洋館事件とは、ゲーム『バイオハザード』シリーズに登場する用語である。
英語では「Mansion Incident」「The Mansion Incident」等と呼ばれているようだ。
1998年5月11日にアンブレラ社のアークレイ研究所で発生した史上初のTウイルス漏洩事故。研究所は洋館に偽装していたため、一連の事故は洋館事件と呼称される。クリス・レッドフィールドやジル・バレンタインら多くの主要人物の人生を狂わせた忌まわしき原点。また、この事件がきっかけで全国各地でTウイルスの漏洩事故が相次ぐようになった事から、まさに悲劇の元凶とも言える。事件の結果、所属していた研究員は全員死亡するかゾンビと化し、アンブレラが極秘裏に行っていた非人道的な実験や生物兵器開発が明るみに出たが、その悪行ですら巨悪の一部に過ぎなかった。
初代バイオハザードはこの事件が舞台となっているほか、バイオハザード2でもOPで洋館事件の事が触れられている。ちなみに研究員は全員男性であり、それに伴って初代バイオには女性ゾンビが存在しなかった(登場したのは『2』から)。初代では漏洩原因がハッキリしていなかったが、前日譚の『バイオハザード0』にてアンブレラ幹部のジェームス・マーカスに擬態した女王ヒルによる犯行と設定された。
余談だが、初代バイオハザードはファミコン専用ソフト『スウィートホーム』を参考にして作られており、洋館が舞台になったのはスウィートホームの影響と思われる。振り向きゾンビや扉を開ける演出などもスウィートホームから取られている。
事件の元凶は、アンブレラ社の幹部養成所の所長だったジェームス・マーカス…に擬態した女王ヒル。
マーカスはヒルを用いたt-ウイルスの実験を行っていたが、1988年に幹部候補生時代のアルバート・ウェスカーとウィリアム・バーキンの裏切りにより暗殺され、研究の成果を奪われてしまう。マーカスは死亡したが、彼が可愛がっていたヒルは生き残った。そして長い年月をかけて死体と融合し、10年後の1998年5月初旬に記憶と人格を引き継いだ上で擬態に成功する。主の記憶を得た擬態マーカスは復讐のためアンブレラ社の施設であるアークレイ研究所を襲撃。5月11日にt-ウイルスの大規模漏洩事故を引き起こした。
ウイルスの漏洩で、研究所は瞬く間に感染者で占められる。研究員はゾンビと化し、管理下から離れたB.O.W.が脱走。少し離れた寄宿舎や洋館部分にいた関係者は防護服を着せられたが、既に手遅れだった。飼育員の日記によると、5月14日にケルベロスが集団脱走している。5月15日、地下に流出した薬品を吸収し、生長した巨大怪植物が寄宿舎に出現。研究員数名が犠牲となる。驚異的な生長速度に関心を持ったヘンリー・サートン研究員がプラント42と命名した。やがて発狂者や脱走者が出たようだが、機密保持のためか後者は射殺されている。ゾンビ化した研究員や一部のB.O.W.は外へ出たらしく、5月20日にラクーンシティ・シダー区マーブル河岸で若い女性の惨殺死体が発見されている。洋館では一人また一人と生存者が減り、ゾンビの数が増えていく。死を悟った研究員は遺書や手紙を書き残しており、それらはゲーム中で確認する事が出来る。
6月16日、アークレイ山地で怪生物(ケルベロス)の目撃例が多数寄せられる。同時期、孤立した民家に10人程度のゾンビが押し入って一家が惨殺される事件も発生。バイオハザード発生から1ヶ月が経過した6月22日、最後の生存者が自殺。洋館は完全に化け物の支配する世界となる。7月9日、アークレイ山脈で遭難者や行方不明者が続発した事で山道が閉鎖される事態となり、隣接するラクーンシティでは一連の猟奇事件が連日に渡って報道された。事態の収拾を図るアンブレラは明るみに出るのを防ぐため、アルバート・ウェスカーにラクーン市警特殊部隊S.T.A.R.S.の出動を阻止するよう命じたが、市民感情の高まりから出動せざるを得なくなった。そこでアンブレラは次にS.T.A.R.S.と洋館のB.O.W.を戦わせて戦闘データを取る事を企図し、再度ウェスカーに命じる。
7月23日、まずブラヴォーチームが派遣される。だがアークレイ山地上空に差し掛かったところでヘリがエンジントラブルを起こして墜落(ウェスカーの破壊工作が原因とされる)、全隊員が消息不明となる。ブラヴォーチームはケルベロスやゾンビと交戦しながらの逃避行を強いられ、生き残った者は洋館に逃げ込んだ。翌24日、消息を絶ったブラヴォーチーム捜索のためアルファチームが投入。墜落したヘリの残骸を発見して地面に降りたが、ケルベロスの襲撃によりジョセフ・フロストが死亡。怖気づいたブラッド・ヴィッカーズは仲間を見捨てて飛び去り、ケルベロスの群れから逃走を強いられる。クリス・レッドフィールド、バリー・バートン、アルバート・ウェスカー、ジル・バレンタインは逃げるように洋館へと入った。そこはゾンビと生物兵器が支配する魔の世界だった。
さらにウェスカーの謀略や、洋館の奇怪なからくりによってもS.T.A.R.S.の隊員たちは窮地に追いやられる。襲い来るゾンビや生物兵器の猛攻をかわし、からくりを解いて奥へと進んでいく隊員たち。研究所ではアンブレラ社が生物兵器を開発していた資料が発見され、非人道的な実験の数々が明るみに出る。一方、アンブレラ社も独自に動いており、幹部のセルゲイがアークレイ研究所からラクーン地下の研究所へデータを避難させている。黒幕のウェスカーは研究所が心血注いで開発していたタイラントを手土産にアンブレラ社を裏切ろうとしたが、自らが起動させたタイラントによって殺害された。だが彼にとってこの死は織り込み済みであり、友人ウィリアム・バーキンから貰っていた薬によって超人的な力を持って蘇った。
そしてジル、クリス、バリーの3名は、ブラヴォーチームの唯一の生き残りとなってしまったレベッカ・チェンバースとともに、一度は逃げたものの生存者を回収しようと上空待機していたブラッド・ヴィッカーズが操縦するヘリで脱出に成功するのだった(エンディング時点でのバリーの生死はプレイヤーの行動によって左右されるが、続編では生存したことになっている)。7月25日、起動した自爆装置によって洋館は跡形もなく吹っ飛び、ゾンビや生物兵器は一掃された。この時に生じた火災は、消防団の決死の消火活動にも関わらず広範囲に延焼している。死の淵から蘇ったウェスカーは自爆直前で洋館を脱出し、生還した。
その後、既に外へ逃げ出していたゾンビなどは証拠隠滅を図るアンブレラ社の特殊部隊によって掃討。こうして洋館事件は終結したかに見えたが、これはアンブレラという巨悪のほんの一部に過ぎず、漏洩事故は繰り返されていく事になる。この事件で大半の隊員が死亡したS.T.A.R.S.は事実上壊滅。後継として選抜警官隊が編成されるが…。
事件の生き証人となったメンバーは、アンブレラの悪事を公表すべく準備を進める。これに対しアンブレラ社のウィリアム・バーキン博士は賄賂を握らせているアイアンズ署長に命じて圧力をかけさせ、彼らの活動を妨害させた。生還者たちの必死の訴えは仲間には届かず、ブラッドは保身から沈黙する事となった。しかしジル、クリス、バリーの三人は独自に証拠集めに奔走する。その後バリーとクリスは長期休暇と称してラクーンシティを離れ、海外で独自に調査を続け、ジルは市内にあるアンブレラの重要施設を探るためにあえて留まった。
これらの生還者はアンブレラにとって不都合な存在であり、バイオハザード3では新型B.O.W.「ネメシスT-型(追跡者)」を投入してS.T.A.R.S.の抹殺を図っている。
太字は生還者。
映画『バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』では、ゲーム以外の媒体で初めて洋館事件が描写された。ただし本作はラクーンシティ事件と同時進行となっているため、尺の都合上かなりの変更点がある。
洋館(作中ではスペンサー邸と呼称)で死体が発見された事がきっかけで、S.T.A.R.S.のブラヴォーチーム2名が調査に派遣されるも、消息不明となる。1998年9月30日、ブラヴォーチーム捜索のためアルファチームが派遣され、2名の痕跡を辿ってスペンサー邸に到着。捜索を開始するが、ゾンビの襲撃によって殉職者が相次ぐ。尺が短いせいか、登場するクリーチャーはゾンビとクロウだけだった。生存者は隠し通路から地下研究施設NESTに向かったため、洋館部分の探索だけで終わった。ちなみにS.T.A.R.S.の認識ではスペンサー邸は長らく「空き家」で、何故ゾンビがいたのかは謎である。おそらく地下のNESTから出てきたと思われる。
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最終更新:2025/12/08(月) 02:00
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