この世界は、戦いに満ちている。
真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました
とは、ざっぽんによる小説作品である。
概要
2017年10月より小説投稿サイト「小説家になろう」にて連載が開始された。
2018年6月より角川スニーカー文庫にて書籍化が始まり、イラストはやすもが担当する。また、2018年5月より池野雅博による同名のコミカライズも月刊少年エース(KADOKAWA)にて連載されている。単行本は2023年5月現在それぞれ13巻・11巻まで刊行され、シリーズ累計は240万部を突破、テレビアニメ化やPCゲーム化も行われている人気作品である。
あらすじは大体タイトルの通りである。あまりにタイトルが長いので「真の仲間」という略称が使用されている。0巻となる過去話を収録した巻では「真の仲間 episode.0」となっていたりする。
書籍版は1巻まるごと書き下ろしの巻もあるなど大幅加筆されており、Web版と物語の進行が一部異なる。漫画版で書籍版から展開が更に加筆されている箇所もある。
「追放」に目が向きがちだが、デミス神から等しく与えられる「加護」と人々それぞれの人生についても物語内で深く掘り下げられている。
ストーリー
「君は真の仲間ではない――」最前線での戦いについていけなくなってしまった英雄・レッドは、仲間の賢者に戦力外を言い渡され勇者のパーティーから追い出されてしまう。
「はぁ、あんときは辛かったなぁ」レッドが抜けた事で賢者達が大パニックになってるとは露知らず、当の本人は辺境の地で薬草屋を開業しようとワクワクした気分で過ごしていたのだが……
「私もこのお店で働いていいかな? 住み込みで!」突如かつての仲間であるお姫様が自宅まで訪ねてきて!?
追い出された英雄は第2の人生で報われる――。お姫様との幸せいっぱいな辺境スローライフ開幕!!
――原作のあらすじより
主な登場人物
※CV複数表記の場合、アニメ版/ドラマCD版。
レッド&リット薬草店
- レッド(ギデオン・ラグナソン) CV:鈴木崚汰/梅原裕一郎
- 本作の主人公のDランク冒険者。薬草の採取と販売で生計を立てながら自分の薬屋を営んで穏やかに暮らすことを目指し、のちに念願の薬草店を開業する。薬や病気に関する知識は医師のニューマンを唸らせるほど。
- その正体は弱冠17歳でアヴァロニア王都精鋭バハムート騎士団の副団長となり、妹の『勇者』ルーティと共に「人類希望の双翼」と呼ばれた走竜騎士ギデオン・ラグナソン。自分の意志に関係なく勇者の加護に翻弄されるルーティを護るために騎士団に所属し実力を付けていたが、ルーティとともに勇者パーティーとして同行した際には食事の手配や先々での交渉など雑務を一手に引き受けていた。
- しかし彼の持つ『導き手』の加護は「初期レベル+30」と能力値こそ高いが専用スキルや武技(必殺技的なもの)、魔法が一切習得できずメンバーのレベルが追いつくにつれ戦闘で足を引っ張るようになる。アレスから実力不足の名目で勇者パーティー追放を言い渡され、ギデオンもそれを自覚していたことと、ルーティがアレスと恋仲であると確信(誤解)し「自分の役割は終わった」と判断したため勇者パーティーを離れる。その後は辺境都市国家ゾルタン共和国にたどり着き「レッド」の名で第二の人生を歩む。
- リット(リーズレット・オブ・ロガーヴィア) CV:高尾奏音/花守ゆみり
- 『英雄リット』の通り名でゾルタンでは知らない者のいない、名実ともにトップクラスの冒険者。レッドがゾルタンに来て薬屋を開設したことで冒険者をやめ、レッドの薬屋に住み込んで働いている。『スピリットスカウト』の加護を持ち、ショーテルを武器とする戦士ながら精霊魔法を使う事ができる。
本来は軍事国家ロガーヴィア公国の第二王女だが、魔王軍に対する国の防衛や戦後の復興で活躍したことで弟の皇太子を上回る名声を得てしまったため、王位継承権の混乱を避けるため自ら国を離れゾルタンに流れ着いた。
ギデオン他勇者パーティーとは、魔王軍の攻勢から防衛する際に共闘したため面識がある。
ツン期の終わった元ツンデレ。
- 勇者パーティーがロガーヴィアを去ってからのリットを描いたスピンオフ作品「真の仲間になれなかったお姫様は、辺境でスローライフすることにしました」(漫画:東大路ムツキ)が少年エースplusにて連載中。
勇者パーティー
- ルーティ・ラグナソン CV:大空直美/竹達彩奈
- レッドの妹。『勇者』の加護を持つ勇者パーティーの中心人物。勇者の加護は強力であり、睡眠も食事も水も必要もなく熱さや寒さも耐えられる他剣術・回復魔法も圧倒的な実力を持っている。一方勇者の加護の影響で「近くに怪我をしている人が居れば自身の事情を顧みず救わずにはいられない」など勇者らしい行動を強制されるほか、感情を表現することもできず、相手に威圧感を与えてしまう弊害をもっている。兄を強く慕っている。
- アレス・スロア CV:八代拓
- 魔道師系最高峰『賢者』の加護を持つ、没落した公爵家の嫡男。そのため勇者パーティーとして成功することで家の再興・出世を求めているため上昇志向が強く傲岸不遜な性格である。加護の影響で自身に絶対的自信をもっているため、自分より遙かに劣る加護でありながら周囲の信頼を集めるギデオンに対し強いコンプレックスを抱いているほか、家の再興に役立つルーティを篭絡しようと企んでいる。
- ギデオンが足手まといとなったことを引き合いに出して問い詰めパーティーから追放し、主導権を握ることに成功する。しかし独断でギデオンを追い出した事、その後ギデオンが請け負っていた雑務全般を自ら引き受けながらプライドの高さから失敗しては言い逃れと責任転嫁を繰り返す事から他のメンバーから信用を失いパーティーは瓦解してしまう。
- ヤランドララ CV:雨宮天
- 精霊魔術師系最高位の一つ『木の歌い手』の加護を持ち植物を自在に操る事ができるハイエルフの女性。ギデオンが騎士となるべく王都に来た頃から交流があり、恋愛感情を超えた信頼関係を持っている。それ故ギデオンが他人のために傷つき続ける未来を危惧し、ロガーヴィアでギデオンと再会した際一緒に居たリットの想いにギデオン自身の幸せを託そうとする。
- その後正式に勇者パーティーの一員となり行動を共にするが、アレスが独断でギデオンを追い出した事、そして誰一人彼を連れ戻そうとしなかった事が信頼を重んじるハイエルフの彼女には堪え難く、失意と共に勇者パーティーを去る事となる。
- 書籍版では、ルーティがゾルタンに居着いた後にゾルタンにギデオンの居場所を探しに来るが…、紆余曲折ありゾルタンにしばらく滞在することになる。Web版とは合流点が異なる。
- ダナン・ラボー CV:三宅健太
- 『武闘家』の加護を持つ筋骨隆々の大男。魔王軍に滅ぼされた町で道場主をしており復讐のため戦っているが、それを感じさせない豪快な性格。「疲れているので気分転換に特訓する」とか当然のように言い出すほどの脳筋。
『武闘家』というありふれた加護ながら研鑽を極めた武の力は高位の加護持ちを遙かに凌ぎ(『勇者』を別格として)間違い無く人類最強の域。レッドに「彼ほど加護に愛され、自分の加護を愛した者はいない」と言わしめるほど。
ダナンもギデオンの事は戦闘時の失態を責めながらも兵法家として尊敬していた。
- テオドラ・ディフィーロ CV:内田彩
- 『クルセイダー』の加護を持つ人類最高峰の法術使いにして聖堂騎士流槍術師範代の女性。ストイックな性格で武人肌。ギデオンの事は戦闘巧者として高く評価しており、彼が抜けた事で勇者パーティーが瓦解しかけている事態を憂慮している。
- ティセ・ガーランド CV:釘宮理恵
- 『アサシン』の加護を持つ暗殺者の少女で、アレスがギデオンとヤランドララの抜けた穴を埋めるために雇った。
暗殺者ギルドでも屈指の実力者でルーティの前でも顔色を変えない胆力の持ち主・・・と誤解されがちだが、訓練によって感情と表情を切り離しているだけである。内面は常識人で「人間関係がギスギスしていると落ち込むタイプ」。
おでんのちくわを好み、お風呂をこよなく愛する。暗殺者仲間から「浴場レビューアー」と呼ばれるほど。紆余曲折を経てルーティとは主従を超えた関係となる。
- うげうげさん
- ティセのペットの蜘蛛(ジャンピングスパイダー)、『さん』までが名前。
ティセとは『アサシン』のスキル“蜘蛛との共感”によって意思疎通ができるが、レッドに対しても身振りでコミュニケーションが可能なほど高い知能を持つ。また『勇者』の奥に隠れたルーティの本質を見抜く観察眼、友のためなら危険を顧みない勇敢さも併せ持ったハイスペック蜘蛛さん。
- 持っている加護は最下級の『闘士』ながらティセと共に数多の死線を潜ってきたためレベルは高く、踏まれた程度では死なない(そもそも簡単には踏まれない)。
ゾルタンの人々
- ゴンズ CV:山中真尋
- レッドと親交の深いハーフエルフの大工。職人らしい豪快な性格と確かな技術を持っている。
既婚者だが妻に先立たれており、甥のタンタを我が子のように可愛がっている。
なお、作中の「ハーフ○○」は両親が人間と異種族では無く、先祖のどこかに異種族の血が混じり、それが完全に薄くなっていない人間の事を指している。
- タンタ CV:芹澤優
- ゴンズの甥のハーフエルフでレッドにもよく懐いている。まだ加護に触れられていないが、将来はゴンズのような大工になりたいと思っている。彼が失明の恐れがある『白眼病』を発症した事から物語は動き出す・・・
- ナオ CV:徳井青空
- ゴンズの妹でタンタの母親のハーフエルフ。エルフの血を引く端整な顔立ちで中身は下世話な話の好きな下町のオバチャン。同棲を始めたレッドとリットを応援している。
- ミド CV:三品健
- ナオの夫でタンタの父親。ハーフエルフでは無い人間で、元冒険者の大工。ゴンズほど器用では無いが計算が速く大雑把なゴンズのフォローが上手く、ゴンズも本人がいない所でよく褒めている。
- ニューマン CV:魚建
- 町の診療所の医師。”高速調合”のスキルを持ちレッドが持つ”初級錬金術”の3倍の速さで薬の調合ができる。
- タンタの『白眼病』を共に診た縁からレッドを信頼し、薬屋を開業する際には商業ギルドへの口添え等の協力をした。
- ストームサンダー CV:上田燿司
- ハーフオークの家具職人。町の人々は「ストサン」、リットは「ストっち」と呼んでいる。
- 王族のリットも認める高い技術を持つが、魔王軍の尖兵たるオークの血を濃く残す容姿から他国では迫害を受けゾルタンに流れ着いた経緯を持つ。
- 口が悪く喧嘩っ早く金持ちには弱いが、義理と人情には厚い下町の住人。
- ゼフ CV:田島章寛
- 公衆サウナの店主。60年以上の古い店でナオのように幼少期から通っている常連も少なくないが、最近出来たスーパー銭湯中央気風の公衆浴場のため客足が遠のいており廃業を意識し始めている。
- モグリム 声 - 鳩岡大輔
- 下町に住むドワーフの鍛冶師。ドレイクスレイヤーを自称し隙あらば客に自身の武勇伝を語って聞かせようとするが真偽は不明。
- 職人系上位『ルーンの鍛冶師』の加護を持つが、魔法が全く扱えないため加護の真価である「武具への魔法効果付与」ができない。とは言え純粋な鍛冶師として優秀なため、冒険者だけでなくゴンズやストサン、ニューマンといった仕事上刃物を使う面々からも信頼されている。人間の妻・ミンクとは種族を超えた大恋愛の末に駆け落ち同然にゾルタンへ移住してきた。
- ・・・のだがアニメではその辺り全て(奥さんに関しては存在ごと)カットされ、ただの偏屈な武器屋の親父になってしまった。
- オパララ CV:石原夏織
- おでんの屋台を切り盛りするハイエルフの女性。年齢から閉店を考えていた先代店主に直談判で弟子入り、その味を引き継いだ。ハイエルフは凝り性との事で、口調も先代を真似ている。
- メグリア CV:東山奈央
- ゾルタンの冒険者ギルドの受付嬢。レッドが採取してきた薬草の買取りも彼女の担当。
有能で上品さも備えたレッドに対して信頼を寄せ、強い騎士だったのを隠しているのではないかとも考えている。
- マヤ CV:豊田萌絵
- アニメオリジナルの女性冒険者でオリバー、キースと3人で行動している。装備しているブレストプレートとロングソードから戦士系の加護と思われる。レッドとは薬草店の開業祝いに3人で出席する等良好な関係。
- 同じ女性冒険者としてリットに憧れを抱いていたようで、本人から冒険者引退の話を聞いた際は泣きながら薬草店を飛び出していた。
- オリバー CV:木村圭助
- アニメオリジナルの男性冒険者でマヤ、キースと3人で行動している。皮鎧とショートソードを装備している。成り上がりたいが頑張るのは好きじゃないと、良くも悪くもゾルタン人らしい性格。
- 漫画版8巻収録のSSによればDランクで『盗賊』の加護持ち、サウスマーシュ区出身とのこと。
- キース CV:若林佑
- アニメオリジナルの男性冒険者でマヤ、オリバーと3人で行動している。スキンヘッドでローブを纏っている。
- アル CV:木下鈴奈
- タンタの友人でハーフエルフの少年。サウスマーシュ区の貧民街に両親と暮らしている。
- 『ウェポンマスター』の加護を持つが、加護に触れて暴力的になったアデミを目の当たりにして自分も加護によって変わってしまうのでは?という不安を抱いている。
- 「悪魔の加護」事件をアデミと共に解決に尽力したことで成長し、冒険者として独り立ちする。
- アデミ CV:柚木尚子
- タンタ達と喧嘩していたガキ大将。『喧嘩屋 』の加護を持ち、喧嘩の仲裁に入ったレッドが「類稀なる『喧嘩屋』の天才」と評するほど。
- 衛兵隊長モーエンの息子。父のように暴力を取り締まる側でありたいとの思いと、暴力で事態を解決しようとする加護の衝動の間で悩み、そこに付け入られる形で「悪魔の加護」事件に巻き込まれる。
- ガラティン CV:中村光樹
- 冒険者ギルド幹部。2メートル近い長身で視線だけで並の冒険者なら震え上がらせるほどの威圧感を持つ。リットの冒険者引退を撤回させるべくレッドの薬草店を訪れる。
- 実は下町出身で仲間意識が強く、タンタが衛兵に連行された際はレッド達も捜査に参加出来る様に取計らった。
- モーエン CV:鳴澤卓/石井隆之
- 衛兵隊長。捜査に対する冷静かつ多角的な視野、自身や隊の非に関して素直に謝罪できる謙虚さを持つ・・・が親馬鹿で息子のアデミが関わると私情を隠せなくなる。
- ガラティンとモーエンに教会トップのシエン司教と前市長の『アークメイジ』ミストーム師(ともにアニメ未登場)を加えた4人は「先代Bランクパーティー」と呼ばれ、ゾルタンを護ってきた英雄として人々に慕われている。
- ビュウイ CV:興津和幸
- 浅黒い肌をした流れの冒険者。とある事件の最中にリットの紹介でレッドの前に現れ解決に協力、その後ギルドの計らいで空席になっていたBランク冒険者になるも、すぐ行方不明に。その正体はロガーヴィアでルーティ達に討たれたはずのシサンダン。
対立・敵対者
- アルベール・リーランド CV:天崎滉平
- ゾルタンでは数少ないBランク冒険者。困難を乗り越え偉業を達成する英雄の加護『ザ・チャンピオン』を持ち万年Dランクのレッドを見下しているが、中央で通用せずゾルタンに流れ着いた経歴があり英雄としての力と存在意義を示さなくてはと焦っている。
- ディル CV:利根健太朗
- 『火術士』の加護を持つ男。猫背で、頬が削げ、不健康そうな肌をしている。モンスター討伐のため山に入る事になったアルベールが山中の案内役として雇った。
レッドやリットは忘れているが、実は二人とはロガーヴィア時代から因縁浅からぬ関係。
- ビッグホーク CV:稲田徹
- 盗賊ギルドのナンバー2で巨軀のハーフオーク。ゾルタンの支配者となることを望み、「悪魔の加護」事件を引き起こして貧民街の住民を扇動し、革命を起こそうとした。
- ゴドウィン CV:岩澤俊樹
- 盗賊ギルド所属の錬金術師。ビッグホークの側近として「悪魔の加護」精製に携わる。事件後は収監されていたが、思いもかけず勇者パーティーの内紛に巻き込まれた不幸な人物。
- シサンダン CV:興津和幸
- 魔王軍の将、6本の腕を持つアスラデーモン。人間を食べることによって容姿や能力ばかりか記憶や知識まで自分の物とする能力を有し、ロガーヴィアではリットの師匠でもある近衛兵長ガイウスに成り代わって国を内側から崩壊させようと暗躍していた。
その他
- ガイウス CV:三苫紘平
- ロガーヴィア公国の近衛兵長。リットにとっては剣術の師匠で唯一尊敬する人物。「剣には哲学がある、そして哲学を加護は与えてくれない」とリットに説いていた。
- ギデオン達が王宮に出入りするようになった頃には既に暗殺されシサンダンに成り代わられていた。
- クリス CV:大西沙織(ドラマCDのみ)
- ドラマCDで登場。バハムート騎士団時代のレッドの部下。ある目的からゾルタンを訪問する。
世界について
地理関係
- アヴァロン大陸
- 大陸の一つ。東西に長く、中央東寄りに『世界の果ての壁』という山脈が南北に連なり、東西の交流は乏しい。多くの国が存在するが、慣例として「王国」を名乗る国が7つあり、「アヴァロンの七王国」と称する。但しそのうちの一つ「フランベルク王国」は既に魔王軍によって滅ぼされている。魔王軍では「眩光大陸」と呼ぶらしい。
- 暗黒大陸
- 大陸の一つで、魔王軍が拠点とする。本編中ではほとんど触れられておらず、わかっていることは少ない。
- ゾルタン共和国
- アヴァロン大陸南東に位置する小国で、本編の主な舞台。海に面した河口という水に恵まれる湿地帯。立地が戦略上意味のない場所であるため、魔王軍の侵攻にさらされてはいない辺境。基本的に温暖だが夏の蒸し暑さが長く続く上、海からの大嵐にしばしば襲われ、住居や耕作地が被害にさらされる。そうした環境で住民には怠惰だが大らかな気性が醸成され、恨み言を引きずらず、無闇に他人を詮索しない。
- ロガーヴィア公国
- アヴァロン大陸北方の軍事国家で、リットの出身地。強硬な外交姿勢のため周辺国家と軋轢があった。魔王軍の侵攻にさらされたが、勇者パーティーの助力もあって事なきを得ている。
- アヴァロニア王国
- アヴァロン大陸中央を占める最大の国家で、レッド・ルーティ等の出身地。同国バハムート騎士団は魔王軍への対抗を続けており、ルーティを「勇者」と認めた最初の国。
語句・組織
- デミス神
- この世界をただ一柱で創世した神とされる。人々に「加護」をもたらすことから実在が信じられ、信仰されている。
- 聖方教会
- デミス神信仰を広める宗教組織。最高指導者は「教父」。拠点はアヴァロニア王国内にある「ラストウォール大聖砦」。国家の軛を越え、大陸全体に広がっている。
- ギルド
- 同じ職能を持つもの同士の互助組織。商人ギルド、冒険者ギルド、盗賊ギルド、更に暗殺者ギルドなどが存在する。ちなみに暗殺者ギルドは、『アサシン』の加護を持つ者同士が社会に溶け込めるように助け合うことを目的とし、加護に由来する殺人衝動を解消できる最小限の暗殺依頼を請けている。
- 魔王軍
- アヴァロン大陸を侵攻する軍勢で、「憤怒の魔王」が統率する。現在の魔王タラクスンの命により侵攻を開始した魔王軍は、フランベルク王国を滅ぼすなどしてアヴァロン大陸の半分を勢力下においたが、勇者パーティーや騎士団などの反撃に遭い敗走、戦線を縮小しつつある。魔王軍四天王やシサンダンなど強力な戦士もいるが、多くはデーモンなどの指揮官が率いるオークやゴブリンなどの兵団のようである。
加護
本作における最重要設定。デミス神よりもたらされる人生の指針とそれを助ける力。
- 人・動物・モンスター問わず必ず一つ与えられる。但しアスラデーモンは加護を持たない。
- 途中で増えたり、無くなったり、あるいは違う加護に変化することはない、とされる。
- 数多くの種類の加護があり、何が与えられているかは原則的に本人のみが知る。自身の加護の存在を初めて感じることを「加護に触れる」と表現する。
- 人間には非常に多種類の加護が存在するが、多くの人は『闘士』等ありふれた加護を有する。『賢者』や『帝王』などは珍しい加護だが、そうした希少な加護には強い力とそれに伴う大きな使命があるとされる。
- 逆に『殺人鬼』や『拷問吏』のようなネガティブな加護もある。その役目は最終的に他者に討伐される事、という解釈がある。
- 人間以外だと加護の種類は少なく、動物では『キャトル』『ビースト』という加護が大半を占める。デーモンは(アスラデーモンを除き)『○○デーモン』という加護を持つ魔族であり、姿に多少の違いがあっても『アックスデーモン』という加護を持つ魔族は全てアックスデーモンである。
加護にはレベルが設定されており、後述の行為によりレベルを上げることができる。
- 『導き手』を除き、加護に触れた段階での初期レベルは「1」である。
- 「自分以上の加護レベルを持つ者」を殺すことでのみ、自分の加護レベルを上げることができる。『薬師』や『鍛冶師』のような非戦闘系の加護でも同じである。言い換えればどれだけ薬の調合や武具の制作等を行っても加護レベルを上げる事はできない。
- 加護が1レベル成長するごとに「スキルポイント」が得られる。これを消費し「スキル」を新規に取得したり、取得済みスキルのレベルを上げることが可能。
- スキルは、加護の力により訓練・勉強・肉体改造といった過程を飛ばして得られる技能・異能である。どんな加護でも取得できるコモンスキルと特定の加護のみ取得できる固有スキルがあり、後者の方が強力である。魔法や武技も固有スキルに含まれる。
- スキルのレベルを上限(コモンスキルでは概ね11)まで上げる事で"マスタリー"となり、その効果が大幅に上昇する(例:応急手当てマスタリー"場当たり的な神医"は、病気の原因が不明でも症状を緩和させる手段が分かる)。ただしコモンスキルマスタリーと同等の効果が固有スキルのレベル1で取得できるケースも多く、スキルをマスタリーまで上げる事自体が稀なためあまり知られていない。
- 加護レベルを上げると、前述のように過程・経験の積み重ね不要で高い職能を得られるため、騎士でも冒険者でもない一般人ですら、加護レベル上げのために狩りや冒険を行う。
- こうした一般人の「加護レベル上げのサポート」は、冒険者にとってはありふれた依頼の一つであるが、誤って冒険者自身がとどめを刺してしまい、依頼失敗になる事例もまた多い。
加護には様々な面があり、必ずしもその人に幸をもたらすとは言い切れない。
- 加護に従って行動することで、ほのかな幸福感がもたらされる。前述の「加護によるスキルの強さ」と相俟って、加護に従うことがよい生き方だと心と体に刻み込まれるのである。
- 一方で加護には、その生き方をある種強要する「衝動」がはたらく。ありふれた加護は衝動が弱く、本人の意思・嗜好をさほど阻害しないが、強力な加護を持つと相対的に衝動も大きくなる。『勇者』の加護はルーティに無双の力を与えた一方で、感情をも縛る鎖となり、自由な行動を奪っていた。『賢者』の加護はアレスに無類の魔法の力や洞察力をもたらしたが、「誰より賢くあれ」という衝動から、他人の意見を軽んじる独善的な振る舞いが促された。
- 加護はデミス神から授けられるものなので自分で選ぶ事はできない。学者肌の本好きが『武闘家』の加護を得てしまうと、自身の嗜好と加護の衝動との間で深刻な悩みを抱えることになる。もっとも、世襲である各国の王族などは加護に関わらず王族として振る舞わねばならず、常に加護の衝動と戦っているといえる。
テレビアニメ
2020年10月にテレビアニメ化が発表された。当初は2021年7月放送開始を予定していたが、諸般の事情により2021年10月放送開始予定に変更した。(公式サイトの告知)
2022年10月末に、テレビアニメ第2期の製作が発表された。
スタッフ
- 原作:ざっぽん(株式会社KADOKAWA 角川スニーカー文庫刊)
- 原作イラスト:やすも
- 監督:星野真
- シリーズ構成:清水恵
- メインキャラクターデザイン:渡辺るりこ
- サブキャラクターデザイン:大川美穂子、松本淑恵、水谷麻美子
- モンスターデザイン:岩永悦宜
- プロップデザイン:岩永悦宜、田内亜矢子、杉田葉子
- 総作画監督:大川美穂子、松本淑恵、水谷麻美子
- 美術設定:大平司
- 美術監督:芦野由紀子
- 色彩設計:水野愛子
- 撮影監督:武原健二
- 編集:柳圭介
- 音響監督:阿部信行
- 音響制作:オンリード
- 音楽:橋本由香利
- 音楽制作:日本コロムビア
- アニメーション制作:ウルフズベイン×スタジオフラッド
放送・配信情報
放送情報
| 放送局 |
放送開始日 |
曜日 |
時間 |
備考 |
| AT-X |
2021年10月6日 |
水曜 |
22時30分~ |
リピート放送あり |
| TOKYO MX |
23時30分~ |
|
| BS日テレ |
|
| KBS京都 |
|
| サンテレビ |
24時30分~ |
|
配信情報
| 配信サイト |
配信日 |
曜日 |
時間 |
備考 |
| dアニメストア |
2021年9月29日 |
水曜 |
21時00分~ |
第1話WEB先行上映会
(会員限定先着1000名)
|
dアニメストア
(ニコニコ支店)
|
2021年10月6日 |
23時00分~ |
独占・地上波先行配信 |
| ニコニコチャンネル |
2022年1月13日 |
木曜 |
24時00分~ |
|
各話リスト
| 話数 |
サブタイトル |
脚本 |
絵コンテ |
演出 |
作画監督 |
配信日 |
dアニメ |
| 01 |
俺は真の仲間じゃないらしい |
清水恵 |
星野真 |
吉田翔太 |
2021
10/6 |
|
| 02 |
勇者の仲間にならなかったお姫様 |
笹野恵 |
中村哲治 |
南康宏 |
吉田翔太/瀬尾康博 |
10/13 |
|
| 03 |
2人でスローライフを始めよう |
小林寿徳 |
岡田雅人/宮かなえ
echo |
10/20 |
|
| 04 |
蜂蜜酒の理由 |
清水恵 |
本間修 |
中島駿/田内亜矢子
石原彩子/中弥幸一 |
10/27 |
|
| 05 |
琥珀の中の指輪 |
小鹿りえ |
宗廣智行 |
金元会
安井響 |
Kang Dong Ha
Lee Seong Hee
Jeon Jong Min |
11/3 |
|
| 06 |
始まりの凶行 |
清水恵 |
荒井省吾 |
五月女有作 |
成元鎔 |
11/10 |
|
| 07 |
嵐の後に燻る火 |
小鹿りえ |
中村哲治 |
田内亜矢子/吉田翔太 |
11/17 |
|
| 08 |
英雄になろうとした男 |
笹野恵 |
南康宏 |
田内亜矢子/石原彩子
中島駿/鈴木奈都 |
11/24 |
|
| 09 |
穏やかな日々 |
香椎葉平 |
高藤聡 |
Kang Dong Ha
Lee Seong Hee
Jeon Jong Mi |
12/1 |
|
| 10 |
これは勇者を救う物語 |
清水恵 |
徳本善信 |
大久保歩美/水原らくら
吉田翔太/渡辺るりこ |
12/8 |
|
| 11 |
英雄達はゾルタンに集う |
宗廣智行 |
五月女有作 |
成元鎔/趙雅羅
崔允希太/渡辺るりこ |
12/15 |
|
| 12 |
別れ道 |
星野真 |
田内亜矢子/吉田翔太
山本雄貴/水澤智可
中弥幸一/下川寿志 |
12/22 |
|
| 13 |
導き手 |
及川啓
星野真 |
中村哲治 |
田内亜矢子/山本雄貴
中弥幸一
Lee Seong Hee
Choi Kyung Seok
Kim Jongh Heon
Kang Dong Ha
Jeon Jong Min
Kim Jung Woo |
12/29 |
|
主題歌
- オープニングテーマ「息を吸う ここで吸う 生きてく」
- 歌:ゆいにしお
- 作詞・作曲:ゆいにしお 編曲:水口浩次
- エンディングテーマ「みんなおなじ」
- 歌:JYOCHO
- 作詞・作曲:中川大二朗 編曲:JYOCHO
WEBラジオ
- 真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフラジオすることにしました
- パーソナリティ:鈴木崚汰(レッド 役)、高尾奏音(リット 役)
- インターネットラジオステーション<音泉>にて10月8日(金)より隔週金曜日配信
関連チャンネル
関連生放送
ドラマCD
小説5巻特装版の特典として収録・同梱された。アニメ版とはキャストが異なる。時系列は書籍版4巻以降で、原作者書き下ろしオリジナルストーリーである。甘々シチュエーションボイスや目覚ましボイスも収録されている。
キャスト
- レッド:梅原裕一郎
- リット:花守ゆみり
- ルーティ:竹達彩奈
- クリス:大西沙織
- ハビエル:高橋良輔
- モーエン:石井隆之
- ストーカーデーモン:伊藤隼人
- 冒険者:谷口敦志
- 門番:山根雅史
- スノウ:高橋奈津江
- 女性:櫻井菜々絵
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スタッフ
- 脚本:ざっぽん
- イラスト:やすも
- 音響監督:村松久進
- 音響効果:白石唯果
- 録音調整:郡司哲也
- 録音スタジオ:グロービジョン九段スタジオ
- 音響制作:グロービジョン
- プロデュース:宮川夏樹
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ゲーム
2021年10月7日より、Steamにて「Slow living with Princess」のタイトルでアーリーアクセスを開始した。
開業した薬草店を切り盛りして大きくしたり、リットと仲を深めたり、クエストをこなしたり…といったカントリーライフRPGであるが、原作と異なり始めからルーティがいる。大型アップデートにてヤランドララも登場している。シナリオは原作者の完全監修。
- 開発元:KADOKAWA, TSUKURITE.
- パブリッシャー:0UP GAMES
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スピンオフ
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関連リンク
関連項目
- 小説作品一覧
- 小説家になろう
- 漫画作品一覧
- アニメ作品一覧
- 2021年夏アニメ → 2021年秋アニメ
- ニコニコ動画公式配信アニメ作品一覧
- 現地主人公
- 追放系