Vima la Vidan (歪みなき生命) 単語


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ヴィマァラヴィダン

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Vima la Vidan (歪みなき生命)とは、新日暮里のガチムチバンド・COLTPLAYの楽曲およびアルバム名である。

概要

「歪みなき生命」(ゆがみなきせいめい 原題: Vima la Vidan ヴィマァ・ラ・ヴィダン)は、新日暮里のホモセクシャル・ロックバンド COLTPLAYが2008年に発表した4作目のスタジオ・アルバム『歪みなき生命」のために、メンバー全員によって製作された楽曲である。
本楽曲では、ストリングスや打楽器(ケツドラム)にのせて史実や宗教的な内容を含んだ内容の歌詞が歌われている。

アルバムからのセカンド・シングルとしてリリースされたこの楽曲は性的また商業的に成功を収めている。
「歪みなき生命」は、新日暮里シングル・チャートとアメリカ合衆国の総合シングルチャートBillyboard Hot 100にて第1位を獲得した。Billyboard Hot 100での第1位はバンドにとって初の出来事となった。また、2009年7月14日に行われる第44回マラミー賞にて、この楽曲が最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀ケツドラム入りポップパフォーマンス(デュオもしくはグループ)賞の3部門にノミネートされ、最優秀レコード賞を除く2部門を受賞した。(←もう決定している。)

原題の「Vima la Vidan or Death and All His Friends」を直訳すると、「男根万歳、もしくは、死と彼の全ての友人」となり、このアルバムのテーマ、「精と子」を表している。

ジャケット

アルバムジャケットには晩杯あきら氏の『民衆を導く自由の裸神』が使用されている。「Vima la Vidan」(スペイン語で「男根万歳!」を意味する)はメキシコの画家、フリーナ・カーリの作品にちなんでいる。

 晩杯あきら

「民衆を導く自由の裸神」


作品詳細


■世界的ガチムチバンド・COLTPLAYの新曲は、遙か昔、帝政末期の新日暮里で市民革命を成し遂げた伝説の英雄達に捧げられた生命賛歌である。 

■賢帝、キング石井亡き後の動乱で権力を握り、暴虐の限りを尽くした宰相TDNコスギ。 その彼のパンツを引きずり下ろすため民衆を率いて勃ちあがったのが、後の新日暮里共和国・初代大統領ビリー・ヘリントンである。 ビリー氏とその仲間達の活躍をモチーフにしたゲイ術作品は数多いが、最も有名なのが、絵画『民衆を導く自由の裸神』であろう。 今、COLTPLAYの曲と共に、一枚の絵画が漢たちの英雄譚を語り出す…
(以上、公式作者コメントより引用)

考察

(※この考察は、秀逸なコメントの数々を見て感激した編集者による、この楽曲に対する独自解釈であり、自己満足の塊ですので、この楽曲をより楽しく聴き、見るためのひとつの参考としていただければ幸いです。)

ビリー氏とその仲間達の活躍をモチーフにしたゲイ術作品は数多いが、最も有名なのが、絵画『民衆を導く自由の裸神』である。
他にも、数々の小説・絵画・オペラ等の題材となっているが、古典的な英雄譚が近代の世界的ガチムチバンドの題材となったことは注目すべき点であろう。世界が今再び大きな変革の渦に飲み込まれようとしているなか、ビリー氏とその仲間たちの活躍は人々の荒んだ心に何をもたらすのだろうか。

あらすじ(100%完全なる妄想・仕方ないね)

現代から遡ること数百年前、新日暮里帝国では賢帝と呼ばれたキング石井が王政を敷いていた。
花は歌い、草木は踊り、世界はひとつだった。王宮はゲイパレスとよばれ、そこには男たちの楽園があった。

キング石井亡き後、跡目争いが勃発し国は乱れた。はじめ水面下で行われていた政争は次第に激化していき、ゲイパレスの中で白昼堂々と殺人が行われ、井戸は毒に満たされ、淀んだ空気が辺り一面を覆った。

事態を重くみた帝国議会は、キング石井の実子たちの継承権を剥奪し、まだ幼い分家の赤さんを王に奉り、実権を帝国議会に一時的に移した。仕方ないね。このとき幼い赤さんのかわりに帝国を治めるため、宰相に選ばれたのが当時帝国議会議長を務めていたTDNコスギである。

人々はこの時まだ知らなかった。ここからはじまる暗黒の時代を・・・。

帝国議会議長時代のTDNコスギは笑顔が素敵なスポーツマンで、球を肉の棒で打ち返す球技が得意な好青年だった。市民たちは彼の就任に安堵し、ゲイパレスの復活を夢見ていた。

そんな彼らの儚い幻想を打ち破ったのが、TDNの宰相就任演説であった。

「FUCK YOU」


そ し て TDN は 、暴 虐 の 限 り を 尽 く し た。


刃向かうもの達はことごとく殺され、王宮は魔宮と化し、人心は乱れ、国は荒廃した。
草木はことごとく枯れ、花は消え去り、妖精たちは姿を消した。

それからの新日暮里について、私はここで述べることをためらってしまう。
それほどまでにおぞましく、陰惨で、凄惨で、悲惨な時代だった。
ただ、恐怖だけが人々を支配していた。もう終わりだぁ。

人々は待ち望んだ・・・英雄を・・・。

そして時は満ちた。
残虐非道な宰相TDNのパンツを引きずり下ろすため、民衆を率いて勃ちあがった男がいた。

彼こそが後の新日暮里共和国大統領・ビリー・へリントンである。

これは、激動の時代を駆け抜けた、熱き男達の物語である。

 

登場人物

 

 ビリー・ヘリントン氏

 「歪みなき生命」


新日暮里共和国初代大統領。
新日暮里の地において反乱軍「ゲイ国過激団」を結成しマランス革命(1788~1792)を主導して成し遂げ、革命達成後に人類の歴史上で初めて実施された普通選挙によって大統領となった。
奴隷解放・身分制度撤廃・義務教育の実施・信仰の自由・表現の自由・森林の保護などの環境問題への取り組みなどに多大な功績をあげた。

また一方で哲学者としての業績も高く、今日へ伝わる妖精哲学の基本理念はビリー・ヘリントンによって体系化され完成した。

               「 だらしねぇという 戒めの心
                     歪みねぇという 賛美の心
                          仕方ないという 許容の心 」

いわゆるペニスコートの誓いと言われるこの言葉は妖精哲学の三信と呼ばれ、現在の新日暮里共和国の議事堂にあるビリー・ヘリントンの銅像にも記されている。


代々大工の家系に生まれたビリーは13歳から大工となり仕事を始める。彼の一族は森林の神を祀る一族であり、本来なら貴族として国政に携わるべき立場であるが「森の妖精」を自称する彼ら一族は森林から恵みを受け森林と共に生きることを望み、大工という職業を選んだ。
そのため大工としての腕は非常に高く、ビリーもゲイパレスやゲイサイユ宮殿、さらには隣国のなんば国のなんばパークス城などの建設に従事し、一分の歪みもない美しい建物を作り上げた。

しかしキング石井が崩御し世継争いの混乱から宰相TDNが政権を掌握すると状況は一変する。
過酷な重税により普請される展望台や離宮などの奢侈な建造物や要塞などの軍事施設。さらには残酷な拷問施設を備えた監獄などの建設が増え、そのような施設の建築に係わることに嫌気がさすようになっていった。

彼にはひとつの趣味があった。釣りである。
その日も宰相TDNの命令でダーク男の子牧場の造成の仕事を行っていたが午前で抜け出し、近くの海岸の岩場で釣竿を垂らしていた。
しかしそこでビリーは運命を一変させる出会いを果たす。

「僕の漁場を荒らさないでください!」

蟹漁師の鎌田吾作であった。
気が立っていたビリーは吾作を砂浜へ引きずり出すとレスリングを挑む。しかし戦いの中で二人は意気投合し、ビリーは吾作の自宅へ招かれ蟹料理を振る舞われた。
そこで吾作より決して後退しない蟹の歪みなさ、生命をいただくということの尊さ、私欲のために必要以上の命を奪う浅ましさを聞かされ、趣味として釣りを行い他者を弄んでいた己を恥じた。

「歪みなき生命」

生涯をかけてビリーが追い求めた言葉を意識し始めるきっかけとなる。


ビリーは吾作の家に泊まったその晩事件は起きる。
「献上物が少ない」それだけの理由で帝国軍がこの漁村を襲い、火を放ち見境なく虐殺を行った。
吾作の家族も皆殺しにされ、ビリーは吾作と二人逃げ伸びるだけで精一杯であった。
帝国への復讐を誓った二人はゲイパレスに忍び込むも発見され、反逆罪で投獄された。

薄暗い牢の中ビリーと吾作とビエリ関根の三者が顔を合わせる。
しかしまだ気付いた者はいない。この出会いが、やがて新日暮里を激動の渦に飲み込んでいくことを。


近年の研究で、彼自身の一人の人間としての幸福、英雄であるが故の孤独がクローズアップされてきている。
今回のCOLTPLAYの楽曲は単なる英雄譚にとどまるだけでなく、革命を成し遂げ英雄として気丈に振舞うも、内心では常に孤独を感じているビリー氏の悲痛な叫びをも内包した哲学的な内容が非常に評価されている。歪みねえな。

*革命後のビリー氏については、下記の「その後のビリー・ヘリントン氏」へ

 

 

 キヨシ・カズヤ卿

  「救いはないんですか?!」


新日暮里の隣国、なんば国の下位ながら皇位継承権を持つ貴族。また同時に鉄の馬(今日のモーターサイクルの原型となった)の製造会社である有限会社ツヨシ工業の代表取締役でもある。
ビリー・ヘリントンの片腕としてマランス革命を成功に導いた最大の功労者である。また同時に宗教家でもあり、彼が立ち上げた宗派「性欲実現党」により性狂徒革命(ドピュー♂リタン革命)を成し遂げた人物でもある。

性欲実現党の教義は自らが望む理想を性欲に例え、それを彼自身が示した三つの言葉によって実現してゆくというものである。

   一、救いは無い、という辛い世の中に対する心構え

   一、全てはチャンス、常に前向きに何でも挑戦する

   一、未知のエリアへ、未来への高い志を持って

「正しい現状認識」「諦めない実行力」「強い意志」の三箇条をカズヤの教えまたはカズヤ哲学の三心と呼び、性欲実現党の教義とした。

長い間唯一の宗教として地域を支配し腐敗しきったカリ♂スカ教カリ♂イック派の信徒たちは神に絶望し、考えることをやめ全てが受動的になっていた。しかしこのカズヤの三つの言葉とそれを彼自身が実践して見せたことで性欲実現党は一気に大衆の支持を得、カリ♂イック派を圧倒するようになっていった。
あらゆる宗派闘争に勝利し続け最大派閥を維持していた伝統あるカリ♂イックを押しのけたことに加え、カリスマ的な指導者によるトップダウンではなく民衆の横の繋がりによるボトムアップ式に勢力を拡大した点がこれまでの派閥闘争の枠組みを超越し、宗教「革命」と呼ばれる所以となった。

新日暮里やなんば国をはじめ周辺国がTDN時代~マランス革命期の混乱から速やかな復興を成し遂げられた要因の一つに自力本願を旨とする性欲実現党のカズヤの教えがあったからであるという説は、現在では歴史家の間で定説となっている。


なんば国は春には新芽が顔を出し秋には大地が金色に染まる豊かな土地であり、カズヤは㈲ツヨシ工業を経営し、趣味のダンスを磨きながら家族と穏やかに過ごしていた。
しかし隣国を覆った黒い雲は、やがてなんば国の大地をも暗黒に染め上げていった。
新日暮里帝国宰相TDNによる領土拡大政策の魔手に絡めとられ、遂にはなんばパークス城の戦いにおいてひとり善戦したものの、圧倒的な新日暮里帝国軍の物量の前になすすべなく敗北し領土を奪われた。
民・家族・自然・・・愛するものを次々失った。

「救いはないんですか!?」

廃墟となったなんばパークス城に一人佇み、変わり果てた姿となった家族を胸に抱いて彼が叫んだ言葉である。


絶望の中で自暴自棄になっていたカズヤ卿は新日暮里帝国を恨み、新日暮里の帝都のメインストリートにある真良川(まらかわ)にかかる巨大な橋「ヒップブリッジ」において目に映る全ての男のパンツを剥ぎ取る行為を繰り返し、剥ぎ取りジャック(ジャック・ザ・ストリッパー)と呼ばれ恐れられるようになる。
ある日脱獄直後にここを通りかかったビリー・ヘリントンと鎌田吾作に襲いかかるが、激しい戦いの後にビリーに敗れる。



大切なものを守れなかったことから「強くなりたい」と切に願い、「この世に救いがないのなら、俺が救いになればいい」という達観したモノの見方を持ち、「全てはチャンス」と常に前向きに何にでも挑戦する心構え、そして自らを「未知のエリアへ」もって行こうとする歪みねぇ精神はビリー卿も賞賛しており、その強さもあいまって彼にも全世界規模で多くのファンがいる。

 

 鎌田吾作氏

  「蟹になりたいね!」


 ゲイ国過激団の革命戦士たちに惜しみなく蟹をふるまった男。元漁師。ビリー氏の監獄からの逃亡を手助けしたことが縁でゲイ国過激団へと入団する。蟹になりたい、が口癖で、その愛嬌のある立ち居振る舞いにより、戦いですさんだ皆の心を和ませた。

 次第に激化する戦闘のなかで自らの実力不足を感じていた吾作氏は、いつしか自分の存在価値についてひとり悩むようになっていた。そんななか、ゲイ国過激団がTDN軍によって大敗北を喫したトラファルガアッーーの海戦がおきる。

仲間達の船が次々落とされていくのを目の当たりにした吾作氏は、ゲイ国過激団の皆を逃がすため、決死の覚悟で囮となり見事役目を果たすもTDN軍の捕虜となってしまう。
その後、TDNのダーク潮干狩りによる洗礼をうけ変わり果てた姿となりカブレラ小隊を襲う。(※1)
しかし化け物の姿となっても吾作氏の心は残っており、なんとかカブレラ小隊を逃がそうと試みていることが伺える。カブレラの曇りない眼は一瞬でそれに気付き、その化け物の真の正体を見抜いた。

やがてゲイパレスの戦いでスーパーカズヤと対峙する。
それはカズヤと半漁人の戦いではなく、彼の意識を支配せんとする闇と、吾作本来の人格を取り戻さんとするカズヤと吾作の間の戦いであった。
カズヤの剣がその体を貫いた時、滴り落ちる緑色の血はやがて赤い暖かいものへと変わり、吾作は慕い・尊敬していた親友の腕の中で最期の言葉をつぶやいたのであった。

「蟹になりたいね・・・」

異形の姿をしながらもその表情は救いを受けた者のように穏やかであった。


近年の研究で、多くの文献に残されている「蟹になりたい」という言葉はそのまま直訳するのではなく、「蟹(のような決して後退しない勇敢な人間)になりたい」という魂の叫びであったという説が提唱されている。

 

 いかりやビオランテ卿

  「ダブル・・・ゆきぽ!!」


宮廷護衛騎士団元団員。新日暮里帝国の下級貴族だった。
幼い頃からTDNと仲が良く、ともに良い国をつくろうと理想を語り合った仲だった。
政権を握り豹変したTDNを説得しようと試みるが、王の間にて立ち会った際に目の前のTDNの禍々しい気迫に恐れを抱きその場から逃げ去った。その後、そのみじめさとTDNへの恐怖から剣を捨て宮廷を飛び出し、婚約者であったゆきぽを連れて逃げ、郊外でひっそりとうだつのあがらない商人として暮らしていた。

しかしある町でゆきぽとも離れ離れになり、彼女を探していたビオランテ卿は、手がかりを掴むため物資補給の縁で知り合ったビリー氏たちを頼りゲイ国過激団に加わることになった。

そして、3年後のバスティンユ監獄襲撃の際、暗い地下牢の中で変わり果てたゆきぽと出会うことになったのだった・・・。
自分の腕の中で息をひきとり、だんだんと冷たくなっていくゆきぽであった体を抱きながら、ビオランテ卿はつぶやいた。「もう最悪・・・」「生きる意味を・・・失う・・・」
それはかつてTDNを前に逃げ出した愚かで臆病な自分に向けた言葉であった・・・。
そして、後悔と絶望、怒りと憎しみの中で彼は、自らの手でTDNを抹殺することを胸に誓ったのだった。
そんな彼を仲間達は暖かく見守っていたという。
3ヶ月後の「ゲイパレス行進」では制止するビリー氏たちを振り切り一人単独先行して進み、終に王の間(ロッカールーム)にてTDN王に一騎打ちを仕掛ける。
そこで彼はTDNに恐怖する自分を感じながらも、壮絶なる覚悟で互角以上の戦いをみせる。TDNの奥義・超スピード攻撃すらしのぎ、「ダブルゆきぽ」にてTDNを追い詰めるも、奥義・超スピード攻撃→秘儀エアパイズリ→ウマウマ固めの連携技・TDNコンボの前に敗北し、仲間達が駆けつけたときはもはや手遅れだった。

四肢を奪われてもなお戦おうとした彼の壮絶な死に様、そして恐怖に震えながらも戦い続けた彼の魂の咆哮は、他の革命戦士達の心を奮い立たせたのだった。

 
 
 ゆきぽ69世

  「雪のような白い心はいつまでもあなたと共に」

 

慈愛の神ゆきぽを祀る氏族の娘。代々この家系に生まれた長女が神と同じ名を授けられ巫女を務める。この物語のゆきぽは正確に言うとゆきぽ69世。慈愛と豊穣の女神ゆきぽは大地の女神でもあり、その加護を受けるゆきぽは念じただけで地面に穴を掘ることができる。
高貴な家系に生まれ、また生まれながらにして祭祀の巫女と言う重責を与えられ新日暮里の人々のアイドル的存在であった。
周囲の人間は皆「ゆきぽ」という一人の人間ではなく「慈愛の神ゆきぽ」の化身として接してくるため常に孤独に苛まれていた。その上ひんそーでひんにゅーでちんちくりんな自分にコンプレックスを抱いていたが、そんな自分に分け隔てなく接し全てを受け止めてくれた勇者ビオランテと恋に落ちる。
本来の彼女は非常にネガティブで心配性で後ろ向きな性格であったが、衆目の前では神の化身として凛とした立ち居振る舞いをせねばならず、本来の姿を理解してくれたビオランテは彼女のかけがえのない存在となる。

しかし幸せな日々は長くは続かず、暴君TDNの誕生により数奇な運命を辿ることとなる。
全ての宗教を否定するTDNは新日暮里の全ての偶像を破壊し、またアイドル的な存在であったゆきぽを人心を荒廃させると断罪し逮捕命令を出した。
TDNを説得しようと王の間(ロッカールーム)に向かったビオランテであったがTDNの邪悪なオーラに気圧されして話を切り出せず、ゆきぽはビオランテとゲイパレスを離れた。

臆病な自分を責めるビオランテであったがゆきぽはそんな彼の全てを受け入れ、貧しくもつつましやかな幸せな日々を送った。
しかしある日警察官の海老原海老蔵に発見され逮捕され、バスティンユ監獄に監禁され拷問を受ける。
3年後の夏の日、バスティンユを陥落させたゲイ国過激団によって発見されビオランテと再会するが、彼女の生命の灯火は尽き果てようとしており、ビオランテの腕の中でその短い生涯を終えた。


革命達成後、新日暮里には寄り添うビオランテとゆきぽの像が立てられた。恋人たちの永遠の愛を見守るかのように、数百年後の現在でも変わらぬその姿を見せてくれる。この像の下で誓った愛は永遠に破れることがないのだと言われている。

   

 井上カブレラ氏

  「21:00・・・3分と16秒前だ」


誰とも馴れ合うことの無い孤高の男。
もっぱら4人からなる隠密部隊を率いている。新日暮里全裸騎士団。通称カブレラ小隊団長。
少人数によるゲリラ戦やスパイ・侵入作戦等を得意とし、敵地に溶け込むため武具は現地調達を基本とするため出陣時は基本的に全裸であることからこの名がついた。
多芸な仲間たちに恵まれているため、あえて捕まってみせ敵の手の内を暴いてから活動するという作戦をとることもある。華々しい勲功は少ないものの、彼らの縁の下の働きなくしてゲイ国過激団の勝利はあり得なかった。

影の動きから相手の次の行動を予測し攻撃できる程の剣の使い手であり、ゲイ国過激団最強クラスの実力者。
大食漢であり、また時を極めて正確に刻む体内時計を持っている。人は彼をフェアリークロックとも呼んだ。

他国の貴族プリンセス*ケツホルデスがTDNの圧制に加担しているとの情報を得て、新日暮里国内のデビルレイク湖畔にそびえるケツホルデスの居城に潜入した際にもまた、侵入が困難と判断しあえて捕まって城内に潜入を果たした。しかしそこで謎の半漁人(デビルレイクバーマ)に襲われるという失態を犯す。
だが、半漁人はカブレラ小隊にとどめを刺すことなく4人を逃がした。無事に逃げ延びたカブレラ小隊はその後も城内の探索を続け、TDNとケツホルデスとの結びつきを示す証拠を手に入れることに成功した。これが後のファレンヌ事件へとつながり、TDN政権の崩壊は決定的となっていくのであった。

革命達成後ははるか東方の異国の地でスポーツ選手となったらしい。

おぞましい姿の半漁人に襲われながらも、彼の曇りない眼はその瞳に宿る哀しい光を見逃すことはなかった。
 

 平田元帥

カブレラ小隊の一員。4人からなるカブレラ小隊最年少。
元帥という大げさなあだ名をつけられている。カブレラ小隊のいじられ役でムードメーカー。

 ホーリー軍曹

カブレラ小隊の一員。別名シューマッハ軍曹。
馬の早駆けという特技を持つ。この能力で仲間たちを何度も救ってきた。

 バッファロー平岡氏

カブレラ小隊の一員。ちんこちっちゃい。
縄や手錠で捕縛されても自力で外すことができる。この能力で仲間たちを何度も救ってきた。



 オーウェン定岡氏
 

  「理由・・・?お前たちがいるからだ・・・」


新日暮里帝国消防庁の元幹部の一人。水の神を祀る高貴な氏族の出。口数が少ない寡黙な男であるが誰からも信頼され多くの親友に恵まれていた。また舞踊の達人であり平安なキング石井帝時代には国賓に踊りを披露し、後にゲイ国過激団参加後も宴席で木吉カズヤと共に場を盛り上げた。

キング石井崩御後、TDNによる圧政がいよいよ過酷を極め彼は己の身の置き場に迷いが生じた。親友のトータス藤岡は「このような悪魔の所業に手を貸してはならない」と共にゲイパレスを去ることを提案し、いま一人の親友であるくりぃむしちゅー池田は「我々は当事者であるのだから責任を持って歪みない道に戻さねばならない」と説得した。
オーウェンは結局トータスを選びゲイパレスを去ることを選択した。この決断には、従来のTDNが水利権をも独占しゲイパレス内ですらシャワーを満足に浴びられなくなった為とする説に加え、警察官であった親友のプチ・プーチンの殉職に際しTDNの重大な秘密を知ってしまったからであるという説が後の研究で浮上している。

トータスと世を捨てたオーウェンであったがしかし迷いまでも捨て切れたわけではなかった。己を保身に走った俗物であると自虐し、いつしか新日暮里帝国が破滅したのは自分の責任であるとまで考えるようになっていった。
そんな折、ビリー・ヘリントンなる一庶民がゲイ国過激団という組織を率い反TDNの旗を掲げ勢力を広げているとの情報を得る。彼はトータスに過激団への参加を提案するが不動のトータスは首を縦に振らなかった。結局彼はトータスの許を離れ、ひとり過激団に参加する。
それまで庶民・下級貴族・他国の貴族しかいなかったゲイ国過激団に賢帝時代の上級貴族が参加したというニュースは瞬く間に全土に知れ渡り、オーウェンの仁徳を慕って多くの人間が過激団への参加や支援の申し出を行った。
それはゲイ国過激団が荒くれ者の集団から組織化された反乱軍へと変貌する転機となり、TDNはオーウェンの影響力に恐怖を覚えた。

後にゲイ国過激団が一大敗地にまみれるトラファクガアッー!の海戦の開戦前夜にTDNの策略により毒入りのシャワーを浴びてしまい帰らぬ人となった。この暗殺も敗戦もゲイ国過激団内部にいたTDNの内通者によるものであったという。
やがてゲイ国過激団に参加したトータスの水の力を操るスタンド「サダ・ファントム」として死後も歪みない新日暮里の復活のために身を捧げ、革命達成後に親友たちに見届けられながら天へと召されていった。

彼の参加がゲイ国過激団の革命を成功させるターニングポイントとなったと、彼の決断は後世の歴史家から絶賛されている。

 

 トータス藤岡氏

  「我知無知」


戦いの最中においてもただひたすら傍観を続けた男。別名不動のトータス。学者の家系に生まれながらも文武両道の教育方針により育てられる。
海軍の指揮能力を持ち武人としての能力も高かったのだが、学者という血筋と文官という職業だけを見て接してくる周囲の人間に呆れ、もう一つの能は無二の親友であるオーウェン定岡以外の人間からは隠していた。
青年時代に火災に巻き込まれ危うく命を落としかねなかった過去があり、そのせいで火を異常に恐れるようになってしまった。その時に彼が一命を取り留めたのは燃え盛る炎の中に飛び込んでトータスを助けた青年がいたからである。以後、名も知らぬその青年は心の想い人としてトータスの中で生き続けている。

成人し、ゲイパレスに登城後は史学者として父と共に史記の編纂にあたっていた。
「観測者は観測の対象に干渉してはならない」
それが代々史学者を務めているトータスの一族の家訓であり、彼自身の信念でもあった。後世に現在綴られている歴史を歪みなく伝えることこそが人類のハッテンであると信じていた。

しかし皮肉にも歴史はそんな彼に牙を剥く。

暴君TDNが専制をふるい、彼の一族はTDNの振る舞いを美談に仕立て後世に残すよう命令を受ける。
しかしそれはトータスの信念に反する行為であり、「我々が内部から改革を行わなくては庶民は救われない」と主張するくりぃむしちゅー池田と袂を分かち、「悪魔の所業に手を貸すわけにはいかない」と彼はオーウェンと共にゲイパレスを出奔し海辺の辺境に庵を結んだ。
しかし、ふたりでひとつになれちゃうことを気持ちいいと思ううちにオーウェンとの間に生じていた歪みに気付かないセコイ人間になってしまっていた。

「我知無知・・・私は全てを知っているつもりであった。だが私は、己が何も知らないことを知らなかったのだ」

オーウェンがトータスの許を去り、ゲイ国過激団に参加した時に彼が漏らした言葉である。
知っていながら現実には反映させることができない。力を持ちながら行使しない。正義を謳いながら道を誤っている。それでは何もしなかった事と同じである。この事件が彼の意識を動かし始めていた。

やがて、トラファクガアッー!の海戦でゲイ国過激団が敗れオーウェンが帰らぬ人となったらしいことを知った彼は、海軍の知識がありながら過激団に参加しなかったせいであるとついにゲイ国過激団に合流すべく庵を引き払った。
かつての同僚であったくりぃむしちゅー池田が手負いのビリーたちを追い詰めているところでついに合流を果たし、トータスはビリーをかばい剣を取り池田と一騎討ちを行う。余談であるが、この時ビリーとトータスの二人はいつか見た逆の立場の姿をデジャヴとして感じていたが、二人がそれを口にすることは生涯なかった。
閑話休題。
かつての自分の過ちを。そして今も道を誤っている池田を。過去は変えられずとも、未来は変えることができるのだと必死の説得を行う。その時、二人の共通の親友であったオーウェン定岡の霊魂である「サダ・ファントム」が現れ、ついに二人は和解しくりぃむしちゅー池田もゲイ国過激団の一員となる。
トータスのスタンドとなったオーウェン定岡の「サダ・ファントム」を操り彼はゲイ国過激団屈指の戦力となる。
また、くりーむしちゅー池田卿とは生涯を通じ唯一無二の親友となった。

革命後にいままでの戦いを記した「マルチ☆ゲイ☆パンツ」をパンツに著し、後年の研究家たちに貴重な情報を与えた。

 

 くりぃむしちゅー池田卿

  「SNAKE EKEDER

新日暮里帝国医療厚生大臣。極めて高位の貴族であり資産家。庶民を慈しむ愛情に満ち、また民衆からの支持も非常に高い。彼の財団が運営する池田クリニックは新日暮里全土に点在し、全ての国民に無償で医療を提供している。
一方で軍人としての側面も持ち、彼の特徴である顎のように鋭い槍「SNAKE EATER(スネークイーター)」を得物に国内でも屈指の武芸を誇っている。人はその姿を「SNAKE EKEDER(スネークイケダー)」と呼ぶ。

TDN政権に疑問を持ちながらも動乱が起こっては民衆が傷付き倒れると危惧し、政権内において高位のポストを持つ己の責任として内部からの改革を志した。しかし考え方の違いから親友のオーウェン定岡、部下のいかりやビオランテ、信念の違いから良い感情は抱いてはいなかったが能力は認めていたトータス藤岡と次々に仲間を失っていく。
それでも彼は己の信念を貫くべく、TDN政権の幹部ながらTDNの専横を食い止めんと奔走する。
赤さんが廃されず、またその身を全うできたことは池田の陰日向の行動によるところが大きかったとされている。

しかし、彼の願い空しくTDNの毒牙はゲイパレス内に留まらずいよいよ庶民たちにまでも向けられるようになった。
だが貫くべき正義を見失いつつあり、池田の顎が歪み始めた事に気付かぬTDNではなかった。

「オーウェン定岡、誅殺!」

親友の非業な死に絶望する池田にTDNが囁く。
「お前が愛する庶民は貴族を嫌っているのだ。庶民が定岡を殺したのだ」と。
貴族がゲイ国過激団にいることに不満を唱え、ビリーに反旗を翻しゲイパレスに参列していた城之内悠二の存在がその言葉に重みを与え、ついに彼はゲイ国過激団を刺し貫くべく出陣した。

トラファクガアッー!の海戦に敗れ多くの将兵を失い仲間ともはぐれた傷だらけのビリーを発見すると、スネークイケダーはそのだらしねぇ状態のビリーを貫かんと攻撃を仕掛ける。防戦一方のビリーがまさに討ち取られんとしたその時、トータス藤岡が現れビリーをかばい、池田と一騎討ちになりながら説得を行った。
変節は男の恥。貫くことが男という信念を抱き戦う池田と、道を間違えた正義は正義ではない。過ちを自覚し認める勇気が男という信念を抱き戦うトータスの死闘はいつ果てるともなく続いた。オーウェン定岡の霊魂「サダ・ファントム」が現れるまでは。
オーウェンより語られるTDNの過去。彼が狂っていった全ての真相。そして何より新日暮里を愛する定岡の想い。
くりぃむしちゅー池田とトータス藤岡は遂に和解し、手を取り合ったのであった。

全てを知ったくりぃむしちゅー池田卿はTDNにいいように利用された自らの愚行を悔い改め、オーウェン定岡氏の敵をとるべく立ち上がり、仲間となったのだった。

彼の参加によりゲイ国過激団の医療水準が飛躍的に向上し、兵卒の生存率が劇的に高まったことがトラファクガアッー!の敗戦後の軍の速やかな建て直しを可能にした。また彼の私兵であるランスを装備した騎兵軍団の突撃は戦場を深く貫き大いに戦功をあげた。

 

 城之内悠二氏

  「すみましぇ~ん、ごめんなしゃ~い」


ユガミザワという村のキャベツやじゃがいもを栽培する農家の息子に生まれた。梨花ちゃんという幼馴染がいる。得意のブタカツやおさかな料理のレストランを開きたいという夢があったが農民の身分の自分には叶わぬ夢であった。
相手を挑発し心を乱す術が異様にうまい。また剣の二刀流の使い手であり、2本の剣をXに交差させてブスリと放つ一撃を必殺技とする。
ゲイ国過激団の中でも血気盛んな若手タカ派の急先鋒。たびたび独断専行しては「イタズラなんてやるのはクズがやる模様です」とたしなめられていた。

彼にとってこの革命は王政を討ち貴族社会を打倒し身分による階級を無くすことが目的であり、新日暮里を素晴らしい国に戻すというゲイ国過激団上層部との考え方の間には微妙なズレがあった。
幹部の幾人かに貴族や他国の人間が入っていることに不満をっていたが、オーウェン定岡の参加と共に反TDNの貴族が多数過激団に加わったことで彼にはこの革命が貴族同志の内輪もめになってしまったとしか見えなくなり、ビリーは我々庶民を利用しているのではないかと猜疑心を抱くようになった。

そしてバイサイユ行進事件が起こり、市民に多くの犠牲が出る。
これはゲイ国過激団の活躍に触発された庶民たちの完全に自発的な行動であったが、ビリーに不信感を抱いていた城之内は過激団の貴族たちが庶民を煽動したのだと思い込みビリー達に反旗を翻した。
その後、戦功をあげれば貴族に取り立てるとのTDNの甘言に乗せられて帝国軍の末席に加わり過激団と戦う。
しかし迷いのある剣では過激団に敵うはずもなく連戦連敗。正規軍から外されチャベス・オバマの下に転属される。

やがてマァラミーの戦いにおいてビリー氏達に危機が迫ったとき、どこからともなく颯爽と現れそのピンチを救った。反乱軍の勝利後、「Yes I was bitch. すみましぇ~ん、ごめんなしゃ~い」と軽いノリで反省して戻ってくるが、ビリー氏もすんなりと彼を受け入れる心の広さを見せるのだった。

革命達成後、彼は戦乱で散った同じ庶民の出の吾作をいたみ、蟹料理専門のレストラン「GOSAKU」のオーナーとなり夢を叶えたのであった。

 


 野薔薇ひろし准将

 

  「生きたい・・・」

 

宮廷護衛騎士団元団員。かつては勇者ビオランテの親友にして右腕であった。名刀ドラゴォンを相棒に数々の武功を 打ち立てた新日暮里帝国有数の武人である。後に編成されたTDN親衛隊の隊長に選ばれ、ゲイ国過激団に立ち塞がる最大の壁として活躍しTDNの側近として彼の行動をサポートした。
バスティンユ監獄で収監していたゆきぽへの拷問を指示していたのは彼であり、愛する者と大切な親友を同時に失ったビオランテを失意のどん底に叩き落とした。
後のゲイパレス行進にて、正門が突破され単騎王の間へ駆けるビオランテに立ちはだかったのは彼であった。男と男の意地と信念をかけた最後の戦いは、やがて戦いの中で編み出されたビオランテの、恨み・憎しみ・殺意・功名心などの全て邪な心を捨てた無我の境地により放たれる究極奥義「アンインストール」によって決着を見た。

力尽き倒れるひろし。死を覚悟した彼を待ち構えていた運命は意外なものであった。

「生きるの?」

大切な人を奪った自分に対する問いかけに理解できず戸惑うひろしであったが、立て続けに
「はっきり言えや!」「別にいいし!」「生きる!?」「はっきりYes?!」「行けそうか!!?」
繰り返される問いかけに、ひろしははっきりとこう答えた。

「生きたい・・・」と

それは、本当に立ち向かわねばならない戦いから逃げた者だけが分かり合える叫びであった。
罪を憎み人を赦す域に達したかつての親友ビオランテに剣も心も敗れ、ひろしは己の罪の深さを悟ったのであった。

革命達成後刑期を終えた彼は聖職者となり、この動乱で散った供養を受けていない魂を神の下へ返すべく各地を行脚したという。


 ボー・ヘリントン氏

  「ちょろ~ん!」


ビリー・ヘリントンの弟。しかし兄とは似ても似つかぬ男。
放蕩癖が激しく酒や薬物・賭博に溺れ、犯罪という犯罪は一通り全て経験している。
ビリーが大工時代には度々兄の下へ金を無心していたが、ビリーがゲイ国過激団を立ち上げ革命運動に没頭していくと、高額の報酬につられてTDNの傭兵となる。腕っぷしは兄にも後れを取らなかったため、ほどなく傭兵たちの中で抜きんでた存在となり部隊を任されるようになる。

火責めを得意とし、戦場で相まみえる度に過激団を苦しめた。トラファックガアッー!の海戦では得意の火責めで帝国軍で第一等の勲功を揚げ勲章を受けた。

「人生なんてちょろ~んさ」

が口癖であり、まじめで誠実な兄を常に蔑んでいた。
ビリーはそんな弟を真っ当な道に戻そうと腐心したが、ビリーの想いはついに届くことなくマァラミーの戦いにてビリーと一騎討ちとなり、戦場に散った。

どうしようもない男だった。だがそれでも家族だった。仕方ないね。革命達成後ビリーはつつましやかな墓を建て、毎年命日には人目を忍んで訪れたという。


 ケツホルデス・フェラセン姫


隣国の貴族。通称プリンセス*ケツホルデス。名の通り女性である。
仮面舞踏会でTDNと出会い緊密な仲となる。やがて祖国からその国益のためTDNを利用せよと命を受ける。
しかしカブレラ小隊に本性を暴かれTDNからもゲイ国過激団からも敵視され、やむなく赤さんを拉致して祖国に逃げ帰ろうとしたところを辺境の町ファレンヌで発見され逮捕される。これをファレンヌ事件と呼ぶ。
赤さんを保護下に置いたゲイ国過激団は錦の御旗をかざす皇軍となり、逆にTDNは賊軍へと一夜にして立場が入れ替わり、両者の力関係が決定的に変化した歴史的な事件となる。
 
 

 チャベス・オバマ少尉


プリンセス*ケツホルデスの居城を守る部隊長。
油断しがちで、半漁人にカブレラ小隊を襲わせていた時も水面に映る自分の姿に酔いしれ逃げられていたことに気付かなかった。ゲイパレスの戦いで井上カブレラに討たれ戦死。
後に子孫が海を越えた大陸国で大統領になったとかならなかったとか。
 

   

 和泉ディカプリオ陸軍大将


新日暮里帝国陸軍元帥。
キング石井崩御後いち早くTDNの支持を表明する。軍の後ろ盾を得たTDNはその力を背景に世継ぎ争いの騒乱に終止符を打った。
戦場にはただ一度マァラミーの戦いにおいて出陣し、木吉カズヤに討たれた。 

 

 フェルドム三笠海軍大将


新日暮里帝国海軍元帥。
キング石井崩御後いち早くTDNの支持を表明する。軍の後ろ盾を得たTDNはその力を背景に世継ぎ争いの騒乱に終止符を打った。
巨大な三笠砲を搭載した旗艦三笠に乗船しタクトを揮う。トラファックガアッー!の海戦では勝利したが、後のアルマラの海戦にてトータス藤岡の編成したゲイ国過激団海軍に敗れ、旗艦三笠と運命を共にした。

 

 チャック松本氏


新日暮里のダウンタウン出身の乱暴者。傭兵からやがては部隊を任されるまでになる。
マァラミーの戦いで農家の納屋でくりぃむしちゅー池田と一騎討ちとなり戦死する。

 

 マーティン・ワナメイカー氏


新日暮里全土に販売網を持つ全国紙「ホル♂モンド」の新聞記者。オーウェン定岡の加入後注目度が増したゲイ国過激団に取材したいと申し出、従軍する。しかし、彼はTDNによって送り込まれたスパイであった。
トラファックガアッー!の海戦前夜に定岡を暗殺し、さらには過激団の船に細工を仕掛け未明のうちに姿を消した。
マァラミーの戦いでトータス藤岡と一騎討ちとなり、戦死。
 
 

 金閣・スカルチクビ
 銀閣・スカルチクビ


スカルチクビ兄弟。バスチンユ監獄の太守。
力の金閣技の銀閣と呼ばれ、一糸まとわぬ二人のコンビプレイは非常に強力である。バスチンユの戦いで二対一でビオランテと戦い苦しめた。
しかしゆきぽを奪われた怒りに我を失ったビオランテの前に敗れ、壮絶な最期を遂げる。

 

 海老原海老蔵氏


新日暮里の警察官。職務に非常に忠実。
脱走直後のビリー・ヘリントンと鎌田吾作を発見するが、「米倉でーす」と名を騙ったビリーの嘘を嘘と見抜けず取り逃がす。また逃走中のゆきぽを発見し逮捕する。
後にバスティンユ監獄の看守となりゆきぽへの拷問を実行した一人となるが、バスティンユ陥落時に捕縛され、怒り狂ったビオランテに惨殺される。
 


 ゲイ・マカーイ氏


平和な時代は球を蹴り上げるスポーツの一流選手であった。
TDNに囚われ人体実験の検体にされ、吾作と共にダーク潮干狩りを受ける。

 

 プチ・プーチン氏


警察官であり、オーウェン定岡の親友であった。
ある事件の捜査中に凶弾に倒れ殉職。

 テリーマン氏


新日暮里消防庁所属の下級貴族。
特にポリシーはなく、TDNの政権奪取後もゲイパレスに留まったため帝国軍側に付く。

 エドモンド西郷氏


新日暮里南西端の田舎町出身のゲイ国過激団の新兵。
寝坊癖があり、指導に当たったビリーから「パチュリー・ウッ!」と厳しく指導される。

 

 リッカー山野軍医大尉


くりぃむしちゅー池田卿の部下。池田と共にゲイ国過激団に参加する。医者であり、過激団では軍医を務める。
彼の手厚い治療はいかなる傷をも癒し、過激団の士気は大いに高まった。

 

 ビエリ関根氏


ビリー・ヘリントン、鎌田吾作と同じ牢に捕らわれていた囚人。
3人で脱走を企てるが危うく失敗しそうになるところを彼が己を犠牲にし、二人を逃がした。
TDNのダーク潮干狩りの最初の犠牲者となるが、彼への実験は失敗し不完全に終わった。

 

 乳首コリーナ先生


キング石井・宰相TDN・ビリー大統領と3世代に渡り新日暮里の最高裁判長を務めた。法に極めて厳格であり、彼が間違った判決を出した時は法が間違っているのだと言われた。
TDN時代には悪法に則った判決を出していたため処罰すべきだという意見が多数あったが、「彼は司法の独立を全うしたにすぎない。三信分立は国家の根幹である」というビリー大統領の判断によりそのまま最高裁判長の地位に据え置かれた。
後世にはTDNにギロチンチンの判決を下した判事として有名。

 同じく彼の興味深いエピソードとして、「歪みなき生命」の提唱があげられる。歪みなき生命といえばビリー氏が一生を懸けて求め続けたものとして有名であるが、残された資料によるとどうやら別の意として偶然用いられたようだ――それは、実に皮肉な形として。
 かのTDNの演説後、複数の有力議員達は彼の国外追放を訴え議会裁判を招集する。議会裁判とは法の判断によって帝国の利益に反する行為を裁くものであり、その権限は過去に権力闘争の延長として使われたすえ宰相が処刑されるほど強かった。勿論裁判長としてコリーナ氏が推され、その恐れを知らぬ厳格さに来るべき圧政の恐怖は塵となり消える……そう予想されていた。
 しかし、宰相TDN。彼はまたもや恐ろしい魔力を揮う。
 議会裁判が開かれた議会前広場、押し重なり集まった国民達の注意はたった一人に向けられる。彼は毅然としていた。被告人としてながら全くの気後れ、物怖じ無しに皆の前に姿を見せるとさっそく言葉を口にする。「SMALL ASS!!」耳にした全員が息をのみ、その微かな音が波となって都市を身震いさせる。彼は続ける、"……他国の横暴、役人による汚職、太りきった衛兵、堕落した人民、これらは明確なる国家への反逆であり、全悪を逆さ釣りのうえ日干しにしようが何の気兼ねがあろうか!!……"叫び、目の前のコリーナを睨み付けた。"現代にまでそれらを野放しにしてきた皇帝、貴族、司法を私が名づけ呼ぼう……へたくそビッチめ!!"
 強烈な罵りと同じくして、広場に幾つもの萎んだビニール袋が吊るされ掲げられる。袋の中、人が封じられていた。まだ微かに息が残る者もおり、小さく声が漏れる。TDNはサディスティックな笑みを顔全面に浮かべた。
 広場は騒然とし、誰もが処刑のおぞましさに打ち震えてドンビキした。処刑人さえもだ。だが、ただ一人コリーナだけはTDNのダークな魅力に瞬時にとり憑かれほぼイキかけてさえいた。裁判長は一声「歪みなき生命」と唱えていた。それはTDNに対する賛美の言葉であり、判決であった。
「彼こそが歪みなき生命。全ての生命の正しき道を示す者であり、国家、人民、法の全ては彼の行いにこそ真の正義を見出さなければならない」
 後にコリーナは自伝でこの時ことを振り返り"見えない手で両乳首を攻められているような、そんな熱さに私はとり憑かれていた"と語っている。実際TDNによる何らかの策であるとも言われているが、真偽の程は判らない。
 確かな事は、この判決がTDN独裁に大義名分を与えたという事。

 時代はそれより、かの暗黒時代へと急速な変化を見せることとなる。

  

 キング石井帝

マラボン朝141(イシイ)代皇帝。賢帝と呼ばれ、国内に広く善政を布いていた。
しかし後継ぎが決まらぬ間に若くして急死する。


 赤さん


マラボン朝のラストエンペラー。ナニ物をも包み込むその笑顔は赤SUNとも太陽王とも言われた。
傀儡の王ながらTDNの圧政に心を痛めている歪みねぇ赤さん。ゲイ国過激団へはその急所の鉄壁ガードという形で影ながらも非常に重要な面で協力している。



 デビルレイクバーマ
 


おぞましい異形の姿をした半漁人。両腕が蟹の爪の形をしたタイプと、4つ足で脚力に優れる股間が光るタイプの2匹いる。帝国軍内では蟹タイプは「タイラー」四足タイプは「ゲンジー」と呼ばれている。
タイラーは平家シュトローム。ゲンジーは源氏フラッシュという強力無比な必殺技を有している。

ケツホルデス城にてカブレラ小隊が初めて遭遇する。この時チャベス・オバマの部下だった城之内は彼の村に伝わる伝説の悪魔「雄夜尻様」だと驚き失神した。

蟹タイプは木吉カズヤに、四足タイプはビリー・ヘリントンによって倒される。
今際の際の彼らの表情は穏やかであったと伝えられている。




 ヴァン・ダークホーム少年

 
謎の少年。
東洋系の顔立ちをしており異国から来たであろうと憶測されるが一切は不明。ある日突然キング石井の後宮に迎えられ寵愛され、毎夜夜伽の相手を務めた。
無口で多くを語らず後宮から出ることも決して無かったため、貴族でも彼を知らないものがほとんどであった。

キング石井崩御後の消息は不明。一説にはキングの墓前で彼に殉じたと言われている。

 

宰相TDNコスギ

 

 「FUCK YOU♂」


暴君TDNとして有名。先代キング石井の代から虎視眈々と権力の座を狙い、ついにその座を手に入れた男。

宰相就任演説における、「FUCK YOU」からはじまる、「チンはコックなり」という一連の流れは、お祝いムードに沸くゲイパレスの住民を恐怖の底に叩き落した。

彼は、資本主義・共産主義を排除するのみならず、一切の自由恋愛、異性恋愛、同性恋愛すらも排撃し、内にあっては極端な国粋主義による暴力的独裁、外にあっては公然たる侵略主義をとる体制をとった。

逆らったものは魔宮と化したゲイパレスに連れ込み、拘束具に繋げ様々な生体実験の道具とした。後の研究家らによって、これらの行いを称して”ファ”シズムと名づけられた。彼の権力への執念はすさまじいものがあり、賢帝キング石井・勇者ビオランテをもってしても彼の本性を見抜くことが出来なかった。

キング石井亡き後の騒乱も実は彼のものであったらしいことが、トータス藤岡氏らの著書によって明らかとなっている。あくまで伝聞であるのは明確な証拠が残っていないからであり、ここでもTDNの狡猾さがみてとれる。彼の振る舞いは明らかに常軌を逸しており、そこかしこからあふれんばかりの人間への憎悪が垣間見れる。

なぜ彼はそこまで人を憎んだのだろうか。初対面の人間に「FUCK YOU」と言い放つ彼の心はどのような闇が渦巻いていたのか、今となってはうかがい知ることは難しい。



革命実行後、宰相はバスティンユに幽閉された。
3ヵ月後の1793年1月21日、ギロチンチンの刑により処刑される。
彼が処刑台に現れたとき、それまで呪いの言葉を口にしていた多くの民衆がいっせいに口をつぐんだ。
幽閉されていた間わずかな水・食物しかあたえられなかったにも関わらず、彼の眼光は衰えず、その威風堂々とした見るもの全てを圧倒するオーラは健在であり、私達もみなその見事な姿に驚きを禁じえなかった。

処刑直前、ビリー氏による問いかけが合った。

「TDNよ。お前はなぜあのような振る舞いをしたのだ。なにか特別な理由が、悲しき過去があったのだろう?
お前にも人を愛することがあったはずだ。愛する人がいたはずだ。それなのになぜ混沌を好むようになったのだ?」

それを聞いたTDNは不敵に笑い、ただ一言こういった。

「別に好きじゃねえよFUCK♂YOU」

それが、この国を恐怖の底に突き落とした男の最後の言葉となった。


~以上 トータス藤岡著 マルチ☆ゲイ☆パンツ 第69章 14節 「TDN最後の日」 より引用~



近年では、宰相TDNの今際の言葉についていくつかの解釈がなされているが、彼の言葉について明確な答えは出されていない。(人間など好きではない、という解釈と、混沌を好きではないという解釈、さらにその他である)それほどまでに、TDNという人物には謎が多く、いまだ多くの人々の研究の対象となっている。

また、妖精哲学・許容の心を通して、彼の知られざる心の叫びを聞こうとする試みがいくつかの研究所で行われている。

 

 

※1今回の記事では、井上カブレラ潜入編における半魚人=ダークサイドに落ちた吾作=デビルレイクバーマ説を採用しております。これはまだ検討段階ではありますが今回はこの説を使わせていただきました。ご了承ください。

年表


不明
     賢帝キング石井崩御
不明
     新宰相TDNの就任演説
不明
     反逆罪で牢獄に囚われていたビリー・ヘリントンが鎌田吾作と脱獄
不明
     ビッグブリッジにてビリー・ヘリントンと木吉カズヤが出会う
不明
     打倒TDNを誓いゲイ国過激団が結成される
1786年某日
     いかりやビオランテがゲイ国過激団に参加
1788年7月某日
     宰相TDNが男・女・ゲイからなる全国三部会を招集
不明
     オーウェン定岡がゲイ国過激団に参加
1789年7月14日
     バスティンユ監獄襲撃 ゆきぽ逝去
1789年10月5日
     バイサイユ行進 帝国軍の無慈悲な攻撃により市民に多くの犠牲者が出る
不明
     城之内悠二がゲイ国過激団を裏切り帝国軍へ
不明
     オーウェン定岡が毒入りシャワーにより暗殺される
不明
     トラファックガアッー!の戦い ゲイ国過激団が帝国軍に惨敗
不明
     トータス藤岡とくりぃむしちゅー池田両名がゲイ国過激団に参加
不明
     カブレラ小隊がデビルレイクにて謎の半漁人軍団に襲撃される
1791年6月20日
     ファレンヌ事件 プリンセス*ケツホルデス失脚 赤さんがゲイ国過激団の保護下に
1792年8月10日
     8月10日事件 帝国軍がなんばパークス国をはじめ傘下にある周囲の衛星国から軍を派遣
不明
     アルマラの戦い 帝国海軍崩壊 フェルドム三笠海軍大将戦死
1792年9月20日
     マァラミーの戦い 帝国軍が最後の抵抗を見せるも城之内悠二の寝返りにより革命軍が勝利する
     帝国軍が壊滅的な打撃を被る 和泉ディカプリオ陸軍大将はじめ多数の将校が戦死
1792年9月21日
     ゲイパレス陥落 いかりやビオランテ戦死 宰相TDN逮捕される
1793年1月21日
     TDNギロチンチンの刑により処刑される
1793年7月14日
     人類史上初の普通選挙が実施される ビリー・ヘリントンが新日暮里共和国初代大統領に選ばれる
1797年7月14日
     第二回大統領選挙が行われる 現職のビリー・ヘリントンが100%の得票で当選
1801年7月14日
     ビリー・ヘリントンの人間宣言

その後のビリー・ヘリントン氏

ビリー氏は革命後、新日暮里共和国初代大統領に任命された。
TDNの圧制によって疲弊し、国力は著しく低下していたが、彼の行った数々の政策によって新日暮里共和国は超スピードで復興しかつて以上の繁栄を誇ることとなった。

皮肉にもTDNの存在によって新日暮里のハッテン・近代化が促されたという事実は、歴史学的にみても注目すべき点である。

この奇跡のような復活をたった8年で成し遂げた(新日暮里大統領の任期は4年で、ビリー氏は連続2期で就任した)ことは、彼の類まれなる政治力、そして新日暮里国民の歪みねぇ精神力を物語っている。

彼の任期8年目の最後の日、この日は7月14日であり、ゲイパレスでは華やかな誕生記念&3選記念セレモニーが行われていた。
全ての国民が貧富の差無くゲイパレスの宮殿に招かれ、喜びに満ちた宴が催された。
隣国なんばパークスからもカズヤ卿が招かれ、国民に伝説のカズヤダンスを披露していた。

宴も終焉に近づいたころ、ビリー氏による最後の演説が行われた。これこそが、後の世まで語られる「人間宣言」である。

彼は宣言の後、呆然とする国民を前に言葉を続けた。
「もう終わりだあ!」
そして突如壇上を駆け下り、ゲイパレスを飛び出した。

カズヤ卿もそれに続き、用意されていた馬に跨り新日暮里を後にした。
そして彼は新興国家であるなんばパークス国に入り、2度と新日暮里に立ち入ることは無かったという。伝えるところによれば、なんばパークス国にてGAY♂BAR「オナハウス」の経営に携わったとも、革命を戦い抜いた高い戦闘能力を買われ、なんばパークス国軍に入隊したとも言われているが、第二次世界大戦の戦災により殆どの資料が失われてしまった為、本当のところは不明である。

国民は彼の行動に驚き悲しみにくれたが、誰も彼を責めたりはしなかった。「人間宣言」に彼の思いの全てが込められていたからだった。

 

TDNを倒した日から、人々のビリー氏に対する感謝や尊敬のまなざしは日増しに高まっていった。4年もたつと、もはや同じ人間に向けられるものではなく人智を超越した存在、すなわち神に向けられるそれと同じものであった。
この事実はビリー氏を悩ませた。TDNの悲劇の原因の一端がこの国の政治機構そのものにあることは事実であり、一刻も早く完全な民主主義を取り入れる必要があった。そしてその最大の障害は己自身であることに気づいたのだった。また多くの人間が自分を神格化していることに孤独を感じていた。

妖精哲学でさえも救いにはならず、日増しに彼の心は暗く沈んでいった。

そんなビリー氏の様子をトータス氏から聞いたカズヤ卿は友の様子に心を痛め、ある決意を秘め新日暮里にやって来た。
カズヤ卿は、十数年前に二人が初めて出会った場所、「ビッグブリッヂ」にビリー氏を呼び出し、彼に「パンツレスリング」の死合いを挑んだ。
はじめその気の無かったビリー氏はカズヤ卿に一方的に攻められるが、カズヤ卿の発した一言がビリー氏を覚醒させた。

「最近だらしねぇな?」

これは初めて出会ったとき、ビリー氏がカズヤ卿に発した言葉であった。

それからの二人の戦いは、まさに神々の戦いと呼べるものだった。
スーパーカズヤ卿となったカズヤ卿と、妖精哲学を究めたビリー氏の戦い。空間さえ歪ませるほどの彼らの戦いは、後に「ビッグブリッヂの死闘」と呼ばれた。

二人の間に、もはや言葉は要らなかった。

何かを伝えるのに、言葉はいつも心に足りない。

戦いの中でビリー氏は、カズヤ卿の思いが、言葉ではなく心で理解できたのだった。
彼は一人ではないことを。そして紛れも無くちっぽけな、ただ一人の人間であることを。

 

なんばバークス国の要請によりカズヤ卿とトータス氏が編纂した『なんばバークス国復興史』によれば、その後、ビリー氏はなんばパークス国でカズヤ卿の補佐をしながら復興を助け、さらに一介のレスラーとして各国を放浪しながら各地でパンツレスリングを行い、生涯を通して妖精哲学の普及に努めたという。

但し、『復興史』の該当箇所には明らかな誤記が含まれていることがわかっており、何らかの理由によって両氏がヘリントン氏の消息を捏造したのではないかという疑惑が指摘されている。尤も、『復興史』以外の有力な資料は現存しておらず、ヘリントン氏が人間宣言以後どのように生き、どのような最期を遂げたのかは誰も知らない。

 

彼は一生を懸けて求め続けたのだ、「歪みなき生命」を。

いや、ビリー氏自身の生き様こそが、「歪みなき生命」であるといえるのかもしれない。

 

 歌詞

 vima la vidan は抽象的な歌詞が用いられており、非常に多岐に渡る解釈が可能であると言われている。
そして近年の妖精哲学の研究家らによって、いくつかの詩が解明されている。
ここでは2009年4月の時点で解明された6つの歌詞を紹介する。



vima la vidan Aniki version

私が釣りとして扱われていた頃
私の一言で群集が湧いた
今はあの頃の情熱も遠く色褪せ
鉄の馬に跨る日々になった
昔はよくレスリングをしたものだ
いつも遠くから熱い視線を感じていた

群衆が高らかに歌っている
「だらしねぇTDNは去った」
「兄貴に栄光あれ」
あと少しで世界を変えることができたのに
新たな時代の壁が私の前の前に立ちはだかる
そして気付いたのだ我がゲイパレスを支えていたのは
他ならぬ妖精さんたちであったことに

猛々しいドラムの音が大地に轟く
妖精さんたちの雄叫びのなんと勇ましいことよ
地位や権威、保身すら求めず
異国のものたちも我々に敬意を払うだろう
何とも表現しがたいのだが
私達の行動言葉全てが
歪みねぇものであったと感じている
今は遠い過去の話である

兄貴という名誉ある称号と引き換えに
誰も私の名前を呼んでくれない
だがもはや何も言うまい
全ては過ぎ去った過去の話

 

vima la vidan Kazuya version

私の故郷なんばパークスは自然に恵まれ
春には新芽が顔を出し秋には大地が金色に染まる
だがあの日人も大地も焼き尽くされ
そこには一切の救いはなかった

それから私はただ強くなりたいがために
闇雲にパンツを引きずり下ろし回っていた
そんな折あの男が現れ私達は対峙した
「救いはないね」
「あぁん?だらしねえな!」
その男の歪みなき精神を前に
私は為す術も無く敗北した
その時既に確信していたのだこの男が
世界を照らす英雄となることを

戦いのドラムが鳴り響き
戦士達が雄叫びを上げる
私はお前の剣となり盾となり
迫り来る敵を討ち果たそう
お前と出会ったあの日以来
たとえどんな絶望が我々に襲い掛かっても
全ては好機に思えるのだ
私が誇り高き戦士であった頃の話である

私はあの豊かな大地を再生するため
今再び故郷の大地に立っていた
あの男は英雄の地位も名誉も捨て
一介のレスラーとして私を支えてくれている
本当に良いのか尋ねると彼は言った
「仲間と共に在ることこそ私の誉れなのだ」
世界がお前の名を忘れようとも
永遠に心に刻もう歪みなき英雄の名を

 

vima la vidan Kamata Gosaku version

私はしていた
の教えでもあり 私自身そう思っていた
今はそんな記憶も遠く消え去り
苦痛の日々を送っている

例年違わず大漁であったあの日
忌まわしき彼等が現れたあの日
私は彼等に叫んだ
「私の命も財産も差し上げます」
「家族と蟹だけはご容赦を!」

だが彼等には蟹味噌ほどの慈悲もなく
私の愛するすべてを奪っていった
ゲイパレスに連行された後のことは記憶に無く
気がつけばただの魚となっていた

混沌なる世界が広がる
人々の泣き叫ぶ声が聞こえる
私の理性も愛も奪われ
ただ眼前の敵にとびかかっていった
こんな事をしたかったわけじゃない
なりたかったのはこんな私ではない
だが何も言葉が浮かばない
私が魚だったころの話である

新日暮里に革命の鐘が鳴り響き
英雄の剣が私を貫く
全身を駆け巡る痛みと共に
失っていた何かを取り戻すことが出来た
一歩も引くことのなかった男を見て
自然と言葉が紡ぎ出された
「蟹になりたいな」
私は蟹を愛していた

 

vima la vidan Coward Biollante version

彼が世界を変えようとしていたころ
私は彼の野心を恐れ見限った
今私は再び彼の元に舞い戻り
全てに決着をつけようとしている

私が王の間に着いたとき
そこにいたのはかつての友ではなかった
恐怖に支配されるなか私は祈った
「慈愛の神ゆきぽよ」
「私に力をお与えください」
震える体を必死に奮い立たせ
私は暴君に立ち向かった
だが私は知っていた 全てを憎む魔王に
臆病者ごとき勝てるはずはないと

眼前の敵に背を向け逃げ出し
眠りに付くこともままならず
イケメン戦士カズヤからは怒号を浴びせられ
挙句は戦いを恐れ商人となった時期もあった
どうして良いかわからないのだ
私が君の元を去ってから
全てが恐ろしくて仕方なかった
私が臆病者であった頃の話である

戦いは予定調和に収束し
私は魔王にひれ伏した
だが既に恐怖など無く
心地よい何かが私を満たしていた
私を見下ろす暴君の瞳が
紛れも無く友のものであったとき
真の勇気を手に入れた気がした
もう臆病者ではないのだ

 

vima la vidan Yukipo version

私が彼と愛し合っていた頃
世界は幸せに満ちていた
慈愛の神ゆきぽを祀る私は次の12月24日の役目を終えて
普通の女の子に戻り彼と結ばれるはずだった

ひんそーでひんにゅーでちんちくりんな私を
ぎゅ~~~っとしながら
確かめるように何度もくれた言葉
「真っ白な雪のように綺麗だよ、ゆきぽ」
「誰よりも君を愛している」
私のモノクロの世界に色を付け
世界の美しさを教えてくれた人だった
彼が私のすべてだった
冬が待ち遠しくて仕方なかった

しかし暴君TDNがゆきぽ像を破壊し
私たちは手を取り合って遠くの町へ逃げた
貧しいけれど幸せな日々だった
彼がいればそれで良かった
だけどある街で兵士に追われた私は彼と離れ離れになった
不安で不安で仕方なくて穴を掘って隠れていたのだけれど
私はあっけなく捕まってしまい
根性も気合も通用しない恐ろしい牢獄に連れて行かれた

冷たい牢獄の中で手に息を吹きかけると
ぎゅ~~~っとしてくれた彼を思い出し涙がこぼれた
幾度目かの冬が過ぎ私の生命の灯火が尽き果て
長い苦しみがやっと終わろうとしていた時 私の前に奇跡が訪れた
遠くなっていく意識の中で彼が必死に呼びかける
どうか泣かないで愛しいあなた
この雪のような白い心はいつまでもあなたとともに
私は生きた 最期まで あなたと共に

 

vima la vidan Assassin I.Cabrera version

「影と共に生きる」
これは暗殺者であった父の、そのまた父の言葉であり
私自身もこれを心に
黙々と鍛錬を続けてきた

フェアリークロックはいつでも正確な時を刻み
一族秘伝の剣技で迫る敵を打ち果たしたものだ
ある時は怪物と戦い、またある時は裸で戦った
「かあさん・・・ごめん・・・」
「息子よ・・・先に逝っているぞ・・・」
だが何だ?この空しい感情は
人を傷つけるだけの人生は、私の心を黒く蝕んでいった
血を血で洗う戦いが凄惨を極める
多くの好敵手を斃し、多くの同胞が倒れていった

これが私の生きる道なのか?
横たわる「友」は何も答えない
一つの生命の終幕は
一つの悲劇の幕を開ける
全ての戦いが終わり初めて
悟ったのだ
私は遺伝子に刻まれた殺し合いの螺旋に捕らわれていた
私が修羅であった頃の話である

何があの男をそうさせたのか 真実に触れたかった私は
気がつけば遥か東方の地に流れ着いていた
異国の民である私を彼らは温かく受け入れてくれた
剣をバットに持ち替えた私は
気付いたのだ
こんな私でも人に夢や笑顔を与えられることに
悟ったのだ
私も 影を照らす光になれることを

 

vima la vidan Owen version

私が王宮で踊りと水浴びに勤しんでいた頃
全ては幸福に包まれていた
しかし賢帝が崩御した瞬間から
全ての歯車が狂い始めた

王宮には親友と呼べる男達がいた
寡黙な私にも真摯に接してくれていた
何故そんなに楽しく踊れるのかと問われてこう答えた
「・・・理由・・・か?」
「・・・お前達がいるからだ」
そんな幸せな生活であったが
突如運命が我々に牙を剥いた
我々が絶対の忠誠を誓った賢帝が倒れ
暴君による恐怖の圧政が始まったのだ

逃げれば殺されると警告する池田と
どこかに身を隠そうというトータス
シャワーを満足に浴びられない苦悩の中
結局私はトータスと共に逃げ出した
今でもどれが最善の選択だったか分からない
ただ私が保身に走ったという結果だけが残っている
後から後悔してもしきれなかった
私が友と国を失った頃の話である

友と共に革命に参加した私は
常に暗殺の恐怖と隣り合わせであった
魔王の多くを知りすぎた私は
すぐに消されることはわかりきっていた
友の制止を振り切りシャワーを浴びた時
私はこれが最期の時だと悟った
今際の際に見た夢の中の私は
親友達と祖国の地に立っていた

 

vima la vidan Jonouchi version

私がイケメ~ン?と呼ばれた頃
農民は虐げられ、家畜以下の扱いだった
楽園が地獄に変わった時
弱き民は立ち上がり、一斉に牙をむいた

友たちと幾夜も理想を語り明かし
やがて戦場を駆け巡るようになった私は
幾多もの闇を二つの剣で切り裂いたのだった
「魔王を倒せ!新日暮里に革命を!」
「身分を無くせ!農民に自由を!」
時には無茶な作戦を独断で決行したり
相手を挑発し過ぎて仲間に戒められることもあった
それは私が信じていたからだ
私の中の、細いけど揺るぎない“正義”を

レザーの覇者が市民を虐殺し、私が憤慨のあまり震えた時
別の友は病気の母のために菊花の紋章の銃を手に取った
“誰も間違っていないし、誰もが間違っている”
それに気付いた時、私の中の細い正義は折れた
正義?理想?結局は貴族同士の勢力争いではないのか?
自暴自棄で岩の上で背徳に溺れたり、女とだらしなく過ごした
私を捕らえた魔王は、私に甘い言葉を囁いた
Yes,I was bitch. ― 私が愚か者だった頃の話である

それでも私の二つの剣は正義を忘れることはなかった
「もう、決まっていることなのです...」
帝国軍として戦う度に、悲しそうにつぶやく梨花ちゃんを思い出した
それは違うと君に言いたかったけど、もう遅いかな
ゲイ国過激団壊滅必至の知らせを受けたとき
無我夢中で戦場へと走り、帝国軍の菊花をブスリ♂と刺した
「すみましぇ~ん、ごめんなしゃ~い」
私の刀はもう折れることはない。正義はその言葉に笑顔で頷いたのだから 

 

vima la vidan TYLANT TDN version

私が世界を支配していた頃
私の一言に人々が恐怖した
今はその言葉も空しく響き渡り
最期の時を迎えるのみとなった

私にだって志はあった
世界をまとめ争いを無くしたかった
だが私たちの衝突は避けられなかった
「この国には力が必要なのだ!」
「やっぱり怖えぇ!」
我が唯一の友はゲイパレスを去り
ふたりは道を違えてしまった
残ったのは私の顔さえ見られない家臣ばかり
歪んだ思惑と恐怖だけがこの城を支えていた

力ですべてをまとめあげても
人々の心が一つになることはなかった
富や領地やボンテージを手に入れるほど
真に求めるものは遠ざかっていった
いつの間にか志さえ見失い
全てを呪う事しか頭になかった
大切なものさえ分からなくなった
それが暴君であった頃の愚かな私

新日暮里に革命の鐘が鳴り響く
英雄たちを讃え群衆が歌っている
私はそれを暗い地下室から聞き
後悔と共に安堵すら感じていた
皮肉にも最後に私が呪ったのは
自らが犯した過ちであった
だが最後まで暴君であろうと思う
それが私の役目なのだから

 

ASSFUCK許諾番号 9011460001Y45040

 

最後に

 人間愛・生命讃歌を叫び続けたビリー氏たちと、処刑台の上でさえも人間を呪い続けた暴君TDNコスギ。
どちらも同じ人間がみせる光と影の表情である。

革命を成し遂げたビリー氏だったが、彼の目指した理想の世界は遠く、ともに戦った仲間達も散り散りとなり、世界から争いが消え去ることは無かった。

 

ビリー氏達の戦いから数百年たつが、我々の世界は何も変わってはいない。

いつか言えるだろうか

戦争も飢餓も疫病も無い世界に、
世界中の子供達が皆笑顔に、  
世界中が自由に、平等に、   
人々が手を取り合い生きる世界に 、


なったお!そうなったお!

と。

そして皆の笑顔が、おっくせんまん...おっくせんまん...

になるだろうか。

これらを実現することは、ビリー氏から我々へ下された使命であり、彼が果たせなかった悲願でもある。

もし人生に疲れ、誰かを憎み、悲しみで心が満たされそうになったら、この言葉を思い出して欲しい。

Live Better ~歪み無く生きろ~

 

 そして忘れないで欲しい、あの絶望の時代を力強く生き抜いた男達がいたことを・・・。

 

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関連項目

  • レスリングシリーズ
  • 兄貴 / ビリー・ヘリントン
  • カズヤ / 木吉カズヤ 
  • 吾作 / 鎌田吾作
  • 城之内悠二
  • 井上カブレラ
  • いかりやビオランテ
  • トータス藤岡
  • オーウェン定岡
  • くりぃむしちゅー池田
  • TDNコスギ
  • 妖精哲学の三信
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