキャラだろうが、よりデフォルメの浅い八頭身キャラだろうが関係はない。

問題となるのは「キャラクター再現度」であり「人間性の再現度」ではない。
そうした誤解に基づく誤用のないよう、注意されたい。

関連動画

関連項目

脚注

  1. *リアルすぎはNG!? カリフォルニア大学で「不気味の谷」現象の存在が証明される - 日々是遊戯exit
    元記事: Exploring the uncanny valley of how brains react to humanoids - WIRED.CO.UKexit

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