格安SIMとは、通信会社が提供するSIMカードのうち月次の利用料金が廉価に抑えられているものを指す。
概要
ドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクなど大手キャリアから回線を借用して通信事業を営む、仮想移動体通信事業者(MVNO)が提供するSIMカードのことをこう呼ぶ事が多い。既存の大手キャリアの料金体制と対比しての呼称である。
中にはそれらキャリアが提供する端末より、廉価なスマートフォンをSIMカードとセットで販売している事業者もあり、「格安スマホ」とまとめて呼ばれることもある。
大手キャリアのように独自の通信網を抱えておらず、様々なオプションを排したり、現在の主流より低い性能の端末を販売することでサービスを安く提供しているのが特徴。
MVNOではなくソフトバンクのサブブランドで、回線を自ら保有するワイモバイルも、ソフトバンク本体などと比較すると安価での利用が可能となっているため、格安SIMに含めることがある。
ワイモバイルはMVNO事業者同様、SIMカードのみのサービス提供も行っているのが特徴である。
MVNO事業者は「接続の手続きは自分でやる」「端末の設定は自分でやる」と、大手キャリアでは店舗側で行うようなサービスをカットし、人件費などコスト削減を行うことで料金を抑えている面も存在する。
最近は、独自にカウンター/店舗を設けて端末・SIMカードの販売を行う事業者や、UQモバイルのようにauの店舗の一部を借用してサービスを提供する事業者も現れている。
また後述するように、大手キャリアで提供されているサービスの多くが利用できなくなったり、通信の快適性でキャリア契約と比べると差が出るケースも存在する。そのため値段の安さにだけ惹かれて契約すると、後悔する可能性もそれなりにあるといえる。
利用にあたっては格安SIM(及びその提供会社)の特徴をよく理解しておくことが重要といえるだろう。
ワイモバイル以外の格安SIMサービス提供者の詳細については仮想移動体通信事業者の記事を参照のこと。
格安SIMの利点
- 料金が安い
- 先述の通り、同じデータ通信量であっても大手キャリアの半分以下の料金に収まるケースもある。
- 契約期間の縛りがない
- 大手キャリアでは「2年縛り」と呼ばれる、2年間隔の特定月に解約を行わないと違約金が取られる契約を結ぶのが一般的であるが、格安SIMの多くはこのような縛りがなく、サービス内容が合わないと思えば他の会社に映ることが容易となっている。
- ただし音声SIMに関しては最低1年という契約下限期間を設けているところが多い(MNPでの転出にのみ制限をかける会社もある)。大手キャリア同様に2年縛りが存在する会社・プランも存在する。
格安SIMの欠点
- キャリアのメールアドレスが使えない
- @docomo.ne.jpや@ezweb.ne.jpのような大手キャリアが提供するメールサービスを使うことが出来ないため、G-mailやYahooメール等で代替する必要がある。
- 特にキャリアメールの中には、PCでも使われるこれらのアドレスを迷惑メールのフィルタリングで弾く設定をかけているケースが有るため、知人にこれらキャリアメールを使うものがいる場合、設定がそのままだとメールのやり取りが出来なくなる可能性もある。
- ただしUQモバイルやY!mobileなど、キャリアメールの取得が可能な事業者も数少ないが存在する。
- キャリア決済が出来ない
- ゲームの課金やアプリの購入代金などを携帯電話の代金と合わせて請求するキャリア決済のサービスが利用できなくなる。利用しているユーザーの場合、決済手段をクレジットカードによる直接決済やプリペイドカードによる購入に変更する必要がある。
- LINEでの年齢認証ができない
- LINEの年齢認証機能はキャリアとの契約を結んでいる場合に限り利用可能。このため、ID検索が利用できなくなる。
- そのLINEが提供するLINEモバイルに限っては、この年齢認証が可能となっている。
- 通話定額プランがない
- 大手キャリアでは一般的となった通話定額のプランがまだ一般的ではなく、通話は従量料金となるため、月の通話時間が長いユーザーの場合はキャリアと契約するより割高になる事例も存在する。
- 一部の事業者では独自のアプリを通じて通話料金を下げたり、条件が限られるが通話が定額となるプランを提供しているところもある。
- 通信速度が遅くなるときがある
- MVNOは大手キャリアから借りた回線をまた貸しする形でサービスを提供するため、大手キャリアと比べると使える通信帯域(容量)が狭くなり、ユーザーが多い時間帯は目に見えて通信速度が遅くなる事例が存在する。
- 特に繁忙時間帯である平日の昼間12~13時台は、通信速度が1Mbpsを割り込むのが現在では恒常化している。
- 端末故障時のサポートが少ない
- 大手キャリアの窓口で行われているような、端末故障・不良時の受付を行っている事業者は少なく、不具合の場合などは自身で端末の製造メーカーとやり取りする必要があるケースが多い。
関連動画
関連項目
- SIMカード
- 格安スマホ
- スマートフォン
- タブレットPC