原作担当の久住昌之と、作画の泉晴紀(現:和泉晴紀)が組んだ漫画家コンビ、泉昌之のデビュー作がこの「夜行」である。
1981年に雑誌『ガロ』へ持ち込まれた後、1983年には他の短編作品と一緒に単行本の『かっこいいスキヤキ』(青林堂)へ収録された(のちに扶桑社により文庫化)。
泉の「食へのこだわり」は第一作であるこの『夜行』から発揮されており、またこの作品の主人公である「トレンチコートを羽織ったハールボイルドっぽい男」(後の作品で本郷と命名されている)は、泉昌之のこの後の作品にも登場しており、泉作品を代表するキャラクターの一人となった。
1990年には「久住昌之の笑えるビデオ HE・SO」(日本ビクター)への収録作品の1つとして、実写化がなされた。更に2002年には、フジテレビ系ドラマ『世にも奇妙な物語』の特別編として、当作品の内容を改変した『夜汽車の男』が放映されている。
また後に「王様の仕立て屋」等の他の漫画でパロディーが描かれるなど、本作で泉昌之を知った読者も多い。
ちなみに単行本『かっこいいスキヤキ』収録の対談によると、本作は久住昌之の知人「ワカ」の実体験に基づいた実話でもある。(ただし、駅弁ではなくジャス喫茶で食べたランチメニュー)
夜行列車(原作ではキハ58系による急行)内において、主人公の男性が釜めしの販売を待たずに買った400円(1990年映像化にあたっては650円に改訂)の幕の内弁当を、いかに「ドラマチックに食う」ため思案しながら食べる姿を描く。
出だしから割り箸を上手に割れなかったり、他の乗客の前で嬉しさの余り「頂きます」といってしまって笑いを買うなど、万事順調とはいかない。肝心の弁当の中身でも、卵焼きとキンピラゴボウに感動するもメインディッシュの一つであるサバがしょっぱすぎるという裏切りに合うが、最後のメインディッシュであるカツに期待をかけてプランを立て直す。そしていよいよ、メインのカツへ向かうが・・・・・
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最終更新:2024/04/20(土) 10:00
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