古楽(コガク、英:Early Music)とは、バロック音楽・ルネサンス音楽など、いわゆるクラシック音楽というものが確立する以前の古いヨーロッパの音楽。その中でも特に、作曲当時の楽器(古楽器)や奏法を再現した「ピリオド演奏」を指して、古楽と呼ぶことが多い。
「古楽」の定義は一定しないが、特にバロック音楽では、いわゆるピリオド演奏の他に、従来のクラシック音楽で用いられる楽器を使用し、時代的様式感に則らず近代クラシック音楽と同様の手法で演奏するケースも多く、その場合は「モダン演奏」と呼ばれ、同じ楽曲であっても「古楽」の範疇には含めず「クラシック音楽」に分類されることが多い。
その逆に、古典派、ロマン派期の音楽をピリオド楽器で演奏するケースや、古楽器・古楽の様式を用いた創作曲の例もあり、広くはそれも古楽の範疇に含まれる。
バロック時代以前の西洋音楽としては、主に以下を挙げることができる。
ゴシック期やそれ以前の時代における音楽。主な楽派としてノートルダム楽派など。
また、西方教会の単旋律聖歌(プレインチャント)の基軸をなす聖歌であるグレゴリオ聖歌(グレゴリアン・チャント)もまた、9世紀から10世紀にかけて成立したといわれる。
近代西洋音楽の長短調とは異なる教会旋法が用いられる。アラブ世界との交流によってリュート、ヴィオラ、バグパイプなどの楽器が伝わり、民謡の一種ともいえる世俗音楽も発展してゆく。
ヨーロッパにおいて、15世紀から16世紀のルネサンス期に作られた音楽の総称。複層的なポリフォニー合唱によって天国的ともいえる崇高なハーモニーを奏でるアカペラ宗教曲やマドリガルが代表的であるが、一方では西欧の民俗音楽ともいうべき日常的な世俗音楽も豊かになる。後期にはヴェネツィア楽派を中心に盛大な器楽伴奏と複合唱様式を用いた躍動感ある様式も現れ、バロック音楽に繋がってゆく。
主な楽派としてはブルゴーニュ楽派(初期ルネサンス)、フランドル楽派(盛期ルネサンス)、ローマ楽派、ヴェネツィア楽派(後期ルネサンス)など。
ティールマン・スザート、ジャック・アルカデルト、オルランドゥス・ラッスス(フランドル)、ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ、カルロ・ジェズアルド(イタリア)、クレマン・ジャヌカン、クローダン・ド・セルミジ(フランス)、トマス・ルイス・デ・ビクトリア(スペイン)、トマス・タリス、ウィリアム・バード、ジョン・ダウランド(イギリス)、ハンス・レーオ・ハスラー(ドイツ)など
ヨーロッパにおける17世紀初頭から18世紀半ばまでの音楽の総称。均整の取れた崇高な静的表現が特徴のルネサンス期の音楽と比較して、威厳・悦楽・哀愁といった情感のあふれる多彩な動的表現が特徴で、ゆがんだ、不揃いな真珠を意味するポルトガル語「バロッコ」が語源とされる「バロック」と呼ばれる。教会中心の時代から宮廷や市民劇場へと文化の中心がシフトし、器楽・管弦楽が発展するとともに、教会音楽も楽器をふんだんに用いて宮廷的な荘厳さに彩られる。オペラや協奏曲などが生まれ、現代に連なるオーケストラの原型が形成された。また、パイプオルガン音楽も最盛期を迎えた。
ジョヴァンニ・ガブリエーリ、クラウディオ・モンテヴェルディ、ジローラモ・フレスコバルディ(イタリア)、ハインリヒ・シュッツ、ミヒャエル・プレトリウス(ドイツ)、ヤン・ピーテルスゾーン・スウェーリンク(オランダ)など
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最終更新:2024/04/19(金) 02:00
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