検証・龍馬伝説 / 松浦玲 〔単行本〕 単語

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概要

司馬遼太郎、津本陽などの小説によって形作られた坂本龍馬像に対し、早くから史実との違いを指摘し続けてきた著者の論文集。昭和49年(1974年)から平成9年(1997年)までの論文に加え、書き下ろしの補論を収録。フィクションに対する指摘と共に、既存の龍馬研究の詰めの甘さにも苦言を呈して「龍馬伝説」を検証していく。

「勝塾の塾頭は龍馬ではなく佐藤与之助だったのではないか」「神戸海軍操練所に龍馬は入所できなかったのではないか」「龍馬と勝海舟は不仲だったのではないか」とする説は特に読み応えあり。

目次

一 司馬文学と歴史

「竜馬がゆく」に欠落するもの/作者は竜馬に惨めさを与えない/司馬流歴史観と事実との間/大政奉還は奇手にあらず/司馬作品で歴史を知る日本人/吉川英治との類似点、相違点/登場人物にサービスする理由/問題がある小説ほど面白い/「司馬史観」の弱点が露呈する時/

二 龍馬と下関

本拠地は下関/下関に帰る/二本の自筆浄書/龍馬は大政奉還側/政策内容が大事/

三 龍馬の実像

盟主は○○○/幕府でも薩摩でも/ 佐藤与之助/黒龍丸と龍馬の虚像/外側を生きる/

四 新政府綱領ハ策の「○○○」再論

「公議」の後退/厳しい状況/明示できない三文字/

五 流芳遺墨に刻された坂本龍馬手翰

『亡友帖』は海舟略史/龍馬欠落の理由/『流芳遺墨』の編集方針/自分宛不要、真蹟が必要条件/真贋問題/

六 薩長同盟の当事者 木戸孝允の記憶

海舟は龍馬書簡を偽作したか?/核心部分を外すな/裏付けがある木戸の記憶/一坂氏の手法への疑義/

七 薩長同盟から大政奉還へ

裏書き以後/ 幕府観の揺れ/慶喜VS薩摩/龍馬と下関/船中八策と薩土盟約/討幕派よりの龍馬/大政奉還派に戻る/ 討幕派との隔たり/

八 龍馬と松平大隈

奇妙な手紙/大阪町奉行、松平大隈/「過日も龍馬来」/与之助では無理/

九 海舟と龍馬

龍馬と海舟の出会い/龍馬研究者の誤り/大久保忠寛の書簡の問題/神戸海軍操練所の設立/

十 脱藩論

水戸と土佐/龍馬と脱藩/超幕府空間/脱幕府しない海舟/脱藩と脱国家/

十一 司馬遼太郎-脱イデオロギー

高度成長と「歴史」/「時効」の役割

あとがきを兼ねた長い補論-龍馬伝説を検証する

司馬伝説/松本健一さんへの反論/春嶽の大政奉還論/龍馬の下関時代/長府博物館/慶喜でも容堂でも/「大将軍」説を提起/ 誰を征討するのか/歴史的センスを疑う/海舟龍馬伝説/年長の弟子/与之助も大阪に/龍馬の署名も与之助の筆/与之助が記録した龍馬/龍馬と海舟の関係の頂点/八・一八以前と以後/江戸の龍馬/津本『龍馬』を覗く/神戸塾の報告は与之助から/神戸操練所発足と龍馬/下田に来た黒龍丸と龍馬/土佐人独自の船計画と薩摩/関東滞在を繰り返す龍馬/現金持ち出し事件顛末/佐藤与之助書簡にまつわる怪談/海舟日記について一言/直接交渉皆無の龍馬と海舟/「坂本龍馬手翰」について/薩長同盟と龍馬/大政奉還と龍馬/「伏水にとりにがしし浪人」/龍馬の新政権構想/海舟があげられていない/小説と歴史/与之助以前 /春嶽と一翁の補足/脱藩と脱国家と/「時効」無用の龍馬/検証年表/

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関連項目

  • 幕末
  • 坂本龍馬

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