緊急事態宣言 単語


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緊急事態宣言とは、「緊急事態」であることを宣言すること、およびその宣言である。

概要

何らかの緊急事態であると宣言するもの。大災害・紛争・疫病の大流行など、多数の人間の生命・安全に関わる重大な問題が発生している場合に宣言される。

また、「緊急事態」が法的に規定されており、その「緊急事態」に入ることで行政上の何らかの変化が起きる場合には、その「法的に定められた緊急事態に入ることを宣言する」ことも指す。ただし、日本においては緊急事態における強制力を伴う措置は限られており、首長が強力なリーダーシップを誇る諸外国に比べて緊急事態宣言の効果は限定的である。また、2020年4月に行われた緊急事態宣言では、ほぼ同じ時期に出された「非常事態宣言」と何が違うのか、国民への周知不足から深刻に受け止められないケースも多かった。

新型インフルエンザ等緊急事態宣言

2012年に成立・公布され、2013年に施行された日本の法律「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の第三十二条では、「緊急事態宣言」が規定されている。

(新型インフルエンザ等緊急事態宣言等)

第三十二条 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等(国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものに限る。以下この章において同じ。)が国内で発生し、その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態(以下「新型インフルエンザ等緊急事態」という。)が発生したと認めるときは、新型インフルエンザ等緊急事態が発生した旨及び次に掲げる事項の公示(第五項及び第三十四条第一項において「新型インフルエンザ等緊急事態宣言」という。)をし、並びにその旨及び当該事項を国会に報告するものとする。
一 新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき期間
二 新型インフルエンザ等緊急事態措置(第四十六条の規定による措置を除く。)を実施すべき区域
三 新型インフルエンザ等緊急事態の概要

 前項第一号に掲げる期間は、二年を超えてはならない。

 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等のまん延の状況並びに国民生活及び国民経済の状況を勘案して第一項第一号に掲げる期間を延長し、又は同項第二号に掲げる区域を変更することが必要であると認めるときは、当該期間を延長する旨又は当該区域を変更する旨の公示をし、及びこれを国会に報告するものとする。

 前項の規定により延長する期間は、一年を超えてはならない。

 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等緊急事態宣言をした後、新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認めるときは、速やかに、新型インフルエンザ等緊急事態解除宣言(新型インフルエンザ等緊急事態が終了した旨の公示をいう。)をし、及び国会に報告するものとする。

 政府対策本部長は、第一項又は第三項の公示をしたときは、基本的対処方針を変更し、第十八条第二項第三号に掲げる事項として当該公示の後に必要とされる新型インフルエンザ等緊急事態措置の実施に関する重要な事項を定めなければならない。

法律名からは「新型インフルエンザ」のみに関する法律であると勘違いされがちだが、「」と付いていることからもわかるとおり、新型インフルエンザ以外の疾患についてもその対象にできる。

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 新型インフルエンザ等 感染症法第六条第七項に規定する新型インフルエンザ等感染症及び同条第九項に規定する新感染症(全国的かつ急速なまん延のおそれのあるものに限る。)をいう。

緊急事態宣言を行えるのは「政府対策本部長」であるが、この役職には原則として内閣総理大臣が就くことが明記されている。

第十六条 政府対策本部の長は、新型インフルエンザ等対策本部長(以下「政府対策本部長」という。)とし、内閣総理大臣(内閣総理大臣に事故があるときは、そのあらかじめ指名する国務大臣)をもって充てる。

新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症「新型コロナウイルス感染症」(COVID-19)が世界中、そして日本国内で蔓延した2020年には、3月10日に「新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案」が提出され成立、3月13日に公布され、翌14日より施行された。

この改正によって、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)もこの「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の対象とすることが法律内に明記された。

(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

新型コロナウイルス感染症に関する特例)

第一条の二 新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。第三項において同じ。)については、新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律(令和二年法律第四号。同項において「改正法」という。)の施行の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日までの間は、第二条第一号に規定する新型インフルエンザ等とみなして、この法律及びこの法律に基づく命令(告示を含む。)の規定を適用する。

 前項の場合におけるこの法律の規定の適用については、第十四条中「とき」とあるのは、「とき(新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。)にあっては、そのまん延のおそれが高いと認めるとき)」とする。

 前項に定めるもののほか、第一項の場合において、改正法の施行前に作成された政府行動計画、都道府県行動計画、市町村行動計画及び業務計画(以下この項において「行動計画等」という。)に定められていた新型インフルエンザ等に関する事項は、新型コロナウイルス感染症を含む新型インフルエンザ等に関する事項として行動計画等に定められているものとみなす。

(検討)

第二条 政府は、この法律の施行後適当な時期において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

そしてこの改正を踏まえて、2020年3月26日には新型インフルエンザ等対策特別措置法の第15条第1項の規定に基づいた「新型コロナウイルス感染症対策本部」が設置された。

そして2020年4月7日には、「新型コロナウイルス感染症対策本部長」(安倍晋三内閣総理大臣)によって、新型インフルエンザ等対策特別措置法の第32条第1項の規定に基づいた「緊急事態宣言」が行われた。

その「期間」は宣言が行われた4月7日から5月6日までの29日間とされ、「区域」は埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県及び福岡県とされた。ただし、後述するようにこの期間・区域は双方とも後に変更された。

この緊急事態宣言宣言を受けて、指定された都道府県の知事らは緊急記者会見を行い、より具体的な方針について説明を行った。

さらに2020年4月16日には、間近に迫ったゴールデンウィークで人の移動が生じることで「全国的かつ急速な蔓延」という重大な事態に陥ることを避けるため、「緊急事態宣言」の範囲が上記の7都府県だけでなく全都道府県へと拡大された。この際、同月7日時点における発令対象区域の7都府県と、北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府の6道府県、あわせて13都道府県を「特定警戒都道府県」に指定した。(首相官邸の対策本部開催報告

その約2週間後の2020年5月4日には、緊急事態宣言の期間を5月末まで延長することが正式決定された。

2020年5月14日には、特定警戒区域外の34県、ならびに特定警戒区域13都道府県のうち茨城、岐阜、愛知、石川、福岡の5県、あわせて39県に対して、発令中だった緊急事態宣言を解除した。
この時点で北海道、東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、京都、兵庫の8都道府県に対しては宣言を継続した。

2020年5月21日、宣言を継続していた8都道府県のうち、京都・大阪・兵庫の2府1県に対して緊急事態宣言を解除した。この時点で北海道・東京・神奈川・千葉・埼玉の1都1道3県に対しては宣言を継続した。

2020年5月25日、宣言を継続していた5都道県に対して、緊急事態宣言を解除した。これにより前月7日から発令されていた宣言は全面解除された。

「緊急事態宣言」によって可能になること

「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が定める「緊急事態」において可能になる措置は多彩であり、条文も長文に渡るため、ここに文面を全て転載することは控える。正確かつ詳細な情報が知りたい人は、日本政府の運営するサイト「e-Gov」において、法律の条文全文が読めるため、条文を表示した状態で「緊急事態」をページ内検索されたい。

一部をかいつまんで紹介すると、以下のような措置が可能となる。

  • 第四十五条
    •  住民に対する、外出自粛など、感染の防止に必要な協力の要請
    •  学校・保育所・老人福祉施設・興行場その他多数の者が利用する施設に対する、施設の使用や催し物の開催の制限や停止の要請
    •  前項で要請された施設管理者等が正当な理由がないのに要請に応じないときは、「要請」ではなく「指示」も可能。要請や指示をしたことは遅滞なく公表されなければならない
  • 第四十六条 住民に対する予防接種
  • 第四十九条
    •  土地・建物等の所有者及び占有者の同意のもとで、その土地・建物等を利用した臨時医療施設の開設
    •  正当な理由がないのに同意をしないときや所在が不明で同意を得られないときは、同意を得ないで土地・建物等を使用することも可能
  • 第五十四条
    •  運送事業者(指定の公共交通機関)に対する、必要な物資及び資材の運送の要請
    •  医薬品等販売業者に対する、必要な医薬品、医療機器などの配送の要請
    •  正当な理由がないのに要請に応じないときは、「要請」ではなく「指示」も可能
  • 第五十五条
    •  医薬品、食品その他の必要物資の所有者に対する、物資の売渡しの要請
    •  正当な理由がないのに要請に応じないときは、「収容」も可能

以上の措置を行うのは「特定都道府県知事」であったり「政府対策本部」であったり「指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長」と、項目によって様々である。詳細は上記のリンク先にある法律の条文本文を参照されたい。

これらの他にも様々な条文がある。債務・融資・価格安定・埋葬・火葬・補償……などなど。地方の行政機関に「相互に協力するよう努めなければならない」としたり、医療機関や運送機関や通信機関やインフラ事業者などにそれぞれで「必要な措置を講じなければならない」としたりと、「まあ普通そうだろう」とか「言わずもがなでは?」と思えてくるような条文も多いので、それらの紹介は省く。

「緊急事態宣言」によっても可能とならないこと

逆に「何ができないのか」というと、法律の条文を読む限りでは、一部の外国で行われたような「都市封鎖」(ロックダウン)や、処罰を伴う「外出禁止令」を行うことは難しいようだ。

上記の「第四十五条の1」で可能としているのはあくまで「外出自粛などの要請」でしかないため。

関連リンク

関連項目

  • 法律に関する記事の一覧
  • 新型インフルエンザ
  • SARS-CoV-2 / COVID-19 / 新型コロナウイルス
  • 新型コロナウイルス関連用語
  • 社会的距離(ソーシャル・ディスタンシング)
  • 東京アラート
  • ロックダウン
  • 内閣総理大臣
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