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星界の紋章とは、森岡浩之のSF小説作品(全3巻)および同作を原作とするアニメ作品である。
また続編として星界の戦旗(既刊5巻)があり、こちらも同様に既刊分のアニメ作品が制作されている。
現在からはるか遠い未来、人類に創造された人造生命体アーヴが築いた【アーヴによる人類帝国】と、【人類統合体】を中心とした【四ヶ国連合】の銀河を二分する戦争を舞台として、帝国の王女ラフィールとハイド星系マーティンの主席の息子から一転して帝国の貴族となったジントの冒険を描くスペースオペラである。
作者が創作したアーヴ語や平面宇宙とそれを用いた恒星間航法の理論展開、銀河を二分する世界設定など、
緻密に作られた設定と赤井孝美によるキャラクターもSFファンに人気を博した。
現在、続編となる星界の戦旗の執筆が続いている(既刊5巻)。
アニメーションは、サンライズ制作で、1999年にWOWOWで放映された。「戦旗」は2000年と2001年に同じくWOWOWでアニメ化され、第3巻が2005年にOVAとしてリリースされた。CDドラマ、ラジオドラマ化もされている。
特徴的なのは、やはりアーヴ語。作者が考案したオリジナル言語で、作中に出てくるカタカナの固有名詞にまで、アーヴ語のルビが振ってあるほどである。
ローニュ・ヤルルーカル・ドリュール・ハイダル
例: ハイド伯爵公子閣下
もう一つの大きな特徴は、平面宇宙という概念である。作中では、平面宇宙の発見と利用法の確立によって、光速を超える移動(つまりワープ)を実現したことで、人類は星間国家を築き上げることが可能になった。
平面宇宙とは、通常の宇宙空間とは全く別の物理法則が支配する、文字通り2次元の空間である。両者は「門」とよばれる特異点(特遺空間)を通じて繋がっている。ある門から平面宇宙に入って別の門から通常宇宙に出ると、結果的に光速以上の速さで移動したと同様の結果となる場合がある。こうして人類は超光速移動を実現し、銀河文明を築き上げた。
平面宇宙の通過にはそれなりに時間がかかり、そこでの宇宙戦闘艦同士の戦闘もある。この平面宇宙における、超光速移動をしている途中の戦闘描写の細かさも、本作の魅力の一つである。
本作は上記の通り、ラフィールとジントの物語であると同時に、未来世界における人類を二分した宇宙戦争の物語でもある。ラフィールとジントの活躍を理解する上では、背景となる戦争について知っておくと良い。そこで本項では、物語に登場する5つの星間国家について、簡単なストーリーと共に記述する。
遺伝子改造によって生み出された人種アーヴが支配する星間国家。皇帝を頂点とした身分制度が布かれている。アーヴ帝国、あるいは他の国々はいずれも民主主義国家なので、単に帝国とも呼ばれる。現時点で最大の国力を持つ。人口は約1兆1000億人。
自らを「星たちの眷属」と呼ぶアーヴたちは、星を渡る交易と戦闘を最大の生きがいとしている。また、性格は「アーヴ、その性、傲慢にして無謀」と言われている。
大規模で強大な星界軍と呼ばれる軍隊を擁し、人類宇宙の星間交通を支配すること(平面宇宙航法を独占すること)を国是としている。現時点で、人類宇宙の半分を支配し、星間交易を独占することで莫大な利益を上げている。星界軍は帝国の政治、行政の多くを動かしており、事実上帝国の基盤となっている。
帝国は、宇宙空間と星間交通の独占支配に強い関心を持つ一方で、地上世界(有人惑星)については、ほとんど干渉しない。地上世界の統治は現地人からなる「領民政府」に任せ、領民が帝国と交渉する場合は、領民政府の代表である「領民代表」が、領主である帝国貴族と交渉を行うことになる。領民は、帝国臣民としての自覚や忠誠を期待されておらず、帝国の支配に反対することすら禁止されていない。それほどまでに、帝国は地上世界に対して無関心である。
星界軍の規模は強大である。だが、情報局は四ヶ国連合のヘラクレス作戦を察知できないなど、非常に頼りない。「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という言葉は、「その性、傲慢にして無謀」なアーヴには馬に念仏のようである。そんな体たらくだから、『戦旗V』で四ヶ国連合に、してやられるのである。
アーヴ帝国に次ぐ国力を持つ、人類宇宙で2番目の国力を持つ星間国家。四ヶ国連合の中心となる勢力で、人口は約6000万人。
四ヵ国中、最も自由と民主主義の拡大に熱心で、星間交流が活発。しかし、併合した惑星国家に対して「人類普遍の価値観」と称して自国の価値観を一方的に押し付けたり、所属する星々に文化的同化を半ば強要するなど独善的傾向が強い。アーヴとその帝国に対しても一番敵対的で、アーヴを憎むあまり、反民主主義とは直接関係無いようなアーヴ的な要素までも排除・差別する政策が公然と行われており、かえって自由と民主主義を損なう結果さえ生み出している。
市民に星間国家の一員であることを強く要求し、共通語のリクパルを話せないなど、条件を満たさない市民は統合体政治への参政権が与えられない。遺伝子に手を加えることに神経質で、受精卵段階での遺伝子検査および遺伝子調整はいかなる目的であっても違法(後天的な遺伝子治療は認められている)とされている。このほか、麻薬は当然、タバコも禁止されるなど、異様に厳しいところがある。また、死刑制度は存在せず、更生不可能と判断された犯罪者は、惑星全体を刑務所にした「更生施設」に収容される。
軍の規模は大きく、その技術力はアーヴ帝国と同等である。帝国の幻炎作戦に対しては、どの星系に帝国が攻勢をかけるかを予測していた(あるいは察知していた)ように、情報の収集力・分析力も高い様子。だが運用については、柔軟性に欠ける命令を出すこともしばしばある。
戦争は、「人類統合体の『門』の調査船を、帝国の宇宙軍艦が攻撃した」という人類統合体の主張から始まった。戦争序盤、人類統合体は拡大アルコント共和国および人民主権星系連合体との連合艦隊で、アーヴ帝国の帝都ラクファカールに奇襲攻撃をかけるヘラクレス作戦を実行。帝都を陥落させることはできず、艦隊戦も痛み分けに終わり、ヘラクレス作戦は失敗。その後は、帝国の攻勢に対して守勢に徹し、主力を温存する・・・。
四ヶ国連合で3番目の星間国家。中心星系であるアルコント星系が文化的・経済的に突出し、これに加えて強力な官僚機構を持っていることにより、国家の均一性が保たれている。人類統合体に負けず劣らず星間交流が活発。要するに、地上的な国家が宇宙レベルに文字通り「拡大」した国である。
四ヶ国連合で4番目、つまり人類宇宙で一番小さな国力の星間国家。各星系が大きな権限を持ち、軍隊も星系ごとに所有している。各星系間の経済格差や文化的差異も大きい。また、やたら射程距離の長い時空軌道爆雷(平面宇宙ミサイル)や、出力の高い凝集光砲(レーザー砲)を使用したりと、独自の兵器体系を有している。
四ヶ国連合で2番目の国力を持つ星間国家。単なる二番手ではなく、要所で物語を動かす影の主役といえる存在。
戦争序盤のヘラクレス作戦に、四ヵ国で唯一参加せず、その後、開戦理由が人類統合体のねつ造だったことが判明したことで、中立を宣言。連邦国内で和平派(地上派)と主戦派(宇宙派)が対立しつつも、開戦から7年間は戦争の推移を見守る。
実は、アーヴよりも先に平面宇宙航法を確立したスーメイ星系の人間が他の星系を開拓・移住したことにより、人類宇宙で最初に誕生した、最も古い歴史を持つ星間国家。その後も人口増加にともなって新たな星系を開拓・獲得することで拡大してきたため、すべての星系の住民がスーメイ人であり、国家運営も彼ら独自の理論や価値観に基づいて行われている。ちなみに、権力闘争は「命がけ」と言われるほど凄まじい。また、戦争によって領土を拡大したことは一度もない。
スーメイ人たちは初めて平面う宇宙航法を確立した民族だが、アーヴとは逆に宇宙空間にはほとんど関心を持っておらず、星間交流も驚くほど少ない。そのため、地域間の経済格差は大きいが、ほとんどの惑星は自給自足が可能なため、あまり問題になっていない。平面宇宙航法に関しても、アーヴは技術を独占しようとしたが、スーメイ人たちは高い対価と引き換えに、他の星系に技術を提供した。すなわち、アーヴ帝国以外の国が使用する平面宇宙航法は、スーメイ人(ハニア連邦)にルーツがある。
軍事に関しては、規模はまずまずだが、装備が旧式で指揮系統にも問題があるため、総力戦になれば自国防衛もかなうかどうか、というのが帝国の評価。ただし、情報収集能力は非常に高い。
宇宙空間に興味を持たずに地上世界に強い関心を持つ、戦争は好きではない、軍は強くないが情報収集力は高い、など、あらゆる意味で、アーヴ帝国と真逆の性質を持つ国家。
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最終更新:2025/12/07(日) 12:00
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