Jazz(ジャズ)とは以下の意味である。
Jazz(ジャズ)とは、アメリカで19世紀後期頃にブルーズ、ラグタイム、ブラスバンドなどをルーツとして、黒人的音楽感覚へ西洋の音楽理論や流行歌、民俗音楽、他ジャンルの音楽を取り込んで演奏され発展していった、または発展している音楽のことである。
ニュー・オリンズを発祥の地とし、バディ・ボールデンが創始者とされるが未詳である。現在ではロックやテクノなど他ジャンルと同様演奏スタイルの多様化とジャンルの細分化が進んでおり、その特徴を一言で言い表すのは難しい。一般的に日本でイメージされるであろうピアノやサックスなどの生楽器を使用し、スイングと呼ばれる跳ねたリズムで演奏されるJazzは、モダン・ジャズと呼ばれる1940~60頃から演奏されているJazzの一ジャンルで、Jazzの主流ではあるものの、その全体の説明としては十分ではない。特徴、歴史などの詳細は後述を参照されたい。
一言での説明を試みると「黒人的音楽と西洋音楽の融合」が特徴と言えるが、それでは簡素に過ぎるので以下に項をあげ、詳細に説明する。但し、以下の項には全て例外があること、演奏スタイルやジャンルによって当てはまらない場合があることを留意されたい。
2-5進行(ツー・ファイブ進行)とは、コード進行のひとつで、トニックコードへの解決(終止感、コード進行が収まりよく響くこと)を感じさせるコード進行のことである。詳しくはツーファイブの項を参照のこと。Jazzのスタンダードとして有名な「Autumn Leaves」や「Fly Me To The Moon」などは2-5進行の繰り返しでできているし、12小節のブルーズでは9、10小節は通常V7-IV7と進行するがJazzではiim7-V7で演奏される。ジャズ・ミュージシャンの作曲した最初からJazzで演奏されることを想定された曲でも2-5進行は多用される。この進行におけるV7は使用できるテンションやスケールが多く、ソロパートなどでの聴き所のひとつである。
テンション(テンション・ノート)とは、楽曲で使用される任意のコードを構成せず、そのコードの楽曲中のコード進行における機能を損なわない音のことを言う。テンションが使用されることでハーモニーに緊張感や浮遊感が生まれる。よくいう「ジャズらしい響き」とはテンションによるところが大きい。
スイングとは、シャッフルやモントゥーノなどと同じくリズム形態の一種で、4/4拍子の1小節に8分音符だけを8つ並べたとき、奇数番目の音(この音符の位置を8分表と呼ぶ)が伸び、偶数番目の音(この音符の位置を8分裏と呼ぶ)の位置がその分後ろにずれ、短くなったリズムのことである。ずれの長さは曲、テンポ、演奏者、編成、その時の気分などによって変わり、演奏のオリジナリティとなりうる。一般には、テンポが速いほど通常の8分音符の長さに近くなり、遅いほど16分音符3つと1つの長さに近くなる。スイングにより、ブラックミュージック的な裏拍の強調と、Jazz独特の曲の先へ先へと進むようなノリ(スイング感という)が生み出され、そのため、Jazzの演奏において特に重要視される。また、スイング感は音やフレーズによっても生じることがある。
楽譜上の表記や、日本での口語的によくアドリブと言われるが、正確にはインプロヴィゼーション(improvisation)という。全くの自由演奏とは異なり、楽曲のコード進行や演奏されているテンポに沿って、編成、楽曲の中で大体同じ編成の伴奏と共に演奏される。演奏中演奏者の持ち味を発揮する大きな部分である。
比較的小規模のコンボと多人数構成のビッグバンドに大別される。ソロでももちろん演奏される。生楽器で演奏されることが多かったが、電気もしくは電子楽器など新しい楽器の発明に伴いそれらやターンテーブルなども使用されるようになっている。
少人数の楽器編成のバンドをコンボという。ピアノもしくはギター、ベース、ドラムの3名のリズム編成にトランペットやサックスなどのホーンを1、2名加える、もしくはホーンを加えないトリオ編成がオーソドックスなモダンジャズのコンボ編成である。もちろんピアノやギターなどの和音楽器が含まれない、ホーンが3名以上いるなど色々なコンボ編成が存在する。大学でのサークルいわゆる「ジャズ研」で演奏されるのはこのスタイルが多い。尚、「ジャズ研」においての主目的は酒であるという説があったりなかったり。
ピアノにギター、ベース、ドラムにアルトサックス2名、テナーサックス2名、バリトンサックス1名、トランペット4名、トロンボーン3名、バストロンボーン1名、が基本的なビッグバンドの編成である。指揮者が加わることもある。もちろん曲やアレンジ、バンドによって人数の変化や楽器の変更があり得る。サークルとしてはジャズ研とは別に独立して存在することが多い。
より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
【1800年代】
当時、黒人奴隷売買の中心地だったニューオリンズは、かつてスペイン領、フランス領だったこともあって、アメリカ領となったあとも様々な人種で溢れかえっていたため、ジャズができるための土壌が出来上がりつつあった。
1861~1865年 南北戦争
南軍が敗北、奴隷制度が廃止となり、黒人達が自由となる(しかし、奴隷解放は他国の介入を避けるために北軍が用いた大義名分だったため、地域差はあるものの実質的には奴隷制はなくならなかった)。また、ニューオリンズでは南軍の軍隊が使っていた楽器が払い下がり、安価で手に入るようになる。これがきっかけで黒人達がブラスバンドを結成し、次第にワークソング、黒人霊歌、コール&レスポンスといった黒人音楽のスタイルを楽器で演奏するようになる。そしてそこに、黒人の中でも比較的裕福なクレオールと呼ばれる身分の人たちが、ヨーロッパのクラシック音楽を伝えることにより、アフリカ音楽とヨーロッパ音楽が融合をはじめたと言われている。
そして、黒人霊歌や行進曲、ヨーロッパ民謡などが混ざり合いラグタイムと呼ばれるシンコペーションを特徴とする音楽が誕生。
また、この頃、ミシシッピ川デルタ地帯から黒人労働者がニューオリンズへ職を求めて移住してくるようになる。これにより、ニューオリンズにブルースが伝わる。
1900年前後 上記してきた音楽が混ざり合いジャズ(ニューオリンズ・ジャズ)が自然発生する。
このようにして生まれたジャズという音楽は、のちに”ジャズ・ジャイアンツ”とよばれる抜きん出た才能を持った人たちの出現によって各地に果ては世界中に広まり、そして次第に変化し進歩していくこととなる。
【1920年代】
ルイ・アームストロング
ニューオリンズで生まれ、キング・オリヴァーに師事。オリヴァーに呼ばれシカゴへ、その後ニューヨークへ進出。ニューヨークのビッグ・バンド・サウンドにニューオリンズのジャズを持ち込む。
デューク・エリントン
同じくニューヨークへ進出。黒人居住地区ハーレムのコットン・クラブに出演。
【1930年代】
ベニー・グッドマン
自身のビッグ・バンドが大ヒット、スイング・ジャズを大流行させる。ジャズを大衆音楽として認めさせ、1938年にはカーネギー・ホールに進出し、大成功を収めている。
カウント・ベイシー
禁酒法時代、合法的に酒が飲める歓楽街として栄えていたカンサスシティ。ベイシーはそこで当時三大楽団の一つに数えられていたベニー・モウンテン楽団を継承し、成功を収める。そして、さらなる成功を求めてニューヨークへと進出する。
【1940年代】
1940年代半ば、チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピーらによる「ビ・バップ革命」。ビ・バップと呼ばれるスタイルが確立。
これにより、ジャズは劇的にスタイルが変化したため、それまでのジャズと区別すべく、これ以降のジャズを総称して「モダン・ジャズ」と呼んでいる。
1940年代後半になると、このビ・バップに対し、マイルス・デイビス、ギル・エヴァンス、レニー・トリスターノらが、ビ・バップの即興性を基調としながらもアンサンブルを重視する、クールジャズというスタイルを確立する。
【1950年代】
1950年代初頭、クールジャズの延長として、アメリカ西海岸でウェスト・コースト・ジャズが起こる。
1950年代半ば、ビ・バップは、モダン・ジャズでは最も一般的なスタイルとされるハード・バップへ発展する。
1950年代後半、ハード・バップが行き詰まる。これを打開すべく、1960年代初頭にかけてマイルス・デイビスらの提唱するモード・ジャズ、より黒人的なファンキー・ジャズ、そしてより自由な演奏を追求したフリー・ジャズが台頭してくる。
【1960年代】
ロック・ミュージックの台頭により、ジャズは圧迫され影響を受ける。とくにマイルス・デイビスがロックに傾倒。
ロックの影響を受けたジャズロック、モード・ジャズとフリー・ジャズの中間くらいの新流派とよばれるスタイルが起こる。
ブラジルで生まれた新しい音楽ボサ・ノヴァもジャズに影響を及ぼす。
【1970年代】
様々な音楽ジャンルをまたがった音楽性のため当初クロス・オーバーと呼ばれていたフュージョン。ミュージシャンが自主的に活動するロフト・ジャズ。50年代活躍したハードバッパー達が中心となったハードバップ・リヴァイバルといったジャンルが起こる。
作業用BGM、アニメ色のない作業用BGMとしてタグされることが多く、コメントでは「マスター、○○○ください」が多く見られ、親しまれている。
take five:4分の5拍子のリズムが特徴的なジャズ |
Moonlight Serenade:ジャズの代表曲の1つ。映画「スウィングガールズ」でも演奏された。 |
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/20(土) 06:00
最終更新:2024/04/20(土) 06:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。