条件演算子(conditonal operator)とは、条件によって違う値を返すための演算子である。三項演算子(ternary operator)とも言う。
演算子とは"1 + 2"における"+"のことである。この場合、オペランド(: operand. 被演算数。左記の"1", "2"のこと)が2つなので二項演算(binary operator)に分類される。
条件演算子は、「条件」「真式(条件が真の時の値)」「偽式(条件が偽の時の値)」をオペランドにとり、条件(の計算結果)が真の時は、真式を評価(計算)した結果を返し、条件が偽の時は、偽式を評価した結果を返す演算子である。
オペランドが3つなので三項演算子に分類される。ちなみに、"i++"のようにして使うインクリメント"++"や、"-a"のように数値の正負を反転させる"-"はオペランドが1つなので単項演算子(unary operator)という分類になる。
条件演算子を採用している代表的なプログラミング言語であるC言語、Javaなどでは、
条件 ? 真式 : 偽式
という形をとる。
"+"や"="などと異なり、プログラミングでしか出てこない記号なので、使うとプログラミングをしているという実感が湧き厨二心をくすぐる。
条件演算子を最初に普及させたC言語において、条件演算子は唯一の三項演算子であったため、条件演算子のことを三項演算子と呼ぶことも多い。その後の歴史のおいても条件演算子以上に汎用性の高い三項演算子が普及することはなかったため、三項演算子と言えば条件演算子を指す状況は継続している。
三項演算子という、聞いただけでは機能を想像できない名前もまた厨二心をくすぐるのである。
プログラミング言語において、条件分岐を実現するには基本的にif文を用いる。しかし、C言語、Java、Python3等の幾つかのプログラミング言語では、条件演算子の値を返すという性質を無視して、if文を用いた手続きの分岐の代わりに条件演算子を使用できなくもない。
良い子は真似をしてはいけない。ワンライナーとかを目指しているのでなければ条件分岐には素直にif文を使うべきである。
歴史的なことを考えるならC言語の例をあげるべきとは思うが、編集者の都合によりJavaのサンプルを掲載する。
import java.util.Random;
public class TernarySample {
public static void main(String[] args) {
Random r = new Random();
// 0か1をランダムに返す。
int n = r.nextInt(2);
// if文を用いる書き方。
if (n == 0) {
System.out.println("丁");
} else {
System.out.println("半");
}
// 条件演算子を用いれば短く1行で書ける。
System.out.println(r.nextInt(2) == 0 ? "丁" : "半");
// if文の代わりに無理矢理使ってみた例。
n = r.nextInt(2);
Void v = n == 0 ? print("丁") : print("半");
}
/** System.out.println()ではオペランドになれないので. */
private static Void print(String s) {
System.out.println(s);
return null;
}
}
条件演算子は使うとかっこよくなった気分にひたれるのだが、見慣れない記号なので、可読性が悪くなると言われている。概要のサンプルコードのような自然に1行におさまる単純な例ではむしろ可読性が上がるのだが、特にオペランドの式が長くなったときや、条件演算子をネスト(入れ子に)した場合には可読性の悪化が顕著に現れる。
条件分岐といえばFizzBuzz。
public class FizzBuzz {
public static void main(String[] args) {
for (int i = 1; i <= 100; i++) {
String s = fizzBuzz(i);
// fizzBuzz()とternaryFizzBuzz()が等価であることの確認。
if (!s.equals(ternaryFizzBuzz(i))) {
throw new Error("fizzBuzz()とternaryFizzBuzz()が等価でありません。");
}
System.out.println(s);
}
}
/** if文を用いた例. */
private static String fizzBuzz(int input) {
if (input % 15 == 0) {
return "FizzBuzz";
} else if (input % 5 == 0) {
return "Buzz";
} else if (input % 3 == 0) {
return "Fizz";
} else {
return Integer.toString(input);
}
}
/** 条件演算子を入れ子にした例. */
private static String ternaryFizzBuzz(int input) {
return input % 15 == 0 ? "FizzBuzz" : (input % 5 == 0) ? "Buzz" : (input % 3 == 0) ? "Fizz" : Integer.toString(input);
}
}
上記可読性の問題を意識してか、同様のことを実現するのに演算子(記号)ではなく式(expression)という形を取る言語もある。
概要で述べた通り、以下の書式である。
条件 ? 真式 : 偽式
ScalaやKotlinでは、if文を値を返す「if式」とすることで、手続きの分岐と条件演算子の機能を一本化した。
if (条件) {真式} else {偽式}
Pythonはソースコードの可読性の高さを売りにしているため、条件演算子の導入が長い間見送られた。バージョン2.5からようやく導入されたが、演算子ではなく「条件式 (Conditional Expressions)」という式となった。
実際にPython3で記述したコードを次に示す。
print("1...Aレース / 2...Bレース")
n = int(input())
print("Aレース選択" if n == 1 else "Bレース選択")
Python3のif文では改行が必須だが条件式を使えばたった1行で記述できる。
なお、値を返すという性質を無視して手続き分岐として用いると、黄色の部分は以下のように書くことができるが、良い子は真似をしてはいけない。
print("Aレース選択") if n == 1 else print("Bレース選択")
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最終更新:2025/12/10(水) 01:00
最終更新:2025/12/10(水) 00:00
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