世界耐久選手権とは、
本記事では2について扱う。なお、2は「ル・マン・シリーズ」という呼び方が俗にされることがあるが、これは後述のELMS(ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ)の前身の正式名称なので誤りである。
これまで、ACOが中心に開催していたインター・コンチネンタル・ルマン・カップ(ILMC)を発展させ、FIAとの共同開催として企画された選手権である。
6月に行われるル・マン24時間レースを中心に、世界8カ国で6時間以上のクラス混走の耐久レースが開催される。
規約の詳細はWECやトヨタの公式サイトを参照することをお勧めする。また、ここに記載した内容は2017年現在の物である。
ドライバーは2~3名の交代制で、クラスによってドライブしなければいけない時間や連続してドライブできる時間が異なる。またドライバーは細かい規定によって、実績でプラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズの4つの資格に分けられる。参加できるマシンは、大別してLMP(ル・マンプロトタイプ)とLMGTE(ル・マンGTエンデュランス)の2種類。マシンの規定や搭乗ドライバーによって、クラスは次の4つに分かれる。
タイヤは全クラスマルチメイクで、ミシュランとダンロップが参入している。
なおル・マン24時間レースでは前衛的な技術を使った車両が一台だけ賞典外として参戦できる。
2012年は昨年のル・マン24時間レースを制したアウディと、新規参入するトヨタが参戦。初年度からアウディのクリーンディーゼルエンジンと、トヨタのガソリンハイブリッドエンジンという2つのエコエンジンという対立構造になった。 一方で昨年のILMCを制覇したプジョーは参戦しないことを発表した。
2012,2013年はともにアウディがWECシリーズとル・マンを制している。
2014年からはル・マン24時間レース最多勝記録を持つポルシェがLMP1-Hに参戦し、トヨタ、アウディとともに1年間の三国時代を築くこととなった。トヨタのガソリンエンジン、アウディのディーゼル、ポルシェのガソリンターボと三者三様のエンジンを使用してはいるが、燃料タンクや燃料流量の調整を行うことできちんと勢力図が拮抗するようになされている。開発競争のレベルも非常に高く、トヨタのTS040はエンジンで520馬力、回生システムで480馬力で合計1000馬力となっている。
日本人ドライバーも多く参戦しており、2014年6月現在は中嶋一貴(LMP1)、松田次生(LMP2)、井原慶子(LMP2)、中野信治(LMP2、LMGTE-Am)、本山哲(デルタウィングやZEODなどの賞典外)が活躍している。
中嶋は2012,2013年と連続して富士で優勝を飾った。さらに2014年のル・マン24時間レースでは日本人で初めて予選トップタイムを記録してポールポジションを獲得した。また井原はWECでは欧州人含め初の女性ドライバーとなった。一発の速さは他の男性ドライバーに敵わないが、ウェットや日の入りなど変化する状況下で柔軟かつ冷静に走り切る能力が評価されたという。2014年にはアジア人女性としてル・マン24時間レース初完走を果たした。
過去には2012年に佐藤琢磨がLMP1にスポット参戦(上海と富士)、2013年に小林可夢偉が日本人初フェラーリファミリードライバーとしてLMGTE-proクラスにフル参戦している。他にもF1やWRCをはじめとする他のカテゴリで活躍していたレーサーや逆にほとんど知られてないドライバー、高齢なベテランやデビューしたばかりの若手など、本当に様々な人々がル・マン24時間レースを中心に参戦している。
2015年には日産がマシン名をGT-RとしてLMP1-Hにフル参戦することが発表された。今後自動車メーカーにとってWECはF1以上に自由な開発競争の場として注目されていくことが予想されている。ファンにとってはマシンを見てもドライバーを見ても豪華で、ドライバーにとっては世界選手権ということで、どの立場からも非常に魅力的なシリーズに発展している。
同様の車両規格を用いるシリーズに、ELMS(ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ)、AsLMS(アジアン・ル・マン・シリーズ)、USCC(ユナイテッド・スポーツカー・チャンピオンシップ)がある。ただし全てのクラスがWECと同じではなく、それぞれが独自のクラスや車両規格を持っていたりする。
それぞれのシリーズが振興や生き残りのためにさまざまな工夫をしていて、時には他カテゴリ同士で助け合ったりしている。例えば全4戦、総参戦10台以下などが当たり前になってきているAsLMSでは、GTチャレンジ(GTC)クラスで日本のSUPERGTのGT300クラスの車両が参戦可能になっている。順位によってSUPERGTのポイントが加算されるため、富士ラウンドでは参戦台数が通常時の2倍くらいに増える。
ELMSでは2012年、不況の煽りから後半戦の参戦台数を確保できず、代わりにALMS(アメリカン・ル・マン・シリーズ)のプチ・ルマンへ参戦できるようにして、そのレースでのポイントを2倍にしたことがある。
USCCは元々欧州寄りのALMSと米国寄りのグランダムシリーズに分裂していた。ALMSはアメリカには少ない欧州文化のレースとして、上流階級にそこそこ人気があった。一方グランダムシリーズ最上クラスのDP(デイトナプロトタイプカー)はデイトナ24時間用プロトタイプカーで、NASCARのストックカーに近い作りになっている。これは米国独自色を出しつつコスト削減とNASCARチームの参入や人気を得ようという狙いがあった。しかし結局そこまでの人気にはならず、またALMS側も伝統のレースをグランダムにとられていたこともあって、両者は歩み寄り2014年に統合するに至る。現在はインディカーとの併催などでお互いの人気回復に繋げようとしている。
USCCは日本ではほとんど知られていないが、デイトナ24時間レースやセブリング12時間といった伝統のレースを擁しており、参戦台数も69台、年間レース数12戦とWECの31台8戦を上回っているため、決してWECに劣ったシリーズではない。日本勢では1992年にデイトナ24時間を長谷見昌弘、星野一義、鈴木利男が日産とともに制している。現在もマツダとホンダが参戦中である。
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最終更新:2024/04/24(水) 02:00
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