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ラドフォード(USS Radford, DD-446)とは、アメリカ海軍の駆逐艦。フレッチャー級の2番艦である。

概要

「ラドフォード」は1941年 10月2日、ニュージャージー州カーニーにあるフェデラル・シップビルディング・アンド・ドライドックにて起工される。1942年 5月3日に進水（ネームシップである「フレッチャー」と同日）、同年の7月22日に就役した。
艦名はウィリアム・ラドフォード(William Radford)少将に由来し、その名が付けられた艦船としてはウィックス級駆逐艦「ラドフォード」(DD-120)に次いで2代目となる。

第二次世界大戦

就役した「ラドフォード」の初任務はアメリカ本国からイギリスへ向かう輸送船団において、敵の攻撃を受け炎上した輸送艦「ウェークフィールド」の救援であった。その後、対日作戦に参加するために「ラドフォード」は太平洋艦隊に配備され、主にソロモン諸島方面の攻撃作戦に従事する事となった。
1943年 3月14日、同型艦である「ニコラス」「ストロング」「テイラー」と共にコロンバンガラ島を砲撃。5月6日から7日にかけてはコロンバンガラ島とギゾ島の間にあるブラケット水道に機雷を敷設する為に派遣された駆逐艦改造型機雷敷設艦「ブリーズ」「ギャンブル」「プレブル」の護衛を行った。
（翌日の5月8日には、この時敷設された機雷に3隻の日本駆逐艦が触雷、1隻が爆沈し、残りの2隻も航行不能となって漂流している所を沿岸監視員からの通報を受けた航空機による攻撃で沈没している）

7月5日、「ラドフォード」は『東京急行』とも称される日本軍輸送部隊の出発の報を受け、前日の戦闘で沈没した「ストロング」と、艦首の損傷と「ストロング」の生存者の輸送の為に戦線を離脱した「シャヴァリア」の穴埋めとして、旗艦「ホノルル」及び「セントルイス」「ヘレナ」、「ニコラス」「オバノン」で構成された『第36.1任務群』に「ジェンキンス」と共に加えられる。
そして、日付も変わろうとしていた深夜、両軍はクラ湾へと突入し『クラ湾夜戦』が生起する。
23時36分、「ホノルル」が敵艦を探知し、艦隊は一斉攻撃を開始する。その結果、敵旗艦である「新月」を撃破（のち沈没）する事に成功するが、後続艦の「谷風」「涼風」の雷撃を受け「ヘレナ」が轟沈してしまう。
「ラドフォード」は「ニコラス」と共に日本軍の揚陸作業の妨害を行いつつ、沈没した「ヘレナ」の生存者の救助活動を開始。途中「天霧」から魚雷攻撃を受けるが、命中せず「ラドフォード」の艦尾をかすめていった。
結果として、「ラドフォード」はこの救助活動において468名を救出し、後に殊勲部隊賞を授与されている。

クラ湾での戦いから戻ってきた「ラドフォード」属する第36.1任務群であったが、休む暇も無く再び出撃の命が下る。
7月12日、日本軍によるコロンバンガラ島への戦力増強を阻止する為に、戦没した「ヘレナ」の代わりとしてニュージーランド海軍の軽巡洋艦「リアンダー」と、新たに駆逐艦「ラルフ・タルボット」「モーリー」「グウィン」「ウッドワース」「ブキャナン」を加えた第36.1任務群は再びコロンバンガラ島に向けて出撃。この戦いは後に『コロンバンガラ島沖海戦』と呼称される事となる。
23時8分、日本の軽巡洋艦「神通」が探照灯を照射し攻撃を開始したのを皮切りに両軍は戦闘状態に突入。第36.1任務群は位置を露呈させた「神通」に集中砲火を浴びせこれを撃沈するが、「神通」に攻撃が集中した事で被弾を免れた日本側の駆逐艦による魚雷攻撃で「リアンダー」が大破。「ラドフォード」は「ジェンキンス」と共に「リアンダー」に付き添う形でツラギ島へと撤退した。
この戦闘の結果、連合軍側は「グウィン」が沈没、「ホノルル」「セントルイス」等が大破したのみならず日本側の揚陸作戦の成功も許してしまうなど、大いに辛酸を舐める結果となってしまった。

11月25日、ギルバート諸島近海、マキン環礁（ブタリタリ）の沖合を航行していた「ラドフォード」は“敵の潜水艦”を探知、対潜攻撃を敢行する。
潜水艦はその性質上“敵に発見されない”事を前提としている為、一度発見されてしまうと船体の脆弱さや速力の低さからいとも簡単に撃沈されてしまう事が多く、最早成す術も無くなったこの潜水艦も「ラドフォード」が投下した爆雷によって呆気なく海の底へと沈んでいった。

これが、空母「ワスプ」を撃沈せしめ、戦艦「ノースカロライナ」に痛撃を与えた日本の殊勲潜水艦「伊号第十九潜水艦」(伊19)の最期であった。

その後、「ラドフォード」は12月5日に発生した『マーシャル諸島沖航空戦』において空母「エンタープライズ」「エセックス」の直衛を行った他、1944年から終戦にかけてニューギニアからフィリピンに至るまで上陸支援作戦や機雷掃海任務に従事。1946年 1月17日に退役、予備役に編入された。

戦後

1949年 3月26日、現役復帰に伴い「FRAM I」改修を受けた「ラドフォード」は対潜護衛駆逐艦DDE-446に艦種変更され、10月17日に再就役。1950年に勃発した朝鮮戦争においては第7艦隊の支援を行い、1960年には更に「FRAM II」改修を受けている（なお、1962年 6月30日には艦種が「駆逐艦」に戻されている）。
1965年、ベトナム戦争への介入を決定した米軍を支援する為に、「ニコラス」「フィリップ」「レンショー」「エパーソン」が所属する『DESDIV 252』と共に南シナ海に展開、「シードラゴン作戦」及び「マーケットタイム作戦」に参加した。

「ラドフォード」は1969年 11月10日に退役・除籍され、1970年 10月頃にスクラップとして解体された。

性能諸元

基準排水量	2,050t
満載排水量	2,500t
全長	114.8m
全幅	12m
機関	B&W式水管ボイラー×4基
速力	38kt
航続距離	15kt/6,500 海里
乗員	329名
兵装（就役時）	Mk.12 12.7cm（38口径）単装砲5基5門、28mm四連装対空機銃、20mm単装機銃、12.7mm単装機銃、53.3cm五連装魚雷発射管2基10門
兵装（FRAM II 改装後）	Mk.12 12.7cm（38口径）単装砲2基2門、ヘッジホッグ対潜迫撃砲発射器2基、40mm連装対空機銃、20mm単装機銃、ウェポン・アルファ対潜迫撃砲、Mk.32 短魚雷発射管2基、QH-50 DASH運用設備