何?レベルを持たないならレベル0ではないのか!?とは、難解なルールに踊らされるデュエリスト達の疑問である。
アニメ「遊☆戯☆王アーク・ファイブ」第39話、舞網チャンピオンシップ第2回戦での榊遊矢の対戦相手・勝鬨勇雄が発した台詞。アクションカードの取得をリアルファイトで妨害する勝鬨と、レベル10の融合モンスター「覇勝星イダテン」に追いつめられる遊矢。だが、何者かに意識を乗っ取られたかのごとく豹変した遊矢は、先の戦いで消息を絶ったユートが最後に託した「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン」をエクシーズ召喚。効果を2回使って自身の強化とイダテンの弱体化を行って攻撃を仕掛ける。勝鬨はイダテンの効果を発動し迎撃しようとするが・・・
勝鬨「イダテンの効果発動!このカード以下のレベルのモンスターとバトルする場合、相手モンスターの攻撃力は0となる!」
遊矢「エクシーズモンスターはレベルを持たない。よって効果は無効(※)」
勝鬨「何?レベルを持たないならレベル0ではないのか!?」
結果バトルはそのまま続行され、この一撃により遊矢の勝利で決着がついた。だが、「デュエルで笑顔を・・・。キミの力で世界に・・・。みんなの未来に・・・笑顔を・・・。」というユートの遺志、エンタメデュエルでみんなを笑顔にするという遊矢の信念とは反対に、遊矢の仲間達も含む観客達を凍り付かせる結果となってしまった。
※厳密にはこれも間違い。発動した効果が無効になるのではなく、発動そのものができないのである。
遊矢の闇堕ち、そして闇堕ちした際のペンデュラム召喚の口上の一部が第1話と同様、「我が僕のモンスター」になっていたりと今後の展開を盛り上げる第39話だが、レベルを持たないエクシーズモンスターにレベルに関する効果を発動しようとして失敗した際に発せられたこの台詞は、視聴者に多大なインパクトを与えた。
というのも、「エクシーズモンスターはレベルを持たない」というのは現代のデュエリストにとってはもはや常識であり、さらに遊矢の対戦相手だった勝鬨は前大会の準優勝者という鳴り物入りの経歴の持ち主。
その経歴と釣り合わないこの失態は、あまりに間抜けに映らざるを得なかったのである。
ARC-V作中に限っても、以前の遊矢対北斗においてこのことは既に説明されているので、ルールを視聴者に知らしめる役割であるとも言い難い。
作中では、エクシーズ召喚はLDSが最近教え始めた召喚法であるという設定があるので、一般流通が少ないと思われるカードに関するルールを知らなかったとしても無理はない。だが、勝鬨の使用した融合召喚もまたエクシーズ召喚と同様の設定を持つ召喚法なので、融合召喚を身に付けているのならそれと同列に扱われるエクシーズ召喚についても知識があって然るべきという意見や、彼の所属する梁山泊塾が業界2位の成績を誇る、言わばLDSのライバル校であることから、リサーチしておいて然るべきでは、との意見もある。
同話では勝鬨が手札融合のルールを知らなかったともとれる描写があり、梁山泊塾の教育に対して、暴力沙汰以前の問題で疑問を抱く者も多い。
ちなみに、話の舞台がシンクロ次元に移った際、シンクロ次元のデュエリストの殆どがエクシーズモンスターが初見のため、その次元のエリート決闘者である「捕縛隊」も、黒咲の操るエクシーズモンスター、ライズ・ファルコンと相対した際、似たような台詞で驚いていた。
そのことから、単純にその周辺におけるエクシーズ召喚の浸透度を表す台詞と見ることもできる。彼らの場合勝鬨くんと違い完全に初見な可能性が大きいので・・・。
遊戯王OCGには、プレイヤーから「コンマイ語」と称される難解なルールや裁定が多く、この台詞はそうしたものに疑問を呈する台詞として非常に高い汎用性を得る事となった。
誤解したルールやカードの効果を簡潔に記し、頭に「何?」、末尾に「ではないのか!?」を添えるだけで、(主にKONMAIに対する)ヘイトを生み、雰囲気を悪くしがちなこの話題を面白おかしく共有できるからである。
ここでは本編での両雄の会話になぞらえ、いくつかの具体例を紹介する。
勝鬨「《手札断殺》によって手札から墓地へ行った《暗黒界の狩人 ブラウ》の効果発動!さらに一枚ドロー!」
遊矢「その《暗黒界の狩人 ブラウ》は手札から捨てられてはいない。よって効果は無効」
勝鬨「何?手札を墓地へ「捨てる」と「送る」は同じではないのか!?」
「墓地へ捨てる」は「墓地へ送る」に含まれる。しかし、「墓地へ送る」は「墓地へ捨てる」に含まれない。
数学的に言うならば、「墓地へ捨てる⊂墓地へ送る」といった所か。
参考:遊戯王カードwiki「墓地へ捨てる」
勝鬨「《陽炎獣 グリプス》はカード効果の対象にならない!《収縮》は効かない!」
遊矢「OK」
勝鬨「同様に《ゲーテの魔導書》も効かない!」
遊矢「《ゲーテの魔導書》の効果は対象を取らない。よって効果は有効」
勝鬨「何?カードを「選択して」と「選んで」は同じではないのか!?」
前者は対象を取り、後者は取らない。
第9期以降のカードでは前者が「~を対象として~」と明記されているため、このような誤解は生じにくい。
参考:遊戯王カードwiki「対象をとる(指定する)効果」
勝鬨「アドバンス召喚時にリリースした《コドモドラゴン》の効果発動!手札のドラゴン族を特殊召喚!」
遊矢「OK」
勝鬨「同時にリリースした《引きガエル》の効果発動!一枚ドロー!」
遊矢「その効果はタイミングを逃している。よって効果は無効」
勝鬨「何?「~した時」と「~した場合」は同じではないのか!?」
前者はタイミングを逃す場合があり、後者は原則としてタイミングを逃さず発動できる。
ただし前者の場合でも、後に続くテキストが「~する」か「~できる」かでも違う。前者は逃さず、後者は逃す。
参考:遊戯王カードwiki「タイミングを逃す」
勝鬨「罠発動、《スキルドレイン》!そしてレベル3の《ダーク・リゾネーター》に、レベル2の《粋カエル》をチューニング!」
遊矢「《粋カエル》はシンクロ素材にできない。よって召喚は無効」
勝鬨「何?《スキルドレイン》の効果でその効果は無効になっているのではないのか!?」
これは「効果外テキスト」といい、カードの効果ではない。
こちらも第9期以降のカードではテキストに番号が振られておらず、分かりやすくなっている。
参考:遊戯王カードwiki「効果外テキスト」
勝鬨「モンスターでダイレクトアタック!」
遊矢「ダメージを受けた時、手札から《冥府の使者ゴーズ》の効果を発動し、特殊召喚!」
勝鬨「罠発動!《奈落の落とし穴》!」
遊矢「今は『ダメージ計算後』のため、罠カードはカウンター罠しか発動できない。よって効果は無効」
勝鬨「何?カードの発動条件を満たしていればいつでも発動できるのではないのか!?」
遊戯王OCGにおけるプレイヤーのターンは「ドローフェイズ」「スタンバイフェイズ」「メインフェイズ1」「バトルフェイズ」「メインフェイズ2」「エンドフェイズ」の6つに分かれており、さらにその中の「バトルフェイズ」は「スタートステップ」「バトルステップ」「ダメージステップ」「エンドステップ」の4つに分かれており、さらにその中の「ダメージステップ」は「ダメージステップ開始時」「ダメージ計算前」「ダメージ計算時」「ダメージ計算後」「ダメージステップ終了時」の5つに分かれている。
ダメージステップは難解ルールが多いこのゲームにおいても、最もややこしいと言われるルールである。
参考:遊戯王カードwiki「ダメージステップ」
遊矢「《氷結界の龍 トリシューラ》の効果発動!」
勝鬨「既に発動している《機殻の再星》の効果により、《氷結界の龍 トリシューラ》の効果は無効となる!」
遊矢「《機殻の再星》の効果はモンスターの召喚に反応して発動する強制効果。よって召喚時に効果が発動するモンスターが召喚された場合、ターンプレイヤー(=俺)の強制効果→非ターンプレイヤー(=勝鬨)の強制効果→俺の任意効果→勝鬨の任意効果の順でチェーンが組まれる。《氷結界の龍 トリシューラ》の効果は召喚時に発動する任意効果だから、その効果が発動するころには《機殻の再星》の効果の発動は終わっている。よって効果は有効」
勝鬨「何?……そ、そうなのか!?」
同じスペルスピード1の効果が同時に発動した場合、特別にこのような順番でチェーンを組む。
上記のダメージステップの話よりも確実にややこしく難解なルールであるが、デュエルをすればほぼ必ず行われるダメージステップと違い、この知識が必要な場面は少ないため認知度が低く、前者の方が矢面に立たされやすい。
参考:遊戯王カードwiki「同時に複数のカードが発動した場合」
勝鬨「セット状態で戦闘破壊された《ヴェルズ・ザッハーク》の効果発動!」
遊矢「OK」
勝鬨「セット状態で戦闘破壊された《ハウスダストン》の効果発動!」
遊矢「《ヴェルズ・ザッハーク》とほぼ同じテキストだができないという裁定が出ている。よって効果は無効」
勝鬨「何?テキストが同じなら同じ効果ではないのか!?」
勝鬨「《邪帝ガイウス》をアドバンス召喚!効果発動!」
遊矢「罠発動!《奈落の落とし穴》!」
勝鬨「《奈落の落とし穴》はスペルスピード2……手札にある《イリュージョン・スナッチ》の効果はスペルスピード1だから発動できないか」
遊矢「スペルスピード2の《奈落の落とし穴》にチェーンを組む形でスペルスピード1のチェーン3、《イリュージョン・スナッチ》の効果を発動できる。よって効果は有効」勝鬨「《邪帝ガイウス》をアドバンス召喚!効果発動!」
遊矢「罠発動!《天罰》!」
勝鬨「スペルスピード3の《天罰》にチェーンを組む形で《イリュージョン・スナッチ》の効果発動!」
遊矢「普通にルール上できない。よって効果は無効」
勝鬨「待て!さっき似たような状況ではできただろ!」
遊矢「さっきのはルールに反しているができるものはできる。よって効果は有効」
勝鬨「何?ルール上発動できないなら発動できないのではないのか!?」
勝鬨「《爆炎集合体 ガイヤ・ソウル》の効果発動!モンスターを二体リリース!」
遊矢「OK」
勝鬨「もう一度効果発動!更にモンスターを二体リリース!」
遊矢「《爆炎集合体 ガイヤ・ソウル》の効果は1ターンに一度しか使えない。よって効果は無効」
勝鬨「そんなことテキストに書いてないぞ!」
遊矢「テキストには書かれていないができないものはできない。よって効果は無効」
勝鬨「何?カードの効果は全てテキストに書かれているのではないのか!?」
この世の誰にも理由が説明できない。
遊矢「解説のしすぎで疲れたよ……たまには休戦しないか。一緒に大会の中継でも見よう」
勝鬨「そうだな」~~~WCS2015 ジュニアの部 決勝戦~~~
「「何?アドバンス召喚した《クリフォート・エイリアス》はランク4の《励輝士 ヴェルズビュート》の効果を受けないのではないのか!?」」
世界大会の決勝戦において公式から派遣されたジャッジですらルールを間違えた。
※ジャッジ:「遊戯王OCG」における審判。試合に立ち会い、ルールの正否を見定めてくれるはずの人。
勝鬨「何?これで終わりではないのか!?」
ちなみにレベルとランクの違いを含め上記の疑問は、公式が発売している「パーフェクトルールブック」を熟読することで解決できる。できないものもある。読み応えのある一冊なので、是非一度目を通してみてほしい。
漫画ではレベル0・アニメではランク0だったモンスター。OCG化に際してカード自体にはレベル・ランク表記はされてないものの、ルール上別のレベルやランクに変更されたため、やはりレベル0のモンスターは存在しない。残念。
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最終更新:2024/04/25(木) 09:00
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