高機動車とは、陸上自衛隊が配備・運用する汎用輸送用車両である。
ニックネームは「疾風」。だが誰も呼んでないのはいつものことである。
隊内では「高機(コウキ)」「高機動車」とそのまま呼んでいる。
長らく陸上自衛隊における隊員輸送の任務についていたのは、73式小型トラック・中型トラックだったが、米軍で汎用輸送車両であるHMMWV(ハンヴィー)が配備されるやいなや、自国開発がスタートした。
そういった経緯と形状もあいまって、配備当初は「ジャパニーズ・ハンヴィー」をもじって「ジャンビー」といういささか不名誉なニックネームまで頂戴していたが、最近ではそういうことはないようだ。
(まあ、海外でも同じようにパクッたコンセプトの車両が色々作られてるし…)
開発は自衛隊の装備では珍しくトヨタ自動車が担当し、日野自動車が製造している。
名称に採用年数が振られていない事から分かるように、制式化されておらず部隊使用承認で
これは比較的短い周期でモデルチェンジされる民生部品を多用し、コストを削減するためである。
(余り高価でない装備は制式化せず、部隊使用承認とするのが最近の流れのようである。)
荷台に乗せられる搭乗員数は十名。これは陸自の部隊単位である班(10名)の搭乗を考えたからである。
あくまで隊員・物資輸送用であるためトラックの延長線上である。そのため装甲はなく科外装はFRPで作られているため非装甲(ソフトスキン)車両である。
以前は民間向けとして「メガクルーザー」が販売されていたが販売終了している。ただし、空自・海自向けにこの「メガクルーザー」ベースの車両が装備されているという。高機動車とほとんど一緒とはいえ統合したら?という気がしないでもないが、おそらく名目上なのかもしれない。
ちなみに、あまり大きな声では言えないが、フィリピンでToyota mega cruiser 4x4 japan surplusとして販売されていたりする。一部では陸自から払い下げられたものではないか?と言われているが左ハンドルであることから現地、或いは海外の工場で生産されたと考えるのが妥当であろう。
ちなみに、正式な手続きを踏めば日本に輸入して公道を走ることも可能である。
元ネタであるハンヴィーから多くの派生車両が生まれたように、高機動車にも様々な派生車両がある。
2003年のイラク派遣に対応する為、高機動車に各種改修を加えた車両。
前述の通り高機動車の外装はFRP装甲で、いくら比較的安全な地域に派遣されるとは言えいつAKで撃たれたり、路肩でIEDが爆発するか分からないイラクで、こんなプラスチック程度の装甲ではダメだろうという事で、生まれた仕様であり、当時はあくまで部隊内改修の扱いであった。
改修内容は、防弾ガラスとスポールライナー(内貼り装甲板)の車内への付加、首切りトラップ防止用ワイヤーカッターの装備、酷暑地での使用を考慮して幌の断熱材への変更、運転席左部のセレクターレバー真横付近にエアコンを取り付けなど。特に防弾は、わざわざご丁寧に荷台部分の幌の内側に囲いをつけて防弾板を付けるほど徹底ぶり。2005年6月23日に、路肩に置かれたIEDによる攻撃を受けたが、爆発が小規模で直下での爆発ではなかったため、表側の通常のフロントガラスにひびが入るほか、ドアがへこむ程度の損傷で、怪我人はなかった。
後に、この改修型は「高機動車 Ⅱ型」として正式になり、海外派遣や有事における緊急展開部隊である「中央即応連隊」や、陸自の各部隊に対してPKO活動に関する教育を行う「国際活動教育隊」に配備されているほか、全国5ヵ所に設置されている陸自の補給基地である補給処にも海外派遣に備えて1個中隊程度が配備されている。
普通科連隊の重迫撃砲中隊等に配備されている重迫撃砲・120mm迫撃砲 RTを牽引するための車両。
外見上の大きな違いはないが、重迫を牽引するために車体後部に牽引金具や車内に弾薬箱を固定する金具が追加されたほか、車体フレームも強化されている。
重迫撃砲を牽引するのはもちろん、荷台にさまざまな装備を積載する場合もある。
また、高機動車が車両扱いなのに対し、重迫牽引車は砲の備品扱いとなっている。
高機動車の後部に91式携帯地対空誘導弾の8連装ランチャーを搭載した車両。
全国の高射特科部隊に配備されている。
詳細は93式近距離地対空誘導弾を参照のこと。
高機動車5台と73式大型トラック2台で構成される非常に仰々しい対舟艇・対戦車ミサイルシステム。
北部方面対舟艇対戦車隊、第2師団第2対舟艇対戦車中隊、第4師団第4対舟艇対戦車隊に配備されている。
詳細は96式多目的誘導弾を参照のこと。
高機動車の後部に対舟艇・対戦車用の中距離多目的誘導弾の6連装ランチャーを搭載した車両。
前述の96MPMSは発射機や照準機が別々の車両に搭載されていたことから、中距離多目的誘導弾は発射機と追尾装置、さらに自己評価装置を一体化したシステムを搭載し、自己完結性の高いシステムとなっている。
詳細は中距離多目的誘導弾を参照のこと。
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最終更新:2025/12/09(火) 23:00
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