機動戦艦ナデシコとは、1996年10月~1997年3月にテレビ東京系で放送されたテレビアニメである。
概要
| 監督 |
佐藤竜雄 |
ストーリー
エディター |
會川昇 |
| 音楽 |
服部隆之 |
| 制作 |
XEBEC |
| 製作 |
テレビ東京
読売広告社
XEBEC |
| 話数 |
26話 |
SFロボットアニメ…のふりをしたラブコメアニメ。XEBEC製作のオリジナルSFアニメシリーズの第一弾であり、メインヒロイン役の桑島法子と、キャラクターデザイン担当のアニメーター・後藤圭二の存在を広く世に知らしめた作品である。
作中作に熱血ロボアニメ『ゲキ・ガンガー3』がある(のちにOVA化)。『エヴァ』や『スレイヤーズ』などとも微妙に時期が被っているため、今ひとつ忘れられがちだが、1990年代を代表するアニメのひとつである。設定が山のように膨大にあったため全ての謎を全26話内で明かすことはできず、また3話分の脚本を担当した首藤剛志が「コンピュータの名前が『オモイカネ』である」という基本設定を思い出したように使ってみたところ、主要スタッフが全く忘れていたという逸話さえある(WEBアニメスタイル「シナリオえーだば創作塾」第116回参照)。
続編が熱望されている作品であり実際に企画も進行していたようだが、2005年8月に『宇宙のステルヴィア』ともども作品外の諸事情により製作はほぼ不可能となったことが佐藤監督の公式サイトでアナウンスされた。
アニメを原作として漫画(『遊撃宇宙戦艦ナデシコ』、作者はキャラクター原案の麻宮騎亜)、小説、ゲームなどが作られている。様々な作品のクロスオーバー作品である『スーパーロボット大戦』シリーズにも参戦している。また、ヒロインの一人であるホシノ・ルリは警察庁のシートベルト着用キャンペーンのポスターに採用されるなど単独のキャラクターとしても各所で活躍を見せた。
2013年12月27日よりニコニコ動画でも全話配信予定、1~3話は期間限定で無料配信される。
劇場版
1998年にTV版から3年経った休戦後の世界を舞台にした劇場版『機動戦艦ナデシコ-The prince of darkness-』が公開された。こちらはTV版でやりすぎた反省から一転してシリアス中心路線になり、TV版では描かれなかったアキトの成長をホシノ・ルリの視点で追いかける内容になっている。
仲間由紀恵が出ていたことで有名。ご本人の公式プロフィールにも劇場版ナデシコを含めアニメ出演歴はしっかりと記載されている。ちなみに漫画家の畑健二郎は昔、不安や孤独でどうにも出来なくて劇場に座り、この映画を一日中死んだ目で観ていたらしい。
なお、本作は翌年の星雲賞・映画演劇部門とメディア部門を受賞している。
主な登場人物
- テンカワ・アキト - 声: 上田祐司 (現: うえだゆうじ)
- ナデシコのコック兼エステバリスのパイロット兼主人公。火星出身。何故かやたらにモテる。劇場版ではTV版のイメージとは正反対の黒衣を纏った仮面姿に。
- ミスマル・ユリカ - 声: 桑島法子
- 多分メインヒロイン。ナデシコの艦長。火星時代にアキトの幼馴染みだった。地球連合大学の戦略シミュレーションで負け無しだったほどの逸材だが、ド天然でアキトのためとなると暴走しがち。声を演じた桑島法子はこれがほぼデビュー作。アキトに惚れている人その1。
- ホシノ・ルリ - 声: 南央美
- 人気No.1、愛称はルリルリ(命名byミナト)。ナデシコの天才的オペレータ。劇場版では主人公で、ナデシコBの艦長となっており、「電子の妖精」と呼ばれる。アキトに対しては淡い恋心のようなものを抱くが、兄や家族としての感情であるという説もあり、人によって解釈は様々。
- ダイゴウジ・ガイ(本名世を忍ぶ仮の名前: ヤマダ・ジロウ) - 声: 関智一
- エステバリスのパイロット。『ゲキ・ガンガー3』の大ファン。あっけなく死ぬ。しかし、『スパロボ』など2次創作・クロスオーバー作品ではそのスーパー系な性格が幸いし、死なずに大活躍している。詳しくは後述。
- スバル・リョーコ - 声: 横山智佐
- エステバリスのチーフパイロット。機体カラーは赤。男勝りで負けず嫌いな性格をしており、何かにつけて素人パイロットのアキトに絡んでくる。劇場版では統合軍のパイロットになっている。アキトに惚れた人その3。
- アマノ・ヒカル - 声: 菊池志穂
- エステバリスのパイロット。機体カラーはオレンジ。オタク趣味を持ち合わせた陽気な眼鏡っ娘で、ウリピー(※ウリバタケ)とはいいコンビだが、思考はかなり現実的。劇場版では漫画家になっている。
- マキ・イズミ - 声: 長沢美樹
- エステバリスのパイロット。機体カラーは水色。寒いギャグやダジャレが大好きで、事あるごとに陰気にボソッとつぶやいては自分だけクツクツと笑って周囲を白けさせている。劇場版ではバーの雇われママになっている。
- アカツキ・ナガレ - 声:置鮎龍太郎
- エステバリスの補充パイロット。ロン毛の女たらし。何かとアキトに突っかかるような物言いをする。
- ゴート・ホーリー(Goat Hoary) - 声: 小杉十郎太
- スーツ姿で不愛想な戦闘指揮担当。以前は軍に所属しており、かなりのマッチョ。カタブツそうに見えて実は…
- アオイ・ジュン - 声: 伊藤健太郎
- ナデシコ副長。ユリカの地球移住後の幼馴染み。「いい人」すぎて何かと報われないカワイソウな人。
- ハルカ・ミナト - 声: 岡本麻弥
- ナデシコの操舵士。元々は大企業の社長秘書をやっていた。露出が多く派手な見た目とは裏腹に(ナデシコの中にしては)常識があり精神的に強い女性。ゴートとはいい仲になりかけるも価値観の相違により破局。物語終盤、ある男性と恋に落ちるが・・・
- メグミ・レイナード(Megumi Reinard) - 声: 高野直子
- ナデシコのブリッジ通信士。元々は声優をやっていた。「メグミという名前」「看護士の資格も持っている」などの設定から、キャラのモチーフは当時超人気だった某声優であると思われる。アキトに惚れた人その2。
- エリナ・キンジョウ・ウォン(Erina Kinjo Won) - 声: 永島由子
- ナデシコ副操舵士。ネルガル本社から派遣されてきた人物で、本来の役職はネルガルの社長秘書。職務に忠実で、ユリカを初めなにかと羽目を外したがる他のクルーたちとしばしば対立する。アキトに惚れた人その4。
- ウリバタケ・セイヤ - 声: 飛田展男
- ナデシコのチーフメカニック。元々は町工場で働く発明好きの違法改造屋だったが、その技術を買われてスカウトされる。「こんなこともあろうかと」という台詞に憧れ、言うチャンスを虎視眈々と狙っている。メカオタクでいい加減なオッサンにも見えるが、「整備をしくじれば人が死ぬ」「俺は女では失敗しても整備でコケたことは一度もない」という信条を持ち合わせている生粋の職人でもある。たった2年の宇宙航海中にで初めて触ったオーバーテクノロジーから対フィールドランサーとディストーションブロックを造り上げてしまったすごい人(でもMITを5浪してる)。スパロボではアストナージや各研究所の博士という仲間を得て、水を得た魚のように様々な発明を行っている。
- プロスぺクター(Mr. Prospector) - 声: 小野健一
- ネルガルから派遣された本名不明(プロスペクターは資源探索者の意。通称プロスさん)のナデシコの会計・監査担当で、クルーをスカウトしてきた張本人でもある。慇懃かつ飄々としたもの言いでありながら、実は格闘技が使えたりラーメン屋台を引けたり、とにかく謎の多い人物。
- ホウメイ(Howmei) - 声: 一城みゆ希
- ナデシコの食堂スタッフ5人組「ホウメイガールズ」を取り仕切る中年の女性料理長。専門は中華だが、あらゆる料理に精通している。また、クルーたちの良き相談相手であり、アキトにとってはコックの師匠でもある。
- イネス・フレサンジュ(Inez Fressange) - 声: 松井菜桜子
- 説明おばさん科学分析と医療全般を担当する白衣の才女。火星の唯一の生き残りであるが、実は・・・。アキトとフラグが立ちかけた人。
主なメカニック、技術
- ナデシコA
- 作品タイトルにもなっている宇宙戦艦。「エンタープライズに波動砲とATフィールドつけたら最強じゃね?」という発想の元にデザインされた「ぼくのかんがえたさいきょうのうちゅうせんかん」であり、それがグラビティ・ブラストや、ディストーションフィールドという設定につながっている。
その他、多連装ミサイルランチャーや、フィールドブレードからのレーザー砲を持ち、実は潜水能力も持っている。
- Y-ナデシコA
- ナデシコ四番艦シャクヤクで近代化改修が完成前に大破してしまったために、強化ユニットであるYユニットをユリカの思いつきで無理やり取り取り付けた姿。思いつくユリカもユリカだが、電装系が全く違うYユニットを不安定さなしに取り付けてしまったウリバタケもやはり只者ではない。
Y-ユニットに搭載された2機の相転移エンジン、大型レドーム、更に増えたミサイルランチャー、2連装に換装され出力が上がったグラビティ・ブラスト、そして空間破壊兵器である相転移砲を兼ね備える反則戦艦である。
- ナデシコB
- 劇場版で登場。扱いは試験戦艦であり、その気になれば艦長のルリ一人で動かせる。
武装はグラビティ・ブラストのみだが、スパロボ等では不便なのでミサイルランチャーがよくつけられる。
- ナデシコC
- 劇場版で登場。「戦力がないのなら戦う前に勝てば良い」というコンセプトに基づき、ありとあらゆる手段で相手システムに入り込み、掌握、無効化してしまうというY-ナデシコA以上の反則戦艦である。フィールド発生ブレードは開閉式で、閉じているときは出力が上がる。「戦闘の必要がない」ため兵装はやはりグラビティ・ブラストのみであるが、改修により相転移砲の装備も可能。また、やはり使いにくいためスパロボではミサイルがつけられる。
- ユーチャリス
- 劇場版で登場。ナデシコCのためのワンマンオペレーションの第二実験艦と同時に、アキトの工作活動の移動拠点として運用されていた。基本テロ活動のための艦であるため、多量のバッタを搭載し、面制圧能力を高めるために四連装に分離実装された(4つで4倍威力というわけではない)グラビティ・ブラストを装備する。極端な話、ナデシコの「戦艦が空母の役も兼ねれば単艦で何でもできね?」の発展型である。
- エステバリス
- いわゆるロボットアニメがロボットが主人公として相手を倒すことであるのに対し、この作品のロボットはあくまでも「艦載機」である。つまり、「戦艦はフィールドを張りつつグラビティ・ブラスト(あるいは相転移砲)をチャージして照準。チャージが終わったら本命を敵陣ど真ん中にズドン。戦闘終了」というのが基本戦法である。さらにナデシコは単艦で活動し、戦闘場面が多岐にわたり、多種多様の機体の多量収容スペースも確保できない。
しかもパイロットは癖の強いエース揃いで乗り換える際、ソフト周りの調整がややこしい。その為エステバリスには「最小限のコストで最大限の汎用性」が求められ、それがエステバリスに一本化した換装システムに繋がっている。
また、「どうせ艦載機なんだから旗艦から無線で電源供給してもらえばいいじゃん。そうすればバリアも推力も使い放題だろ?」という割りきった発想をすることで、ジェネレーターと推進剤を廃し、装甲を軽く薄くし、デッドウェイトとデッドスペースを廃することに成功している。
メインの役目があくまでも「艦載機」であるため基礎戦闘力はあまり高くないが、ディストーション・フィールドを持っているため、それを拳やナイフの先に集中させることでそれこそ敵駆逐艦を撃沈させることも可能になっている。
こらそこ、ピンポイントバリアパンチとか言わない。
- ・陸戦フレーム
- 最も基本的な地上運用タイプ。地面をキャタピラ状グライディングホイールで滑走し、ナイフ、アサルトライフル、ワイヤー付きロケットパンチを基礎装備として運用される。「飛ぶ」ことにエネルギーを回す必要がないためバッテリー運用でも長く稼働できる上、重さも余裕があるため膝のバッテリーがやや大きい。火炎放射器、多連装ミサイルランチャー、ガトリングガン等を積んだ重武装タイプのバリエーションを持っているのもこれ。つまり、ヤマダさんはこれに換装成功できたとしても多分身動きできずに落とされてた。
- ・空戦フレーム
- 大気圏内空中戦型。流石に重力圏内で反重力推進だけでは効率が悪いため、それにプラスしてジェットエンジンが搭載されている(反重力推進で浮いたり機動性を確保し、ジェットエンジンで吹っ飛んでいる)
主な楽曲
- YOU GET TO BURNING - テレビアニメオープニング曲
- 歌:松澤由実 / 作詞:有森聡美 / 作曲・編曲:大森俊之
- 私らしく - テレビアニメエンディング曲
- 歌:桑島法子 / 作詞:松浦有希 / 作曲・編曲:松浦有希、吉田 潔
- Dearest - 劇場版主題歌
- 歌:松澤由実 / 作詞:有森聡美 / 作曲・編曲:大森俊之
2次創作などでの扱い
『スーパーロボット大戦』シリーズ等、2次創作・クロスオーバー作品では、作風がライトであり、また劇中劇として『ゲキ・ガンガー3』という昭和ロボット作品のパロディを抱えているためか、リアル系の作品よりもスーパー系の作品との相性がいい。ただし、劇場版ではハードな物語展開になるためリアル系との絡みも多くなる。
また、ダイゴウジ・ガイが優遇されることが多い。エステバリスは他作品のロボットに比べ小型で火力が不足しがちな為、彼との合体攻撃の存在が主人公であるアキトの使い勝手を左右する例が多々ある。
あげくのはてに本編には存在しない専用エステや劇場版の顔グラまで作られてしまった。
具体的には…
- スパロボA:スパロボ初参戦にして隠しキャラとして生存可。アキトとの合体攻撃が存在する
- スパロボImpact:死亡イベントすら無くなってしまった。エステバリスガイ機専用技「ガイ・スーパー・アッパー」はパイロットであるガイの性能も相まって、そこらのスーパー系以上のダメージを叩き出す
- スパロボR:ガイ専用スーパーエステバリス登場
- スパロボMX:劇場版の話のみなので流石に死んでいる
- スパロボJ:隠しキャラとして生存、イベントでもやりたい放題し始める、下の台詞はJでのもの
- ACE2:ゼントラーディに助けられたうえに文化としてゲキ・ガンガーを広める
- スパロボW:ガイ専用エステバリスカスタム登場、劇場版顔グラ登場、ゲキ・ガンガーのBGMを流しながら復活しTV版のラストを超熱血展開にしてしまった上、本来そんなキャラではないはずの劇場版アキトとダブルゲキガンフレアを繰り出す
こんな感じである。
「俺達は語り合い、共に信じる正義は一つだと誓い合ったのさ。奴はそれを裏切らなかった。木星の中に真に和平を求めたんだ。これも現実だ、ちがうか」
「要は見る奴しだいって事よ、テンカワ。ゲキ・ガンガーの言うことは、まちがっちゃいねえ」
「そいつは違うな、木連の大将」
「勝とうが負けようが、正義ってなあ信じてなんぼよ!勝つためにひん曲がった正義なんぞ、一文の価値もねえ!」
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関連項目
- スターチャイルドレコード
- アニメ作品一覧
- スーパーロボット大戦シリーズ登場作品の一覧
- ゲキ・ガンガー3
- なぜなにナデシコ
- A級ジャンパー
- ブラックサレナ
- XEBEC製作のオリジナルSFアニメシリーズ
- 宇宙のステルヴィア
- 蒼穹のファフナー
- ヒロイック・エイジ
- SF