秋葉原通り魔事件とは、2008/06/08に秋葉原路上で発生した通り魔事件である。
2008/06/08の午後0時30頃、歩行者天国となっていた千代田区外神田のJR秋葉原駅近くに2t車が突っ込み、通行人を数人撥ねた後に車から降りた容疑者が、持っていたサバイバルナイフで次々と通行人を殺傷する。
この事件により7人が死亡、10人が重軽傷を負う。(6/8 20時現在)
東京都は23日、犯罪被害者支援のために開設している被害者支援都民センター(新宿区、03・5287・3336)に、秋葉原の17人殺傷事件に関する相談が計80件寄せられたと発表した。
10~20日に電話と窓口で応じた集計で、事件を直接目撃した人や保護者から「夜に眠れなくなった」「食事ができない」「外出ができない」といった相談が寄せられたほか、報道によって過去の被害体験を思い出して不安になった人もいた。
2008年6月23日 20時22分
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/news/20080624k0000m040077000c.html
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、殺人容疑で再逮捕された派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が、携帯サイトに「秋葉原で人を殺す」という犯行予告を書き込んだのは、事件発生の約20分前だったことがわかった。
加藤容疑者は「予告を書き込んだことで引き下がれないと思った」と供述しており、警視庁では、この時に最終的に犯行を決断したとみて調べている。
加藤容疑者は事件当日の今月8日、静岡県裾野市の自宅から秋葉原に向かう様子を携帯サイトの掲示板に「実況中継」していた。最初の書き込みは午前5時21分。「秋葉原で人を殺します」というタイトルで、車やナイフを使う手口が書かれていた。当初はこの時刻に書き込まれた内容とみられていたが、その後の調べで、加藤容疑者が犯行前に書き換えていたことがわかった。
同庁幹部によると、さらに詳しく接続履歴などを調べたところ、書き換えられたのは、最後の書き込みがあった8日午後0時10分の直前と判明。書き換える前の内容について、加藤容疑者は「日常的なもので、犯行をにおわせることは一切書いていない」と供述しているという。
午後0時10分の最後の書き込みは「時間です」と、決行を示唆した内容だった。同庁では、自らを犯行に駆り立てるために、さかのぼって犯行予告を書き込んだとみている。
(2008年6月21日14時52分)
東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、死亡した7人に対する殺人容疑で20日に再逮捕された派遣社員加藤智大容疑者(25)が「現実社会でもインターネットの世界でも孤独だった。自分の存在を気づかせようと思ってやった」と供述していることがわかった。
警視庁は職場でのトラブルに加え、ネットでの書き込みを無視されたことも犯行の要因になったとみて調べている。
同庁幹部によると、加藤容疑者はこれまでの境遇について、「(高校時代に成績が下がるなどして)両親に捨てられたと感じた」「彼女がいなくて寂しかった」「誰でもいいから構ってほしかった」などと様々な不満を口にしている。
その一方で、「現実の世界では嫌なことがあっても人に言えず、ネットの社会にのめり込むようになった」と供述、挫折や孤独感を埋めるために携帯サイトの掲示板に頻繁に書き込むようになったことも認めている。
しかし、加藤容疑者の書き込みにはほとんど反応はなく、「ネットでも無視された」と感じるようになったといい、注目を集めるため事件を起こそうと考えるようになったとみられる。「どうせやるなら大きな事件をやろうと考えた」「ネットに(犯行予告を)書き込んだので、もう引き下がれないと思った」とも話しており、警視庁は、加藤容疑者が、サイトに書き込むことによって自らを犯行に駆り立てたとみている。
「不細工なおれは存在自体が迷惑」「彼女いない、ただこの一点で人生崩壊」。加藤容疑者が残した携帯電話サイトの書き込みの中でも特に目立っていたのが、自分の容姿や女性への過剰なまでのコンプレックスだった。
「これ、好きで集めているんですよ」
昨年11月以降、静岡県裾野市の自動車工場で一緒だった同僚は、加藤容疑者が少女漫画のキャラクターのシールを集めていることをうれしそうに話していたのを覚えている。
加藤容疑者は「月に2回は秋葉原に行く」「メード喫茶に通っている」と得意げに語り、3月ごろには同僚数人を連れて秋葉原を案内した。カラオケではアニメのテーマソングを熱唱、周囲には深刻な悩みがあるようには映らなかった。
「生身の女性は裏切るけど、アニメのキャラクターは裏切らない」と、女性への根深い不信感を漏らしていた加藤容疑者。その一方で、秋葉原ツアーの前後、同僚の男性は、加藤容疑者が同じ職場の女性を「好みだ」と語ったのを聞いたことがある。しかし、「直接相手に好意を伝えた様子は見受けられなかった」という。
別の同僚に交際相手がいたことを知ったのは事件の少し前。加藤容疑者は「祝福したい」と笑顔で語っていたが、携帯サイトには、嫉妬(しっと)心をぶつけるように「どす黒い感情が抑えられない」などと書き込んでいた。この書き込みをした6月4日未明以降、掲示板には「醜い顔だ」など、自らを極端に卑下する内容が、以前にも増して目立つようになった。
当時の加藤容疑者は工場で「解雇通告」を受けてから自暴自棄な言動が目立っていた。作業着をめぐる職場でのトラブルをきっかけに犯行を決意したとされるのは翌5日ごろ。職場や両親への不満に加え、内に秘めていたコンプレックスも加藤容疑者の暴発を後押ししたのか。
6月4日の書き込みにはこんな言葉もあった。
「彼女さえいればこんなに惨めに生きなくていいのに」
(2008年6月21日03時13分)
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された加藤智大(ともひろ)容疑者(25)の犯行の全容が判明した。
トラックで5人をはねた加藤容疑者は、交差点に向かって走りながら、無言で次々と通行人に襲いかかり、交差点付近で12人をナイフで刺したという。この間、わずか1分程度だったという。警視庁は20日午後、死亡した7人に対する殺人容疑で加藤容疑者を再逮捕した。
同庁幹部によると、加藤容疑者は、歩行者天国が始まった直後の8日午後0時33分ごろ、レンタカーの2トントラックで交差点に突入。東京情報大2年川口隆裕さん(19)ら5人をはねた。約70メートル離れた路上でトラックを止めると、ダガーナイフを手に運転席を飛び出し、交差点に向かいながら、ビラ配りのアルバイトをしていた東京芸大4年武藤舞さん(21)ら3人を相次いで刺した。
交差点では100人以上が、はねられた5人を見守り、歩行者天国で交通整理をしていた万世橋署の丸山正市警部補(53)ら数人が救助にあたった。加藤容疑者は、その背後から丸山警部補ら3人をナイフで一刺しすると、今度は交差点を横切りながら群衆に突っ込み、さらに3人を刺した。
当初は交通事故と思い込んでいた通行人らも、異変に気づいて交差点から周囲へ逃げ始めたが、加藤容疑者は、そのうち、中央通り沿いにいた会社員宮本直樹さん(31)ら3人の背中にナイフを突き立てたという。
ナイフで襲われた被害者の多くは、興奮状態だったことに加え、刃先が鋭利だったことなどから、刺されたことに気づかず、体当たりされただけと思い込み、約50メートルも逃げた後に倒れ込んだ人もいたという。
(2008年6月20日14時37分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080620-OYT1T00459.htm
警視庁は20日、秋葉原の無差別殺傷事件の際、負傷者の救助に協力した69人のうち17人に感謝状を贈った。報道陣の取材に応じた3人は「とにかく助かってほしいという思い一つで必死だった」と、凄惨(せいさん)な現場での救助活動を振り返った。
大学職員の高橋幸子さん(42)は当時、夫と一緒に交差点付近にいた。事件を目撃した直後、がく然として体が動かなかったが、「夫から『数か月前に救命講習を受けたことを思い出せ』と言われ、ハッと気づいた」といい、その後、負傷者に駆け寄ったという。
救急救命医の山本明彦さん(36)は、秋葉原駅を出ると、サイレンの音を聞き、現場に駆け付けた。しかし、血だらけで横たわる負傷者に「一瞬、パニックになった」。普段はスタッフや医療器具がそろった病院での活動だが、「人や物資もないのに目の前に重篤な人がいる。想定も経験もしたことがない現場だった」と苦渋の表情を浮かべた。
秋葉原に遊びに来ていた海上自衛官の千葉翔悟さん(20)も、「気が動転していたのでよく思い出せない」としながら、「仕事柄、こういう時こそ役に立つべきと救護にあたった」と話した。
残る52人には順次、感謝状が贈られる。一方、加藤容疑者を逮捕した万世橋署秋葉原交番の荻野尚巡査部長(41)ら5人に警視総監賞が贈られることが決まった。
(2008年6月20日14時31分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080620-OYT1T00475.htm
東京・秋葉原の17人殺傷事件で、逮捕された派遣社員、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)=静岡県裾野市=が警視庁万世橋署捜査本部の調べに対し「現実でもネットでも孤独だった。ネットで無視され、ネットの世界の住人に自分の存在を気づかせるため、大きな事件を起こそうと考えた」と供述していることが分かった。捜査本部は20日、東京芸大4年、武藤舞さん(21)ら7人を殺害した殺人容疑で加藤容疑者を再逮捕した。
また東京地検は加藤容疑者の精神鑑定を実施するため、来月上旬にも東京地裁に鑑定留置を請求する方針を固めた。
調べでは、加藤容疑者は今月8日午後0時33分ごろ、千代田区外神田1の交差点にトラックで突入し、3人をはねて死亡させた。さらに武藤さんら4人をダガーナイフ(短剣、刃渡り約13センチ)で刺殺した疑い。
捜査本部は、加藤容疑者とみられる人物が事件前から書き込んでいた携帯電話のネット掲示板について、本人が書いたと断定した。
調べに対し加藤容疑者は「現実の世界では嫌なことがあっても人に伝えられず、現実から逃げてインターネットの世界にのめり込むようになった。誰でもいいからかまってほしかった」と説明したという。
秋葉原の歩行者天国を狙ったのは「人が多いと思ったから」と供述。事件直前に「犯行予告」を書き込んだことで「もう引き下がれないと感じてやった」と話している。事件を計画したのは、凶器のダガーナイフを福井市のミリタリーショップで購入する前日の6月5日ごろだったという。
東京地検は加藤容疑者の刑事責任能力に問題はないと判断しているが、事件当時の精神状態が公判での最大の争点になると予想されるため、鑑定を実施することにした。地裁が鑑定留置を認めれば、身柄はいったん医療施設に移される見通し。
武藤さん以外の殺害された方々は▽小岩和弘さん(47)▽藤野和倫さん(19)▽中村勝彦さん(74)▽川口隆裕さん(19)▽松井満さん(33)▽宮本直樹さん(31)【川上晃弘、佐々木洋、古関俊樹】
2008年6月20日 21時57分(最終更新 6月21日 0時30分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080621k0000m040132000c.html
東京・秋葉原で17人が殺傷された事件で、殺人未遂容疑で逮捕された加藤智大(ともひろ)容疑者(25)がトラックで通行人5人をはねた後、12人を刺した経緯と位置が警視庁万世橋署捜査本部の調べで分かった。次々と目の前の通行人たちを刺しながら交差点を縦断していた。捜査本部は20日午後、加藤容疑者を殺人容疑で再逮捕した。
捜査本部によると、加藤容疑者は8日午後0時半すぎ、トラックで千代田区外神田1の神田明神通りを東に走り、中央通りとの交差点で、赤信号を無視して突っ込み、5人をはねた後、約70メートル先で停車した。
トラックをおりると、すぐ近くにいた男性をダガーナイフ(短剣、刃渡り約13センチ)で刺した後、交差点に走って戻りながら、携帯電話で110番していた武藤舞さん(21)を刺した。続いて小岩和弘さん(47)を刺し、交差点東側ではねられた被害者を救護していた万世橋署交通課の警部補(53)ら男性2人と女性1人を襲い、それぞれ重傷を負わせた。
加藤容疑者はさらに交差点を左回りに走りながら男性2人と松井満さん(33)、宮本直樹さん(31)を刺した。その後、交差点のすぐ南側に移動して男性と20代の女性を刺したという。この女性が刺された場面を警察官が目撃していたことから、加藤容疑者をこの女性に対する殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。【川上晃弘、佐々木洋】
2008年6月20日 15時00分(最終更新 6月20日 15時00分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080620k0000e040073000c.html
(略)
2008年6月20日 11時35分(最終更新 6月20日 11時41分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080620k0000e040052000c.html
警視庁は20日、東京・秋葉原で17人が殺傷された事件で、被害者を救護中に襲われて重傷を負うなどした3人に対し警視総監感謝状を贈った。万世橋署も同日、救護活動をした69人に署長感謝状を贈った。馬場誠人署長は「多くの傍観者がいる中、迷うことなく救護した。その積極的な行為は称賛に値する」と述べた。
同署での贈呈式には、17人が出席。現場に夫と来ていた大学職員、高橋幸子さん(42)は「あまりに悲惨な状況にがくぜんとして身動きが取れなかったが、心肺蘇生の講習を受けていたことを思い出し、助かってほしいという思いで救助にあたった」と語った。海上自衛官、千葉翔悟さん(20)は「気が動転し何も考えられなかった。職業柄、人のために役立ちたいと救護に参加した」と振り返った。
JR秋葉原駅から現場に駆けつけた救急医、山本明彦さん(36)は「消防車や救急車を見て、直感的に向かった。安全が確保されておらず情報も混乱していた」と話した。
加藤智大(ともひろ)容疑者を取り押さえた万世橋署地域課の荻野尚巡査部長(41)と蔵前署地域課の清水真巡査長(39)ら警察官5人にも、警視総監賞が授与された。
2008年6月20日 11時32分(最終更新 6月20日 14時44分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080620k0000e040050000c.html
(略)
(2008年6月19日21時20分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080619-OYT1T00678.htm
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、殺害された東京芸大4年武藤舞さん(21)(東京都北区)が事件当時、携帯電話で110番通報していたことがわかった。
警視庁幹部によると、電話は同庁通信指令本部につながったが、武藤さんは警察官の問いかけに答えておらず、通報中にナイフで刺されたとみられる。
同庁幹部によると、武藤さんは事件が起きた8日午後0時33分ごろ、現場の交差点近くで、携帯電話販売店のアルバイトでビラを配っていた。加藤容疑者が運転する2トントラックが交差点の人込みに突っ込んだ後、車から降りてきた加藤容疑者に腹部を刺されたとみられる。
同庁で武藤さんの携帯電話の履歴を調べたところ、午後0時33分に110番通報していたことが判明。通話時間は6秒間あったものの、事件の内容などを伝えた様子はなく、無言のまま切れたという。
武藤さんを救急車に乗せた医師(44)によると、武藤さんは、刺された後もしばらく意識があり、友人の名前を繰り返し呼んでいたという。
(2008年6月19日12時22分)
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、負傷者を介抱している最中にナイフで刺された警視庁万世橋署の丸山正市警部補(53)が、意識を失いかけながら、駆けつけた同僚署員に「(犯人は)あっちだ」と逃走方向を指さしていたことが分かった。
同僚署員は、騒然とする歩行者天国の人込みの中から加藤智大(ともひろ)容疑者(25)(殺人未遂容疑で逮捕)を見つけ出し、2分足らずで取り押さえた。丸山警部補は今も重体で、同僚らは回復を祈り続けている。
同庁幹部によると、丸山警部補は交通課に所属し、事件当日の8日は、現場の交差点近くで歩行者天国の交通整理をしていた。
加藤容疑者が運転する2トントラックが交差点の人込みに突っ込んだのは、午後0時33分ごろ。丸山警部補は、すぐに駆け寄って救助にあたったという。
その直後、ダガーナイフを構えた加藤容疑者が後ろから背中を一刺しした。傷は心臓近くまで達する深いものだったが、丸山警部補は意識を失いかけながらも、秋葉原交番から駆け付けた巡査部長(41)らに「あっちだ」と声を振り絞り、逃走方向を指さしたという。
丸山警部補の容体は依然、予断を許さない状態が続いており、同僚らは「犯人を取り逃がしてはならないという一念で行動したのだろう。今はとにかく回復してほしい」と話している。
(2008年6月19日03時07分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080618-OYT1T00922.htm
福田康夫首相は19日、東京・秋葉原の17人殺傷事件の現場を急きょ訪れた。近くの病院に目の検査に行った際「すぐそばなので行った」(首相)という。
午後1時52分、車で到着した首相は、献花台の前で数秒間、厳しい表情のまま手を合わせた。約2分間の現場訪問だった。
首相は同日夕「本当に残酷な事件だったと思う。ああいうことを起こさないようにどうしたらいいか、一生懸命考えている。なるべく早く対応しなければいけない」と記者団に語った。
2008年6月19日 21時21分(最終更新 6月20日 0時34分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/news/20080620k0000m040104000c.html
東京・秋葉原の17人殺傷事件で、逮捕された派遣社員、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)に刺殺された武藤舞さん(21)=東京芸大4年、東京都北区=が事件発生直後、携帯電話で110番通報していたことが警視庁万世橋署捜査本部の調べで分かった。無言だったといい、110番した後に亡くなったとみられる。
捜査本部によると、武藤さんの携帯の発信記録を調べたところ、110番の発信履歴が残っていた。
調べで加藤容疑者は0時33分にトラックで交差点に突っ込んだことが分かっている。現場近くの家電量販店でアルバイトをしていた武藤さんは、発生を目撃していた可能性があり、刺される前後に110番したとみられる。
今回の事件では計20数本の110番があった。しかし、武藤さんの110番は通信指令本部の記録では無言となっており、秋葉原の事件に関連する110番として認識していなかったという。
また、捜査本部は19日午前5時から約1時間、現場となった千代田区外神田1の交差点の車の通行を止めて実況見分を行った。
2008年6月19日 12時44分(最終更新 6月19日 13時23分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/news/20080619k0000e040066000c.html
東京・秋葉原の17人殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が現場交差点で12人を次々に刺したのはわずか30秒程度の間だったとみられることが分かった。警視庁万世橋署捜査本部は強い殺意を裏付ける行為とみて調べている。捜査本部は20日にも、殺害された7人に対する殺人容疑で加藤容疑者を再逮捕する方針。
調べでは、加藤容疑者は8日午後0時33分ごろ、交差点にトラックで突入、5人をはねた後、ダガーナイフ(短剣、刃渡り約13センチ)で交差点付近の通行人12人を次々と刺したとされる。捜査本部が防犯カメラの映像などを詳しく分析したところ、加藤容疑者がトラックで歩行者をはねてから警察官に取り押さえられるまで約2分かかっていたが、被害者12人を刺していた時間に限れば、30秒ほどだったことが分かった。
2008年6月19日 2時30分(最終更新 6月19日 2時30分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/news/20080619k0000m040174000c.html
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が、犯行前に交差点の周辺を少なくとも1周、トラックで走っていたことが分かった。
加藤容疑者は「できるだけ多くの人を殺したかった」と供述しており、「時間です」と携帯サイトに書き込んでから犯行に至るまでの23分間に、突入のタイミングを計りながら試走していたと警視庁はみている。同庁は強い殺意を裏付ける事実とみて、20日にも殺人容疑で加藤容疑者を再逮捕する方針。
加藤容疑者の供述や犯行直前まで投稿していた携帯サイトの書き込みによると、レンタカーの2トントラックが現場付近に到着したのは8日午前11時45分ごろ。正午に始まる歩行者天国まで、ディスカウントストアに立ち寄るなどして時間をつぶしていたという。午後0時10分には、「時間です」と、これから決行するかのような書き込みがあったが、実際にトラックが交差点に突っ込んだのは午後0時33分ごろだった。
この約23分間について、同庁で調べたところ、交差点の西約300メートルにあるマンションの防犯カメラに0時15分ごろ、加藤容疑者が運転していたトラックが現場に向けて走っている様子が映っていた。その後、加藤容疑者は一度、青信号で歩行者天国が中断している現場の交差点を通過していることが、交差点の防犯カメラで確認された。
さらに、交差点から北西約500メートルにあるビルの防犯カメラが0時24分ごろ、加藤容疑者のトラックを撮影していた。また、0時15分ごろの映像をとらえたマンションのカメラの前を、加藤容疑者のトラックが0時26分ごろに再び通過し、そのまま交差点に突っ込んだという。
トラックはスピードを落とさずに、通行人5人をはね、うち3人を死亡させた。さらに、計12人が、殺傷能力の高いダガーナイフで刺され、4人が死亡しており、同庁では、加藤容疑者に明確な殺意があったと判断、殺人未遂容疑での拘置期限の20日にも殺人容疑で再逮捕し、事件の全容解明を進める。
(2008年6月18日14時33分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080618-OYT1T00473.htm
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が運転するトラックは、時速40~50キロで現場の交差点に突入していたことが、警視庁の調べで分かった。
トラックは前にいた車の間を縫うように追い抜き、一気に交差点にいた5人をはねたという。
同庁幹部によると、防犯ビデオの映像から、加藤容疑者の2トントラックが交差点に突っ込んだのは、信号が黄色から赤に変わった直後。交差点手前に数台の車がいたが、右側から追い抜き、右折しようとした車を左側にかわし、交差点に突っ込んだ。ブレーキ跡はなく、同庁は減速しないまま進入したとみている。
はねられた5人のうち、2人はフロントガラスなどトラック前面部の直撃を受け、残る1人は体ごとひかれて死亡した。はねた後もブレーキを踏んだ様子はなく、そのまま約70メートル直進して止まったという。
(2008年6月18日05時23分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080618-OYT1T00026.htm
東京・秋葉原の17人殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員、加藤智大容疑者(25)が、トラックで事件現場の交差点に突っ込んだ際のスピードについて、「時速四十数キロは出ていた」と供述していることが分かった。ブレーキ痕などはなく、警視庁万世橋署捜査本部は、加藤容疑者が明確な殺意を持って実行したとみて防犯カメラの解析など裏付けを進める。
捜査1課によると、加藤容疑者は8日午後0時33分ごろ、2トントラックを運転し、千代田区外神田1の交差点に赤信号で停車中だった数台の車を右側によけながら突っ込んだ。通行人5人をはね、中村勝彦さん(74)、川口隆裕さん(19)、藤野和倫さん(19)の3人が全身打撲などで死亡した。いずれもほぼ即死状態だった。
衝撃の強さを示すように、トラックのフロントガラスの左部分は大きくひび割れ、フロント部分はへこんでいた。左のサイドミラーも壊れ、バンパーの一部は脱落していた。
その後の調べで、交差点付近にはブレーキ痕がなく、加藤容疑者が「四十数キロは出ていた」と供述していることも判明した。8日早朝の携帯電話の掲示板への「犯行予告」の書き込みは、加藤容疑者が都内に到着後、午後0時10分に「時間です」と書き込むまでの間に自身で書き換えたことも分かっており、捜査本部は交差点に突っ込む直前に殺意を固めた可能性があるとみている。
交差点にトラックが突進した時の状況は近くの防犯カメラに映っており、捜査本部は画像の分析を進め、実際の速度を確定する。
2008年6月18日 2時30分(最終更新 6月18日 2時30分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/news/20080618k0000m040160000c.html
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が、犯行当日の8日早朝、携帯サイトに書き込んだ「秋葉原で人を殺します」というタイトルの犯行予告について、「タイトルや車とナイフを使う手口は、犯行直前に書き換えたもの」と供述していることがわかった。
警視庁では、サイトへの接続履歴を検証し、書き換えられる前の内容を調べている。
サイトの掲示板には、8日午前5時21分、「秋葉原で人を殺します」というタイトルで、「車でつっこんで、車が使えなくなったらナイフを使います」と書かれていた。その後も静岡県の自宅からレンタカーのトラックで秋葉原に向かう様子を刻々と「実況中継」するように書き連ねていた。
同庁幹部によると、サイトの管理会社から接続履歴の提供を受けて分析したところ、タイトルと最初の書き込みの内容が書き換えられていたことが判明。このサイトは、投稿者本人ならば、書き込み時間を変えずに内容の編集ができるという。
書き換えは秋葉原に到着したとみられる8日午前11時45分前後で、他の部分は手を加えていないという。
一連の書き込みについて、加藤容疑者は「誰かが見て、自分を止めてほしかった」と供述しているが、同庁では、書き換えた意図について追及している。
(2008年6月17日03時13分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080617-OYT1T00163.htm
(略)
(2008年6月17日03時13分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080617-OYT1T00065.htm
東京・秋葉原の17人殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員、加藤智大容疑者(25)が、トラックではねた被害者を救護中の男性ら3人をダガーナイフ(短剣、刃渡り約13センチ)で刺していたことが分かった。介抱している背後などから襲ったとみられ、3人はいずれも重傷。警視庁万世橋署捜査本部は加藤容疑者の凶暴性を裏付けるものとして調べを進める。
加藤容疑者は8日午後0時33分ごろ、トラックで千代田区外神田1の交差点に赤信号を無視して突っ込み、5人をはねた。トラックを降り交差点付近で通行人12人を刺した後、追いかけてきた警察官に取り押さえられ逮捕された。
捜査本部で調べを進めたところ、加藤容疑者は、はねられた被害者を介抱していた万世橋署交通課の男性警部補(53)やタクシー運転手の男性(54)ら少なくとも3人を背後などから襲い、刺して逃げていたことが分かった。
一方、加藤容疑者は事件当日の8日午前5時21分、携帯電話の掲示板に「車でつっこんで、車が使えなくなったらナイフを使います みんなさようなら」と書き込んでいたことが判明しているが、その後の調べに対し「事件前の最後の書き込みだった」と供述していることが分かった。秋葉原に到着後、内容を書き換えたとみられる。
2008年6月17日 2時30分(最終更新 6月17日 2時30分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/news/20080617k0000m040129000c.html
(略)
(2008年6月16日21時15分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080616-OYT1T00639.htm
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が、現場の交差点にトラックで突入してから警察官に取り押さえられるまでに、わずか約2分間しかかかっていなかったことがわかった。
加藤容疑者はトラックで5人をはねた後、ためらうことなく短時間でナイフで12人を刺しており、警視庁では強い殺意を裏付ける事実とみている。
同庁幹部によると、交差点に設置された防犯カメラの映像から、加藤容疑者が運転する2トントラックが、歩行者天国の人込みに突入したのは、8日午後0時33分ごろと判明。横断中の5人をはねた後、トラックは神田明神通りを東に約70メートル走って止まった。
加藤容疑者はすぐに運転席から降りると、ダガーナイフを手に交差点まで走って戻り、その間に男女3人を刺した。交差点では、はねられた人を介抱しようとした万世橋署員ら少なくとも6人を次々に刺し、逃げる人たちを中央通りの歩道沿いに走って追いかけながら刺し続けたという。
その後、追いかけてきた別の同署員に大声で「待て」と呼び止められたため、交差点から約60メートル離れた路上で立ち止まり、路地に追い込まれた末に取り押さえられた。現行犯逮捕の時間は午後0時35分だった。
署員が加藤容疑者と向かい合い、身柄を確保するまでに数十秒かかっており、警視庁では犯行時間は2分よりも短かったとみて詳しく調べている。
(2008年6月16日14時43分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080616-OYT1T00459.htm
午前5時半過ぎ、バスが市内を回って男たちを拾う。国道を北上する間、晴れていれば朝日に輝く富士が左手に見え隠れする。だが、窓の外を眺める者はいない。
6時過ぎ、静岡県裾野市の関東自動車工業東富士工場に着く。日本経済を支えるトヨタ自動車の子会社。6時半、始業の合図で派遣社員の一日が始まる。東京・秋葉原の17人殺傷事件の加藤智大(ともひろ)容疑者(25)は、塗装の汚れを肉眼で調べる工程を担当していた。
わずかなほこりの付着も許されない。10分間のトイレ休憩と45分間の食事を除き8時間立ち詰めで、数時間の残業もざら。汚れを見逃せば工程長が飛んでくる。下手をすれば始末書を書かされる。
「塗装面をにらんでいると、すぐに目が痛くなる。手でこするから目が真っ赤になる。初日で辞める者もいるが、やつはまじめだった」。一緒に働いた20代の派遣社員が言う。「トヨタの期間工(契約工員)になりたいと言っていた」。応募したが、不採用。
はかない夢だった。
5月半ばリストラのうわさが流れた。同22日、工場の空調が壊れ、ふだん物静かな加藤容疑者が「暑い」とイライラを爆発させた。
今月3日、派遣社員200人を50人に減らすと伝えられた。米国の低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)や原油高の影響で工場は生産を15~20%縮小する。そんな理由は知らされない。「月末で辞めてもらう」。150人がそのひと言で収入を断たれることになった。
何かが決壊した。5日の出社後に暴れ、姿を消した。
青森市の名門、県立青森高校(青高=せいこう)を卒業して、流転の人生が始まった。
人口8500人の岐阜県坂祝(さかほぎ)町。入学した中日本自動車短大の周囲は里山と田畑が広がる。夜になるとカエルが鳴き、街の灯が遠くに見えた。イタリアの国立フェラーリ工業専門学校と提携し、整備士を目指す若者が全国から集まっていた。
加藤容疑者は併設の学生寮に入った。周辺にはコンビニと、中華料理店が1軒。
短大を出て、派遣社員として各地を転々とする。埼玉と茨城では派遣会社の借り上げ社宅で暮らした。
埼玉の社宅を見せてもらった。3DKのマンションに3人で住む。6畳間3部屋を1部屋ずつ使い、キッチン、風呂、トイレは共用。だが、キッチンの流しに食器はなく、生活臭がまるでない。誰もが6畳間にこもり、音漏れに細心の注意を払うせいか、部屋全体が静まり返っている。
茨城の社宅では、疲れきって帰宅した40代の派遣社員がこぼした。「事件で派遣に偏見を持たれたら迷惑だ。正社員になれず、仕方なくやっている」
津軽半島の海沿いに、加藤容疑者の母親(53)の実家はあった。才媛(さいえん)とうたわれて青高へ進む。「地元の弘前大に行くくらいなら……」と県外の国立大を受けたが、かなわず、金融機関に就職した。
父親(50)は青森市に育ち、県立高から同じ金融機関へ。2人は間もなく結ばれ、男児2人をもうけた。加藤容疑者は長男だ。
父親は努力を重ね、学歴のハンディをはね返し、各支店の営業を統括する役職に上り詰めた。教育熱心な母親は、祖父母に「教育には口を出さないで」とくぎを刺した。「子供は必ず大学へやる」。高卒の夫婦は厳しい態度でわが子に臨んだ。
期待通り青高に合格し、母親は実家に「智大が合格した」と喜びの電話を入れた。
高校1年の夏。「成績が振るわない」。母親は沈んだ顔で親類に打ち明けている。夫婦仲は冷えた。
両親は10日、報道陣の前に姿を見せ、母親は地面に崩れた。テレビで見た親族が電話すると、母親は「亡くなられた方に償いきれない」と泣いた。
よりどころとなるべき家は壊れ、派遣社員としてどこにも根を張れずに流れていく。浮き草が最後にたどり着いたのは、虚実入り乱れる「アキバ」だった。
2008年6月16日 22時53分(最終更新 6月17日 0時06分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/news/20080617k0000m040100000c.html
(略)
2008年6月16日 20時58分(最終更新 6月16日 21時06分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/news/20080617k0000m040082000c.html
東京・秋葉原の17人殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された加藤智大容疑者(25)がトラックで交差点に突っ込んでから警察官に取り押さえられるまで、約2分間しかなかったことが分かった。刺された場所は交差点付近に集中していることも判明しており、警視庁万世橋署捜査本部は加藤容疑者が、ごく狭い範囲で逃げる時間を与えることなく次々とダガーナイフ(短剣、刃渡り約13センチ)で被害者を襲ったとみて調べている。
捜査1課によると、加藤容疑者は8日午後0時半ごろ、トラックで千代田区外神田1の交差点に赤信号を無視して突進、5人をはねた。トラックを降り交差点付近で通行人12人を刺した後、追いかけてきた警察官に逮捕された。トラックを降りた地点から、逮捕される場所までは約170メートルの距離だった。
これまでは、交差点突入から加藤容疑者が取り押さえられるまでの時間は約5分間程度とみられていたが、捜査本部が周辺の防犯カメラや目撃者の情報を分析した結果、人をはねたのは午後0時33分ごろで、同35分には身柄を確保したことが分かった。警察官と加藤容疑者が対峙(たいじ)していた時間も数十秒はあるとみられ、被害者を襲っていた時間は1分に満たない可能性もあるという。
一方、加藤容疑者は事件前、静岡県裾野市の勤務先の同僚に「静岡には借金から逃れるために来た」と話していたことが分かった。金銭面で悩みを抱えていたところに、解雇の可能性が出たため自暴自棄になった疑いもあるとみている。
同僚によると、加藤容疑者と車の話題で盛り上がった際、「車は何回か買い替え、改造も何度かした。数百万の借金がある」などと話した。「改造した車で青森の峠をドリフト走行した」などと楽しそうに話していたという。
2008年6月16日 12時21分(最終更新 6月16日 13時18分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/news/20080616k0000e040056000c.html
(略)
2008年6月16日 10時26分(最終更新 6月16日 10時38分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/news/20080616k0000e040019000c.html
17人が死傷した東京・秋葉原の無差別殺傷事件から15日で1週間が過ぎた。
事件当日にその場に居合わせ、けが人の応急処置にあたった埼玉県在住の樋口信也さん(35)はこの日、現場を訪れ、献花台の前で手を合わせた。
「まるで昨日のことのように感じる」
1週間前、買い物に訪れ、路地を曲がった樋口さんの目に飛び込んできたのは、路上にうつぶせで倒れた女性と、警察官に取り押さえられた加藤智大(ともひろ)容疑者(25)の姿だった。女性の衣服は血に染まり、脈拍も弱まっていた。
傷口に布を当てて止血しながら、警察官に連行される加藤容疑者の顔を見た。焦点の定まらない目、脱力したような表情。だが「どこにでもいる普通の若者にも見えた」とも振り返る。
報道などで加藤容疑者について知るにつれ、怒りとやりきれなさを感じる。「社会とのコミュニケーションがうまくとれず、疎外感を募らせていったのかもしれない。でも、完璧に幸せな人間なんていないのに」
先日、救助した女性が回復していると東京消防庁から連絡を受けた。「改めて、身勝手な犯行で大切な人を傷つけられたり失ったりした人々を思い、憤りで一杯になった」と話す。
この日は、事件を受け、35年間続いた歩行者天国が初めて中止となった日曜日。車の行き交う交差点を見ながら樋口さんは「事件の印象が強くて、違う場所に見えるのが寂しい」と話した。
(2008年6月15日22時55分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080615-OYT1T00560.htm
東京・秋葉原の17人殺傷事件から15日で1週間。73年から続く毎週日曜日の歩行者天国は中止になり、人通りも普段より少なかった。ホコ天の消えた「アキバ」を歩いた。
派遣社員、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)がトラックで突っ込んだ午後0時半。現場の交差点では、警察官が「事件を目撃した人はいませんか」と呼びかけている。殺害された7人をしのぶ献花台から、線香と白菊の香りが漂う。花を手向け、手を合わせる人が後を絶たない。
浮かない顔をみせるのは、秋葉原電気街振興会の小野一志会長(54)。「2~3割は人が少ないねえ」。父の代から創業57年の老舗。「歩行者天国は街の顔。危険を理由にした中止は容疑者の思惑通りだし、売り上げを心配する店もある」と話す。しかし、ここ数年アニメ衣装を着る「コスプレ」文化で有名になり、「街のイメージが変わった」と歩行者天国中止を歓迎する住民がいるのも事実だ。
漫画のキャラクターの衣装に銀髪のカツラをかぶった村上和治さん(26)=千葉県市原市=は「ホコ天という囲いの中でエネルギーを発散していたのに、これからは街の周辺で過激な行動が起きるんじゃないか」と批判。メイド喫茶の女性店員(23)も「いつもならホコ天で人がいっぱいなのに。楽しく歩ける街に早く戻ってほしい」と涙をぬぐった。一方、買い物によく来る東京都三鷹市の男性会社員(45)は「被害者の遺族の心情を考えると中止はやむを得ない」と話した。
JR秋葉原駅前では、コスプレ姿の若者たちが、AED(自動体外式除細動器)の設置費用を求める募金を呼びかけていた。電器店店員(53)は人通りの少なさを嘆いた。「歩道を歩く人が増えて売り上げ増を期待したが、全体の活気が失われたら元も子もない」。
2008年6月15日 21時32分(最終更新 6月15日 21時51分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/news/20080616k0000m040065000c.html
(略)
2008年6月15日 2時30分(最終更新 6月15日 2時30分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/news/20080615k0000m040111000c.html
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が、警視庁の調べに対し、「殺害までの計画は立てていたが、その後のことは頭になかった」と供述していることがわかった。
同庁幹部によると加藤容疑者は、事前に殺傷能力の高いナイフを用意したり、歩行者天国に合わせて計画を実行に移したりしていたが、事件後のことについては「どうするかまでは考えていなかった」と供述。万世橋署員らに現行犯逮捕された際も、暴れたり、叫んだりした様子はなく、逃げるそぶりも見せなかったという。
一方で、所持品や自宅の捜索で遺書などは見当たらず、自殺する意思もなかったとみられる。
加藤容疑者はこれまでの調べに、「世の中が嫌になった。生活に疲れた」と供述しており、高校入学後、思い通りにいかない自らの境遇に嫌気が差したことや、リストラを進める派遣先への不満などを話しているという。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080614-OYT1T00637.htm
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が、事件数日前、リストラを進める派遣先に対し、「トラックを借りて工場を封鎖し、嫌がらせをしたい」と同僚に話していたことがわかった。
犯行の際と同様、トラックを悪用しようとしていることから、警視庁では、事件への伏線の可能性もあるとみて調べている。
派遣先の自動車組み立て工場(静岡県裾野市)の同僚男性によると、加藤容疑者は今月上旬、工場の休憩室で、派遣社員のリストラを話題に挙げ、「4トントラックを工場の前に横付けして入り口を封鎖してやろうか」と話したという。リストラの情報が工場内で広まった際、加藤容疑者がひどく動揺したことを知っていた同僚は、「冗談には思えなかった」と話している。
加藤容疑者は携帯サイトの掲示板に、事件前日の7日、レンタカー店から2トントラックを借りた経緯について、「大きいのがなかったら普通のでいいや できれば4tが良かったんだけど」と書き込んでいた。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080613-OYT1T00832.htm
東京・秋葉原の17人殺傷事件で、逮捕された派遣社員、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)は、警視庁万世橋署捜査本部の調べに「中学時代までは幸せだった」と供述していることが分かった。中学までトップクラスだった成績が高校で下がり、希望する大学への進学をあきらめるなど学歴コンプレックスを抱くようになったとみられる。職場への不満を募らせていたことが既に判明しており、捜査本部はうっ屈した感情が重なり、事件に結び付いたとみている。
加藤容疑者は青森県出身。地元でエリート校と呼ばれる市立中学校を卒業し、進学校の県立青森高校に合格した。入学直後は4年制大学への進学を希望していたといい、「北海道大学をねらう」などと話していたという。関係者は「両親は教育熱心でよくしかっていた。祖父母にも『教育のことには口出ししないで』と注文するほどだった」と振り返る。
ところが、関係者によると成績はふるわず、高3の進路相談時には担任教師らに「トヨタで自動車を設計したい」などと話すようになり、自動車整備工を養成する岐阜県の短大に進学したという。毎日新聞の取材に応じた親族の男性は「好きで短大にいったわけではなく、本人も両親もがっかりしていた。高校で成績が落ちたことに劣等感があったようだ」とみる。
加藤容疑者は調べに素直に応じ、留置場でも正座するなどして「うそをつくつもりはありません」と話しているという。生い立ちなどの質問には「自分の人生が嫌になった」と供述する一方で、「中学時代までは幸せだった」と話しているという。加藤容疑者とみられる人物が書き込んでいた携帯電話の掲示板には「三流の短大卒の私には(女性と交際する)チャンスはなさそうです」との記述があった。
2008年6月14日 2時30分(最終更新 6月14日 2時30分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/news/20080614k0000m040147000c.html
インターネットのポータル(玄関)サイト最大手のヤフーは13日、東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で凶器として使われたダガーナイフの取り扱いを、運営するショッピングとオークションの両サイトで全面禁止した。
ヤフーは8日の事件発生を受け、11日に両サイトで物品を販売している全事業者に対してメールで注意喚起し、ナイフ販売時の身元確認の徹底などを求めていた。しかし、ダガーナイフは殺傷能力が高く、日常的に使われるものではないことから取り扱い禁止を決めた。
これまでヤフーの両サイトでは計13点が掲載されていたが、13日夜までにすべて販売を停止したという。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080613-OYT1T00744.htm
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、ナイフで襲われた12人のうち少なくとも6人が交差点内で刺された疑いが強いことが警視庁の調べでわかった。
しかし、襲われた状況の詳細については、殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)の記憶があいまいなため、特定が難航。
同庁では殺人容疑の立件に向け、加藤容疑者の立ち会いのもと、別の場所に現場の歩行者天国を再現して、実況見分を行う方針。
同庁幹部によると、加藤容疑者は8日午後0時30分ごろ、2トントラックで千代田区外神田1の交差点の人込みに突っ込み、通行人5人をはねた後、殺傷能力が高いダガーナイフで12人を刺した。
約5分後、万世橋署員に取り押さえられ、その直前に刺した女性(24)に対する殺人未遂の現行犯で逮捕された。
救急隊員の証言や防犯ビデオの映像などから、同庁では、これまでに死亡した調理師松井満さん(33)ら、少なくとも6人が交差点内で刺された可能性が高いと判断。いずれも無抵抗で、腹や背中をナイフで一刺しされていたという。
その後、加藤容疑者は、交差点から逃げる通行人を中央通り沿いに追跡して刺し続けていたが、調べに対し、「警察官を含む数人を刺したことは覚えているが、興奮していたので、その後のことはよく分からない」と供述しているという。
同庁幹部によると、交差点から南へ約70メートル離れた場所で倒れ、死亡した会社員宮本直樹さん(31)や、逮捕直前に刺された女性ら数人は、刺された後、走って逃げる途中で倒れたとみられ、どの場所で襲われたか分からないという。交差点内で刺されたとされる6人についても、誰が最初に刺されたか判明していない。
事件当時、交差点付近には数百人がいたとされるが、名乗り出てくる目撃者は少なく、同庁では、目撃者に協力を呼び掛けている。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080613-OYT1T00504.htm
(略)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080613-OYT1T00335.htm
東京・秋葉原の無差別殺傷事件以降、警察に「インターネット上に犯罪予告が書き込まれている」という情報が次々と寄せられている。
事件翌日の9日から12日までに警視庁に寄せられた情報は100件超で、事件前4日間の約10倍に上った。同庁では掲示板に同様の犯行をほのめかす書き込みをした男を山形県警に通報、同県警は12日、同県天童市中里、団体職員大木琢也容疑者(29)を威力業務妨害の容疑で逮捕した。
発表によると、大木容疑者は8日午後10時過ぎ、自宅のパソコンから掲示板サイト「2ちゃんねる」に、山形市内の楽器店の名前を挙げて「トラックで突っ込んでやる!」などと書き込み、同店の業務を妨害した疑い。「秋葉原の事件のニュースを見て、まねをして書き込んだ」などと供述している。
警視庁によると、同庁のホームページにメールで届けられたり、110番通報されたりした「犯罪予告」情報は事件前は1日2~3件だったが、加藤智大容疑者(25)が、携帯電話サイトに犯行予告をしていたことが明らかになった9日から急増。「原宿で連続殺人をする」「13日に渋谷で人を殺す」などの繁華街を狙ったもののほか、「秋葉原で加藤(容疑者)より多い10人殺す」といった書き込みもあったという。
同庁幹部は「事件を模倣したいたずらが増えるとともに、事件の影響でネットの書き込みに敏感になって通報が増えた」と分析。摘発に向け、書き込みをした人物の特定を進める。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080613-OYT1T00066.htm
東京・秋葉原で17人が襲われた無差別殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が、「両親とうまくいかず、ずっと疎遠だった」と供述していることがわかった。
犯行の直接のきっかけは、職場でのトラブルとみられているが、加藤容疑者が書き込んでいた携帯サイトの掲示板にも、高校時代から募っていた両親への不満がつづられていた。警視庁は、両親への根深い不信感が犯行の伏線になったとみて調べている。
同庁幹部によると、加藤容疑者は、取り調べが自らの生い立ちや家族のことに及ぶと泣きながら、「自分の置かれている境遇が、本当に嫌だった」と打ち明け、「両親とはしばらく連絡を取っていない」と話しているという。
「日記代わりだった」として、加藤容疑者が投稿していた携帯サイトの掲示板には、「親に無理やり勉強をさせられていた」「親が周りに自分の息子を自慢したいから完璧(かんぺき)に仕上げたわけだ」などと、子育ての方針や家庭環境などを巡る強い不満が繰り返し書かれていた。
加藤容疑者は、青森県有数の進学校を卒業後、岐阜県内の短大を経て、派遣社員として埼玉県や茨城県内などの職場を転々としていたが、その理由を「(親のいる)地元にいたくなかったから」と供述。静岡県の派遣先の同僚には「両親は離婚し、自分は住所不定みたいなもの」と話していた。同庁は詳しい動機を解明するため、加藤容疑者が初めて挫折を経験したという高校時代に着目し、両親と同居していた当時の暮らしぶりや親子関係を調べている。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080613-OYT1T00062.htm
(略)
2008年6月13日 22時59分(最終更新 6月13日 23時51分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080614k0000m040124000c.html
東京・秋葉原で17人が殺傷された事件で、現行犯逮捕された派遣社員、加藤智大容疑者(25)=静岡県裾野市=が、トラックではね即死状態になった被害者をさらにダガーナイフ(短剣、刃渡り約13センチ)で刺していた疑いが強いことが分かった。刺した際にナイフを上方に動かし、内臓をより損傷させたケースがあることも判明。警視庁万世橋署捜査本部は加藤容疑者の強い殺意を裏付ける行為とみて調べている。
調べでは加藤容疑者は今月8日午後0時半ごろ、東京都千代田区外神田の交差点に赤信号を無視してトラックで突っ込み、5人をはねて、そのうち男性3人を全身打撲などで死亡させた。
捜査本部が交差点付近で死亡した3人を司法解剖した結果、1人の体にトラックとの衝突で受けた傷のほか、鋭利な刃物で刺されたとみられる傷があった。男性ははねられた直後に即死状態になったとみられ、亡くなった後に刺された可能性が高いという。
加藤容疑者は通行人を襲った際、ダガーナイフのほか、上着の内ポケットに折り畳み式の小型ナイフ、靴下の中にペティナイフを隠し持っていたことが判明している。加藤容疑者は調べに「使ったのは1本だけだった」と供述しており、ダガーナイフで刺したとみられる。
加藤容疑者はほかの通行人らも次々と刺し、最終的に4人を刺殺。この中には刺した際にダガーナイフを上方に動かし、より傷口を広げて致命傷を与えたケースがあることも分かった。4人の死因はいずれも胸や腹などを1回刺されたことによる失血死だった。
また、加藤容疑者が午後0時半ごろ、交差点に突っ込む際、赤信号で停車していた数台の車を右側からよけながら突っ込んでいたことが分かった。加速をつけるねらいがあったとみられる。
捜査本部は周到な計画を立ててトラックで突っ込み、執ような殺意のもとに無差別殺人を実行したとみて、加藤容疑者を厳しく追及する。
2008年6月13日 15時00分(最終更新 6月13日 15時00分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080613k0000e040079000c.html
(略)
再開時期について、区は「早くても7月下旬以降になるだろう」と話している。
2008年6月13日 12時28分(最終更新 6月13日 13時35分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080613k0000e040053000c.html
17人が殺傷された東京・秋葉原の現場近くの献花台では、「アキバ」の常連たちが自分たちの流儀で冥福を祈り続けている。サブカルチャーの聖地、秋葉原を象徴するアニメキャラクターのぬいぐるみやセル画、秋葉原が生み出したヒット商品「おでん缶」などが供えられている。アキバをこよなく愛する若者たちは「他人とは思えないから」と涙を見せた。
逮捕された加藤智大容疑者(25)がトラックで突っ込んだ交差点脇。事件当日の8日夜から花束が置かれ始めた。
「オタクのやり方で弔います」。千葉市の男性会社員(42)はそう話し、人気アニメ「機動戦士ガンダム」のセル画を手向け、黙とうをささげた。男性は「同じ人間としてどんな事情があろうと殺人は許せない」と憤りをあらわにした。
9日は雨。しかし献花の人波は絶え間なく続いた。東京都港区の男性会社員(23)はアイドルのイベントを見るため毎週末やってくる。「同じ趣味の人同士が知り合える街で大好き。ここで亡くなった人は仲間」と目を赤くした。
10日は花束が献花台を埋め尽くした。千葉県松戸市のフリーター男性(25)は「自分の一番大切なもの」と前置きし、ゲーム愛好者らで開発した「同人ゲーム」主人公のキーホルダーを供えた。8日は現場近くにいた。「自分も巻き込まれていたかもしれない」。加藤容疑者は同じ年。居ても立ってもいられず献花にやってきた。
12日夜。仕事帰りだというメイド喫茶で働く女性(21)がジュースのペットボトルをそっと献花台に置いた。「秋葉原が好きで働いている。人ごととは思えず悲しい」
2008年6月13日 10時42分(最終更新 6月13日 15時36分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080613k0000e040019000c.html
東京・秋葉原で17人が殺傷された事件で、被害者の大半は派遣社員、加藤智大容疑者(25)=静岡県裾野市=がトラックで突っ込んだ交差点付近に集中していたことが、警視庁万世橋署捜査本部などの調べで分かった。発生直後の被害状況が判明するのは初めて。捜査本部は、加藤容疑者がトラックを降りてから約70メートルの間に、集中的に被害者を襲ったとみて調べている。
調べでは、加藤容疑者は8日午後0時半ごろ、トラックで神田明神通りを東に走行し、中央通りとの交差点で赤信号を無視して5人をはね、直進して約70メートル先で停車した。ダガーナイフ(刃渡り約13センチ)を手に車から降り、上着の内ポケットに折り畳み式ナイフを、靴下にペティナイフを入れ、交差点に向かって走りながら通行人を次々に襲った。
調べや関係者によると、トラックにはねられた5人のうち、死亡した川口隆裕さん(19)、藤野和倫さん(19)、中村勝彦さん(74)と軽傷の男性は交差点東側に倒れ、もう1人の軽傷の男性は、さらに東側に倒れていた。武藤舞さん(21)と小岩和弘さん(47)は、加藤容疑者がトラックを降りた直後に刺殺されたとみられる。
交差点内で刺されて倒れていたのは男性5人と女性1人。死亡した松井満さん(33)は交差点の南西で左腹を刺されていた。はねられた男性を介抱していて背中を刺された万世橋署警部補(53)ら4人が重傷。交差点西側の1人は軽傷だった。
加藤容疑者は交差点を左回りで移動しながら通行人を刺し、その後中央通りを南に移動。約80メートルの路上で宮本直樹さん(31)が胸を刺され倒れていた。
加藤容疑者は、中央通りから西に入った路地で警察官に取り押さえられた。路地の先には女性が、さらに西側に男性が倒れていた。いずれも背中を刺され重傷。女性は、警察官に追われていた加藤容疑者に中央通りで刺され、路地に逃げ込んだとみられる。
被害者17人のうち、乗り捨てたトラックから交差点までの間に襲われたのは14人で、うち6人が死亡した。
2008年6月13日 2時30分(最終更新 6月13日 2時30分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080613k0000m040167000c.html
(略)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080612-OYT1T01004.htm
(略)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080612-OYT1T00798.htm
(略)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080612-OYT1T00710.htm
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が、携帯サイトへの書き込みについて、「孤立感を紛らわせるために続けていた」と供述していることがわかった。
加藤容疑者が記載したとみられる掲示板には、親子や異性関係の悩み、職場の不満などが1日数十回、載っており、「日記代わりだった」とも話しているという。警視庁では、現実社会で孤独感を強め、ネットの世界に傾倒していったとみて、犯行当時の心理状況の解明を進める。
同庁幹部によると、加藤容疑者は携帯サイトの掲示板に、犯行予告のほかに、日常の出来事や自身が抱えていた悩み、不満などを短い文章で書き込んでいた。書き込みは多い時で1日200回以上あり、自ら「携帯依存」と呼ぶほどだった。これについて、加藤容疑者は「書き込みは日記のように習慣化されたもので、生活の一部だった」「自分のことを知ってもらいたかった」と供述しているという。
派遣先の「関東自動車工業東富士工場」(静岡県裾野市)の同僚男性によると、交際相手の有無を尋ねた際、加藤容疑者は「彼女はほしいが、過去に色々あって人間不信なんだ」と話していた。「人間は裏切るが、アニメや自分で作ったゲームソフトは裏切らない」とも語った。さらに、工場内でリストラの情報が広まった今年5月下旬、加藤容疑者は「借金を踏み倒して逃げ出してきた。両親は離婚し、自分は住所不定みたいなものだ」と自嘲(じちょう)気味に話したという。
一方、掲示板の一連の書き込みについて、加藤容疑者は「誰かが見て、自分を止めてほしかった」と供述していることも判明。警視庁では、様々なストレスにより追い込まれている心情を理解し、暴走しそうになる自分を止めて欲しいという意識の表れではないかとみている。
◇
警視庁は12日、被害に遭った17人のうち、12人がナイフで刺され、5人がトラックにはねられて死傷したと発表した。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080612-OYT1T00522.htm
(略)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080612-OYT1T00489.htm
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http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080612-OYT1T00460.htm
東京・秋葉原で今月8日、17人が死傷した無差別殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が5月下旬、派遣先の同僚に「多額の借金がある」と話していたことがわかった。
加藤容疑者は、この時期広まった派遣先でのリストラ情報に将来の不安を募らせていたほか、高校入学後、挫折を繰り返し、「人生が嫌になった」とも供述しており、警視庁ではうっ積したストレスが犯行の背景にあったとみて調べている。
派遣先の「関東自動車工業東富士工場」(静岡県裾野市)の同僚男性によると、加藤容疑者は5月下旬、工場で休憩中に突然、「多額の借金を抱えている」と打ち明けた。借金の原因については「車に関すること」とだけ話したという。
加藤容疑者は2006年から07年ごろ、当時乗っていたスポーツカーから別の車に乗り換えており、その理由について友人に「死のうと思って高速道路に突っ込んでつぶした」と説明していた。同じ時期、別の友人に繰り返し送ったメールでも「金がない」と嘆いていたという。
加藤容疑者は犯行直前の今年5月下旬、派遣元の日研総業(東京都大田区)から、近く派遣社員の大半の契約が解除されるとの見通しを聞かされていた。加藤容疑者は、日ごろから不安定な立場を気にしていたとみられ、同僚らは「急に大声を上げるなど、ストレスをためていたようだ」と指摘している。
6月に入り、加藤容疑者は自分自身はリストラの対象外だと知るが、事件3日前の同5日、作業服を隠される嫌がらせを受けたと思い込み、職場から無断で帰宅。同僚らは「必死になって作業服を探していた。頭に血が上って、パニックになっているように見えた」と話している。
一方、警視庁幹部によると、加藤容疑者は被害者に対し、「申し訳ないことをした」と話しているという。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080612-OYT1T00013.htm
秋葉原殺傷事件を受け、総務省は12日、全国約1万4000のインターネット接続業者やサーバー管理会社などに対し、ネット上で殺人など犯罪行為の予告を見つけた場合、すぐに110番通報するよう要請した。対象は、電気通信事業者として総務省に届け出たすべての業者。総務省が全国の届け出業者に犯罪防止の協力を個別に呼びかけるのは初めて。
警察庁が9日、ネット上で犯行の事前予告に当たる情報を見つけた場合、110番通報するよう大手のネット接続業者や総務省に要請。これを受け、総務省は10日、電気通信事業者協会、日本インターネットプロバイダー協会など4団体に同様の要請をした。
しかし、4団体に加盟しているのは1000社程度のため、未加盟の中小プロバイダーなどすべての届け出業者を対象に幅広く犯行の未然防止の協力を呼びかけることにした。
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080613k0000m040144000c.html
秋葉原殺傷事件を受けて12日、国内最大の刃物産地、岐阜県関市の刃物製造・卸売り計352社でつくる「岐阜県関刃物産業連合会」(北村正敏会長)が運営委員会を開き、事件で凶器となったダガーナイフの生産や輸入、販売をすべて禁止することを決めた。この事件で刃物業界がナイフの生産禁止を決めたのは初めてとなる。
北村会長は会議終了後に記者会見し、「ダガーナイフはいわば短剣。日常生活には必要のない鋭利な刃物で、事件を機に生産を禁止したい」と説明した。また「輸入される危険な刃物の流通に歯止めをかけなければ、我々の取り組みも意味がない」と話し、ダガーナイフの流通、所持を禁止する法整備を国に文書で要望することを明かした。
北村会長によると、関市では80年代後半までダガーナイフを生産・販売し、米軍に納入するなどしていたが、現在は生産や販売を行う業者はないという。
◇福田首相「規制、幅広く検討」
福田康夫首相は12日夕、ダガーナイフの販売や所持の規制について「社会的な背景もあるだろうし、実際に凶器が妥当なのか、社会的に許されるのか、一般的に手に入れることが可能なのかについても幅広く検討している」と語った。首相官邸で記者団の質問に答えた。
2008年6月12日 19時50分(最終更新 6月12日 22時21分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080613k0000m040059000c.html
総務省は東京・秋葉原の17人殺傷事件を受け、携帯電話やパソコンの掲示板に書き込まれた殺人予告などを自動的に検知し、警察へ110番通報する技術開発に乗り出す。加藤智大容疑者は犯行前「秋葉原で人を殺します」「秋葉原ついた」「時間です」などと掲示板に書き込んでいたが、これらの表現について「殺人予告」「予告現場」「犯行開始」などにあたるかをコンピューターが文脈から判断、抽出。プロバイダーや捜査機関と連携して、犯罪の未然防止に役立てる。
総務省によると、加藤容疑者が書き込んだ「車でつっこんで、車が使えなくなったらナイフを使います」などの文章について「ナイフ」などの単語の意味から「危険な情報」として検出することは現在の技術でも可能。ただ、単語からの抽出では、該当する書き込みが多過ぎて分析しきれないため、文脈全体から危険な情報を発見、絞り込む技術の開発に取り組むことにした。
新技術をプロバイダーが導入すると(1)ブログや掲示板に30分ごとに接続(2)自殺、学校襲撃などの危険語を検知(3)危険語の前後の文脈を分析、犯行予告かを判定(4)書き込み削除、警察へ通報--の流れで犯行防止を図ることができるという。09年度予算の概算要求に盛り込み、11年度までの完成と早期の実用化を目指す。また、中小プロバイダーでも利用できるよう新技術は無料開放する方針。
2008年6月12日 15時00分(最終更新 6月12日 15時00分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080612k0000e040072000c.html
警察庁は12日、今回の事件で使われたダガーナイフなど日常生活で使うことの少ない特殊なナイフの所持を原則禁止する方向で検討に入った。刀剣とみなして銃刀法を改正する。販売時に顧客の身元確認を徹底するよう販売業者とも協議する。
警察庁によると、現行の銃刀法は刃渡り15センチ以上の刀、剣を刀剣類として規制しているが、15センチ未満は規制外。事件で使われたダガーナイフも刃渡り約13センチのため規制外で、購入は自由だった。
同庁はダガーナイフは殺傷能力が高く、日常生活で使う必要はほとんどないとみており、今後、使用実態を調査したうえで、所持を禁止する方向で検討する。また、サバイバルナイフなど他のナイフについても使用実態、社会的有用性を調べる。
2008年6月12日 15時00分(最終更新 6月12日 15時00分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080612k0000e040074000c.html
東京・秋葉原で17人が殺傷された事件に絡み、刃物の生産地として知られる岐阜県関市の「岐阜県関刃物産業連合会」(北村正敏会長)が、凶器として使用されたダガーナイフ(短剣)の国内向け生産と輸入を中止する方針を固めた。12日の運営委員会で正式決定する。警察庁などの関係省庁に銃刀法の改正や輸入禁止の措置を求めることにしており、北村会長は「ダガーナイフは日本では必要がない」と話している。
連合会は関市の刃物の生産、卸業者の9団体362社で構成している。約780年前から日本刀を作ってきた技術を生かし、戦後は家庭用刃物の生産に転向。包丁、ナイフとも全国のシェアの5割を超え、ドイツ・ゾーリンゲンと並ぶ世界的な生産地だけに、今回のダガーナイフ生産中止の影響は大きい。
北村会長によると、ダガーナイフは関市でも長年、米国メーカーの依頼で生産・輸出し、米軍に納入され戦闘用として使用されてきた。相手を突き刺すための両刃の武器で、耐用性が高く、殺傷能力が高いとされる。銃刀法では刃渡り15センチ以上の刀剣類の所持には許可が必要だが、凶器として使用されたダガーナイフは13センチ。北村会長は「殺傷能力も高いし、片刃の刀剣類と同じ基準の規制ではおかしい。そもそも国内では使用する必要がない」と訴える。
近年は生産コストの上昇に伴い、生産拠点が中国などにシフトし注文は激減しているといい、逮捕された加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が今回使用したダガーナイフも中国で生産されたものという。
北村会長は「生産・輸入を中止することで国内での流通を少しでも食い止めたい。不正なルートで密輸入されないよう税関などのチェック態勢も強化すべきだ」としている。
2008年6月12日 15時00分(最終更新 6月12日 15時00分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080612k0000e040071000c.html
東京・秋葉原の無差別殺傷事件の被害者17人のうちナイフで刺された人は12人、トラックではねられた人は5人だったことが警視庁万世橋署捜査本部の調べで分かった。刺された12人のうち4人が死亡し、8人が負傷した。はねられた5人は、3人が死亡し2人が負傷した。
また加藤智大容疑者(25)が事件当日に「犯行予告」を書き込んでいた携帯電話サイトの掲示板について「日記代わりにその都度書き込みをしていた。習慣だった」と供述していることが分かった。同じサイトの別の掲示板にも、加藤容疑者とみられる人物が日常生活や職場への不満などを恒常的に書き込んでおり、裏付けを進める。
2008年6月12日 13時11分(最終更新 6月12日 13時17分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080612k0000e040070000c.html
(略)
2008年6月12日 12時20分(最終更新 6月12日 13時20分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080612k0000e040052000c.html
東京・秋葉原の無差別殺傷事件を受け、地元の千代田区は12日、町会や商店街の意見を踏まえ、日曜・祝日に実施してきた歩行者天国を当面中止することを決めた。午後に警視庁万世橋署に方針を伝え、都公安委員会が13日に最終判断する。地元の意見が尊重される可能性が強く、独自の若者文化の情報を発信してきた「アキバ」の顔が変わりそうだ。
千代田区は12日午前、幹部会議を開催。これまで町会や商店街などから聞いた歩行者天国に関する意見を集約した。その結果、「短絡的に事件と結び付けるべきでない」との意見があった半面、「秋葉原のイメージを悪化させている」「模倣犯が出たら怖い」といった不安の声が強いことが分かった。中止期間などは具体的に決めておらず、再開については再度協議する。
中止か存続かを巡る議論は区や住民、商店街、警察などの代表者が事件直後から続けてきた。地元の外神田1丁目万世橋町会会長の奥山治夫さん(61)は「痛ましい事件があったのに、このままやってよいのか。当面は自粛してもらいたいというのが住民の大勢」と話した。一方、秋葉原電気街振興会会長の小野一志さんは「次回の中止はやむを得ないが、人がたくさん集まってくるのが秋葉原の魅力」と、廃止には反対の考えを示した。
秋葉原の歩行者天国は1973年から始まり、現在は、事件があった道幅約30メートルの「中央通り」の800メートルが対象。多い時には8000人の人出がある。
2008年6月12日 11時50分(最終更新 6月12日 13時21分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080612k0000e040043000c.html
◇<本当の友達がほしい> 破滅、止める者なく
東京・秋葉原の17人殺傷事件で、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が携帯サイトに設けたとみられる掲示板には、5月31日、2分間に5本の連続的な書き込みがあった。
<上辺だけの友達>
<言葉だけの友達 実際は他人>
<みんな敵>
<友達がほしい>
<本当の友達がほしい>
とげとげしい言葉の奥から表れた心情に対し、厳しい匿名の書き込みが2件続く。
<自分を救う気ないなら死ねよ>
<友達できるはずがない。しねよ>
加藤容疑者はその日、静岡県裾野市から列車を乗り継いで東京へ向かう。最後にたどり着いたのが秋葉原だった。その時の感想と思われる書き込み。<秋葉原もカップルだらけだった 意味わからん>
近くの雑居ビルの4階に、対戦用カードゲームのカードを売る店がある。加藤容疑者に刺されて亡くなった会社員、宮本直樹さん(31)=埼玉県蕨市=は店の常連だった。ここ1年顔を見せず、男性経営者(44)は気にかけていたが、テレビで悲報を知った。「あの日、来ていたんですね。大好きな場所だったから」
ゲーム愛好家の間で「世界の宮本」と呼ばれる伝説的プレーヤーだった。「自分もカードの店を開きたい」。経営者は5年前、相談を持ちかけられた。宮本さんは東京・池袋で開店するが、盗難にも遭い、半年後に店をたたんだ。「一度埼玉に戻るけど、またやりますよ」。その時の笑顔が今もよみがえる。
東京情報大2年、川口隆裕さん(19)=千葉県流山市=は、友人3人とアニメ映画を鑑賞した新宿から秋葉原に向かった。ゲームの話をしながら歩行者天国を歩いている時、東京電機大2年、藤野和倫(かずのり)さん(19)=埼玉県熊谷市=と共に加藤容疑者のトラックに命を奪われた。
大学でコンピュータープログラムを学ぶ川口さんにとって、秋葉原は情報収集の場でもあった。友人の一人は事件後ブログでこう書く。「行くあてもなく適当に歩いていた。いつも通りのグダグダな雑談」
全国から若者たちを引き寄せ、仮想の世界へ誘うアキバ。現実の世界で劣等感に押しつぶされた25歳の容疑者も、引き寄せられた一人だ。
破滅に向けて走る自分を誰かに止めてほしい--。掲示板での「実況中継」は、そのためのものだったのか。
加藤容疑者の掲示板は事件直前まで少なからず注目され、携帯サイトの管理会社には警告も寄せられた。それでも掲示板上に「やめろ」といさめる書き込みは現れなかった。
事件当日の夜、展開を予想していたかのような匿名の書き込みがあった。<ザマアみんな騙(だま)された>
加藤容疑者は結局、本当の友を見つけられなかった。
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080612ddm041040148000c.html
理不尽な凶行に、7人の命が奪われた東京・秋葉原の無差別殺傷事件。発生から4日目となった11日、各地で犠牲者の通夜が行われ、家族や友人、学生時代の恩師らが冥福(めいふく)を祈った。
突然の別れ、犠牲者の無念──。参列者はたくさんの思い出とやり切れない思いを胸に、笑顔の遺影を前にしてこらえきれず涙をこぼした。
「なぜ、巻き込まれなければならなかったのか」
東京芸術大4年の武藤舞さん(21)の通夜が行われた東京都台東区の寺。武藤さんの大学の友人らが弦楽器を演奏する中、参列者は祭壇に掲げられた笑顔の武藤さんの遺影に白いカーネーションを献花した。
すすり泣きながら友人に肩を抱えられた女性や、目を赤くして出てくる男性の姿も。
武藤さんは、毎年秋に北区で開かれる音楽祭の運営ボランティアもしていた。同区の経営コンサルタント佐藤盛寿さん(58)は、「昨年の音楽祭では、司会を務めてもらった。何事にも積極的な子だったのに」と唇をかんだ。
小学6年に理科を教えたさいたま市の元教諭、増岡隆宏さん(69)は「頭脳明晰(めいせき)な子だった」と振り返った。クラスみんなで一緒にサクラソウを育てていた姿が印象に残っている。
「12日の告別式では、サクラソウの種をひつぎに入れて、『天国で幸せになって』と祈りながら送ってあげたい」と語った。
ゲーム好きで、その腕前から「世界の宮本」と呼ばれていた会社員の宮本直樹さん(31)。さいたま市の斎場で営まれた通夜には300人以上が参列。父親の惇彦さん(60)は「犯人にますます憤りを感じています」と唇をかみしめた。
専門学校で同級生だった横浜市の秋山茂さん(30)は、「ゲームに熱中している姿を今でも思い出す。5年ぶりの再会がこんな形になってしまうとは……」。
東京情報大2年、川口隆裕さん(19)の通夜は、千葉県流山市の葬儀場で営まれた。川口さんの父、健さん(53)は「19歳で命を奪われて、本当に残念でならない。このようなことが二度と起こらないようにしてほしい」などと語った。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080611-OYT1T00819.htm
東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が数年前から、中学や高校など複数の同級生に対し、「もう死ぬ」などと伝える携帯メールを繰り返し送っていたことがわかった。
今年3月には、「東京に遊びに来ないか」と複数に連絡し、断られると「生きていても意味がない」という内容を最後に連絡が取れなくなった。警視庁は、自殺願望を漏らしていた加藤容疑者が、無差別殺人へと駆り立てられた心理の変化についても解明を進める。
同級生らに自殺をほのめかすメールが来るようになったのは2005年ごろ。青森県内の小中学校でテレビゲーム仲間だった同級生や、県内トップの進学校、県立青森高校の同級生たちに別々に送られてきた。
当時、加藤容疑者は岐阜県内の短大を卒業し、仙台市の会社で警備員をした後、職を転々としていた。メールには「死にたくなったから、今から高速道路に車で突っ込む」などの自殺願望や、「もうだめだ」「疲れた」などと将来を悲観する心境や両親への不満などが書かれていた。
高校の同級生はその都度、「そんなことはするな」とメールを返信していたが、加藤容疑者が派遣社員として静岡県内の自動車工場で働き始めた昨年11月以降、連絡が取れなくなったという。
しかし、今年3月、「東京に遊びにこないか」というメールがあり、同級生が「仕事があるから行けない」と断ると、「ダメだ。生きていても意味がない。死んでしまいたい」というメールを最後に再び連絡が途絶えた。加藤容疑者はその直後の4月ごろから、携帯電話のサイトに仕事や私生活への不満や絶望感を書き込み始めたといい、「友達がいない」という記述も目立った。
同級生の一人は「『死にたい』とは言っても、事件を起こすような発言は一切なかった。あれば絶対に止めていたのに」と悔やんだ。
◇
東京地裁は11日午前、加藤容疑者について、20日まで10日間の拘置を認める決定をした。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080611-OYT1T00561.htm
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、警視庁に殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が、「歩行者天国が正午に始まるのを待って、トラックで突っ込んだ」と供述していることがわかった。
事件は午後0時半ごろ発生しているが、その約45分前に現場に到着し、付近で時間をつぶしていたという。
警視庁では、5年ほど前から秋葉原に通い、周辺の事情に詳しい加藤容疑者が、歩行者天国の雑踏に狙いを定め、綿密な犯行計画を立てていたとみて調べている。
加藤容疑者が犯行予告を書き込んだと供述している携帯サイトの掲示板によると、加藤容疑者は今月8日午前7時ごろ、静岡県裾野市の自宅を出発。
沼津駅前のレンタカー店でトラックを借りて、秋葉原付近に到着したのは午前11時45分で、正午からの歩行者天国が始まる直前だった。
同級生らの話によると、加藤容疑者は2003年夏以降、ゲームソフトなどを購入するため、秋葉原を頻繁に訪れており、加藤容疑者自身も「歩行者天国が正午に始まるのを知っていた」と供述している。
その上で「早く着いたので、(現場から約100メートル離れた)ディスカウントストアに立ち寄ったり、路上駐車をしたりして時間をつぶしていた」と話しているという。
掲示板には、午後0時10分ごろ、「時間です」という書き込みがあり、約20分後にトラックが交差点に突っ込んでいることから、同庁では、歩行者天国のスタートに合わせた犯行だったとみている。
また、加藤容疑者は「交差点は赤信号だったと思う」とも話しており、同庁の現場検証の結果、交差点付近にブレーキを踏んだ跡がなかったことがわかった。
死亡した7人のうち3人がトラックにはねられたことが死因と判明しており、同庁では、加藤容疑者が強い殺意を抱いて、ためらうことなく交差点の人込みに突っ込んだとみている。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080611-OYT1T00495.htm
東京・秋葉原の無差別殺傷事件の現場に設置された献花台に、被害者を悼む花束などが次々と手向けられている。
11日朝には、歩道にまであふれた花束などが保管先の千代田区の施設に運び出された。事件が発生した8日以降、被害者の知人らが手向けた花束は約1200束、ペットボトル飲料などは約1500本に上った。
8台の献花台の上に2メートルほどの高さまで積み上げられ、台の下も埋め尽くされた。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080611-OYT1T00415.htm
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、警視庁に殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が事件直前、福井市内で購入したナイフのうち1本を、愛用のゲームソフトと一緒に友人に譲渡していたことが警視庁の調べで分かった。
自分の携帯電話の全データを犯行直前に消去していたことも判明。同庁では、加藤容疑者が身辺整理をしたうえで実行したとみている。
逮捕直後、加藤容疑者は「購入したのは5本」としていたが、その後「6本購入したが、うち1本は、8日午前8時ごろ、派遣先で親しかった同僚に、ゲームソフトなどと一緒に段ボール箱に詰めて譲った」と供述した。
友人に譲った理由について、加藤容疑者は「ゲーム好きの同僚にナイフとともに渡せば、喜ぶと思った」と話しているという。同僚は報道で事件を知り、「怖くなって捨てた」としている。
さらに加藤容疑者は、事件の約20分前の8日午後0時10分ごろまで、掲示板に書き込みを続けていた携帯電話について、「電話帳や通話履歴、電子メールの送受信履歴などのデータをすべて消した」と供述。自宅マンションの部屋も、きれいに片づけられていたという。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080611-OYT1T00223.htm
東京・秋葉原で17人が死傷した無差別殺傷事件で、警視庁に殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が、犯行の際、ダガーナイフと折りたたみ式ナイフのほか、靴下の中に「スローイングナイフ」と呼ばれる投てき用ナイフを隠し持っていたことが分かった。
「自分が知っている中で、秋葉原の歩行者天国が一番人が多いと思った」と供述していることも判明。同庁では3本のナイフで武装した加藤容疑者が、多数の人を殺害するという強い決意で犯行に及んだとみて調べている。
同庁幹部によると、加藤容疑者は、上着の内ポケットに折りたたみ式ナイフ(刃渡り9センチ)を入れ、右手に持った殺傷能力の高いダガーナイフ(刃渡り13センチ)で通行人を次々と一刺し、4人を殺害していたが、この際、さやに入ったスローイングナイフ(刃渡り11センチ)を靴下の中に突っ込んでいたという。スローイングナイフは、離れた相手に向けて投げるためのもので、命中しやすいように細身で先端が鋭利になっている。このナイフは事件後、現場の交差点で見つかっており、犯行の最中に靴下から落ちたとみられる。
現場で救命活動にあたった医師によると、傷の状態は「容疑者がためらいなく刺したことがうかがわれるほど深かった」という。
加藤容疑者は、秋葉原の歩行者天国を犯行場所に選んだ理由について、「とにかく多くの人を殺したかった」などと供述しているという。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080611-OYT1T00001.htm
暴走トラックと凶刃の前に、17人が倒れた東京・秋葉原の無差別殺傷事件。地獄絵のような発生直後の現場で、懸命に応急処置にあたったのは偶然その場に居合わせた医師や通行人だった。「人の命を奪って自分の欲求を満たす犯人は許せない」。最初に駆け付けた医師の目には、今も路上に横たわる人々の姿が焼き付いている。
「ドクターいますか」
学会参加のため徳島市から上京し、秋葉原を散策していた産婦人科医、西条良香さん(39)は8日、助けを求める叫び声を聞いて、思わず声のする方向に走った。
角を曲がると、歩行者天国だったはずの交差点に8人が倒れていた。近くの携帯電話ショップからタオルを借りて、胸や腹部、背中など、被害者の傷口を衣服をめくって止血した。
次第に応援が増えてきた。気を失いそうな被害者に「しっかりしろ」と声をかける人、散乱した荷物を持ってくれる人――。中には、自分のカバンからタオルを取り出して慣れない応急処置にあたる若者もいた。「どちらかというと『アキバ系』と呼ばれるような見かけの若者たちが、よく助けてくれた」と振り返り、自身について「もっといい処置ができなかったか、後悔もある」とも。
加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が取り押さえられた路地の近くでは、若い女性がうつぶせで倒れ、背中から流れ出た血がアスファルトに広がっていた。そこにたまたま居合わせた埼玉県の男性(35)が、女性の傷口の上に両手を強く押し当てて止血しながら、携帯電話で119番通報した。
男性は医療系大学の学生。3月には近所の消防署で救命講習を受講し、止血や人工呼吸の方法などを学んでいた。「自分の弱さから他人をあやめる犯人に怒りを感じる」と話した。
東京都中野区の男性(34)は、ドーンという衝撃音を聞き、数メートル離れた場所に止まったトラックのそばに行った。周辺には4人が倒れ、路上に血が流れ出ていた。あおむけで倒れて意識を失っていた男性の元へ行き、素手で口に手をこじ入れて舌を出し、気道確保を急いだ。また、別の通行人2人と一緒に心臓マッサージや人工呼吸を試み、到着した救急隊に男性を引き渡した。
写真が趣味で、当日も首からカメラをぶら下げていたが、事件の写真は1枚も撮らなかった。「目の前に倒れている人を救助したい一心だった」
日本医科大付属病院(文京区)の横堀将司医師(33)は、医師や看護師らで組織する災害医療支援チーム「東京DMAT」の一員として、事件発生から約20分後、他のチームに先んじて現場に到着。負傷者の重症度や緊急性を判断し、搬送の優先順位を決める「トリアージ」にあたった。
横堀さんは「居合わせた市民や医師が、AED(自動体外式除細動器)を持ってきたり、心臓マッサージを行ったりして、我々を助けてくれた。勇気あるボランティアのおかげで、その後有効な治療が行えたと思う」と振り返る。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080611-OYT1T00135.htm
(略)
2008年6月11日 22時30分(最終更新 6月11日 22時53分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080612k0000m040129000c.html
(略)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080612k0000m010041000c.html
(略)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080611k0000e040047000c.html
「亡くなった方の顔が浮かぶ。あの場でやれる限りのことはやったが……」。東京・秋葉原で8日、7人が殺害された事件で、偶然現場に居合わせた徳島市佐古一番町、産婦人科医、西條良香(よしか)さん(39)は惨状の中、被害者の応急処置を続けた。「夢じゃないのか」という思いはしばらく消えなかった。事件から1週間を迎える15日、改めて秋葉原を訪れ献花をするつもりだ。
研究会出席のために上京していた西條さんは、楽器を買うために友人と秋葉原に立ち寄った。渋谷に向かおうと友人のオートバイに乗ってすぐ、後ろを振り返りながら逃げてくる大勢の人が視界に飛び込んできた。「何かのイベントか」。現場の大通りに入った瞬間、エンジンが焼けるような、異臭を感じた。血のにおいか。倒れている人が見える。救急車を呼ぶ声や負傷者を励ます声が聞こえる。騒然としている。「ドクター居ませんか?」。その声に体が反応した。
胸の上にタイヤ痕がある人。血の海に沈む人。背中を刺されてうつぶせに倒れながら、どこかに連絡しようと携帯電話を手にする人……。西條さんは「緊急時に専門科医が来るまでのつなぎができる医者になろう」と応急処置などを学んできた。研修医時代などには救急医療の経験もある。医療器具がない状態で販促用のタオルなどを使いながら、指示や処置をしていった。
負傷者が多く、一人一人に多くの時間が割けない。腹を負傷した女性に「ごめんな。もっと診たいけど、もっと重傷な方もいる。必ず戻ってくるから待っていてくれるか」と呼びかけた。「はい、大丈夫です」。笑顔でうなずいてくれた。
犠牲者の大学生、武藤舞さん(21)も処置した。まだ意識があり、誰かの名前を呼び続けていた。武藤さんの知人に「ずっとこの子の名前呼んでおけ! 大丈夫やから信じろ!」。励ましながら救急車で処置し、送り出した。「帰ってニュースで見たら、亡くなっていました」。沈痛な面持ちで打ち明ける。
周囲の店員や通行人らが、負傷者の処置を手伝ってくれた。一方、救助を手伝わないで負傷者をのぞき込んだりするだけの人も。「殴ろうかと思った。最悪です」と憤る。もちろん加藤智大容疑者(25)には怒りを抑えきれない。「世の中が嫌になったからといって人を巻き込むなと言いたい」
8人ほど処置したところで搬送が終わり、現場を離れた。徳島に帰るため羽田空港へ。「夢では」と思った。自分の靴が血で光っているのに気付いた。靴底は真っ赤で、ズボンにも血痕が。空港内で事件のニュースが流れた。「ああ、現実なんだ」と思い知らされた。
次の日曜、秋葉原に行くつもりだ。「現場に花でも持って行かないと。やれることを100%できたかどうか、ずっと悩み続けるんでしょうね」と話す。
2008年6月11日 11時38分(最終更新 6月11日 12時43分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080611k0000e040044000c.html
東京・秋葉原で8日、7人が殺害された事件で、派遣社員の加藤智大容疑者(25)=静岡県裾野市富沢=が事件直前、現場近くでトラックを止め、歩行者天国が始まるまで待機していたことが分かった。調べに「正午から歩行者天国になり人通りが増えることは知っていた」と供述している。警視庁万世橋署捜査本部は無差別殺人を実行するために時間調整をしたとみて裏付けを進める。
調べでは、加藤容疑者は8日午前5時21分、携帯電話の掲示板に「秋葉原で人を殺します」と書き込んだ後、午前8時ごろに、JR沼津駅前のレンタカー会社営業所でトラックを借り、東京に向かった。午前11時45分には「秋葉原ついた」と書いており、正午前には秋葉原に到着していたとみられるが、現場となった中央通りでは歩行者天国はまだ始まっていなかった。
加藤容疑者は、現場から北に約100メートル離れた中央通りにトラックを駐車し、大型量販店でトイレを借りるなどして時間をつぶしていたとみられる。午後0時10分には「時間です」の書き込みがあり、午後0時半ごろ、赤信号を無視して交差点に突っ込んだ。
加藤容疑者は調べに「何度も訪れたことのある秋葉原で事件を起こそうと思った」などと供述。当初から計画的に歩行者天国を狙ったとみて調べている。
一方、加藤容疑者は通行人を襲った際、ダガーナイフ(刃渡り約13センチ)や投てき用ペティナイフなど計3本の凶器を所持しており、ペティナイフは靴下の中に隠し持っていたとみられ、現場でさや付きで発見されている。上着の内ポケットには折り畳み式の小型ナイフを入れていた。
また事件前、携帯電話のアドレス帳やメールの送受信記録などデータを消去していたことについて、加藤容疑者は「周囲に迷惑をかけたくなかった」と理由を説明している。友人や知人が警察から事情を聴くのを防ごうとしたとみられる。
2008年6月11日 11時20分(最終更新 6月11日 12時02分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080611k0000e040032000c.html
東京・秋葉原で8日、7人が殺害された事件で、派遣社員の加藤智大(ともひろ)容疑者(25)が警視庁万世橋署捜査本部の調べに対し、「これまでの人生が嫌になった」と供述していることが分かった。事件の9日前、職場の現場責任者から、解雇の見通しを通告されていたことも判明。捜査本部は、職場への不満や不安が無差別殺人へと駆り立てるきっかけとなったとみてさらに動機を追及している。
加藤容疑者は東京都内の人材派遣会社に登録し、自動車組み立て・生産大手の関東自動車工業東富士工場(静岡県裾野市)に派遣され働いていた。工場の職場関係者によると、今年5月中旬から大量解雇のうわさが広まっていたという。そのため、責任者が先月30日、派遣社員十数人を集めて「(当面は)休まず働いてほしいが、派遣社員の中には解雇される人も出る」と説明した。加藤容疑者ら2人はこの説明会に遅れて参加。責任者に「急に言われても何と言っていいか分からない」と返答に困った様子だった。同じ塗装工程で働く同僚にこの後「青森に帰って時給の安い仕事でもみつけようかな」と皮肉っぽく漏らしたという。
ただ、今月3日に一転して雇用継続が伝えられ、加藤容疑者は翌4日「辞めなくてもよくなった」とこの同僚に打ち明けたが、「良かったじゃないか」という同僚の言葉には無反応だったという。同僚は「どうして喜ばないのか不思議だった」と振り返る。
翌5日午前6時15分ごろ、加藤容疑者は工場更衣室で「つなぎ(作業着)がないぞ」と突然大声を出し、壁を殴るなどして暴れ、職場から飛び出した。この1時間半前に携帯電話サイトの掲示板に「おれが必要なんじゃなくて、とりあえずクビ延期」と不満をぶつけていた。6日には福井市でダガーナイフなどナイフ6本を購入し事件の準備を始めた。
工場側の説明では、派遣社員を今月末で200人から50人に減らす計画があったが、加藤容疑者は対象ではなく、そう伝えられていた。また、なかったという作業服は更衣室付近にあった。しかし、加藤容疑者は現場責任者との面談の前の先月22日にも、職場の暑さに「ふざけるな」と大声を上げるなどいら立っていたという。雇用継続を伝えられても、加藤容疑者の職場や仕事へのいら立ちは解消されなかった可能性が高く、捜査本部で詳しい経緯を調べている。
2008年6月11日 2時30分(最終更新 6月11日 2時30分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080611k0000m040166000c.html
東京・秋葉原で8日、17人が殺傷された事件で、加藤智大容疑者は警視庁万世橋署捜査本部の調べに対し「トラックで何人かをはね、降りて最初に数人を刺した。中に警察官がいたのは覚えているが、その後は覚えていない」と供述している。万世橋署交通課の男性警部補(53)をダガーナイフで襲うまでに、トラックで3人をはね、少なくとも3人を刺しているとみられ、かなりの興奮状態にあったとみられる。
捜査本部によると、加藤容疑者は留置場内で正座するなど、事件を起こしたことに反省の態度を見せている。「うそをつくつもりはありません」と取り調べにも素直に応じているという。
福井市のミリタリーショップで購入したナイフ6本のうち、見つかっていなかった1本については、事件当日の8日午前8時ごろ、使わなくなったゲーム機と一緒に段ボール箱に入れて職場の同僚男性に手渡したという。静岡県沼津市のレンタカー会社でトラックを借りた直後らしい。
この同僚は受け取ったことを認めたうえで「報道を見て怖くなったので、ナイフはごみとして捨てた」と話したという。捜査本部は残りの5本については既にトラック車内などから押収している。
また、通行人らを襲う際に所持していたナイフ2本については、「使ったのはダガーナイフ1本だけだった」と供述したという。
2008年6月11日 1時51分(最終更新 6月11日 1時52分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080611k0000m040171000c.html
◇<負けっぱなしの人生> 短大出て職を転々
東京・秋葉原で17人が殺傷された事件の4日前。携帯サイトの掲示板に、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)のものとみられる書き込みがあった。
<県内トップの進学校に入って、あとはずっとビリ 高校出てから8年、負けっぱなしの人生>
青森市の金融機関幹部の父と、専業主婦の母、3歳下の弟の4人の家庭で育った。中学では成績がよく、絵が得意で、ソフトテニス部で活躍する万能の優等生だった。中学時代の文集では剣を持ったアニメキャラクターの絵とともに、英語で趣味や特技を書いた。
両親は教育熱心でしつけに厳しかった。父が2人の息子を怒鳴る声を近所の人は何度も聞いている。書き込みには、両親との関係のくだりがある。
<親が書いた作文で賞を取り、親が書いた絵で賞を取り、親に無理やり勉強させられてたから勉強は完璧(かんぺき)>
<親が周りに自分の息子を自慢したいから、完璧に仕上げたわけだ 俺(おれ)が書いた作文とかは全部親の検閲が入ってたっけ>
<中学生になった頃(ころ)には親の力が足りなくなって、捨てられた より優秀な弟に全力を注いでいた>
このあと、冒頭の書き込みが登場する。
加藤容疑者が進学した県立青森高校は、県立八戸、県立弘前と並ぶ有名進学校だ。地元では「せいこう」と呼ばれ、作家の太宰治や寺山修司も学んだ。「9割は東大に入ろうと思って入学する」(元教頭)というエリートの卵たちの中で、加藤容疑者は理系クラスの目立たない存在だった。
所属していた将棋部の顧問の教諭は「アルバムを見ると載っているが、思い出せない」と話す。
加藤容疑者は高校時代、車に興味を持った。「F1に夢中になり、『リアルな車のゲームがある』とゲームセンターに誘われた」と、同級生は振り返る。
「トヨタで自動車を設計したい」と担任に夢を語り、整備士を養成する中日本自動車短期大学(岐阜県坂祝町)の自動車工学科に進んだ。卒業間際になって「弘前大に行く」と短大事務室に進路を告げた。しかし、実際には仙台、さいたま、茨城県常総市を転々とし、派遣会社を通じて自動車工場などで働いた。
<トヨタの期間工(期間契約で働く作業員)に応募して落ちた>と掲示板で打ち明けてもいる。地元で正社員のトラック運転手に採用されたが、8カ月で辞めた。その後、静岡県裾野市の関東自動車工業に派遣され、事件を起こした。
実家の近所の人が、印象的な場面を今も記憶する。冬の朝、雪を側溝へ流していると背中から声がした。「おはようございます」。小学校低学年のかわいらしい男の子が、体を直角に折り曲げてお辞儀している。それが加藤容疑者だった。
事件前日にはこんな書き込みがある。
<小さいころから「いい子」を演じさせられていたし、騙(だま)すのには慣れている>
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080611ddm041040058000c.html
(略)
(2008年6月10日23時42分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080610-OYT1T00908.htm
(略)
(2008年6月10日22時17分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080610-OYT1T00735.htm
東京・秋葉原で起きた無差別殺傷事件で、加藤智大容疑者(25)の両親が10日夜、青森市内の自宅前で取材に応じ、「息子が重大な事件を起こし、亡くなられた方、けがをされた方、本当に大変申し訳ありません」と述べ、深く頭を下げた。
両親は事件後、警視庁の事情聴取を受け、同日午後7時半ごろに帰宅した。集まった報道陣に父親は「事件の重大さからすると、社会に与えた不安もかなりあって、本当に申し訳ございません」と謝罪。「謝っても謝っても償いきれるものではないと思います。心の整理もできておらず、(被害者に)私ができることは具体的にまだ持ち合わせていない状況で申し訳ございません」と涙を浮かべながら、繰り返し頭を下げた。
母親は、傍らで泣きながら頭を下げ続け、途中で崩れ落ちるように倒れると、地面に手をついて土下座した。
(2008年6月10日22時01分)
東京・秋葉原で8日、17人が殺傷された無差別殺傷事件で、殺害された7人のうち4人は刃物で一刺しされたことが致命傷となっていたことが警視庁の司法解剖で分かった。
殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)は調べに対し、「境遇に強い不満があった」と供述。その一方、「自分は精神病だ」とも話している。検察当局などは加藤容疑者の責任能力に問題はないことを確認するため、東京地裁に鑑定留置を請求する方向で検討を始めた。
同庁幹部によると、加藤容疑者は取り調べに淡々と応じているが、自らの生い立ちに触れると涙を流し、「自分の置かれている境遇が本当に嫌だった」などと供述しているという。
携帯サイトでの掲示板でも、「勝ち組はみんな死んでしまえ」「不細工な俺(おれ)は存在自体が迷惑なんだっけ」などと、生活への不満や孤独感を書き込んでいた。
加藤容疑者は、犯行について「殺意はあった」と認めているが、「自分は精神病にかかっている」とも主張。その理由について、「子どものころ、親から『お前は必要がない』と言われてショックを受けたことがきっかけだ」と説明したという。
これまでの調べで、加藤容疑者は、犯行前にナイフやレンタカーを準備し、犯行の数日前から当日にかけて、携帯サイトの掲示板で「秋葉原で人を殺します」などと予告していたことが判明。犯行に計画性があることや、その後、加藤容疑者が落ち着いて取り調べに応じていることから、検察当局などは、加藤容疑者の責任能力に問題はないとの見方を強めている。
ただ、公判では、事実関係が争われる可能性が低い一方、加藤容疑者のこれまでの供述、動機や犯行態様の異常さから、責任能力の有無を争う可能性があると見ている。このため起訴前に精神鑑定を実施して、加藤容疑者の責任能力に問題がないことを確かめる方向で検討している。
起訴前の精神鑑定には、簡易鑑定と正式鑑定の2種類がある。簡易鑑定は、検察が起訴前に医師などに依頼し、問診結果や捜査資料を検討して1~2日で行う。一方、正式鑑定は、検察が起訴前に裁判所に鑑定留置を請求し、2~3か月間かけて行われる。
2001年の大阪教育大付属池田小(大阪府池田市)の児童殺傷事件では、殺人罪などで死刑が執行された宅間守・元死刑囚について、大阪地検が2か月間の鑑定留置を行い、鑑定を行った後、起訴した。
◇
警視庁は10日午前、加藤容疑者を殺人未遂容疑で東京地検に送検した。
(2008年6月10日15時06分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080610-OYT1T00415.htm
東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、携帯サイトの掲示板に残されていた加藤智大(ともひろ)容疑者(25)のものとみられる書き込みは、5月中旬以降だけで約3000回に上っていた。
自らを「携帯依存」と呼び、両親への不満、職場の人間関係を巡る葛藤(かっとう)、雇用不安、友人や恋人のいない孤独感などを訴える言葉の羅列から、現代の病理が浮かぶ。ブログに自分の行動や気持ちを分刻みで書き込む流行の「リアルタイムブログ」に近いとみる専門家もいる。
加藤容疑者らしい書き込みのある掲示板は、5月19日に開設され、事件前日の今月7日まで書き込みがあった。
4日には「俺(おれ)が何か事件を起こしたら、みんな『まさかあいつが』って言うんだろ」と記述。さらに親への不満と挫折感を訴える書き込みが並ぶ。「親に無理やり勉強させられていたから勉強は完璧(かんぺき)」「中学生になった頃(ころ)には親の力が足りなくなって、捨てられた」「県内トップの進学校に入って、あとはずっとビリ 高校出てから8年、負けっ放しの人生」……。不本意な現在の境遇に至った責任を両親に転嫁している。
仕事に関しては、「作業場行ったらツナギが無かった 辞めろってか」と人間関係の不満を記し、「別の派遣でどっかの工場に行ったって、半年もすればまたこうなるのは明らか」と、派遣社員という立場の雇用不安をつづっている。
また、友人ができない理由として「不細工」と容姿のコンプレックスを挙げ、「彼女がいない それが全(すべ)ての元凶」と書いていた。
◇
携帯電話サイトの掲示板は、不特定多数の人間が自由に書き込むことができるため、すべての記述を加藤容疑者が書いたものか、現時点で断定はできない。
ただ、福井市内でナイフを買ったり、東京・秋葉原でソフトを買い取ってもらったことなど、加藤容疑者が警視庁の調べに供述した内容と一致する点が含まれているため、同庁は、加藤容疑者の書き込みだとの見方を強めている。
(2008年6月10日14時59分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080610-OYT1T00427.htm
(略)
(2008年6月10日13時57分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080610-OYT1T00387.htm
(略)
(2008年6月10日13時51分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080610-OYT1T00334.htm
(略)
(2008年6月10日13時26分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080610-OYT1T00359.htm
東京・秋葉原の無差別殺傷事件──白昼の凶行から一夜明けた9日、犠牲者の友人や遺族らは、余りに理不尽な死を悼んだ。
「憎めないいいやつだった」。東京電機大2年の藤野和倫さん(19)と全寮制の同じ中高一貫校に通い、3人部屋でともに過ごした時期もある神奈川県横須賀市、大学2年松村正晃さん(19)の一番の思い出は、高2のころ一緒に遊んでいて、財布を落とした時のこと。藤野さんは2時間かけて捜してくれ、最後は警察署までつき合ってくれた。「本当に友達思いのやつでした」と振り返り、「今は思い出をありがとうと言いたい」と言葉を詰まらせた。
高校柔道部時代の友人で大学2年の男子学生(19)は「嫌になって部活に行かなくなった時、そっと励ましてくれた。そんな優しい一面があった」と思い出していた。
会社員の宮本直樹さん(31)は「トレーディングカード」を使ったゲームが趣味で、好みのゲーム機がある店を探しては千葉、神奈川県まで足を延ばしていた。秋葉原のゲーム店にもよく出かけていたという。
ゲーム仲間によると、宮本さんは負け知らずで、仲間内で「世界の宮本」と呼ばれていた。昨秋、東京・吉祥寺で行われた大会で優勝した際には、「埼玉の宮本から、関東の宮本に昇格したかな」と控えめに笑っていたという。
元歯科医の中村勝彦さん(74)の友人で日大名誉教授の納村晋吉さん(70)は「『引退したらどうやって暇をつぶそうか』と笑っていたのに」と言って絶句した。
2人が知り合ったのは1970年ごろ。納村さんが講師を務めていた日大松戸歯学部に、中村さんが歯科矯正学を学びにきたのがきっかけだった。
中村さんは一度、妻と共に歯科医院を開いたが、専門性を高めようと再び大学の門をたたいたという。「惰性で続けてしまう医師も多い中、『もう一度学び直そう』と思える人はそうはいない」。その熱心さに納村さんは舌を巻いた。
矯正学を学んだ後、中村さんは再び開業。納村さんの招きに応じて日大歯学部で講師も務めた。わかりやすく丁寧な指導は学生の評判を集めた。
カメラと旅が趣味。得意の英語を生かして孫たちを連れて世界中を旅していたという。納村さんは「携帯のメールを使いこなすほど気持ちが若かった。今も信じられない」とつぶやいた。
(2008年6月10日03時05分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080609-OYT1T00466.htm
(略)
(2008年6月10日03時04分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080610-OYT1T00073.htm
東京・秋葉原で起きた無差別殺傷事件で、逮捕された加藤智大容疑者(25)が事件を起こすまでの数日間の行動を同時進行で書き込んだとみられる携帯サイトの掲示板が9日、見つかった。
警視庁の調べに対し加藤容疑者は「数日前から(携帯サイトに)書き込みをしていた」と供述。サイトの記述の中に、福井県内でナイフを購入したことなど、供述と一致する点もあることから、同庁は、本人が書いた可能性が高いとみて確認を急いでいる。
このサイトは、事件当日の8日に書き込んだものとは別で、4日から7日までの分には特に克明に、加藤容疑者らしい男の行動や気持ちがつづられている。
「俺(おれ)がなにか事件を起こしたら、みんな『まさかあいつが』って言うんだろ」。4日午前0時58分には、就寝前に、自分が事件を起こすことを想像する内容の書き込みがあった。
同5時32分以降は、起床とともに、自分の小学生時代を振り返り、「親が書いた作文で賞を取り」「親が周りに自分の息子を自慢したいから、完璧(かんぺき)に仕上げたわけだ」などと不満を書き連ねた。
4日午後5時7分には、「土浦の何人か刺した奴を思い出した」と、JR常磐線荒川沖駅(茨城県)の殺傷事件に触れていた。
5日になると、職場で自分の作業服を、周囲が隠したと思い込む記述がある。
「作業場行ったらツナギが無かった 辞めろってか わかったよ」(午前6時17分)
加藤容疑者はこの日、職場の自動車工場で不満をぶちまけて早退したことが判明している。その後、作業服は見つかり、工場側は連絡を入れていた。
6日未明には、解雇を覚悟した投げやりな記述が続き、午前10時7分には、名古屋市にいると書いた。その後、ナイフを買いに福井県に来たと書き込んだ。
「買い物 通販だと遅いから福井まででてきた」(午前11時14分)
午後8時49分。帰宅したらしく、「ナイフを5本買ってきました」と書く。
加藤容疑者は警視庁の調べに、福井市内で5本のナイフを購入したことを認めているが、店は「(加藤容疑者に)6本売った」と話している。
事件前日の7日には、ソフトを売りに秋葉原へ行ったが、買い取り価格への不満を書いていた。
加藤容疑者は調べに対し、「7日に秋葉原で、レンタカー代稼ぎにゲームソフトを売って3万2000円を得た」と、ほぼ同じ内容の供述をしているという。
サイトには秋葉原で、レンタカーの調達を試みたとも書かれている。「レンタカーに空きがなかった トラックじゃ仕方ないかも」(午後1時14分)
この後、秋葉原から電車で静岡県沼津市のレンタカー営業所へ予約をしに向かったとみられる。「さあ帰ろう 電車に乗るのもこれが最後だ」(同1時43分)
トラックの予約を済ませると、こう書き込んだ。
「小さいころから『いい子』を演じさせられていたし、騙(だま)すのには慣れてる 悪いね、店員さん」(同4時1分)、「無事借りれた 準備完了だ」(同4時3分)
(2008年6月10日03時04分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080610-OYT1T00069.htm
東京・秋葉原で8日、通行人らがナイフで刺されるなどして7人が死亡、10人が重軽傷を負った無差別殺傷事件で、警視庁に殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)(静岡県裾野市)が、「会社(派遣先)に居場所がなくなった」と供述していることがわかった。
加藤容疑者は事件の3日前、派遣先で作業服がなくなったと思い込み、職場を飛び出す騒ぎを起こしたほか、「2~3日前に犯行を決意した」と話していることから、同庁では、このトラブルが無差別殺人の引き金になった疑いがあるとみている。
同庁は9日、加藤容疑者が運転していたレンタカーなどを検証し、ナイフ3本と特殊警棒を押収。犯行に使ったダガーナイフも含め、ナイフ計5本を用意していたという。加藤容疑者は「福井県内の店で買った」と供述している。
同庁幹部によると、加藤容疑者は話が家族に及ぶと涙を流しながらも、調べには素直に応じ、「事件前日も秋葉原に行き、ゲームソフトを処分してレンタカー代の足しにした」と供述しているという。
派遣先の「関東自動車工業東富士工場」(裾野市)の同僚男性(34)によると、5日午前6時過ぎ、出勤した加藤容疑者は自分の作業服が見当たらないことに怒り、別人の作業服をめちゃくちゃにした後、無断で帰ったという。加藤容疑者は以前から、派遣契約を打ち切られるのではないかという不安を同僚に漏らしており、同僚は「クビになったと勘違いしたのではないか」と話している。
(2008年6月10日03時04分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080610-OYT1T00066.htm
東京・秋葉原で8日白昼に起きた通り魔事件──。凶行の現場となった秋葉原の交差点には9日朝、犠牲者を悼む献花台が設けられた。
雨模様の中、終日途切れることなく友人や地元住民らが訪れては花束を手向け、手を合わせた。
東京芸大4年の武藤舞さん(21)の高校時代の同級生という埼玉県草加市の女子大学生(21)は、「カラオケがうまく、バンドも組んでいた」と振り返り、中学時代に一緒にアメリカに短期留学したという大学生本間和基さん(21)は「1月に会ったときに『音楽の仕事に就きたい』と夢を語っていたのに」とうつむき加減に話した。
東京情報大2年の川口隆裕さん(19)と小学生のときに同級だったという品川区の男子大学生(19)は、「互いの家を行き来し、毎日のようにテレビゲームをやっていた。もっと一緒に遊びたかった」と沈痛な面持ちで語った。
午前10時に設けられた献花台だったが、すぐに花束でいっぱいになり、正午過ぎには机が増やされた。
◆むせび泣く家族◆
命を奪われた被害者は9日夕から夜にかけて、次々と無言の帰宅をした。
藤野さんのひつぎは9日午後8時40分ごろ、埼玉県熊谷市の自宅に運び込まれた。待っていた女性が「カズちゃんが帰ってきたよ」と家の中へ呼びかけると、家族や親類がむせび泣きながら迎え入れた。
宮本さんの遺体は午後10時すぎ、同県川口市の実家に、父の惇彦(あつひこ)さん(60)とともに車で到着。ひつぎを運び終えた惇彦さんは報道陣に一礼して自宅に入った。
武藤さんの遺体は白い布に覆われて9日午後5時20分ごろ、東京都北区の自宅へ。雷が鳴り響き、大粒の雨が降り注ぐ中、同じマンションの住民らが廊下で様子を見守り、手を合わせて冥福(めいふく)を祈っていた。
(2008年6月10日01時56分)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080609-OYT1T00394.htm
(略)
2008年6月10日 21時43分
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080611k0000m040110000c.html
秋葉原7人殺害事件で犠牲となった東京都杉並区の中村勝彦さん(74)の密葬と神奈川県厚木市の調理師、松井満さん(33)の通夜が10日夕、それぞれ自宅などでしめやかに営まれた。
中村さんの自宅で営まれた密葬には、歯科医など約100人近くが参列した。密葬は中村さんの遺志だったといい、ほほ笑む中村さんの遺影を前に、すすり泣きの声が響いていたという。
知人の東京都港区の会社経営の男性(60)は「どの歯医者も治せなかった歯を治してもらったという患者が何人もいて、名医であるがゆえに今春まで引退できなかった」とショックを隠せない様子。東京都大田区の知人男性(49)と妻(49)は「奥さんが『まだ気が張っているから……』と気丈に振る舞われていた。中村さんはいつもにこやかだった。悔しい」と言葉を詰まらせた。
厚木市船子の斎場「県央会館」で営まれた松井さんの通夜には、親せきや知人ら数十人が喪服姿で弔問した。斎場から出てきた同僚男性は「容疑者は反省し、謝罪の言葉を述べてほしい」と目頭を押さえた。別の男性は「元気だったのに……。ひつぎの中の松井さんはいつもと変わらなかった。信じられない」と声を詰まらせた。
遺族の意向で、報道関係者は斎場敷地内に入れなかった。
2008年6月10日 21時41分(最終更新 6月11日 0時00分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080611k0000m040109000c.html
父は深く頭を下げ、母は泣き崩れた--。秋葉原7人殺害事件で、加藤智大容疑者(25)の両親が10日夜、青森市の実家前で事件後初めて記者会見。父親(49)は「息子が重大な事件を犯し、亡くなられた方、そしてけがをした方、本当に申し訳ありませんでした」と謝罪した。
午後7時20分、住民や報道陣ら約100人が囲むなか、両親はタクシーで帰宅。玄関前で会見に臨んだ。父親は「社会に与えた不安もかなりあったと思っております。本当に申し訳なく思います」と頭を下げた。そして「本日警視庁の事情聴取が終了しました。皆様にお答えできる内容はかなり難しいと思いますが、おわびだけ申し上げます」と淡々とした表情で述べた。
記者団から「事件を防げなかったのか」などの質問が出たが、父親は「捜査の関係もあり、この場ではお答えできない」。社会的責任を問われると「謝っても謝っても償いきれません。まだ心の整理もついていない」と三度頭を下げた。加藤容疑者については「(取り調べに)正直に述べてくれればと思います」と、原因解明を捜査に託し、約5分で終了した。
父親は紺色チェックの半そでシャツ、母親(53)は茶色長そでシャツ姿。母親は白いハンカチを口に当てて唇をかみしめていたが、途中で地面に崩れ落ち、うつむき、手で顔を覆った。会見終了後も両手をついたまま。父親の手を借りて地面をはうように約2メートル離れた玄関へ向かった。
2008年6月10日 21時36分(最終更新 6月10日 22時16分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080611k0000m040106000c.html
東京・秋葉原で8日、7人が殺害された通り魔事件で、派遣社員、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)=静岡県裾野市富沢=が、両手にナイフをかざし、次々と通行人を襲っていたことが、警視庁万世橋署捜査本部の調べで分かった。運転していたトラックは赤信号で交差点に突っ込み3人をはねたことも判明し、明確な殺意を持ち大勢の殺害を狙ったことが裏付けられた。捜査本部は10日、殺人未遂容疑で送検したが、今後殺人容疑に切り替え追及する。
調べでは、加藤容疑者は8日午後0時半ごろ、東京都千代田区外神田の交差点にトラックで突っ込み、対人武器のダガーナイフ(短剣、刃渡り約13センチ)で通行人を次々と刺した後、駆けつけた警察官に取り押さえられた。
捜査本部が現場周辺の防犯ビデオの画像を解析したところ、加藤容疑者はダガーナイフだけでなく、小型のペティナイフ(同10センチ)も持って、バンザイの格好をしながら2本のナイフを振り回して襲ったことが分かった。
ダガーナイフは、事件当初から17人を殺傷した後取り押さえられた際まで所持。ペティナイフは、トラックではねられた被害者を介護しているときに刺された万世橋署交通課の男性警部補(53)が倒れていた現場の近くに落ちていた。
加藤容疑者は逮捕時、上着の内ポケットにも折り畳み式の小型ナイフ(同約10センチ)を所持していたほか、トラックには別のナイフ2本と特殊警棒も入れていたこともすでに判明している。
また、トラックが交差点に進入した際、信号は「赤」だったことも確認された。現場は秋葉原のメーンストリートの「中央通り」と「神田明神通り」の交差点。中央通りは歩行者天国だったが、明神通りとの交差点は、信号でいったん歩行者天国の通行人を止めれば、明神通りの車は通過することができた。
しかし、目撃者の情報などから加藤容疑者は通行人が止められていない状態で交差点に突っ込んでいた。
2008年6月10日 15時00分(最終更新 6月10日 15時00分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000e040069000c.html
東京・秋葉原の通り魔事件で、殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)とみられる人物が、事件の1週間以上前の先月30日と31日、自身が女性にもてず、友達が少ないことを話題とする携帯電話専用のネット掲示板で、論戦に過熱するあまり「みんな殺してしまいたい」などと、「ネット住民」に対する、無差別殺人を予感させる書き込みをしていたことがわかった。
31日には加藤容疑者のものとみられる書き込みをした人物が、上京の際、秋葉原に立ち寄ったとする記載があり、ネット上の匿名の論戦が、無差別殺人のきっかけになった可能性もあるとみて、警視庁万世橋署捜査本部は、掲示板サイトの運営会社に協力を求めるなど、事実関係の裏付け捜査を進めている。
問題の掲示板の表題は「【友達できない】不細工に人権無し【彼女できない】」で、5月19日に開設された。加藤容疑者とみられる「主」が、友達がなく、良い仕事につけない「不細工な自分」を「無価値。ゴミの方がマシ」などと書き込んだ。
これに対し、5月29日には「冗談抜きでも友達になりたい」と名乗る女性が登場した。
しかし、翌30日朝、事態が急変する。
異性と交際できない悩みを吐露する「主」に、「友達」が、中卒の自分にも、大卒の交際相手がいることを打ち明け、「人生どう転ぶかわからない。主にもきっと良い相手が出来ると思う」とエールを送った。
これに対し、「主」は、やはり女性は学歴を気にすると反発し、「友達」がファッションに水を向けても、「服に気をつかわないと彼女ができないことはわかりました」などとすね続け、最後は「イライラします。みんな殺してしまいたいです」と書き込んだ。
「友達」がなだめるが、怒りはおさまらず、「殺人予告?」という匿名の問いに「主」は、「予告するならもっと具体的に書きます」と答えた。
以後、「本当の友達が欲しい」と、心の揺れを感じさせる記述もあったが、匿名のネット空間からの返答は、「皆を踏みにじったのはお前。友達できるはずがない。しねよ」。「主」は「ネットいじめにあった」と警察に通報したと書き込んだ。31日、「主」は「服を買い」に東京・上野に向かい、その足で、秋葉原にも寄ったとする記載もある。
この論戦以降、掲示板では、「主」による自虐的な書き込みだけが目立つようになり、6月8日早朝、「秋葉原で人を殺します」と明確な殺意を示した表題の掲示板が別途開設され、連続殺傷に至る経過を詳しく書き込んでいた。
2008年6月10日 15時00分(最終更新 6月10日 15時00分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000e040072000c.html
(略)
2008年6月10日 14時11分(最終更新 6月10日 14時18分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000e040071000c.html
(略)
2008年6月10日 13時29分
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000e040066000c.html
(略)
2008年6月10日 13時20分(最終更新 6月10日 14時21分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000e040064000c.html
(略)
2008年6月10日 13時13分
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000e040063000c.html
(略)
2008年6月10日 11時22分(最終更新 6月10日 11時37分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000e040034000c.html
携帯電話のサイトに通り魔事件を予告する書き込みをしていた加藤容疑者とみられる人物が、同じサイトの別の掲示板にも、事件前の5~7日の行動や心の軌跡を書き込んでいた。「工場で大暴れした」「(福井で)ナイフを5本買った」など、加藤容疑者の供述や事件直前の行動と符合するものが多い。
書き込みの題名は「友達できない」。5日午前11時51分の「犯罪者予備軍って、日本にはたくさん居る気がする」を皮切りに「『誰でもよかった』 なんかわかる気がする」(午後0時5分)、「やりたいこと…殺人 夢…ワイドショー独占」(6日午前2時48分)などと続いている。
加藤容疑者は派遣先の自動車部品工場で5日午前6時ごろ、作業着がないと騒いだが、翌6日午前2時54分には「工場で大暴れした」と書き込まれていた。
2008年6月10日 2時30分(最終更新 6月10日 2時30分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000m040161000c.html
その時、秋葉原に偶然居合わせたというだけで、理由もなく突然命を絶たれた被害者たち。あきらめきれない夢や将来があった。友や家族らは深い悲しみにくれながら、それぞれの言葉で愛する人への思いを語った。
◇武藤さん、音楽会社に内定
「音楽で人を喜ばせたい」。武藤舞さん(21)はクラシックコンサートのプロデューサーを夢見ていた。在学していた東京芸大音楽学部では録音や音響を勉強し、音楽関係の会社から内定をもらっていた。8日はアルバイト先の量販店店頭で携帯電話の販売をしていて事件に巻き込まれた。指導する亀川徹准教授(47)は「彼女なら素晴らしいコンサートを企画できたはず。残念」と声を落とした。
都立日比谷高校の同級生だった女性(21)は「バンドでボーカルやキーボードを頑張っていた。カラオケで洋楽を歌うのがうまかった」と振り返る。同級生には優しい性格とリーダーシップが印象に残っている。最近は、地域の芸術振興に取り組む財団法人のミニコンサートに参加し、高知県や山口県の老人ホームなどを回っていた。財団の小沢桜作さん(36)は「子供やお年寄りに人気だった。音楽の舞台に生きる舞台人としての一歩を踏み出したばかりだった」と悔しそうに話した。
中学時代はテニス部に所属。東京都北区の中学生海外交流事業に参加し、2年生で米サンフランシスコに短期留学した。帰国後、文集に「おいしかったのは生の果実をシェークのようにした飲み物。アメリカンサイズで飲みきれなくてもったいなかった」と現地での生活を描き、ホストファミリーを「第二の家族」とつづっていた。
一緒に留学した私立大4年、本間和基さん(21)は「最後に会った今年1月には音楽の仕事の夢を語っていた」と話した。小学校時代の同級生の女性(21)は「間違いであってほしかった。どうして舞が死ななければならなかったの」と涙を流した。
◇藤野さんと川口さん、仲良い友人同士
東京電機大2年の藤野和倫さん(19)と東京情報大2年の川口隆裕さん(19)は、歩行者天国の交差点で加藤容疑者のトラックにはねられるなどして亡くなった。一緒にいた電機大の友人2人は恐怖の瞬間を振り返り、「(加藤容疑者が)誰でもよかったと言っていることが許せない」と泣き崩れた。
4人は8日朝、映画を見るためJR新宿駅で待ち合わせた。その後「食事でもしよう」と秋葉原へ向かった。藤野さんと川口さんの前を友人2人が歩いていると、トラックが右前から飛び込んできた。蛇行運転しタイヤがきしむ音が聞こえた。
次の瞬間、4人ともはねられた。藤野さんと川口さんはその場に倒れ、意識がなかった。他の2人も腰などを打った。「介抱しようとすると『刃物を持ってるから逃げろ』と声が聞こえて……。どうしようもなかった」と2人は声を震わせた。
「気を遣う必要がないぐらい仲がよかった。昨日も映画のことを話したり、本当にいつも通りだったのに。まだ実感が分からない」
「藤野君はどこにいても笑わせてくれるやつだった。はねられた時、後ろを振り返ると藤野君と川口君が倒れているのが見えた」。2人は助けられなかったことを悔やんだ。
2008年6月10日 2時30分(最終更新 6月10日 2時30分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000m040160000c.html
加藤智大容疑者が01年から2年間通った中日本自動車短大(岐阜県坂祝町)の桜谷興道学長(65)、当時の担任講師らが9日会見し「在籍中には問題はなかった。こんな事件を起こすとは思ってもみなかった」と顔を曇らせた。加藤容疑者は卒業後の進路について「4年制大学に進み中学校の教員になりたい」と話していたという。
加藤容疑者は01年4月、自動車工学科に入学、エンジンの構造や車体整備技術を学んだ。2年次のクラス担任を務めた高橋正則講師は「大人しい印象だが陰にこもった感じではなかった」と在校時の印象を語った。
高橋講師によると、加藤容疑者は2級自動車整備士の国家試験で実技が免除される「実車実習」を受講しなかった。個人面談で進路について尋ねると、教員を目指したいと話し、卒業直前の進学調査では弘前大(青森県弘前市)に進む希望を示したという。
2008年6月10日 2時09分(最終更新 6月10日 2時22分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000m040191000c.html
◇川口さん・藤野さんの友人、ブログに
その時、秋葉原に偶然居合わせたというだけで、理由もなく突然命を絶たれた被害者たち。あきらめきれない夢や将来があった。友や家族らは深い悲しみにくれながら、それぞれの言葉で愛する人への思いを語った。
東京電機大2年の藤野和倫さん(19)と東京情報大2年の川口隆裕さん(19)は、歩行者天国の交差点で加藤容疑者のトラックにはねられるなどして亡くなった。一緒にいた電機大の友人2人のうち1人がその瞬間を会員制サイトのブログに書き込んでいた。会員仲間からは励ましの書き込みが相次いだが、友人は「(加藤容疑者が)誰でもよかったと言っていることが許せない」と泣き崩れた。
4人は8日朝、映画を見るためJR新宿駅で待ち合わせた。その後「食事でもしよう」と秋葉原へ向かったという。2人ずつ並んで歩いている時、トラックが右前から飛び込んできた。蛇行運転しタイヤがきしむ音が聞こえ、4人ともはねられた。
友人はブログに「後ろにいた友達二人が…いない。ゾッとした」と書いた。藤野さんと川口さんはその場に倒れたまま帰らぬ人となった。
「運命だから? そんなの残酷過ぎる…」友を失った悲しみと理不尽さを率直に書いたブログ。「かける言葉が見つからない」「無理すんなよ」「お友達のご冥福を祈ります」。哀悼と励ましの言葉が仲間から贈られた。
◇歯科医を勇退、余生楽しみに--中村さん
中村勝彦さん(74)は、歯の矯正を専門とする腕利きの歯科医だった。開業していた歯科医院があった東京都府中市の医師仲間らは「後進の育成や地域医療に尽力した立派な方だった」と実直な性格をしのんだ。
中村さんは日本歯科大を卒業して開業。しかし、大学の医局に入って矯正学に挑戦し、自らの専門分野を確立したという。自らの医院で若手を育てる一方、日大歯学部で03年までの約20年間、兼任講師を務めた。
講師を依頼した納村晋吉・日大名誉教授は「勉強熱心の硬骨漢。患者を大切にし、知識も豊富だから話がおもしろい。若手からも患者からも人気があったと思う」と語った。医師会の記念誌につづった「カラオケには二度行きましたが、小生にはあわないとさとりました」との文章からは、まじめさと愛嬌(あいきょう)を兼ね備えた人柄が伝わってくる。
今春、教え子に医院を託し、半世紀近い医師人生にピリオドを打った。歯科医仲間らが開いた慰労会では「これからは勇退して好きなことをやりたい」と照れながら話したという。納村さんは「役目を終え、趣味の写真や旅行などで余生を過ごすはずだったろうに」と唇をかんだ。
◇音楽の夢絶たれ--武藤さん
「音楽で人を喜ばせたい」。武藤舞さん(21)はクラシックコンサートのプロデューサーを夢見ていた。在学していた東京芸大音楽学部では録音や音響を勉強し、音楽関連会社に就職が内定していた。アルバイト先の量販店店頭で携帯電話を販売していて刺された。
指導する亀川徹准教授(47)は「彼女なら素晴らしいコンサートを企画できたはず。残念」と声を落とした。
優しい性格とリーダーシップで親しまれた。都立日比谷高校の同級生(21)は「バンドでボーカルやキーボードを頑張っていた。カラオケで洋楽を歌うのがうまかった」と振り返る。最近は財団法人が開催するミニコンサートに参加し、高知県や山口県の老人ホームなどを回っていた。財団の小沢桜作さん(36)は「子供やお年寄りに人気だった。音楽の舞台に生きる舞台人としての一歩を踏み出したばかりだった」と悔しそうに話した。
中学2年の時、中学生海外交流事業で米サンフランシスコに短期留学した。文集には「おいしかったのは生の果実をシェークのようにした飲み物。アメリカンサイズで飲みきれなくてもったいなかった」と現地での生活を描いた。
一緒に留学した私立大4年、本間和基さん(21)は「1月に最後に会った時は、音楽の仕事の夢を語っていたのに」と話した。
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◇亡くなった方々
武藤舞さん(21)=東京都北区浮間3、大学生▽小岩和弘さん(47)=板橋区新河岸1、無職▽中村勝彦さん(74)=杉並区下高井戸4、無職▽松井満さん(33)=神奈川県厚木市森の里1、調理師▽藤野和倫さん(19)=埼玉県熊谷市河原町2、大学生▽宮本直樹さん(31)=同県蕨市北町2、会社員▽川口隆裕さん(19)=千葉県流山市南流山8、大学生
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こんなにもあっさりと…
…ほんの一瞬だった。
隣にいた友達と俺(おれ)はぎりぎりでよけて腰の打撲だけで済んだ。本当に死線だった。
すぐ振り返った。
後ろにいた友達二人が…いない。
ゾッとした。
震えがとまらなかった。
その直後発せられた「逃げろ!」
ナイフを持った男?通り魔?
意味がわからなかった。
直後ひかれた友達にすぐさま駆け寄った。
…立ち尽くした。
素人でも分かる、重体。
自分はなにもできなくて
自分が預かっていた。
その携帯が鳴った。
号泣でいわれた。
涙が止まらない。
運命だから?
そんなの残酷すぎる…
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610ddm041040061000c.html
◇<希望ある奴にはわかるまい> 派遣先「削減」が引き金
<彼女がいれば、仕事を辞めることも(中略)携帯依存になることもなかった 希望がある奴(やつ)にはわかるまい>。東京・秋葉原で起きた通り魔事件。逮捕された加藤智大(ともひろ)容疑者(25)は、昼夜を分かたず携帯サイトの掲示板に心の軌跡をつづっていた。加藤容疑者が書き込んだとみられる掲示板をたどった。
<希望がある奴にはわかるまい>。アクセス記録によると6日午前3時9分。犯罪者の気持ちに理解を示す表現もある。<「誰でもよかった」 なんかわかる気がする>(5日午後0時5分)。無差別にナイフを振り上げるに至るまでの孤独な「実況中継」は、凶行直前まで続いた。
加藤容疑者は人材派遣会社から07年11月、静岡県裾野市の関東自動車工業の東富士工場に派遣され、車体の塗装面のチェックなどを担当してきた。時給1300円だが、仕事ぶりはまじめで勤務評価は「中の上」。今年も契約は更新され、派遣ではベテランだった。
だが、工場は今月2日、派遣社員200人のうち150人を削減すると発表した。加藤容疑者は翌3日、「青森に帰って安い時給の仕事でもするか」と同僚に語っていた。直後に、偶然工場前で出会った派遣元の担当者に「あなたは契約継続です」と伝えられた。
加藤容疑者は5日朝、まじめな態度をひょう変させる。「おれのつなぎ(作業着)がないぞ」。出社し更衣室で突然叫んだ。「会社はなめている」。手近にあったハンガーを投げ散らし、姿を消した。
掲示板には6日、こう書き込まれた。<人が足りないから来いと電話が来る 俺(おれ)が必要だから、じゃなくて、人が足りないから 誰が行くかよ>
関東自動車工業幹部は9日の会見で、派遣社員削減について「切る」と口を滑らせ、慌てて「契約解除」と言い直した。
<平日の昼間からふらふらしている俺ってなんなんだろうね><いつも悪いのは全部俺>。自虐的な言葉が続くが、ネット上で励まされたこともあった。
5月下旬、匿名の相手から<自分に値段をつけたら?>と聞かれて<無価値です ゴミ以下です リサイクルできる分、ゴミの方がマシです>と答える。それでも<努力は人を成長させてくれるよ>などと元気付けられた。匿名の仲間から励まされた男が恋を成就させるネット小説「電車男」のようなやり取りが続く。だが、小説の主人公とは逆に徐々に心を閉ざしていった。
高校時代の担任教諭は、テレビに映った教え子の姿を見て「ほおがこけたな」と思った。記憶ではもっとふっくらし、柔和だった。
「あんな目つきではなかった」
◇加藤容疑者か、別掲示板にも--事件前5~7日の様子
携帯電話のサイトに通り魔事件を予告する書き込みをしていた加藤容疑者とみられる人物が、同じサイトの別の掲示板にも、事件前の5~7日の行動や心の軌跡を書き込んでいた。「工場で大暴れした」など、加藤容疑者の供述や事件直前の行動と符合するものが多い。書き込みは5日午前11時51分の「犯罪者予備軍って、日本にはたくさん居る気がする」を皮切りに「やりたいこと…殺人 夢…ワイドショー独占」などと続いている。
◇携帯電話の履歴消す
警視庁万世橋署捜査本部の調べで、加藤智大容疑者(25)の携帯電話のアドレス帳から、電話番号やメールアドレスが消去されていたことが分かった。メール送受信の履歴も消去されていた。
加藤容疑者が通り魔事件の実行前に、自分の関係先を分からないようにしたとみられる。
◇ダガーナイフ、法の規制外
東京・秋葉原の通り魔事件で使われた凶器は、野外で日常用具として使われる片刃のサバイバルナイフでなく、武器として設計された両刃のダガーナイフ(短剣、刃渡り13センチ)だった。刃渡り15センチ以上の刃物所持を許可対象とする銃刀法の規制外で、販売店やインターネットで容易に購入が可能だ。日常用具ではない対人武器が若者にも販売されている。
東京都中野区で刃物販売店を経営する丹羽義典さん(46)によると、ダガーナイフは野外の日常用具としても使う片刃のサバイバルナイフに比べ、刃の切れ味は劣るが、突き刺して相手を殺傷する能力は優れている。2500円程度から、デザインの凝った1本数十万円の物まである。ミリタリーファンを中心に人気があるという。
銃刀法は刃渡り6センチ以上の刃物を理由なく持ち歩くことを禁じているが、15センチ未満だと所持には規制がない。15センチを超える場合は都道府県公安委員会の許可が必要になる。
警察庁は昨年12月に銃刀法を改正し、刃物の不法携帯を「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」から「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」にした。今回の事件で、警察庁は「ナイフの一律な規制強化は難しい」と規制には否定的だ。
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■事件予告とは別の掲示板に加藤容疑者が書き込んだとみられる記述要旨(原文のまま)
<5日>
午前11時51分 犯罪者予備軍って、日本にはたくさん居る気がする
<6日>
午前 1時44分 あ、住所不定無職になったのか ますます絶望的だ
午前 5時04分 出勤時間になると目がさめてしまう もう行かないんだから寝かせてくれ
午前 7時06分 飛び込み自殺で東海道線がとまりました 何もかもが私の邪魔をします
午後 1時09分 買い物終了 たったこれだけのために往復2万とか、バカじゃないですよ
午後 7時27分 帰ってくると現実に引き戻される気がして嫌だ
午後 8時49分 ナイフを5本買ってきました
<7日>
午前 6時37分 さあ出かけよう
午前 9時14分 隣の椅子が開いてるのに座らなかった女の人が、2つ隣が開いたら座った さすが、嫌われ者の俺だ
午前 9時19分 そういうことされると、殺したくなる
午前11時41分 定価より高く売れるソフトもあった さすが秋葉原
午後 1時14分 レンタカーに空きがなかったトラックじゃ仕方ないかも
午後 1時43分 さあ帰ろう 電車に乗るのもこれが最後だ
午後 1時50分 大きいのが無かったら普通のでいいや できれば4tが良かったんだけど
午後 3時35分 大きい車を借りるにはクレジットカードが要るようです どうせ俺は社会的信用無しですよ
午後 4時01分 小さいころから「いい子」を演じさせられてたし、騙(だま)すのには慣れてる 悪いね、店員さん
午後 8時34分 もっと高揚するかと思ったら、意外に冷静な自分にびっくりしてる
午後 8時53分 中止はしない、したくない
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610ddm041040022000c.html
(略)
2008年6月10日 1時13分
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000m040189000c.html
(略)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080609-OYT1T00684.htm
東京・秋葉原の通り魔事件、加藤智大容疑者が在籍していた中日本自動車短大(岐阜県坂祝町)の2年生当時のクラス担任・高橋正則講師(38)らが9日、同短大で記者会見した。
高橋講師によると、加藤容疑者は2001年4月、自動車工学科に入学。成績は優秀だったが、02年秋、2級自動車整備士を受験する際に実技試験が免除される講座の出席日数が足りなかったため、加藤容疑者を教室に呼び、今後の進路について面談した。
その際、加藤容疑者は「中学校の教員になりたい」と打ち明け、地元・青森県の大学への編入を希望したという。
卒業時、進路は決定していなかったが、同短大に提出した進路調査票には「弘前大学 希望」と書かれていた。2年生だった02年夏以降はバイク部に所属し、仲間とツーリングやバイク整備などを楽しんでいる様子だったという。
高橋講師は「報道では『キレやすい性格』と言われているが、そんな記憶はない。残念です」と沈痛な表情を見せた。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080609-OYT1T00445.htm
(略)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080609-OYT1T00192.htm
(略)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080609-OYT1T00170.htm
(略)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080609-OYT1T00250.htm
「車でつっこんで、車が使えなくなったらナイフを使います」。東京・秋葉原の歩行者天国を地獄に変えた8日白昼の無差別殺傷事件。逮捕された加藤智大容疑者(25)は事件の約7時間前から携帯サイトの掲示板で犯行を予告、静岡県の自宅から秋葉原に向かう様子を刻々と「実況中継」していた。
掲示板には「頭痛との闘い」「晴れればいいな」などと淡々と書き込まれ、異常な犯行へのためらいなどはうかがえなかった。
警視庁の調べによると、加藤容疑者は8日午前8時ごろ、JR沼津駅(静岡県沼津市)前のレンタカー店で「引っ越しに使う」などとウソを言って2トントラックを借り、東名高速裾野インターから東京方面に向かい、横浜青葉インターで下りて国道246号で秋葉原に向かったという。
掲示板の書き込みは午前5時21分に「ねむい」という言葉で始まり、「いい人を演じるのには慣れてる」「友達は、できないよね」などと犯行をやり遂げることへの自信をうかがわせるような書き込みも。
裾野市の自宅は午前6時31分に出発。7時12分に「一本早い電車に乗れてしまった」、同24分には「30分余ってるぜ」と書いており、供述で明らかにした行動と一致している。
書き込みはトラックの運転を始めた8時過ぎから9時41分まで中断。「神奈川入って休憩」「渋谷ひどい」などと東名、246号経由で秋葉原に向かった様子が記されていた。
11時45分に「今日は歩行者天国の日だよね?」、午後0時10分には「時間です」と書き、計画通りに進んでいることがうかがわれ、この約20分後にトラックで現場の交差点に突っ込んだ。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080609-OYT1T00252.htm
突然の凶行で7人が命を奪われた。病院に駆けつけた家族たちは無念の思いを募らせた。
東京芸術大学音楽学部音楽環境創造科4年生の武藤舞さん(21)は右脇腹を1か所刺され、傷は肝臓まで達していた。搬送先の東京医科歯科大付属病院での懸命の治療にもかかわらず、事件から約4時間後に亡くなった。
ニュースで武藤さんの名前を見つけ、驚いて現場に駆けつけたという高校の同級生男性(22)は、花束やペットボトルのお茶の前で手を合わせ、「合唱祭でリーダーになるなど、明るい子だった。理不尽な亡くなり方で、とにかく悔しい」と肩を落とした。
武藤さんは、東京芸術大で環境音楽を専攻し、音響や録音について研究していた。1年生の後半から武藤さんを指導していた亀川徹准教授は9日昼すぎ、「将来はコンサートの企画の仕事を希望し、熱心に就職活動をしていたのに」とがっくりした表情で語った。
武藤さんは、事件前日の7日は深夜まで実習で学校に残り、亀川准教授に「一つ内定をもらったが、そこに行こうか悩んでいる」と相談したという。9日夕に改めて会う約束をしていたが果たせず、「あの時じっくり話しておきたかった」と無念そうに話した。
都立日比谷高校時代はオーケストラ部に所属し、バイオリンのパートのまとめ役として活躍。顧問だった岩間輝生教諭(60)は「部活動以外でも、クラスの演劇の中心になるなど、色々なことに挑戦する生徒だった」と振り返った。
◆無念の遺族「悔しくて、悔しくて」◆
東京電機大2年生の藤野和倫さん(19)と東京情報大2年生の川口隆裕さん(19)は、交差点に突っ込んできた加藤容疑者のトラックにはねられるなどして、命を落とした。この日は、友人2人と秋葉原で待ち合わせをし、映画を見る予定だった。
9日未明、藤野さんの父親(50)は埼玉県熊谷市の自宅で、「悔しくて悔しくて。悪い夢を見ているような気がして。もう突然のことで。息子がかわいそう」と声を振り絞った。9日朝には、同居する祖父、広治さん(81)が自宅前で「私は腰が痛くてばんそうこうをしているが、孫がはってくれたのが最後」と話した。
川口さんの父親の健さん(53)は警察から、川口さんがはねられた後、トラックから降りてきた加藤容疑者に刺されたと説明を受けた。川口さんは5月上旬に肺気腫(きしゅ)の手術を受け、外出を再開したばかり。8日午後11時すぎ、万世橋署で一人息子に対面した健さんは「何で死んだんだ。守ってあげられなくてすまん」と声をかけた。
「日中に何でこんなむごい死に方をしなければいけないんだ」
東京都杉並区、無職中村勝彦さん(74)は歯科医師で、今年4月に現役を退いたばかりだった。長男とパソコン関係の買い物に出かけ、事件に巻き込まれた。「昼ご飯を食べて来るからね」。2人はそう言って機嫌良く出かけたという。
妻(74)は「正義感の強い人だった」と振り返り、「まだやりたいことがたくさんあったと思う。子や孫の将来を心配しながら亡くなったと思います」と悔しさをにじませ、「無念としかいいようがありません」と消え入りそうな声で話した。
宮本直樹さん(31)の父、惇彦(あつひこ)さんは9日午前、埼玉県川口市の実家で、「昨日、(直樹さんの)顔を見て確認した。何も話したくない」と言葉少なに語った。
神奈川県厚木市の松井満さん(33)は、調理師学校や横浜市の栄養専門学校で料理などを学んだ。近所の男性(30)は、「幼いころ、よく遊んでくれたいい人だった」と肩を落とした。
東京都板橋区の小岩和弘さん(47)の遺族は、警視庁を通じて、「私達は故人をしのんで静かに見送りたいと存じます」というコメントを出した。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080609-OYT1T00180.htm
(略)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080609-OYT1T00213.htm
加藤容疑者は、昨年11月から派遣会社の日研総業(東京都大田区)に登録。静岡県裾野市にあるトヨタグループの自動車メーカーの工場で働いていた。時給1300円程度、月給は30万円前後で、「お金に困っている様子はなかった」(日研総業)という。
同僚の男性(43)は「おとなしい人で、こんな事件を起こす人とは思えなかった」と驚く。勤務態度はまじめで欠勤や遅刻などはなかったが、犯行3日前の今月5日、いったん出勤した後に突然「作業着がない」などと大声をあげ、無断で帰ってしまったという。
加藤容疑者は青森市出身で、東北一円に支店を持つ労働金庫に勤務する父親を持ち、家族4人で暮らしていた。中学校まで成績はトップクラスでテニス部に所属。県内トップの県立高校に進学した。高校では目立つ存在ではなかったが、元同級生は「人を寄せ付けない雰囲気があった」「ナイフを持ち歩いているとのうわさがあった」と話す。
卒業後は岐阜県の自動車整備士を養成する短大に進学したが、自動車整備士の資格は取得せず、4年制大学への編入を志望していたという。約2年前には、仙台市に住む中学時代の同級生(25)に「死にたくなったから、首都高で死ぬ」というメールを送り、その後、「車が駄目になるほどの事故を起こしたが、死にきれなかった」と話していたという。
◆2日前から会社と連絡断つ◆
加藤容疑者が働いていた静岡県裾野市の自動車メーカー工場の工場長によると、加藤容疑者は5日朝、出勤して更衣室に入った直後に「作業着がない」と言って大声を出した。同僚が作業着を持ってきたところ、加藤容疑者はいなくなっていた。加藤容疑者のロッカーには、名前入りの作業着はあったという。
派遣会社の日研総業によると、工場側から「加藤容疑者が怒って帰った」と連絡を受け、日研総業の担当者が5日午前、加藤容疑者方に行ったところ、加藤容疑者が自宅にいて「きょうは休みます」と答えた。
翌6日、「加藤容疑者が来ていない」と工場から連絡を受けた日研総業が「加藤容疑者は6日も休む」と解釈、工場側に伝えたという。日研総業は6日午前から加藤容疑者と連絡を取ろうとしたが取れず、同日夕、再び担当者が自宅を訪れたが、不在だったという。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080609-OYT1T00202.htm
秋葉原で8日に起きた無差別殺傷事件は、「電気製品や漫画本、コンピューターゲーム、オタク仲間を求めて、世界から人が集まるアキハバラ」(米ワシントン・ポスト紙=電子版)での凶悪な事件だけに世界のメディアがトップ級で報じた。
英紙ザ・タイムズ(電子版)は、「日本国内や世界中から毎年、数百万人が秋葉原の超ハイテク通りに押し寄せる」と紹介し、現場取材を織り交ぜながら、犯行の様子や騒然とした雰囲気を詳報した。ワシントン・ポストは「血だまりと歩道の上に散らばった靴で、紛争地帯のように見えた」と伝えた。
英BBCテレビは、事件発生が、2001年に大阪教育大付属池田小学校(大阪府池田市)で起きた児童殺傷事件と同じ日だった点に触れた上で、日本で以前はほとんど見られなかったナイフによる凶悪事件が最近増加している現状を指摘した。
仏国営テレビ・フランス3は、8日夜の定時ニュースの国際ニュースでトップ級の扱いで報道。現場から伝えた記者は「安全な中で暮らす日本全体を揺さぶっている」とコメントした。
独DPA通信は、日本は国際比較で凶悪事件が少ないが、ここ数年はナイフを使った事件が増えていると指摘。3月に茨城県で24歳の男が通行人を殺傷する事件が起きたばかりだとして、「相次ぐ無差別殺人は日本人に衝撃を与えた」と分析した。
9日付の中国紙「北京晨報」は、事件を1面で現場写真とともに報じた。
国営新華社通信は8日午後、発生から間もなく速報。その後も、死傷者数の変化など続報を伝え続けた。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080609-OYT1T00186.htm
8日午後、歩行者天国でにぎわう東京・秋葉原の交差点で、男が通行人をトラックではねた後、サバイバルナイフで次々と切りつける通り魔事件があり、警視庁は、静岡県裾野市富沢、派遣社員加藤智大(ともひろ)容疑者(25)を殺人未遂の現行犯で逮捕した。
被害者は死者7人、重軽傷者10人にのぼった。加藤容疑者は犯行の約7時間前から携帯電話のサイトで「秋葉原で人を殺します」と犯行を予告。調べに対し「人を殺すために秋葉原に来た。誰でもよかった」などと供述している。同庁捜査1課では特捜本部を設置し、容疑を殺人に切り替えて動機の解明などを進めている。
同庁幹部によると、加藤容疑者は午後0時35分ごろ、トラックをジグザグ運転しながら、猛スピードで千代田区外神田1の交差点に進入。通行人3人をはねた後、交差点から数十メートル離れた道路脇に止まった。運転席から降りると、サバイバルナイフ(刃渡り約13センチ)を取り出し、交差点付近まで戻って、はねられて倒れていた人たちや通行人らに襲いかかったが、約5分後、交差点から約50メートル離れた路地で、駆け付けた万世橋署員らに取り押さえられた。
加藤容疑者は「犯行は2~3日前に決意した。秋葉原は人がたくさんいることがわかっていた」「世の中が嫌になった。生活に疲れた」と供述しているという。
加藤容疑者は昨年11月から派遣会社の日研総業(東京都大田区)に派遣社員として登録、静岡県裾野市にあるトヨタグループの自動車メーカー工場で働いていたが、事件3日前の今月5日から無断欠勤していた。
◇
亡くなった方は次の通り。
東京都板橋区、無職小岩和弘さん(47)▽杉並区、無職中村勝彦さん(74)▽北区、東京芸大4年武藤舞さん(21)▽埼玉県熊谷市、東京電機大2年藤野和倫(かずのり)さん(19)▽同県蕨市、会社員宮本直樹さん(31)▽千葉県流山市、東京情報大2年川口隆裕さん(19)▽神奈川県厚木市、調理師松井満さん(33)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080609-OYT1T00139.htm
秋葉原は、戦後の闇市から出発し、ラジオ、家電、パソコンと主力商品を替えながら電気街として発展した。
1990年代からはゲームやアニメ関連の専門店も増え始めて、「オタク」と呼ばれる若者たちが集まるようになり、「アキバ系」と呼ばれる流行・文化の発信地としても知られる。
茨城県の筑波研究学園都市と秋葉原を結ぶ「つくばエクスプレス」が2005年8月に開業すると、駅前の再開発も重なり集客力がアップ。2006年度にJR秋葉原駅から乗車した人の数は1日平均約20万人で、01年度の約13万7000人から大幅に増えている。
近年は東京の名所として世界的にも名が知られ、アジアや欧米から訪れる観光客を対象にした免税店も増加している。
こうした街の発展の影で治安の悪化が問題化。DVDやゲームソフトの万引き、買い物客から金品を奪い取る「オタク狩り」などの犯罪も目立ち始めた。「護身用」として刃物を所持する若者が銃刀法違反などで摘発される事例も増えている。
また、今年4月には歩行者天国で下着を見せるなど過激なパフォーマンスをした女性が逮捕される騒動もあった。こうした「無法地帯化」を危ぶむ地元の有志がパトロール隊を結成するなどの動きも出ている。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080609-OYT1T00121.htm
東京・秋葉原の通り魔事件で、被害者の東京都杉並区の無職、中村勝彦さん(74)は、歯の矯正を専門とする腕利きの歯科医だった。開業していた歯科医院があった東京都府中市の医師仲間らは「後進の育成や地域医療に尽力した立派な方だった」と実直な性格をしのんだ。
中村さんは日本歯科大を卒業して開業。しかし、大学の医局に入って矯正学に挑戦し、自らの専門分野を確立したという。自らの医院で若手を育てる一方、日大歯学部で03年までの約20年間、兼任講師を務めた。
指導を依頼された納村晋吉・日大名誉教授は「勉強熱心の硬骨漢。患者を大切にし、知識も豊富だから話がおもしろい。若手からも患者からも人気があったと思う」と語った。医師会の記念誌につづった「カラオケには二度行きましたが、小生にはあわないとさとりました」との文章からは、まじめさと愛嬌(あいきょう)を兼ね備えた人柄が伝わってくる。
今春、教え子に医院を託し、半世紀近い医師人生にピリオドを打った。歯科医仲間らが開いた慰労会では「これからは勇退して好きなことをやりたい」と照れながら話したという。納村さんは「役目を終え、趣味の写真や旅行などで余生を過ごすはずだったろうに」と唇をかんだ。
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000m040175000c.html
(略)
2008年6月9日 22時14分(最終更新 6月10日 0時46分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000m040149000c.html
東京・秋葉原の通り魔事件で現行犯逮捕された派遣社員、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)=静岡県裾野市富沢=が事件2日前の6日、福井市のミリタリーショップで今回の事件に使った凶器のダガーナイフ(短剣、刃渡り約13センチ)などナイフ6本を購入していたことが分かった。5日朝に派遣先で「仕事着がない」と騒いで6日は欠勤し、このころ事件を起こす決心をしたと供述していることから、警視庁万世橋署捜査本部は、事件の準備をこの日始めたとみて裏付けを進めている。
捜査本部によると、加藤容疑者が8日の事件発生時持っていたのはサバイバルナイフではなく対人用の武器である両刃のダガーナイフで、内ポケットには折り畳み式の小型ナイフ(刃渡り約9センチ)を持っていた。その後、トラックに置かれていたショルダーバッグからサバイバルナイフ(同約12センチ)とペティナイフ(同10センチ)、特殊警棒1本が見つかった。バッグは運転席と助手席の間に置かれていた。現場の交差点にはペティナイフ(同約11センチ)も落ちていた。
ショップの運営会社によると、加藤容疑者が来店したのは6日午後0時44分ごろ。店員に「静岡から来ました」と話し、ダガーナイフなどナイフ6本と特殊警棒1本、革手袋1個を購入した。代金計3万4600円は現金で支払った。服装は事件当日の着衣と同じジャケット姿だったという。運営会社社長は「商品を選ぶのが早かったので、事前にネットなどで品定めをしてきたと思った」と話した。
加藤容疑者は携帯電話の専用掲示板に事件当日、通り魔を予告する書き込みをしていたことが既に判明しているが、同じサイトの別の掲示板に加藤容疑者とみられる人物が6日、福井でナイフを買った趣旨の書き込みがあった。
在来線と新幹線を乗り継いで静岡から福井県に行ったと記述され、「買い物 通販だと遅いから福井まででてきた」「ナイフを5本買ってきました」などと書き込んでいる。捜査本部は福井市のショップの購入記録などから実際は6本購入したとみている。
加藤容疑者は5日の始業直前の午前6時ごろ「自分のつなぎ(作業着)がない」と大声で騒いだため、同僚がリーダーに報告。リーダーが駆けつけたときには、姿を消していた。掲示板にはこの日「ツナギが無かった 辞めろってか」と自暴自棄になり、「犯罪者予備軍って、日本にはたくさん居る気がする」「やりたいこと…殺人」など事件に傾斜していく書き込みが続いていた。
また事件前日の7日には、秋葉原へ行き、現金の工面のためコンピューター関係とみられるソフトを売ったと記述。下見を兼ねて金の工面に行ったとみられる。大型のトラックを借りようとしたが、クレジットカードが必要で無理だったことなども書かれていた。
捜査本部は、掲示板に書かれた内容通りに福井市でナイフなどを購入していることから、これらの記述も加藤容疑者が書き込んだとみて事件との関連を捜査している。
加藤容疑者は取り調べに素直に応じており、事件について悔やんだ様子も見せているという。また、捜査員に生い立ちについて涙を浮かべて話したりしているという。捜査本部には、加藤容疑者が仕事関係のトラブルで悩んでいたとの情報もあり、事件の動機を詳しく捜査している。
2008年6月9日 22時07分(最終更新 6月10日 1時37分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000m040146000c.html
(略)
2008年6月9日 21時51分(最終更新 6月9日 22時06分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000m040141000c.html
(略)
2008年6月9日 20時06分(最終更新 6月9日 20時12分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000m040093000c.html
東京・秋葉原の通り魔事件で使われた凶器は、野外で日常用具として使われる片刃のサバイバルナイフでなく、武器として設計された両刃のダガーナイフ(短剣、刃渡り13センチ)だった。刃渡り15センチ以上の刃物所持を許可対象とする銃刀法の規制外で、販売店やインターネットで容易に購入が可能だ。日常用具ではない対人武器が若者にも販売されている。
東京都中野区で刃物販売店を経営する丹羽義典さん(46)によると、ダガーナイフは野外の日常用具としても使う片刃のサバイバルナイフに比べ、刃の切れ味は劣るが、突き刺して相手を殺傷する能力は優れている。2500円程度から、デザインの凝った1本数十万円の物まである。ミリタリーファンを中心に人気があるという。
銃刀法は刃渡り6センチ以上の刃物を理由なく持ち歩くことを禁じているが、15センチ未満だと所持には規制がない。15センチを超える場合は都道府県公安委員会の許可が必要になる。
警察庁によると、刃物の不法携帯事件は▽03年3971件▽04年4011件▽05年4248件▽06年4680件--と増加。ナイフなどを持つ若者が検挙されるケースが目立っているという。このため昨年12月に銃刀法を改正し、刃物の不法携帯を「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」から「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」にした。
今回の事件で、警察庁は「通り魔事件の容疑者は仮にナイフを規制しても他の凶器を使う可能性が強い。ナイフの用途はさまざまで一律な規制強化は難しい」とダガーナイフ規制には否定的だ。
2008年6月9日 19時56分(最終更新 6月9日 23時47分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080610k0000m040088000c.html
(略)
2008年6月9日 12時55分(最終更新 6月9日 13時56分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080609k0000e040066000c.html
東京・秋葉原で8日起きた通り魔事件で逮捕された加藤容疑者は青森県出身で、東京都内の人材派遣会社に登録し、自動車組み立て・生産大手の関東自動車工業の東富士工場(静岡県裾野市)で働いていた。
同工場の橋本直之・庶務広報室長(54)や人材派遣会社によると、加藤容疑者は昨年11月11日に派遣会社の面接で採用が決まり、同月14日から工場で働いていた。情報誌などの折り込み広告を見て応募。面接の際は「以前も派遣社員として自動車工場で組み立てをやったことがある」と話したという。
工場での担当は塗装ライン。月曜から金曜の週5日勤務で1週間交代で日勤と夜勤についていたが、勤務態度はまじめで、公休以外は休まなかった。時給1300円で月約20万円の収入があった。契約期間は今年3月31日までだったが、1年間更新されていた。
派遣社員を6月末で200人から50人に減らす計画があったが、加藤容疑者は、自分が対象ではないことを派遣会社から知らされていたという。
一方で、加藤容疑者は5日の始業直前の午前6時ごろ「自分のつなぎ(作業着)がない」と大声を出して騒いだため、同僚がリーダーに報告。リーダーが駆けつけたときには、姿を消していた。
この日、加藤容疑者が「犯行予告」をした携帯電話サイトの別の掲示板に「作業場行ったらツナギが無かった 辞めろってか」(午前6時17分)▽「やっかい払いができた会社としては万々歳なんだろうな」(午前7時44分)とあり、午後零時5分には「『誰でもよかった』 なんかわかる気がする」との記述もあった。つなぎのくだりは、加藤容疑者が騒いだ時間と近接しており、加藤容疑者が「解雇された」と誤解して書き込んだ可能性もある。また、「やりたいこと…殺人」などの記述もあった。
加藤容疑者の裾野市富沢の自宅は人材派遣会社借り上げの4階建てワンルームマンション。3階に1人暮らしをしていた。管理会社によると、04年12月から派遣会社が32部屋のうち5部屋を借り上げている。入れ替わりが激しく、加藤容疑者の居住は把握していなかった。
住民によると、加藤容疑者は半年から1年ほど前から住んでおり、時折、ジーンズにシャツの軽装で午後11時ごろに帰宅する姿が目撃されていた。ただ、約1カ月前から本人と乗っていた青森ナンバーの軽自動車が見られなくなった。住民の付き合いはなく、トラブルもなかったという。
青森市にある2階建ての実家はひっそり。加藤容疑者の弟と中学時代の同級生だったという男性(22)は「(弟は兄のことを)『引きこもりじゃないけど、ちょっとオタクっぽいところがある』と言っていた」と評した。
加藤容疑者は、市立佃中から県内屈指の進学校の県立青森高校に進学した。知人の娘が加藤容疑者と中学、高校で一緒だった青森市議によると、実家周辺はJR社員やサラリーマンなど転勤族や公務員家庭が多いという。「エリート校の佃中から青森高。まさにエリートだ」と話した。近所の女性も「小学生の時はあいさつをしてくれた。おとなしくて成績がいいというイメージがある」と話した。
◇受験失敗し短大に進学
しかし、高校関係者などによると、加藤容疑者は理工系大学進学を目指したが失敗し、岐阜県内の中日本自動車短期大学に進学したという。
小学校の卒業アルバムによると、加藤容疑者は陸上部や将棋クラブに所属。自分の性格を「短気、ごうじょう」と記載していた。クラスで得意なものがある人を紹介するコーナーでは「多く本を読む」「足が速い」の欄でトップだった。
◇人とつながる社会意識が希薄
加藤容疑者は携帯電話のサイトで事件を予告していた。サイトの書き込みから何が読み取れるのか、識者に聞いた。
野田正彰・関西学院大教授(精神病理学)の話 掲示板の書き込みを見ると、「いい人を演じるのには慣れている」、「大人には評判の良い子だった」と装って生きてきた自分を語る一方、「メンバーの中に入っていることが少しうれしかった」とつづるなど、装うことでは生きる実感がなかったことを伝えている。死にあたってもなお、メール返信がうれしいという感情を持っている。この男性にとっての社会は、人間とつながっているという意識は希薄で、むしろ「群衆の社会」でしかなく、激しく葛藤していたことが見て取れる。最近、「どうせ絶望した人生ならこの世界もなくなってしまえ」と他者も攻撃し、自分も自殺する傾向が表れてきた。この容疑者にとっての社会とは一体何だったのか、きちんと分析しないといけない。
2008年6月9日 11時56分(最終更新 6月9日 21時03分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080609k0000e040040000c.html
東京・秋葉原で8日起きた通り魔事件で、無差別に襲われた被害者たちは、東京都内の救急病院に次々と運び込まれたが、8日夜までに7人が亡くなった。「無念だったはず」。遺族らは怒りと悲しみにくれた。
通学していた北区立浮間中によると、武藤さんはテニス部に所属し、3年時には都大会にも出場した。テニス部の顧問だった荒木秀治教諭は9日、取材に「誰からも好かれる子だった。『人違いであってほしい』と思ったが本当に残念」と話した。都立日比谷高時代の同級生だった男子大学生(22)は「ムードメーカーだった。悔しい気持ちでいっぱい」と事件への怒りをあらわにした。武藤さんは東京芸大の音楽学部に進み、音響や録音の技術を学んでいた。
今年3月に引退するまで東京都府中市で夫婦で歯科医院を開いていた。当日は、秋葉原に長男とパソコンなどの買い物のため出かけたという。妻(74)は「無念としか言いようがない。まだ主人はやりたいことがたくさんあったと思います。たぶん、子どもたちや孫の将来を心配し、こういうことが二度とないようにと思ってるかなと思います」と悲しみを押し殺して語った。
父親によると「友達とパソコンの部品を見に行く」と午前中から出かけたという。両親は9日午前1時過ぎ、都内の病院からタクシーで帰宅した。父親は「あまりにも突然のことで悔しくて仕方ありません。悪い夢を見ているよう」と言葉を詰まらせた。
◆調理師、松井満さん(33)
神奈川県厚木市の小学校時代の担任だった浅見照枝さん(58)は「荷物を持っていたりすると『手伝うよ』と言ってくれるような、優しくて繊細なお子さんだった。なぜこんな事件に巻き込まれたのか」と肩を落とした。
遺族は警視庁を通じてコメントを出した。「大切な家族をこのような事件で突然失った思いは、皆様のご推察とたがうことはないと存じます。とにかく今は憔悴(しょうすい)し、夜も眠ることができません。私達は故人をしのんで静かに見送りたいと存じます。一切の取材についてお受けできかねますので、どうか主意をおくみとりいただきたく存じます」と記されていた。
埼玉県蕨市の自宅アパートには9日午前11時前、父親という男性が訪れた。室内にいったん入った後の帰り際、「残念だ。こういうことが二度と起きない社会になって欲しい」と怒りを込めた。
父で会社員の健さん(53)によると、隆裕さんは友人ら4人で買い物に出掛けて事件に遭った。健さんは「夢であってほしい。悔しい気持ちでいっぱい。たとえ生活などがいかに苦しい状況であっても、八つ当たりのように人を殺したりしてはいけない。同情の余地はない」と話した。
2008年6月9日 11時54分(最終更新 6月9日 18時20分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080609k0000e040039000c.html
東京・秋葉原で8日起きた通り魔事件で逮捕された加藤容疑者が警視庁捜査本部の調べに対し、事件直前の8日早朝から正午過ぎ、携帯電話サイトの掲示板に、今回の通り魔事件を予告する書き込みをしたことを認める供述をした。容疑者が実際に予告していたことが判明するのは異例。
警視庁には、この携帯専用掲示板とは別のインターネットの掲示板に「5日以降に秋葉原で惨事」などの書き込みがあるとの情報が寄せられ、万世橋署にも参考連絡していたが、予防はできなかった。
書き込みは、8日午前5時21分の「秋葉原で人を殺します」という題名で「車でつっこんで、車が使えなくなったらナイフを使います みんなさようなら」という内容から始まった。その後「時間だ出かけよう」(同6時31分)「まあいいや 規模が小さくても、雨天決行」(同7時47分)「秋葉原についた 今日は歩行者天国の日だよね?」(同11時45分)などと続き、「時間です」(午後0時10分)と、事件20分前まで断続的に続いていた。
◇携帯電話サイトに書き込んだ内容(原文のまま)
午前5時21分 秋葉原で人を殺します 車でつっこんで、車が使えなくなったらナイフを使います みんなさようなら
午前5時34分 頭痛が治らなかった
午前6時00分 俺(おれ)が騙(だま)されてるんじゃない 俺が騙してるのか
午前6時02分 いい人を演じるのには慣れてる みんな簡単に騙される
午前6時04分 ほんの数人、こんな俺に長いことつきあってくれてた奴(やつ)らがいる
午前6時05分 全員一斉送信でメールをくれる そのメンバーの中にまだ入っていることが、少し嬉(うれ)しかった
午前6時10分 使う予定の道路が封鎖中とか やっぱり、全(すべ)てが俺の邪魔をする
午前6時31分 時間だ出かけよう
午前6時39分 頭痛との闘いになりそうだ
午前6時50分 時間とも
午前7時24分 30分余ってるぜ
午前7時30分 これは酷(ひど)い雨 全部完璧(かんぺき)に準備したのに
午後0時10分 時間です
2008年6月9日 11時48分(最終更新 6月9日 14時23分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080609k0000e040038000c.html
8日午後0時半ごろ、東京都千代田区外神田1の秋葉原電気街の交差点で、2トントラックが突進し、横断中の通行人3人をはねた。運転していた男は車を降り、殺傷能力が高い両刃のダガーナイフ(刃渡り約13センチ)で通行人らを次々に刺し、7人が死亡し、10人が重軽傷を負った。男は駆け付けた警視庁万世橋署署員らに取り押さえられ、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。
無差別殺傷事件としては、01年に大阪府池田市の大阪教育大付属池田小で、児童8人が殺害され15人が重軽傷を負った事件に次ぐ被害者数となった。
逮捕されたのは、静岡県裾野市富沢、派遣社員、加藤智大(ともひろ)容疑者(25)。「人を殺すため、静岡から来た。誰でもよかった」「世の中が嫌になった。生活に疲れた」などと供述した。警視庁捜査1課は、通り魔事件として同署に捜査本部を設置した。9日午後、自宅を家宅捜索し、殺人・殺人未遂容疑で詳しい動機などを追及している。
亡くなったのは、神奈川県厚木市森の里の調理師、松井満さん(33)ら男性6人と、東京都北区浮間の大学生、武藤舞さん(21)の計7人。はねられ、全身打撲で亡くなった人も複数いるという。重軽傷は、万世橋署交通課の男性警部補(53)を含む男性8人、女性2人。ナイフで背中などを刺された。
勤務先によると、加藤容疑者は今月5、6の両日、派遣先の部品工場を休んだ。5日朝に「自分の仕事着がない」と騒ぎ、その後職場から姿を消したという。捜査本部の調べでは、事件当日は午前7時に自宅を出て、JR裾野駅から電車で沼津駅まで移動し駅前のレンタカー会社営業所に向かった。「引っ越しに使う」と、8日午前8時から午後8時までの契約でトラックを借りた。当初はより大きなトラックを希望していたという。
その後、東名高速道路の裾野インターチェンジ(IC)から横浜青葉ICまで進み、国道246号を通って秋葉原に来たとみられる。「秋葉原にはパソコンを買う目的などで何度か来たことがあった。2、3日前に事件を起こそうと思い、人がたくさんいる秋葉原を目指した」と供述しているという。
目撃者によると、トラックが通行人をはねたのは、歩行者天国となっている南北の中央通りと、車が通行可能な東西の神田明神通りが交わる交差点。神田明神通りを西から東に向かって走り、横断歩道を渡っていた歩行者をはねた。
加藤容疑者は交差点から数十メートル先でトラックを止めて降り、はねられた歩行者の介抱をしていた万世橋署の警部補に後ろから切りつけた。さらに、歩行者らに馬乗りになるなどして刺したが、「ワー」「キャー」などと叫んだり笑いながら追い回していたという。
加藤容疑者は逃走したが他の署員らが追跡。狭い路地に追い詰めると、ナイフを振り回すなど抵抗したが、署員が拳銃を構えて「武器を捨てろ」と警告すると、ナイフを路上に置いたため、取り押さえたという。上着の内ポケットには折り畳み式のナイフ(刃渡り約9センチ)も持っていた。
現場はJR秋葉原駅の近くで、中央通りは電気店などが建ち並ぶ秋葉原のメーンストリート。正午からの歩行者天国が始まったばかりで、周辺は騒然となった。
2008年6月9日 11時47分(最終更新 6月9日 19時38分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080609k0000e040037000c.html
8日に通り魔事件の起きた東京・秋葉原はJR秋葉原駅を中心に家電製品の量販店が建ち並ぶ世界有数の電気街として知られるが、近年はゲームやアニメのマニアが集まる「オタクの街」として、独特の若者文化の発信地にもなっている。今回の事件も、現場に居合わせた若者らが携帯電話などを使い、瞬く間に現場の情報や映像が広がった。負傷した被害者を救護する若者の姿も目立った。
事件現場となった「中央通り」(道幅約30メートル)沿いには、アマチュア無線やパソコン周辺機器など以前からの専門店が建ち並ぶ一方、ウエートレスがアニメキャラクターの衣装をまとった「メイドカフェ」なども点在する。05年に茨城県つくば市とを結ぶ「つくばエクスプレス」が開通してからは、秋葉原の人出はさらに増えた。
警視庁などによると、秋葉原で歩行者天国が実施されるようになったのは1973年からで、現在は日曜・祝日に中央通りの約800メートルが対象。多い時には8000人もの人でごった返すという。
事件当日、たまたま遊びに来ていた千葉市の新聞販売店の男性店員(24)は、倒れた男性に駆け寄り介抱した。「どうしてこんな場所で、こんな事件が起きるのか」。男性店員は、そう言って脈を取る右手を震わせた。止血のためにタオルを差し出したり、人工呼吸や心臓マッサージを試みる若者も多数いた。
秋葉原では、最近、路上で「撮影会」と称して下着を見せるパフォーマンスなどが目立つようになり、多数の苦情が寄せられていた。警察がパトロールを強化する中で事件は起きた。
2008年6月9日 11時27分(最終更新 6月9日 12時42分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080609k0000e040032000c.html
無差別の殺意が、日曜日の「アキバ」を戦慄(せんりつ)させた。東京都千代田区の秋葉原電気街で8日起きた通り魔事件は、わずか数分の間に買い物客ら17人を巻き込み、7人の命が理不尽に奪われた。若者や家族連れらが行き交う歩行者天国での惨劇。逮捕された加藤智大(ともひろ)容疑者(25)は「生活に疲れてやった。だれでもよかった」と供述、携帯電話のサイトで事件を予告してもいた。「おとなしくて優秀だった」という容疑者の凶刃は現代の何に向けられたのか。現場には9日、犠牲者を悼む花が手向けられた。
事件は、歩行者天国になっていた南北の目抜き通り「中央通り」と、東西の「神田明神通り」の交差点付近で起きた。
警視庁万世橋署の調べや目撃者の証言では、加藤容疑者が白いトラックで現場に現れたのは午後0時半ごろとみられる。神田明神通りを西から東に猛スピードで走り抜けて交差点に突っ込み、数人をはねた。トラックは約30メートル進んで停止。加藤容疑者は車を乗り捨てて徒歩で引き返し、「わあー」と奇声を発しながら、ナイフで数人に切りつけた。「ニヤリと笑みを浮かべていた」との証言もある。
さらに逃げまどう人たちを追い立て、体当たりするようにして襲いながら交差点を南に折れる。1本目の路地の入り口付近で警察官ともみ合いになり、西に入ったところでようやく制止された。走った距離は約200メートル。被害者は悲鳴を上げ、路上に次々と倒れた。歩行者天国は逃げまどう人で騒然とし、「救急車を呼べ」「逃げろ」と叫び声が上がった。
何十人もの人が走ってくるのを見て外に出たという免税店の男性店員(30)は、逮捕の瞬間を見た。路地に追い詰められた加藤容疑者はナイフを振り回して抵抗したものの、制服警官に拳銃を向けられると、観念したようにナイフを置いた。直前まで携帯サイトに事件の予告を書き込んでいた加藤容疑者。孤独をうかがわせる文面には「途中で捕まるのが一番しょぼいパターンかな」との記述もあった。ベージュのジャケットの胸元は返り血で赤く染まっていたという。午後0時35分、逮捕。事件はわずか数分間の出来事だった。
交差点付近にいた江東区の会社員の男性(41)によると、「ドーン」という音で振り向くと、数人がトラックにはねられ倒れていたという。「男性2人の意識はなく、『頑張れ』と声をかけていたら、今度は警察官が刺され、『うわっ』と悲鳴を上げて交差点内に倒れた」と話した。
大田区のフリーターの男性(19)は「男が、はねられて倒れた人に馬乗りになり、胸や背中めがけナイフを何度も振り下ろした」と証言した。中野区の無職の男性(34)は心臓マッサージをして若い男性を救護した。「意識はなかった。あの人はどうなったろう」と安否を気にかけた。
2008年6月9日 11時24分(最終更新 6月9日 13時39分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080609k0000e040031000c.html
(略)
2008年6月9日 0時00分(最終更新 6月9日 10時46分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080609k0000m040077000c.html
(略)
ナイフを持った男は、歩行者天国で通行人を次々と切りつけていった――。東京・秋葉原で8日白昼に起きた通り魔事件。猛スピードのトラックで人込みに突っ込んだ男は、奇声を上げながら刃物を振り回した。
お年寄りが血を流して倒れ込み、家族連れが悲鳴を上げて逃げまどう。買い物客でごった返す休日の電気街を悪夢が襲った。
「トラックから刃物を持った男が降りてきた。最初は普通に話していたのに、突然、自分がはねた人に馬乗りになった。大声でわめきながら腹や胸を何度も刺した」。事件を目撃したフリーターの男性(19)は恐怖に表情をこわばらせた。
加藤智大容疑者(25)のトラックが突っ込んできた交差点近くの電器店の男性店員(34)によると、トラックはほとんどスピードを緩めずに突っ込んできた。運転席から出てくると持っていたサバイバルナイフで何度も刺した後、自分がはねた別の男性にも馬乗りになって刺した。人が集まって止めようとすると、ナイフを振り回して抵抗した。
別の男性店員(33)は午後0時半ごろ、ドーンという音を聞いて、店舗6階の窓から見下ろすと、横断歩道と交差点の真ん中に2人の男性が倒れていた。警察官が倒れている男の人に駆け寄り、しゃがんで話しかけていると、白いジャケットを着た加藤容疑者が後ろから近寄り、いきなり腰のあたりを刺したという。
千葉県から遊びに来ていた大学院生(29)は「周りで『刃物を持った男がいる、逃げろ』という声が聞こえ、あわてて逃げた。しばらくして現場に戻ると、刃物を持った男の姿が見えて足がすくんだ」。
現場近くの電器店の店長(50)は、ナイフを持った加藤容疑者を追いかけてきた警察官が目の前で制圧するのを見た。ナイフを振り回す加藤容疑者に警察官が警棒で応戦し、しばらく渡り合った後、にらみ合いになった。警察官が拳銃を構えると、加藤容疑者は観念したように路上にナイフを捨てて、取り押さえられたという。
警察官らが飛びかかって加藤容疑者をシャッターに押さえ付けて、取り押さえた。加藤容疑者は額から血を流していて、両脇を抱えられながら、パトカーに連行されていった。
買い物に来ていた男性(35)は、逮捕現場の近くで男性と女性が倒れているのを見つけた。うつぶせに倒れていた女性は「大丈夫ですか」と呼びかけると、かすかにうなずくしぐさを見せたが、男性はまったく反応しなかった。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080608-OYT1T00403.htm
被害者が搬送された都内の各病院では懸命の治療が続いたものの、次々に死亡が確認され、駆け付けた遺族らはぼう然とした。
「無念としかいいようがない」。東京・港区の東京慈恵会医科大付属病院で亡くなった男性(74)の妻(74)は、消え入りそうな声で話した。
妻の話によると、男性はこの日、長男と2人で買い物に出かけ、事件に巻き込まれ、トラックにはねられた。「昼ご飯を食べてくるからね」。2人は元気に出かけていった。突然の事件に、長男も「気がついた時には父親がいないのでびっくりした。その時のことはよく覚えていない」とショックを受けた様子だったという。「正義感の強い人だった」と妻は振り返り、「やりたいことがたくさんあったでしょう」と悔しさをにじませた。
47歳の男性1人が運ばれた新宿区の東京女子医大病院では、救急隊員が慌ただしく救命救急センターを出入りした。後藤博・同大広報室長によると、男性は午後1時45分ごろに運ばれ、蘇生(そせい)処置と止血のための手術が行われた。しかし、男性には背中から肺にまで達する刺し傷があり、約30分後、失血死が確認された。墨田区の都立墨東病院にも、埼玉県蕨市の男性が搬送され、心臓マッサージなどの治療を受けたが、死亡が確認された。
文京区の東京医科歯科大付属病院には男女3人が運ばれ、このうち武藤舞さん(21)の死亡が午後4時30分に確認された。同病院によると、武藤さんは右脇腹を刺された傷が、肝臓まで達していた。残り2人も重傷だが、意識はあるという。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080608-OYT1T00395.htm
8日午後0時35分ごろ、東京・秋葉原(千代田区外神田1)の交差点で、西側から走ってきたトラックが歩行者天国の人込みに突っ込み、通行人数人をはねた後、停車した。
運転していた男はトラックから降りて、奇声を上げながらサバイバルナイフで通行人に次々と襲った。警視庁などによると、男性14人、女性3人の計17人が病院に搬送され、このうち男性6人、女性1人が死亡した。男は南西方向に逃走したが、約100メートル離れたところで、駆けつけた同庁万世橋署員らに取り押さえられ、殺人未遂の現行犯で逮捕された。
男は「人を殺すために秋葉原に来た。誰でもよかった」などと供述しており、同庁捜査1課では、無差別に通行人らを狙った通り魔事件とみて特捜本部を設置して捜査している。
発表によると、逮捕されたのは、静岡県裾野市富沢、職業不詳加藤智大(ともひろ)容疑者(25)。搬送先の病院の情報などによると、8日午後6時半現在で死亡が確認されたのは、武藤舞さん(21)と、19歳、20歳、29歳、33歳、47歳、74歳の男性6人。負傷者の1人は、同署交通課の警察官(53)という。東京消防庁によると、けが人の約半数は背後から刺されていた。
警視庁幹部によると、加藤容疑者は、神田明神通りをレンタカーの2トントラックでジグザグに走行しながら、通行人をはね飛ばしたという。
加藤容疑者は「生活に疲れてやった。世の中が嫌になった」などと供述しており、8日に静岡からレンタカーで来たという。助手席には、地図や新聞などがあったという。
現場は秋葉原の電気街で、歩行者天国は大勢の買い物客らでにぎわっていた。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080608-OYT1T00474.htm
8日午後0時35分ごろ、東京・秋葉原(千代田区外神田1)の交差点で、西側から走ってきたトラックが歩行者天国の人込みに突っ込み、通行人数人をはねた後、停車した。
運転していた男はトラックから降りて、奇声を上げながらサバイバルナイフで通行人を次々と襲った。警視庁などによると、男性15人と女性3人の18人が病院に搬送されたが、このうち男性6人、女性1人の計7人が死亡した。男は南西方向に逃走したが、約100メートル離れたところで、駆け付けた同庁万世橋署員らに取り押さえられ、殺人未遂の現行犯で逮捕された。
男は「人を殺すために秋葉原に来た。誰でもよかった」と供述しており、同庁捜査1課では、無差別に通行人らを狙った通り魔事件とみて特捜本部を設置して捜査している。
発表によると、逮捕されたのは、静岡県裾野市富沢、職業不詳加藤智大容疑者(25)。搬送先の病院などによると、8日午後6時半現在で死亡が確認されたのは、女性の武藤舞さん(21)と、19歳、20歳、29歳、33歳、47歳、74歳の男性6人。負傷者の1人は、同署交通課の警察官(53)という。東京消防庁によると、けが人の約半数は背後から刺されていた。
警視庁幹部によると、加藤容疑者は、神田明神通りをレンタカーの2トントラックでジグザグに走行しながら、通行人をはね飛ばしたという。
加藤容疑者は「生活に疲れてやった。世の中が嫌になった」などと供述しており、8日に静岡からレンタカーで来たという。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080608-OYT1T00385.htm
8日午後0時35分ごろ、東京・秋葉原(千代田区外神田1)の交差点で、西側から走ってきたトラックが数人をはねた後、急停車。トラックから降りた男が、奇声を上げながらサバイバルナイフで通行人を次々に切りつけた。警視庁などによると、通行人ら男性14人と女性3人の計17人が病院に搬送されたが、このうち5人が死亡した。男は南方向に逃げたが、駆け付けた同庁万世橋署員らに取り押さえられ、殺人未遂の現行犯で逮捕された。
同庁捜査1課では、無差別に通行人らを狙った通り魔事件とみて特捜本部を設置して捜査している。
発表によると、逮捕されたのは、静岡県裾野市富沢、職業不詳加藤智大(ともひろ)容疑者(25)。運転免許証などから分かった。8日午後4時半現在で、19歳と20歳、47歳、74歳の男性ら5人の死亡が確認された。負傷者の1人は、同署交通課の警察官(53)という。東京消防庁によると、けが人の約半数は背後から刺されていた。
警視庁幹部によると、加藤容疑者は、神田明神通りをレンタカーの2トントラックでジグザグに走行しながら、通行人をはね飛ばしたという。加藤容疑者は「刺したのは間違いない」「生活に疲れてやった」などと供述している。
現場は、家電販売店などが並ぶ電気街で、中央通りは歩行者天国でにぎわっていた。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080608-2810266/news/20080608-OYT1T00390.htm
今回の通り魔事件では、容疑者の逮捕・連行写真を携帯電話で撮影した人の周りに人だかりができ、自分の携帯に赤外線送受信でコピーする人たちが目立った。
目撃情報を集めていた記者は、通行人の女性から赤外線受信で写真を入手。この女性も、逮捕現場にいた別の女性から赤外線受信でコピーしていた。2人は他人同士だった。
女性によると、現場で直接写真を撮影した男性が「捕まったぞ」と叫ぶと、周囲には携帯電話を差し出し、「コピー」を求める人だかりができたという。
2008年6月8日 18時22分(最終更新 6月8日 20時25分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080609k0000m040022000c.html
(略)
2008年6月8日 18時21分(最終更新 6月8日 20時25分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080609k0000m040021000c.html
8日午後0時35分ごろ、東京都千代田区外神田4の秋葉原電気街の交差点で、2トントラックが歩行者数人をはねた。運転していた男が車を降り、持っていたサバイバルナイフで歩行者らを次々に刺した。警視庁や東京消防庁によると、7人が死亡し、10人がけがをした。男は駆け付けた警察官に現場近くで取り押さえられ、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。
男は、静岡県裾野市に住む加藤智大(ともひろ)容疑者(25)で、刺したことを認め、「人を殺すため今日、静岡から秋葉原に来た。(襲うのは)誰でもよかった」「世の中が嫌になった。生活に疲れた」などと供述しているという。警視庁は、通り魔事件として万世橋署に捜査本部を設置した。
警視庁によると、けが人には、万世橋署交通課の男性警部補(53)も含まれている。死亡したのは男性6人(19、20、29、33、47、74歳)と女性1人(21歳)。けがをした10人は男性8人、女性2人。
調べでは、トラックはレンタカーで、静岡県沼津市内のレンタカー会社営業所で8日午前8時から午後8時までの契約で借り出されていた。現場付近は、歩行者天国で日曜日とあってかなり混雑していたという。
複数の目撃者によると、トラックが通行人をはねたのは、歩行者天国となっている南北の通り(中央通り)と、車の通行が可能な東西の通り(神田明神通り)が交わる場所。トラックは、神田明神通りを西から東に向かって通過する際、横断歩道を渡っていた歩行者らをはねた。
トラックは数十メートル先で止まり、ベージュ色のジャケットを着て眼鏡をかけた男がトラックを降り、手にナイフを持ちながら交差点方向に歩いて戻ると、駆け付けた警察官に切りつけた。前後して、歩行者らに馬乗りになるなどして刺したが、男はその際、「ワー」「キャー」などと叫んだり、笑いながら追い回していたという。
拘束された様子を見ていた男性店員によると、男は中央通りを南に向かって逃げた。制服を着た警察官が追いかけ、通りから30メートルほど入った狭い路地に追い詰められると、無言でナイフを振り回し、警察官が警棒で応戦。警察官が拳銃を取り出すと、男はナイフを路上に置いた。その瞬間に、警察官を含め周囲にいた数人が上に乗り、取り押さえたという。
2008年6月8日 17時43分(最終更新 6月9日 0時32分)
http://mainichi.jp/select/jiken/akihabara/archive/news/2008/06/20080609k0000m040013000c.html
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