社会主義とは (シャカイシュギとは) [単語記事]

　社会主義とは、生産手段の共有化や社会福祉制度でもって平等な社会を実現しようと言う思想もしくはそれに基づいた運動である。社会主義には大きく分けて共産主義と社会民主主義（西側型社会主義）2派の流れがあるが、日本では共産主義のみの意味で使われる事も多い。

　最初に断っておくけど、この記事はジョーク分が極めて不足しているので、よほどの暇人以外は3秒以内に赤いニコニコ動画の記事に飛んだ方が、1,000ppmくらいは人生を有意義に過ごせるとアドバイスしておくよ。実際問題、社会主義の語はタグとしてはあまり使われてはいないんだし。

概要

　詳しく勉強されたい方はWikipediaや、関連動画等を参照する事。（大学等で社会主義思想について聴講・研究される際は要注意。何事にもバランスと限度と幅広い視野を…）

資本主義の生み出す経済的・社会的諸矛盾を、私有財産制の廃止、生産手段および財産の共有・共同管理、計画的な生産と平等な分配によって解消し、平等で調和のとれた社会を実現しようとする思想および運動。（Wikipediaより）

　社会主義とは、19世紀に資本主義が発展するとともに、そこに生じた社会的矛盾を解消しようという機運から生まれた平等を重んじ生産手段の共有化などを主張する思想・政治運動・社会体制の事である。社会主義に属する勢力は数多いが、大まかには共産主義と社会民主主義に2分される。この2派は冷戦時代に東西に分かれて対峙していた。

　社会主義の諸派のうち、ソ連共産党はロシア革命を成功させてソ連を建国し、多くの国を影響下におき20世紀後半の世界情勢を特徴付ける事となった。この一派を特に共産主義と呼ぶが、日本で単に社会主義と言った場合、この共産主義を指す事も多い。共産主義の国はソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)、中華人民共和国、キューバ、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、ドイツ民主共和国（東ドイツ）、旧ユーゴスラビア、チェコスロバキアをはじめとする東欧諸国、ベトナムなどがある。また、アフリカ、東南アジア、中南米でも共産主義を採用する政権が存在したが、東欧革命以降に次々と崩壊し、残る中国やベトナムなどが市場経済を推し進めている現状では、共産主義と言える社会体制を維持しているのは北朝鮮やキューバなど僅かとなっている。

　他方、西ヨーロッパ諸国には、マルクス主義から修正主義に転じたドイツ社会民主党、そもそもマルクスの影響の薄いイギリス労働党などの、共産主義とは異なる社会主義の一派があり、これらは社会民主主義と呼ばれる。政策の特徴としては、議会制民主主義を重んじ、社会福祉政策などで資本主義を適宜修正していく事によって平等な社会の実現を目指す事である。戦後の日本では社会民主主義勢力は内輪もめを繰り返し政権を取るには至らなかったが、55年体制下の自民党が社会民主主義的な政策を熱心に実行したために、結果的に社会民主主義国といえるような社会体制が整えられるに至った。

　以上の二派とは別に、イデオロギーは右でありながら、富国強兵などの目的から社会主義的な経済政策（計画経済）のみを実行するという考え方もあり、これは国家社会主義と呼ばれる。ナチスがその典型とされるが、日本でも、戦前の革新官僚と呼ばれた一群がそれであり、その政策は戦後の自民党にも引き継がれ、中でも岸信介は戦後総理大臣となり、左派とは別のスタンスから日本を社会民主主義的な国家へと変貌させていった。

社会主義の用法についての注意

　繰り返すが、社会主義の語は２通りの用法がある。

社会民主主義や共産主義などの思想・社会体制の総称
共産主義

　社会主義の語がどちらの意味を指しているのかは、文脈から慎重に判断しなければならないし、その判断を誤った上で議論をすればかみ合わない口論を延々と続けるという、実に不毛な事になってしまう。

　実際問題、ソ連の崩壊から２０年が経過し、共産主義が話題に上る事が少なくなっている現在において、歴史以外の話題では、単に「社会主義」と言えば 1. を指す事が多いはずであり、さらに踏み込んで「社会主義の2大潮流のうち共産主義は消滅した」というスタンスに立って社会民主主義そのものを指している場合もある。

3.　社会民主主義

　ただし、冷戦期の本や新聞を参照すると「社会主義国（＝共産主義国）」などの語が普通に使われている事もあり、まだまだ油断はできないようである。

かみ合わない口論の例

A. 「これからの日本は社会主義（1)で行くべきだ。」

B. 「日本は資本主義国だ。社会主義(2)なんてありえない！」

A. 「いや、社会主義(1)の頃の方が日本は繁栄していた。」

B. 「戦後、日本を統治してきたのは自民党。社会党じゃない。」

A. 「だから、旧自民党の方向(3)で行けと言っている」

B. 「今も昔も自民党は資本主義政党だ！」

　B.はそもそも社会主義が広い意味(1)でも使われる事を知らないようであるが、A.も保守の人は社会民主主義的な政策を支持する事はあっても、それを社会主義と呼ぶ事はないという事情を無視している。つまり、どっちもどっちである。こういう文脈では「大きな政府」あたりの言葉を持ち出せば誤解が少ないだろう。

日本は社会主義国家？

日本は世界で一番成功した社会主義国だ（ゴルバチョフ）
日本こそ、ソ連や中国がお手本にすべき社会主義国です（江副浩正　リクルート創業者）
日本人ほど社会主義になじみやすく、不勉強でお上に靡きやすい国民は稀である（小林秀雄　文芸評論家）

　前述の通り、日本は典型的な社会民主主義国家である。つまり、上の２文は「どの社会民主主義の西欧諸国や共産主義の東欧諸国よりも成功した国家である」という意味である。すなわち、55年体制以降の自民党政権下では強力な行政・官僚機構を通じて、資本家のみならず、農林水産業従事者、自営業者、賃金労働者のために年金や健康保険などの社会民主主義的政策を実行し、「一億総中流」と言われる社会を形成した事に対する評言である。

　バブル崩壊以降の日本では、「新自由主義」と称する勢力により社会福祉制度の縮小が議論されるようになり、一部の政策については実行されたが、国民の反発も強く、日本は依然として社会民主主義国として機能している状況である。