年度代表馬

年度代表馬とは、年間で最も活躍した競走馬を表彰する賞。

各国・各地域・各主催団体ごとにさまざまな賞があるが、日本では単に「年度代表馬」と言った場合、JRA（日本中央競馬会）のJRA賞年度代表馬のことを指す。

本項ではとりあえずJRA賞年度代表馬について記述する。

JRA賞年度代表馬

JRA賞について詳しくは当該項目を参照していただくとして、JRA賞年度代表馬は記者投票により、JRA賞の各部門を受賞した馬の中から選出される。なので、年度代表馬は必ずJRA賞の他の部門のどれかを同時受賞している。
ただし「啓衆社賞」だった1971年までは、各部門受賞馬とは別に年度代表馬が単独で選出されることがあった（1955年のオートキツ、1961年のホマレボシ、1968年のアサカオーの3例）。

このJRA賞の記者投票、WikipediaのJRA賞の記事ですら投票方法を微妙に誤解している節があるが、まず各部門の投票が行われて受賞馬が決定してからその中で年度代表馬の決戦投票が行われるのではなく、年度代表馬の投票はそれ以外の部門の投票と同時に行われる。投票者は自分が各部門に投票した馬の中から年度代表馬を選んで同時に投票するという形式である。
なので2021年の年度代表馬の投票では、他の部門を受賞していないマルシュロレーヌに年度代表馬部門で1票が入っていた。この1票を入れたのはラジオNIKKEIの大関隼アナウンサーで、大関アナは最優秀ダートホース部門でマルシュロレーヌに投票しているのが実際に確認できる。^[1]

受賞条件は年度代表馬部門の投票で全体の1/3以上の票を獲得して最多得票となること。最多得票馬の得票が全体の1/3に満たなかった場合、または1位が同票の場合は審査委員会の審議による決定となる。
1999年までは過半数の得票が必要とされていたが、この年の投票がスペシャルウィーク・エルコンドルパサー・グラスワンダーで票が割れ、年度代表馬部門と最優秀5歳以上牡馬部門でともに最多得票だったスペシャルウィークが過半数に届かず、選考委員会審議の結果エルコンドルパサーが受賞するという大逆転が起きた。エルコンドルパサーがこの年日本国内では一度も走っていなかったこともあってこの結果は大きな議論を呼び、翌2000年から基準が引き下げられたという経緯がある。

歴代受賞馬

1954年～1971年は「啓衆社賞年度代表馬」、1972年～1986年は「優駿賞年度代表馬」。
馬齢表記は2000年以前も現在の表記（満年齢）で記載。

年度	受賞馬	性齢	年度戦績	得票数	備考
2023	イクイノックス	牡3	4戦4勝 ・ドバイシーマクラシック1着 ・宝塚記念1着 ・天皇賞(秋)1着 ・ジャパンカップ1着	293/295	キタサンブラックとの 親子2代2年連続受賞 (史上初)   リバティアイランド2票
2022	イクイノックス	牡3	4戦2勝 ・皐月賞2着 ・東京優駿2着 ・天皇賞(秋)1着 ・有馬記念1着	282/288	キタサンブラックとの親子受賞 (史上5頭目)   タイトルホルダー6票
2021	エフフォーリア	牡3	5戦4勝 ・共同通信杯1着 ・皐月賞1着 ・東京優駿2着 ・天皇賞(秋)1着 ・有馬記念1着	277/296	ラヴズオンリーユー18票 マルシュロレーヌ1票
2020	アーモンドアイ	牝5	4戦3勝 ・ヴィクトリアマイル1着 ・安田記念2着 ・天皇賞(秋)1着 ・ジャパンカップ1着	236/283	コントレイル44票 グランアレグリア2票 デアリングタクト1票
2019	リスグラシュー	牝5	5戦3勝 ・金鯱賞2着 ・QE2世C3着 ・宝塚記念1着 ・コックスプレート1着 ・有馬記念1着	271/274	アーモンドアイ2票 クリソベリル1票
2018	アーモンドアイ	牝3	5戦5勝 ・シンザン記念1着 ・桜花賞1着 ・優駿牝馬1着 ・秋華賞1着 ・ジャパンカップ1着	276/276	ロードカナロアとの親子受賞 (史上4頭目) 満票での選出
2017	キタサンブラック	牡5	6戦4勝 ・大阪杯1着 ・天皇賞(春)1着 ・宝塚記念9着 ・天皇賞(秋)1着 ・ジャパンカップ3着 ・有馬記念1着	287/290	オジュウチョウサン3票
2016	キタサンブラック	牡4	6戦3勝 ・産経大阪杯2着 ・天皇賞(春)1着 ・宝塚記念3着 ・京都大賞典1着 ・ジャパンカップ1着 ・有馬記念2着	134/291	モーリス90票 サトノダイヤモンド66票 該当馬なし1票
2015	モーリス	牡4	6戦6勝 ・若潮賞1着 ・スピカS1着 ・ダービー卿CT1着 ・安田記念1着 ・マイルCS1着 ・香港マイル1着	215/291	ラブリーデイ55票 ドゥラメンテ19票 キタサンブラック1票 該当馬なし1票
2014	ジェンティルドンナ	牝5	6戦2勝 ・京都記念6着 ・ドバイシーマC1着 ・宝塚記念9着 ・天皇賞(秋)2着 ・ジャパンカップ4着 ・有馬記念1着	231/282	ディープインパクトとの 親子受賞(史上3頭目)   ジャスタウェイ51票 エピファネイア1票 該当馬なし2票
2013	ロードカナロア	牡5	6戦5勝 ・阪急杯1着 ・高松宮記念1着 ・安田記念1着 ・セントウルS2着 ・スプリンターズS1着 ・香港スプリント1着	209/278	スプリンターとして初の受賞   オルフェーヴル69票 ジェンティルドンナ1票 該当馬なし1票
2012	ジェンティルドンナ	牝3	7戦6勝 ・シンザン記念1着 ・チューリップ賞4着 ・桜花賞1着 ・優駿牝馬1着 ・ローズS1着 ・秋華賞1着 ・ジャパンカップ1着	256/288	ゴールドシップ21票 オルフェーヴル11票 ロードカナロア1票
2011	オルフェーヴル	牡3	8戦6勝 ・シンザン記念2着 ・きさらぎ賞3着 ・スプリングS1着 ・皐月賞1着 ・東京優駿1着 ・神戸新聞杯1着 ・菊花賞1着 ・有馬記念1着	284/285	ヴィクトワールピサ1票
2010	ブエナビスタ	牝4	7戦3勝 ・京都記念1着 ・ドバイシーマクラシック2着 ・ヴィクトリアマイル1着 ・宝塚記念2着 ・天皇賞(秋)1着 ・ジャパンカップ2着(降着) ・有馬記念2着	211/285	アパパネ41票 ヴィクトワールピサ28票 ナカヤマフェスタ3票 該当馬なし2票
2009	ウオッカ	牝5	7戦3勝 ・ジェベルハッタ5着 ・ドバイDF7着 ・ヴィクトリアマイル1着 ・安田記念1着 ・毎日王冠2着 ・天皇賞(秋)3着 ・ジャパンカップ1着	246/287	ドリームジャーニー26票 カンパニー7票 ブエナビスタ6票 エスポワールシチー2票
2008	ウオッカ	牝4	7戦2勝 ・京都記念6着 ・ドバイDF4着 ・ヴィクトリアマイル2着 ・安田記念1着 ・毎日王冠2着 ・天皇賞(秋)1着 ・ジャパンカップ3着	180/300	ダイワスカーレット79票 ディープスカイ37票 カネヒキリ1票 スリープレスナイト1票 該当馬なし2票
2007	アドマイヤムーン	牡4	6戦4勝 ・京都記念1着 ・ドバイDF1着 ・QE2世C3着 ・宝塚記念1着 ・天皇賞(秋)6着 ・ジャパンカップ1着	178/289	ダイワスカーレット73票 メイショウサムソン17票 ウオッカ12票 ヴァーミリアン5票 マツリダゴッホ1票 該当馬なし2票 無効1票
2006	ディープインパクト	牡4	6戦5勝 ・阪神大賞典1着 ・天皇賞(春)1着 ・宝塚記念1着 ・凱旋門賞失格 ・ジャパンカップ1着 ・有馬記念1着	287/289	ダイワメジャー1票 該当馬なし1票
2005	ディープインパクト	牡3	7戦6勝 ・若駒S1着 ・弥生賞1着 ・皐月賞1着 ・東京優駿1着 ・神戸新聞杯1着 ・菊花賞1着 ・有馬記念2着	285/291	ハーツクライ6票
2004	ゼンノロブロイ	牡4	7戦3勝 ・日経賞2着 ・天皇賞(春)2着 ・宝塚記念4着 ・京都大賞典2着 ・天皇賞(秋)1着 ・ジャパンカップ1着 ・有馬記念1着	279/285	サンデーサイレンス産駒 初の年度代表馬   キングカメハメハ6票
2003	シンボリクリスエス	牡4	4戦2勝 ・宝塚記念5着 ・天皇賞(秋)1着 ・ジャパンカップ3着 ・有馬記念1着	220/287	スティルインラブ58票 ヒシミラクル6票 ネオユニヴァース2票 該当馬なし1票
2002	シンボリクリスエス	牡3	10戦5勝 ・セントポーリア賞2着 ・ゆりかもめ賞3着 ・3歳500万下3着 ・山吹賞1着 ・青葉賞1着 ・東京優駿2着 ・神戸新聞杯1着 ・天皇賞(秋)1着 ・ジャパンカップ3着 ・有馬記念1着	277/281	ファインモーション3票 タニノギムレット1票
2001	ジャングルポケット	牡3	6戦3勝 ・共同通信杯1着 ・皐月賞3着 ・東京優駿1着 ・札幌記念3着 ・菊花賞4着 ・ジャパンカップ1着	153/283	アグネスデジタル68票 マンハッタンカフェ30票 クロフネ26票 テイエムオペラオー2票 アグネスタキオン2票 該当馬なし1票
2000	テイエムオペラオー	牡4	8戦8勝 ・京都記念1着 ・阪神大賞典1着 ・天皇賞(春)1着 ・宝塚記念1着 ・京都大賞典1着 ・天皇賞(秋)1着 ・ジャパンカップ1着 ・有馬記念1着	296/296	満票での受賞
1999	エルコンドルパサー	牡4	4戦2勝 ・イスパーン賞2着 ・サンクルー大賞1着 ・フォワ賞1着 ・凱旋門賞2着	72/212	選考委員による決選投票で決定   スペシャルウィーク83票 グラスワンダー56票 エアジハード1票
1998	タイキシャトル	牡4	5戦4勝 ・京王杯SC1着 ・安田記念1着 ・ジャック・ル・マロワ賞1着 ・マイルCS1着 ・スプリンターズS3着	174/208	初の短距離馬の受賞   サイレンススズカ16票 エルコンドルパサー11票 セイウンスカイ2票 グラスワンダー1票 スペシャルウィーク1票 メジロブライト1票 該当馬なし2票
1997	エアグルーヴ	牝4	5戦3勝 ・マーメイドS1着 ・札幌記念1着 ・天皇賞(秋)1着 ・ジャパンカップ2着 ・有馬記念3着	82/192	タイキシャトル50票 サニーブライアン37票 グラスワンダー10票 シルクジャスティス4票 マーベラスサンデー4票 マヤノトップガン3票 メジロドーベル1票 該当馬なし1票
1996	サクラローレル	牡5	5戦4勝 ・中山記念1着 ・天皇賞(春)1着 ・オールカマー1着 ・天皇賞(秋)3着 ・有馬記念1着	179/183	バブルガムフェロー1票 ファビラスラフイン1票 フラワーパーク1票 ホクトベガ1票
1995	マヤノトップガン	牡3	13戦5勝 ・4歳新馬5着 ・4歳未勝利3着 ・4歳未勝利3着 ・4歳未勝利1着 ・4歳500万下3着 ・4歳500万下3着 ・4歳500万下1着 ・ロイヤル香港JCT3着 ・やまゆりS1着 ・神戸新聞杯2着 ・京都新聞杯2着 ・菊花賞1着 ・有馬記念1着	160/177	ヒシアマゾン7票 ライブリマウント3票 サクラチトセオー2票 バブルガムフェロー1票 該当馬なし4票
1994	ナリタブライアン	牡3	7戦6勝 ・共同通信杯1着 ・スプリングS1着 ・皐月賞1着 ・東京優駿1着 ・京都新聞杯2着 ・菊花賞1着 ・有馬記念1着	171/172	ノースフライト1票
1993	ビワハヤヒデ	牡3	7戦3勝 ・共同通信杯2着 ・若葉S1着 ・皐月賞2着 ・東京優駿2着 ・神戸新聞杯1着 ・菊花賞1着 ・有馬記念2着	87/171	ヤマニンゼファー56票 トウカイテイオー17票 メジロマックイーン6票 レガシーワールド4票 ナリタブライアン1票
1992	ミホノブルボン	牡3	5戦4勝 ・スプリングS1着 ・皐月賞1着 ・東京優駿1着 ・京都新聞杯1着 ・菊花賞2着	157/176	メジロパーマー12票 トウカイテイオー7票
1991	トウカイテイオー	牡3	4戦4勝 ・若駒S1着 ・若葉S1着 ・皐月賞1着 ・東京優駿1着	134/176	メジロマックイーン22票 ダイイチルビー12票 ダイユウサク5票 プレクラスニー2票 該当馬なし1票
1990	オグリキャップ	牡5	5戦2勝 ・安田記念1着 ・宝塚記念2着 ・天皇賞(秋)6着 ・ジャパンカップ11着 ・有馬記念1着	170/180	スーパークリーク4票 アイネスフウジン2票 ホワイトストーン1票 リンドシェーバー1票 該当馬なし2票
1989	イナリワン	牡5	8戦3勝 ・すばるS4着 ・阪神大賞典5着 ・天皇賞(春)1着 ・宝塚記念1着 ・毎日王冠2着 ・天皇賞(秋)6着 ・ジャパンカップ11着 ・有馬記念1着	140/172	オグリキャップ29票 スーパークリーク2票 該当馬なし1票
1988	タマモクロス	牡4	7戦5勝 ・金杯(西)1着 ・阪神大賞典1着 ・天皇賞(春)1着 ・宝塚記念1着 ・天皇賞(秋)1着 ・ジャパンカップ2着 ・有馬記念2着	165/172	オグリキャップ6票 無効1票
1987	サクラスターオー	牡3	5戦3勝 ・寒椿賞5着 ・弥生賞1着 ・皐月賞1着 ・菊花賞1着 ・有馬記念中止	不明
1986	ダイナガリバー	牡3	7戦3勝 ・共同通信杯1着 ・皐月賞10着 ・東京優駿1着 ・セントライト記念4着 ・京都新聞杯4着 ・菊花賞2着 ・有馬記念1着	108/139	メジロラモーヌ31票
1985	シンボリルドルフ	牡4	5戦4勝 ・日経賞1着 ・天皇賞(春)1着 ・天皇賞(秋)2着 ・ジャパンカップ1着 ・有馬記念1着	138/138	満票での受賞
1984	シンボリルドルフ	牡3	7戦6勝 ・弥生賞1着 ・皐月賞1着 ・東京優駿1着 ・セントライト記念1着 ・菊花賞1着 ・ジャパンカップ3着 ・有馬記念1着	139/144	カツラギエース4票 無効1票

（グレード制以前はスタブ）

関連項目

• 競馬
• JRA賞

脚注

1. *年度代表馬としてマルシュロレーヌに投票した理由は日本経済新聞の記事で大関アナ自身が語っている。