永久磁石同期電動機

永久磁石同期電動機とは、電動モーターの一種。英語ではPermanent Magnet Syncronous Motorと表記され、その頭文字をとって一般にPMSMと呼ばれる。

ここでは、一部の鉄道車両で使用されているPMSMを中心に解説する。

概要

その名の通り、永久磁石を回転子に埋め込み動力源として使用するモーター。誘導モーターと同じく交流モーターの一種であり、基本的にはVVVFインバータで制御される。鉄道車両では、E331系の車軸直接駆動方式(DDM)向けのモーターとして試験的に採用され、その後は東京メトロでの量産採用を皮切りに大手私鉄の車両を中心に少しずつ普及している。

インバータ制御の車両で広く使用されている誘導モーターと比較すると、回転子電流を発生させるための電力が不要なため

• さらなる高効率化および小型高出力化が図れる
• 回転子電流による磁歪音が無い→低速域の低騒音化
• 発熱が少ないのでモーター本体の密閉化が容易→整備性の向上・高速域の低騒音化

という長所を持つ反面、

• 同期モーターとしての特性上、モーター台数分のインバータ回路が必要(1C1Mが必須)
• 惰行中にも永久磁石による誘起電圧が発生するため、各種対策が必要

という短所もある。総体的に考慮すると、地下鉄や在来線の通勤電車のような、加減速を頻繁に繰り返す車両への搭載に向いていると言える。

ちなみに、誘導モーターは低い回転速度で負荷が大きいと効率が著しく劣るが、DDM方式のモーターでは、800rpmにすら達しない超低速の回転速度域で一般的なモータの6～7倍のトルクを発揮する性能が要求される。これがE331系などのDDM方式でPMSMが採用された理由であり、貨物駅構内での入換作業が主な用途のHD300形機関車でPMSMが採用された理由でもある。

よくある疑問

発車するときの「ブーン」は何の音？

VVVF制御による非同期音です（ｷﾘｯ



…ちゃんと説明すると、高周波重畳方式と言う特殊な方法で回転子の位置を検出しながら制御している音である。

PMSMの制御ではセンサーなどで常に回転子の位置を把握する必要があるが、鉄道車両のPMSMではセンサー類を使わず、交流電流の波形から回転子の磁石による誘起電圧を検出し、これを回転子位置の情報と見立てている。
しかし車両速度にして5～10km/h以下では誘起電圧が弱すぎるので、代わりの方法として、モーターに送る電圧の波形を一定の間隔(数100hz)でわざと歪ませ、歪んだ電流の波形を演算することで回転子位置を把握する。回転速度に応じた周波数と一定の振幅を持ったインバータ出力電流に、小さな振幅で高い周波数の電流が重なったような電流波形になることから、高周波重畳方式と呼ばれる。PS; 知恵袋の回答者はちゃんと勉強してください。

この手法によって、従来は不可能とされていた同期モーターの自己始動ができるのだが、電流波形が歪むということはそれだけ騒音(磁歪音)が大きくなるので、この騒音をどう抑えるかが課題でもある。

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