国後(艦これ)とは (クナシリとは) [単語記事]

「千島方面根拠地隊、旗艦、国後！　出撃します！」

国後（くなしり）とは、大日本帝国海軍所属の占守型海防艦2番艦〈国後〉をモチーフとした、ブラウザゲーム『艦隊これくしょん～艦これ～』に登場する艦娘（かんむす）である。
ＣＶは未公表、キャラクターデザインはUGUME。

そうね、クナって…呼んでもらってもいいけど。

2017年5月に行われたイベント『出撃！北東方面第五艦隊』の2面目および3面目のボスドロップとして実装された。このイベントで初めて実装された艦種「海防艦」の3人のうちの1人で、もっとも出る場所が早い（占守は3面目以降、択捉は4面目以降）ため、彼女が初海防艦だった提督も少なからずいたと思われる（海防艦娘3人は全員ドロップ実装だったため、誰を最初にお迎え出来たかは提督の戦略とリアルラック次第であったが）。

海防艦の中でも史実エピソードが多い艦だったこともあって、セリフでも神風、子日が登場している。特に子日とは、早くも「くなねの」とカップリングする向きもあるとか。
またセリフの中で「ハチ」と呼んでいるが、はっちゃんこと伊8のことではなく、同型艦の八丈のことだと思われる（実装フラグか？）

性格を一言で言えば「小さなツンデレさん」もしくは「ツンデレロリ」。自称は「クナ」。シリではない
髪はピンクでミニツインテール。ツインテールの先が黒（濃い茶色？）になっているのが特徴。服装は姉の占守と同じ、緑のセーラー服である。

なにそれ。史実見たいの？　仕方ないなぁ……。

占守型海防艦2番艦〈国後〉は、横浜にある鶴見造船所で1939年3月1日に起工、1940年5月6日に進水、1940年10月3日に竣工した。陽炎型の中盤メンバーと同時期に建造されている。艦名は千島諸島の国後島より。

建造当初は、占守型は「軍艦」として扱われており、「駆逐隊編成で軍艦扱い」の駆逐艦より格上の艦だった。これは、占守型が北方漁場でのソ連との国際紛争に出張る関係上、艦自体にそれなりの格が求められたためであるが、これによるエピソードが「子日敬礼事件」である。

開戦後、北方警備に就いていた〈国後〉が幌筵（パラムシル）泊地に入港しようとしたとき、たまたまそこにいたのが初春型2番艦〈子日〉だった。ちなみに〈国後〉は全長78m、基準排水量860tに対し、〈子日〉はそれぞれ110m、1400tである。
素知らぬ顔でそのまま港に入ろうとする〈国後〉に対して、〈子日〉から発光信号。

「何で挨拶しないかなぁ。それってルール違反だよ？」（意訳^[1]）

〈国後〉からの返事は

「私、国後なんだけど？」（意訳^[2]）

前述の通り、艦の「格」では〈国後〉の方が上である。相手を知った〈子日〉側は、慌てて艦長自ら〈国後〉に出向いて謝罪したという。ちなみに当時の〈子日〉が所属していた21駆の司令は〈国後〉の初代艦長だった清水大佐であった。

上記のエピソードは、いわゆるAL/MI作戦の折りで、その後1942年7月1日付けで占守型は海防艦に再分類されて軍艦では無くなってしまい、駆逐艦よりも格下扱いになる（正しくは同格だが、その場合は艦の大きさが基準になるので）。しかし、〈子日〉は、その僅か4日後の7月5日、米潜水艦〈トライトン〉による雷撃で轟沈し、〈国後〉が〈子日〉に改めて挨拶する機会は永遠に失われてしまった。

その後も北方で活動を続けていた〈国後〉は、キスカ撤退作戦にも補給艦〈日本丸〉の護衛として参加したのだが、濃霧のために本隊とはぐれてしまう（はぐれたのは〈国後〉だけではなく〈長波〉など数隻いたが、連絡すら取れなくなったのは〈国後〉だけだった）。
そして、その〈国後〉は翌日、霧の中から唐突に現れて旗艦〈阿武隈〉に衝突、その後ろにいた〈多摩〉とも危うく衝突しかけたがこれはなんとか回避した。が、それによって隊列が乱れ、後方にいた〈初霜〉と〈若葉〉が衝突し、速度が出せなくなった〈若葉〉はここで無念のリタイア、幌筵に戻ることになった。
当然ながら厳罰を覚悟していた〈国後〉だったが、木村提督は「なるほど、これくらい霧が濃いってことは作戦は成功するな」と笑っており、〈阿武隈〉の渋谷艦長も「司令、これで厄落としが出来ましたな」と割と和やかだったという。
この後、この撤退作戦が大成功して「奇跡の作戦」と謳われるようになったのはご存知の通りだが、実はこの成功に衝突事故も一役買っていたりする。
というのも、衝突事故とそれによる艦隊再編作業でキスカへの突入が予定より1日遅れたのだが、実はその1日差で米艦隊がキスカから一時的に引き揚げていた間隙を突いていたことが後に明らかになった。これ、〈雪風〉なみのラッキーガールじゃね？

その後、〈国後〉は引き続き北方警備と輸送護衛に従事し、生き延びて終戦を迎える。

終戦後、特に稼働に問題が無かった〈国後〉は1945年10月に復員船となったが、1946年6月4日、サイゴンから復員する500名余りを載せて浦賀に向かっていた途中、静岡の御前崎付近で漁船の漁火を御前埼灯台の光と誤認して座礁、身動きが取れなくなる。救援に来たのは、同じく復員船となっていた神風型1番艦〈神風〉だったが、こちらも同じく座礁。さらに秋月型11番艦〈夏月〉が応援に駆けつけるが、どちらもついに離礁できず、やむなく放棄が決まった。

こうして、北で日本を守り続けた海防艦〈国後〉は、同じく南で日本を守り続けた〈神風〉と共に、平和になった海でその艦歴を終えた。1947年7月、解体完了。