真梨幸子 単語

マリユキコ

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真梨幸子(まり ゆきこ)とは、日本の小説家。メディアでは湊かなえ、沼田まほかると並べて「イヤミス」作家として呼ばれる事もある。

概要

1964年生まれ。多摩芸術学園映画科卒。

2005年に寄生虫を題材にしたエログロホラーミステリ『孤虫症』で第32回メフィスト賞を受賞しデビューを果たす。

しかし、しばらくは全く本が売れず、文庫化はおろか、単行本の重版もかからなかった。その売れなさ具合は「真梨幸子という名前で作品を出すのはもう止めようか」と編集から提案されるほどであった。2011年には仕事がなくなりホームレス寸前まで追いつめられたという。

しかし2008年に発表した『殺人鬼フジコの衝動』が2011年に文庫化されると、書店員の仕掛けや、同じイヤミスと呼ばれる湊かなえの『告白』の大ヒットもあり、沼田まほかるの『九月が永遠に続けば』と一緒に突然バカ売れし始めた。結果、50万部を超えるベストセラーになったことで知名度が上がり作家生活を続けられることになる。

『殺人鬼フジコの衝動』は2012年には書き下ろし短編『私は、フジコ』を追加した限定版も出版されている。この短編は『殺人鬼フジコの衝動』と続編となる『インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実』の間を埋めるものとなる。

男女間や女同士のドロドロとした人間関係から、登場人物がふとしたきっかけで狂気に堕ちていくというパターンが多く、ほとんどの作品が皮肉や悲劇的な結末となり読後感が悪い。心理ミステリー、叙述ミステリーの範疇に入る作品が多く、探偵が謎を解くタイプの作品は少ない。その作風は「読み終えたらイヤな気分になるミステリー」、略して「イヤミス」と称される。

作品は基本的に(『殺人鬼フジコの衝動』の続編である『インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実』を除き)個々に物語は独立しているが、ある作品のキャラがまた他の作品にも登場することがあり、いくつかの作品には繋がりがある。(例『女ともだち』と『深く深く、砂に埋めて』、『孤虫症』と『私が失敗した理由は』、『カウントダウン』と『ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで』など)しかし前作を読んでいないからといってのネタバレがあったり物語の理解ができなくなるようなものでは全くない。ただ『深く深く、砂に埋めて』に関しては文庫の帯に「『女ともだち』を先に読むように」との注釈が書かれている。

文庫化に際し、タイトル・表紙変更が多い。2015年以降はタイトル変更は無くなっているが、表紙の変更は変わらず多い。また巻末の文庫解説の掲載は俳優の黒木瞳が解説を担当した『鸚鵡楼の惨劇』以降、無くなっている。黒木瞳は真梨幸子作品のファンを公言しており、偶然なのか『更年期少女 (みんな邪魔)』 では黒木瞳が登場人物のとある台詞の中で登場している。

作者のエピソード

・グループ・サウンズの大ファンであり、ペンネームの「真梨」は、ザ・タイガースの楽曲「僕のマリー」に由来する。

・あまりにも過激な内容の作品が多いため、映像化は困難とされ、今まで数々の映像化企画が頓挫してきた。しかし、2015年にはWOWOWで『5人のジュンコ』、動画配信サービス「Hulu」で『殺人鬼フジコの衝動』(ドラマでは『フジコ』と改題)と徐々に映像化が実現している。作者本人としては、どんどん他の作品も映像化して欲しいようだが、デビュー作の『孤虫症』は自身で原作を読み返せない程気持ち悪いとのことなので、映像化されても観られないとのこと。しかし第20作目となる『私が失敗した理由は』を執筆する際、関連作となる『孤虫症』を仕方なく読み返すはめになったらしい。

・ブログや期間限定ではあるがツイッター(@MariYukiko)なども開設しており、そこでは時事ネタや出版業界の裏話、果ては自身の作品の売れ行きを赤裸々に語っている。しかし近年猫を飼い始めたらしく、そこから猫の話題が激増している。

・2017年8月にフジテレビ系列の『アウト×デラックス』に出演した。珍しくテレビへの露出だっため、芥川賞作家・羽田圭介の『成功者K』を予習として読んだらしい。(参考になったのかは不明)

・連ドラ、朝ドラ愛好家。近年では『ファースト・クラス』『東京タラレバ娘』『相棒』『砂の塔』などを気に入っており、自身の作風と同じようなミステリー、ドロドロものなどを気に入る傾向にあるようだ。問題になった『相棒』における「シャブ山シャブ子」の演出においては「覚醒剤の恐ろしさがわかる素晴らしい演出」と肯定的な見方をした。

・文学賞にはさほど興味の無い旨の発言をTwitterで行っている。第28回の山本周五郎賞候補になった際、選考委員の白石一文の選評で「(これから文学賞を狙うなら)真梨さんには、今まで使っていた筋肉と別種の筋肉を使った作品を一度書いてみることを勧めたい」と言及されているが、2020年現在、作風に大きな変化は見られない。

受賞・候補歴

メフィスト賞

  • 『孤虫症』...第32回受賞。応募時のタイトルは『パーフェクト・サイクル』

山本周五郎賞

  • 『人生相談。』...第28回候補。

作品リスト

タイトル 単行本
(発行年)
文庫
(発行年)
備考
1 孤虫症 講談社(2005) 講談社文庫(2008) ・第32回メフィスト賞受賞作。
・関連作は『私が失敗した理由は』
2 えんじ色心中 講談社(2005) 講談社文庫(2014)
3 女ともだち 講談社(2006) 講談社文庫(2012) ・関連作は『深く深く、砂に埋めて』
4 深く深く、砂に埋めて 講談社(2007) 講談社文庫(2011) ・関連作は『女ともだち』。文庫の帯には『女ともだち』を先に読むように。と書かれている。
5 クロク、ヌレ! 講談社(2008) 講談社文庫(2012)
6 殺人鬼フジコの衝動 徳間書店(2008) 徳間文庫(2011)
【限定版】徳間文庫(2012)
・2012年に続編『インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実」との間を埋める短編小説『私は、フジコ』と2冊セットになった限定版の文庫が発売された。
・2013年、2015年に舞台化。主演は新垣里沙。
・2015年、11月13日より動画配信サービス「Hulu」でオリジナル連続ドラマ『フジコ』全6話が配信。主演は尾野真千子。
7 ふたり狂い 早川書房(2009) ハヤカワ文庫(2011)
幻冬舎文庫(2016)
・2016年に幻冬舎文庫から新装版文庫が発売。
8 更年期少女 双葉社(2010) 幻冬舎文庫(2011) ・文庫化に際し『みんな邪魔』に改題。
9 聖地巡礼 講談社ノベルス(2011) 講談社文庫(2015) ・文庫化に際し『カンタベリー・テイルズ』に改題。
10 パリ黙示録 1768
娼婦ジャンヌ・テスタル殺人事件
徳間書店(2011) 徳間文庫(2013)
【新装版】徳間文庫(2021)
・文庫化に際し『パリ警察1768』に改題。
11 プライベートフィクション 講談社ノベルス(2012) ・表題作となる「自由研究」「夢見ヶ崎」は『更年期少女(みんな邪魔)』とリンクしている。
12 四〇一ニ号室 幻冬舎(2012) 幻冬舎文庫(2015) ・文庫化に際し『あの女』に改題。
13 インタビュー・イン・セル
殺人鬼フジコの真実
徳間文庫(2012) ・文庫書き下ろし。
14 鸚鵡楼の惨劇 小学館(2013) 小学館文庫(2015) ・関連作は『祝言島』
15 人生相談。 講談社(2014) 講談社文庫(2017) ・第28回山本周五郎賞候補作。
16 5人のジュンコ 徳間書店(2014) 徳間文庫(2016) ・2015年にWOWOWで連続ドラマ化。主演は松雪泰子。
17 お引っ越し KADOKAWA
(2015)
角川文庫(2017)
18 アルテーミスの采配 幻冬舎(2015) 幻冬舎文庫(2018)
19 6月31日の同窓会 実業之日本社(2016) 実業之日本社文庫(2019) ・関連作は『坂の上の赤い屋根』
20 私が失敗した理由は 講談社(2016) 講談社文庫(2019) ・関連作は『孤虫症』
21 イヤミス短篇集 講談社文庫(2016) ・『プライベートフィクション』から表題作の「自由研究」「夢見ヶ崎」を外し、新たに「シークレットロマンス」「初恋」「ネイルアート」を収録した文庫オリジナルの再編集短篇集。
22 カウントダウン 宝島社(2017) 宝島社文庫(2020) ・関連作は『ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで』
23 祝言島 小学館(2017) 小学館文庫
(2021)
・関連作は『鸚鵡楼の惨劇』
24 ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで 幻冬舎(2018) 幻冬舎文庫(2020) ・連載時のタイトルは『あなたがお望みのものは何でも』
・関連作は『カウントダウン』
25 向こう側の、ヨーコ 光文社
(2018)
光文社文庫(2020)
26 ツキマトウ
警視庁ストーカー対策室ゼロ係
KADOKAWA
(2018)
角川文庫
(2021)
-- おひとりさま作家、いよいよ猫を飼う 幻冬舎文庫(2019) ・初のエッセイ集であり、文庫書き下ろし。
27 初恋さがし 新潮社(2019) 新潮文庫(2022)
28 三匹の子豚 講談社(2019) 講談社文庫(2022)
29 坂の上の赤い屋根 徳間書店(2019) 徳間文庫(2022) ・関連作は『6月31日の同窓会』
30 縄紋 幻冬舎(2020) 幻冬舎文庫(2023)
31 聖女か悪女 小学館
(2020)
小学館文庫(2023)
32 フシギ KADOKAWA
(2021)
角川文庫(2023)
33 まりも日記 講談社
(2021)
講談社文庫(2023)
34 一九六一東京ハウス 新潮社
(2021)
35 シェア 光文社
(2022)
36 さっちゃんは、なぜ死んだのか? 講談社
(2022)
37 4月1日のマイホーム  実業之日本社
(2023)
36 ノストラダムス・エイジ 祥伝社
(2023)

関連動画

関連項目

  • 小説家の一覧
  • メフィスト賞
  • ミステリー
  • 湊かなえ / 沼田まほかる (同じイヤミス作家と称され、並んで紹介される事が多い)
  • 殺人鬼フジコの衝動

外部リンク

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