北米仕様とは、文字通り北米向けに仕立て直された自動車などの製品を差す。特にアニメなどを差す場合は「北米版」と書かれる事が多いので、こちらも合わせてご参照いただきたい。なお、本文中に登場する比較対象は断りのない限りは日本のものとする。
とある製品を輸出する場合、当地の基準・文化等に照らし合わせて不適当な部分の修正や基準への適合など必要な措置を取る事は必須であるが、出来うる限りでオリジナリティを確保する事もまた重要である。その為、多くの製品においては輸出先でも極端に姿形が変わる事はない。
ところがアメリカにおいては人種のるつぼと言われるほどに多種多様な人種がいる事、宗教の存在も我々の感覚とは大きくかけ離れたものとなっている事、マイル・ガロンに代表される独自の基準が存在している事、消費者の意見が日本以上に強い意見を持つなど日本の価値観や意識とは大きく異なる状況になっている。その為、販売に際しては大きく修正した上で当地の基準やアメリカの思想や信条に出来うる限り叶うような措置が取り行われる。
その結果、いざ製品として出荷されると一見して全く別物になっているケースが少なくない。その為、ネタとして敢えて北米仕様を仕入れるツワモノが少なくない。
そして総合してみた場合、アメリカという国がもつお国柄や問題というものが見えてくる。
一般的に北米仕様と聞いて連想されるのは自動車であろう。
例えば日本車は世界各地に輸出されているが、北米の場合は独自の規格が多く、国内仕様の姿とは大きくかけ離れた姿となるケースが少なくない。以下に一例をあげる。
アメリカでは70年代より取り付けが義務付けられたこのバンパーは5マイル(時速8km/h)での衝突で車体側にダメージを与えない為のものであり、登場当初は車両側でも5マイルバンパーの装着を想定をしていなかった為、車体から大きく出っ張るなどデザインの上でもバンパーの存在感が際立っており、その様子から「(いかりや)長介バンパー」と言われる事がある。
アメリカの自動車の速度表示はマイル表示となっているが、速度計の内側はキロ表示となっている。また、ガロン法が浸透している為、燃費計算の付いている車はリットルではなくガロンを基準としたものとなっている。そしてオートエアコンや水温計の表示は摂氏ではなく、華氏となっている。ちなみに速度計はマイル表示が内側に来ている場合は北米仕様ではなくカナダ仕様基準となっている。
北米仕様を印象付ける最大の装備がサイドマーカーである。フロントはオレンジでリアがレッドと言うのが王道である。北米仕様が設定されている車の場合、サイドマーカーの付いている部分が透明となっている事が多い。また、スモールランプ点灯と共にサイドマーカーが点灯する車種もある。
多くの車種で日本と同じ名前のケースがあるが、中には現地から見て卑猥語や低俗な言葉の隠語であったり、商品力的に不足な物であったり、商標上問題があったりした場合、名前が変更される場合がある。まれに日本車である事を押し出す為に和風になる事もある。
アメリカ人の体型は一般的には日本人よりも大柄である為、日本の5ナンバー車ベースの場合は日本ではちょうどいいぐらいか、少し大きいのサイズでも、アメリカ人には小さめの車となる。元々、日本の道は5ナンバー車の基準で作られている事が多く、コストパフォーマンスからどの国にも同じようなサイズで作られていたが、安全基準の点や居住空間の面からも大型化の要求は無視できないものとなっていた。
その為、いくつかの車種で日本仕様とは車名は一緒でも全く別の設計の車が登場している。例えば、トヨタ・カローラは現行型ではコンポーネンツがまったく違うものとなっている。日本仕様は5ナンバーサイズを堅持する為にヴィッツのものを利用しているのに対して、北米仕様はワンランク上の車両のコンポーネンツを使用している。かつてはトヨタ・カムリも日本仕様と北米仕様とでは別物であった事があり、後者はトヨタ・セプターとして売られていた時期もあった。
近年は日本仕様と北米仕様を概ね同一の物にする傾向が強くなっているが、それは日本での使用が憚られる大きさのものであり、中には生産自体をやめた、もしくは北米専売としたケースもある。
何百キロ単位にもなる直線道路でアクセル踏みっぱともなるとそれだけでも疲労が蓄積するので、疲労の軽減の為に速度を定速に保つ機能がクルーズコントロールである。北米仕様の場合はカローラクラスの大衆車でもクルーズコントロールが標準である事が多い。国土が小さく、ストップ&ゴーの多い日本では装備がオミットされている事が多いが、実は配線自体は準備されている事が多いらしい。
ここにあげたのは一部であるが、これだけでも本国仕様とは大きくかけ離れたスタイルになる事は想像できよう。1970年代頃、アメリカ文化が自動車のレベルにまで浸透すると他の車と差をつける意味で北米仕様の外装にするカスタムが登場し始めてきた。近年、こうしたカスタムに対してUSDMという名称がつけられている。
北米仕様でもカリフォルニア州向けの車両はエンジン関係で大きな違いがある。古くより連邦政府の定める排ガス規制よりも厳しい規制があり、一説には世界一の厳しさとも言われている。その為、カリフォルニア州の基準に適合させた特別のエンジンを用意する必要があった。
ローエミッションを主眼に置いている為、他の地域と比べてもパワーダウンがされており、また公害対策の機器類が多く取り付けられている為、配線類が古い時代の車でも非常に多くなっている。その為、全く別物のエンジンともいえる。
後述するバイクにもカリフォルニア仕様が存在し、パワーがダウンしている為、人気がない。
自動車と概ね同じような事情となっているが、バイクの場合はそれ以上に大きな意味を持つ。
日本のバイクは近年まで大型バイクにおける排気量・馬力規制が存在し、750ccで77馬力、1000ccで100馬力の自主規制が存在していた。これにより、海外で発売されていたバイクが国内向けに仕立て直された場合、本来の性能を削がれていた。
その為、そうした規制が無い、もしくはゆるい地域の仕様を敢えて逆輸入の形で購入する者が多かった。代表的な物としてヤマハ・VMAXがある。登場当時の1990年代における驚異的な性能(151馬力)を実現するこのバイクも、国内では自主規制の影響で一番の目玉であるVブーストシステムをオミットされた上で98馬力に低下してしまった。
自主規制自体は2007年に撤廃されたが、騒音規制や公害対策等で海外仕様と比べてもまだまだ性能が削がれている状況である。その為、現状でもまだまだその存在は大きな意味を持っている。
ゲームにおいてはセリフが英語になっているのは基本であるが、その他にもいくつか変更となっているものがある
アメリカでは商標上の問題から、近年までは「Dragon Quest」の名称が使えず、「Dragon Warrior」という名称となっていた。
特徴的なのは僧侶の袈裟や教会の十字架が宗教的に問題がある為、星になっていたり、十字架に手が加えられてサボテンのようなデザインに書き換えられている事がある。また、ザラキストことクリフトもその職業が神官ではなく、大臣相当の職業に変化している。
また、NES移植にあたって、ソフト側に余裕が出てきたので追加になったエピソードやOPが存在する。
北米で売り出されたスーパーマリオブラザーズ2は日本で売り出されたスーパーマリオブラザーズ2とは全くの別物である。元々、難易度が高かったのに加えて、内容もスーパーマリオブラザーズのマイナーチェンジのようなもので商品力としてはやや不足していた為か、「夢工場ドキドキパニック」をベースとして北米で売り出された。
そして北米で販売されていた「スーパーマリオブラザーズ2」を日本にいわば逆輸入したものが「スーパーマリオUSA」である。
スーパーマリオと並ぶ任天堂の稼ぎ頭であるポケットモンスターも手を加えられている。当地ではポケットモンスターという名称ではなく、略称である「ポケモン」が正式名称になっている。これは商標上の問題の他、「ポケット」がアレを意味するスラングとなり「ポケットモンスター」としようものなら、※お察し下さい※である。
この他、日本的なイメージを排したものになったり、卍がハーケンクロイツを連想させるという理由で修正されていたりなどされている。
こちらは「北米版」を合わせてご参照いただきたい。
ポルノや差別と取られかねない部分や暴力表現がある場合はカットや修正、もしくは視聴制限を設けている場合が多い。また、英語に照らし合わせて日本語では問題のない言葉でも翻訳して有害と判断される言葉に関しては別の言葉に置き換えられる。その為、原語とは意味合いが大きく異なる事がある。
有名なのはミスター・ポポの描写である。黒い肌と厚い唇が、黒人をイメージさせ、黒人差別になると解釈され、肌の色が青くなっている。漫画版は唇を薄くする修正が加えられている。この他、フリチンな場面にはブリーフ装備されてたり、おっぱいは隠されたり、格闘シーンの大幅な削除、翻訳の変化など別の作品になってるのではと思われるほどの修正を加えられている。
特撮は「パワーレンジャーシリーズ」のブレイク以前は北米ではそれほど知名度が高い物とは必ずしも言えなかった。パワーレンジャーがブレイクして以降、パワーレンジャーシリーズのフォーマットをベースとした作品が生まれた。
基本的に日本で放映されたスーパー戦隊シリーズの作品をベースとしており、映像も流用する場面が見受けられるが、北米独自の事情も多く存在する。
まず、人種や性別に偏りのないような配役がなされてる。次に死の描写が厳禁である。例え敵であっても直接的な描写が控えられている。言うまでもなく暴力描写は御法度であり、描写があるにしてもソフトなものとなっている。
そもそも「パワーレンジャー」というタイトルも第一作目は「恐竜戦隊ジュウレンジャー」をそのまま英語にしたものを予定していたが、「ジュウ」という部分がユダヤ人を差す侮蔑語と同じであった為、変更となった。
大まかな事情はパワーレンジャーと概ね一緒であるが、この作品は「超人機メタルダー」と「時空戦士スピルバン」、「宇宙刑事シャイダー」という独立した作品を組み合わせて作られた為、登場人物がメタルダーに相当するキャラとスピルバンとダイアナレディに相当するキャラが共演する場面が少ない。後にアメリカ製のスーツが新調されたが、イメージがやや異なっている。
他にも神官ポーも登場したが、「シャイダー」では「仮面ライダーブラックRX」でビルゲニア役でおなじみの吉田淳が演じていた。吉田は男性であったが、VRtrooperでは女性が演じている。
北米仕様に関するニコニコミュニティを紹介してください。
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最終更新:2025/12/07(日) 17:00
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