~田中秀和組曲~動画

2.1万文字の記事
  • 1
  • 0pt
掲示板へ

田中秀和組曲とは、ThreaQexit_nicovideo制作したメドレー作品である。

概要

田中秀和作曲もしくは編曲に関わった曲のみを繋いだメドレーで、全40曲。重ねがほぼ存在せず、コード進行オリジナルのままで、全曲を原曲キーでつなげるなど、かなり原曲に寄せたアレンジとなっている。

YASUexit_nicovideo氏の「~神前暁組曲~exit_nicovideo」を意識した画面構成などとなっており、動画時間も16:44に合わせてある。

曲リスト

作詞や歌唱、キーテンポ、転調など詳細に書かれたスプレッドシートもあるのでそちらexitも参照。

No. 曲名 出典 備考
1 PUNCH☆MIND☆HAPPINESS アニメあんハピ♪』OP
2 Star!! アニメアイドルマスター シンデレラガールズ』OP
3 サマー・スライダー アルバムYELL!!』より
4 グッドラック ライラック アニメアニメガタリズ』ED
5 アイカツメロディ ゲームアイカツ!フォトonステージ!!』収録曲
6 自分REST@RT アニメTHE IDOLM@STER』挿入歌
7 Angel Snow アニメアイカツ!』挿入歌
8 JAM GEM JUMP!!! アルバムGEMS COMPANY』より
9 イリュージョニスタ! ゲームアイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』2周年記念曲
10 WORLD IS CALLING アルバム『やぁ(^-^)/』より
11 感情線loop アニメ俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』第1話ED(TV放送未使用)
12 EVERMORE ゲームアイドルマスター シンデレラガールズ』5周年記念曲 滝澤俊輔(TRYTONELABO)との共作
13 はじめてのかくめい! アニメ超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』OP 作曲田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)
14 灼熱スイッチ アニメ灼熱の卓球娘』OP
15 ?で?で暴君です! アニメ恋愛暴君』OP
16 Let's アイカツ! アニメアイカツ!』挿入歌
17 桜の風 THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS MASTER SEASONS SPRING!』より
18 カレンダーガール アニメアイカツ!1stシーズン前期ED
19 Move on now! アニメアイカツ!』挿入歌
20 土曜日フライ アルバムWake Up, Best! MEMORIAL』より
21 リトル・チャレンジャー 映画Wake Up, Girls! 七人のアイドル』挿入歌
22 ミツキチューバ ゲームニンジャボックス主題歌
23 這いよれOnce Nyagain アニメ這いよれ!ニャル子さんF』OP
24 花ハ踊レヤいろはにほ アニメハナヤマタ』OP
25 PEACEマジカルフラワーズ アニメサーバント×サービスキャラクターソング
26 GOOD DAY! パチスロ快盗天使ツインエンジェル3ビッグボーナス
27 LUCKY DUCKY!! 8thシングルLUCKY DUCKY!!』より
28 神SUMMER!! アニメTHE IDOLM@STER』挿入歌 田中秀和アイマス初参加曲
29 Dance in the rain アニメアイカツ!』挿入歌
30 ススメ☆オトメ ~jewel parade~ ゲームアイドルマスター シンデレラガールズ』関連曲
31 Polaris アニメWake Up, Girls! 新章』挿入歌
32 女の子になりたい アルバム神楽アーティファクト』より 作曲まふまふとの共同
33 ワタシ*ドリ アルバムRefRain』より
34 Share the light アニメアサシンズプライド』OP
35 Memories of days gone by アニメ学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』第5話ED 田中秀和デビュー
編曲岡部啓一(MONACA)との共同
36 CAFUNÉ 5thシングル標』カップリング
37 prism spiral アニメアイカツ!』挿入歌
38 M@GIC☆ アニメアイドルマスター シンデレラガールズ』挿入歌
39 Beyond the Bottom 映画Wake Up, Girls! Beyond the Bottom主題歌
40 少女交響曲 映画Wake Up, Girls! 青春の影』主題歌

全曲解説

ゆるく解説していきたいのでこの項だけ常体から敬体に。

全40曲の簡単な解説と、全20回の転調の取っ掛かりを書いていきます。

01: PUNCH☆MIND☆HAPPINESS

1曲から非常に癖の強い曲です。
変態的なコード進行アニソンは数多くあれど、「augはトニック」なんて言いれる曲はこの曲くらいではないでしょうか。この曲のイントロ・Aメロコード進行
IIm7 IImM7 | V Vaug | I I7 | VI VIaug
の繰り返しとなっていて、一応「2516進行の変形」と言うこともできますが、mM7やaugを用いた半音移動が底的に用いられていて、それがメロディにまで影を及ぼしています。(例:Aメロ最初の「七つ"転んで"」)
この曲はmM7の使い方が大変綺麗で、例えばサビの「生命アップだ 精アップだ」の部分の
IIm7 IImM7 | IIIm7 IIImM7
においては(短/長)7度が気持ちよく半音単位で駆け上がっていきますし、メロディも7度をメインとして取っています。

02: Star!! (→試聴動画exit)

転調が非常に美しい曲です。一部を抜すると、
Dメジャー(Aメロ)→Fメジャー(Bメロ)→Eメジャー(サビ)
といった具合ですね。AメロからBメロへは短3度転調自体の優しさを利用した突然転調なのですが、Bメロからサビにかけてはマイナーツーファイブを利用した強い短2度下転調となっています。ジャズアプローチを含んだサビにかけての短2度下転調はポップスだと非常にレアであり、音楽理論の解説サイト「SoundQuest」においても1曲しか挙げられていませんexit
さらに、最初のサビからイントロにかけてのストリングスの駆け上がりは
C/D→Eb/F→Gb/Ab→A/B→C/D→……
となっているのですが、これはスラッシュコードのコンスタントトラクチャーと解釈できたり短3度転調を高速で繰り返していると解釈できたりと非常に難解です。

転調①: F→E (m2↓)

Star!!』の短2度転調をそのまま利用して転調します。

03: サマー・スライダー (→試聴動画exit)

サビブラスがとってもやかで楽しい曲です。トランペット演奏したエリック・ミヤシロ氏をはじめとして、演奏が非常に隠れた名曲
サビではVI7(b9)をこれでもかというほど味わうことができます。とってもおいしい!
VI7IIm7に対するセカンダリードミナントとして用いられることがほとんどですが、ここに短9度にあたる[1]「シ♭」を乗せることで、VIIbのような浮遊感とdim7のもの悲しさをいいとこ取りした非常に甘い和音が出来上がります。田中秀和さんはこの「VI7(b9)」を得意としており多くの楽曲で聴くことができます。
また、曲の全体構成としては、2番Bメロで強く盛り上げてからの間奏とDメロが非常に気持ちよく、そのあとの落ちサビピアノトランペットボーカルに心地よく染んでいて聴いていてワクワクしてきますね。

04: グッドラック ライラック (→試聴動画exit)

メドレーでは32小節あるサビの9小節からはじまります。9~12小節コード進行
IVm | IVmM7/VIIb | IIIm7 | VI7
となっていて少々見慣れないものとなっていますが、これは4536進行(王道進行)に「IVmVIIbI」(backdoor ii-Vexit)の要素を混ぜたものであると解釈しています。
IImVI」を「IImIIm/VI」にするのと同じノリで「IVmVIIbI」を「IVmIVm/VIIbI」にしたうえでIIIImにリハーモナイズして4536に組み込んだイメージですね。
IVm/VIIbの上モノをマイナーメジャーセブンス化したのがIVmM7/VIIbですが、これが実は面く、IVmM7ルート省略するとIIIaug/VIIbとなりblackadder chordへと変化します。(mM7のルート省略するとaugが出てくる性質も面いですね)
個人的にIVmM7/VIIbのことは「隠れblk」と呼んでいて、一般的にblackadder chordドミナント的な使われ方をすることが多いのですが、IVmM7/VIIbを使うような場面でIIIaug/VIIbにすることによってサブドミナント的なblackadder chordを使うことができます。
そして16小節後半のVaug/I#、ここで満を持して出てくるのがblackadder chordです。今回はドミナントセブンスをaug化してベースを裏返した分かりやすい使い方です。
田中秀和さんとblackadder chordは切っても切れない関係で、彼のせいでアニソン界のコード進行が複雑化したと言っても過言ではありません。そして多くの人間がそれらのコード進行研究していったことによって、blacadder chordは急速に広がっていきました。
ちなみに、メドレーでの最後の部分の16小節はしばしば「2連続でblackadder chordが使われてそのコード進行は『IIIaug/VIIb Vaug/I#』である」と言われていますが、恐らく「Vm6(11)/VIIb Vaug/I#」だと思われます。

05: アイカツメロディ! (→ショート版MVexit)

この曲はサビコード進行が非常に美しいので、解説サビのはじめから追っていきます。
まず最初の8小節から。コード進行
I | % | VIIm7-5 | III7 | VIm7 | % | Vm7 | Iaug/IV#
で、これは「ハレレ進行」の変形とみることができます。ハレレ進行とは『ハレ晴レユカイ』のサビなどで用いられる
I | VIIm7-5 III7 | VIm7 | Vm7 I7
のようなコード進行です。一応カノン進行の生ともいえますが元からは結構離れているので別物として扱ったほうがいいと思います。
田中秀和さんはハレレ進行がお気に入りなのですが、様々な生した形で使ってきます。例えばStar!!M@GIC☆サビでは2小節前半をVIIm7にしたものを使用しました。
今回はハレレ進行を2倍の長さにして最後をblackadder chordにしたものを使っています。特に、9小節コードIVM7なのですが、これによって8,9小節コード進行
Iaug/IV#IVM7
となります。これはblackadder chordの用法のうち最も汎用性の高い使い方として知られており、J-POPにおいても多数の使用例が報告されています。
最初の8小節についてですが、4,8小節バックボーカルロングトーンが入り、そこのコードがそれぞれIII7Iaug/IV#であるためにえげつないことになっています。そこがまた魅でもあるのですが。
9~12小節
IVM7 | V/IV | IIIm7 | VI7
という王道生、そして13~16小節
IIm7 | IV#m7-5 | IIm7/V | V7 IIIaug/VIIb
なのですが、16小節後半はコードメロディも面いことになっています。まずコードですが、17小節コードIであることを考慮すると先述した「サブドミナントblk」を用いた「ドミナントサブドミナント→トニック」の逆進行であると考えられます。ただ、普通サブドミナントとは聴こえ方が違うのかスムーズに接続されている印です。あるいは16小節全体を「VVIbVIIb」のリハーモナイズと考え、後半をIIIaug/VIIbではなくVIbaug/VIIbとして、VIbVIIbを混ぜたものと解釈してもいいでしょう。
次にメロディですが、メインメロディは(移動ドで)「ド レ」、ハモリの部分は「ラ♭ シ♭」となっていてホールトーンスケールに綺麗に乗っています。このハモリの嬉しいところは長3度が保たれるので臨時記号が入る割には聴こえがいいところですね。

メドレーでは17~32小節が使われていますね。17~24小節は1~8小節の変形です。注すべきは25~28小節。接続を見てもらうために29小節も書くと、
IV#m7-5 | VII7 | IIIm7 | VI7 | IIm7
セカンダリードミナントやrelated IIm7を学んだことがある人間が一度は考えたであろう強進行まみれのコード進行ですね。そして、VII7の使いづらさに敗北したと思われます。
ここではVII7メロディが上手くマッチしていますね。ダイアトニックケールに乗っているルートと7thの音から始まり、「ソ→ファ→ソ」の刺繍音の形で使いづらい5thに乗せています。
ちなみに、このコード進行は『Let's アイカツ!』でも用いられていたコード進行で、セルオマージュであると考えられます。

転調②: E→C#m (Rel.)

行調への転調です。特に言うことはありません。

06: 自分REST@RT

アップテンポな楽曲で、特にサビでの同調への転調が印的ですね。AメロBメロの長短が少し曖昧なので短3度転調でもいいかもしれません。
ところで、田中秀和さんにとっては神前暁さんは師匠のような存在なのですが、神前暁さんは同調/短3度転調を得意としています。2011年という田中秀和さんにとって初期の楽曲であることを考えると、神前暁さんの影を強く受けた楽曲の一つであると考察できるかもしれません。
メドレーではBメロを用いました。オーケストラヒットの特徴的な音はメドレーでは別の形で取り込んであります

転調③: C#m→Db (Par.)

自分REST@RT』の同調転調を意識したものとなっています。

07: Angel Snow (→ショート版MVexit)

最初の4クワイアがとても美しい楽曲。
この曲では他ではあまり見ない「IIm7-5/II」という終止が多用されています。アーメン終止にサブドミナントマイナーの雰囲気を混ぜたような面い着地がらぶゆ~♪なのです[2]。(「IVm6/II」という解釈もあります。「IVm/II」の変形ですね。)
また、サビコード進行の最初が「IVM7 V7 IIIm7 VIm7」という堂々の王道進行なのですが、そこに入る際のコードIaug/IV#という模範的なblackadder chordの使い方になっているのもらぶゆ~♪ですね。

08: JAM GEM JUMP!!! (→フル版MVexit)

田中秀和さんの手掛けたボーカル曲の中で最速の224bpmの楽曲となります。(インスト曲を含めると『マネーの天使』で234bpmで、さらに劇伴を含めると『The Dancing Glass Slippers』で240bpm)
サビの賑やかなブラスが印的で、GEMS COMPANY1stミニアルバムである「GEMS COMPANY」の最後の曲として収録されています。
やかさと賑やかさを両立させたような楽曲で、2番のあとの間奏では12人全員セリフが出ることからGEMS COMPANY全員曲の代表ような位置づけになっています。

転調④: Db→Gb (P5↓)

この転調はかなり特殊で、ニコニコメドレーの技法でいう「キーズレした共通音繋ぎ」になります。つまり、実音での共通音を取っ掛かりに強引に転調しています。具体的には『JAM GEM JUMP!!!』のBメロ9小節からの「輪になったそのん中に」の「輪」の音と、『イリュージョニスタ!』のBメロ9小節からの「泡の煌き」の「う」の音が実音で「B♭」なので強引に繋いでいます。一応、『イリュージョニスタ!』のBメロ8小節blackadder chordも用いていますが、もしかしたら理やりな印を持つかもしれませんね。

09: イリュージョニスタ! (→試聴動画exit)

デレステの2周年記念曲としては十分すぎるくらいにな楽曲。クレジットに乗っている生楽器を挙げると、ドラムベースピアノギターストリングストランペット(×2)・トロンボーンアルトサックス・テナーサックスバリトンサックスコーラス
メドレーでは上記で挙げた楽器のうちコーラス以外の全パート耳コピして再現してあります。
田中秀和さんのえげつないコード進行が存分に発揮された曲ではあるものの、
VIIm7-5III7(#9)III7(b9)
をはじめとした「冷静になれば意味が分かるコード進行」が多く解析しがいがあります。それでもサビラスト
IIIaug/VIIb VIaug VIaug/IIIb | IIaug IIaug/VIb Vaug Vaug/IIb
には圧倒されてしまうのですが。

転調⑤: Gb→D (M3↓)

blackadder chordの上モノがaugであることを利用して、解決先を強引に長3度ずらしました。具体的には上記の「サビラスト」の最後のVaug/IIb(Dbaug/Abb)をVaug/VI(Dbaug/Eb)にすることでDに着地させました。blackadder chordが不安定なので、こういうことをしても意外と上手く収まっている気がします。

10: WORLD IS CALLING

ビッグバンド系統を除いても実は意外と多いこのテンポでのハネたリズムの曲。サビでのD→Fの短3度転調はもとより、落ちサビから戻るときのE→Fの短2度転調も田中秀和さんの定番として特徴的ですね。
メロディの付け方も本人の特徴が強く出ている曲で、サビ5~8小節
V7 | III7(b9) | VI7sus4 | VI7
に対するメロディでは、6小節の「信じれば カタチ生まれてく」の「ば」から「カ」にかけての増2度跳躍がとてもに残りますね。また、7,8小節の「全4度→長3度」に綺麗に沿ったうえでの8小節の「ド」も素敵ですね。これらの「コードと上手く共存した臨時記号を伴うメロディラインの多用」は田中秀和さんのメロディも特徴の一つだと感じています。

11: 感情線loop

かなりレアな曲。それでも曲単体で購入できますよexit
田中秀和さんはスローテンポな曲も多く書いているのですが、メドレーの構成の都合上スローテンポな曲を多く入れることができませんでした。感情線loop原曲98bpmなのですが、それを196bpmだと解釈することで強引に入れています。
コードワークに関しては他の楽曲と較するとかなり大人しめなのですが、サウンドに関してはしっかりと特徴が残っていて、わかりやすいのが要所でのリバースピアノの使用などでしょうか。

全に余談ですが、田中秀和さんは昔からのthe band apartファンで、メンバーの原和さんに感情線loopを評価された際は非常に喜んでいました。

12: EVERMORE (→試聴動画exit)

ここで初めて田中秀和さん以外の方が作曲編曲に関わってくる楽曲の登場です。TRYTONELABO滝澤俊輔さんと交互に作曲編曲をして作られた楽曲であり、サビでは2~4小節ごとに交代して作ったとのこと。

1st Violin(2人)+2nd Violin(2人)+Viola(1人)+Cello(1人)の合計6人で構成されたストリングスはとても美しく、特にイントロ部分は圧巻ですね。
サビの構成はかなり変則的で小節数は10+11+4の合計25小節のサビとなっています。さらにコード進行もかなり変則的でI7の着地先がIIm7だったりIIIm7-5だったりと一度たりともIVM7へと解決しません。田中秀和さんはI7IVM7IV#m7-5へと解決させたりIaug/IV#IVM7の形にしたりと素直な進行が多いので、これはコラボの影だと思います。
田中秀和さんの強コラボがもっと聴きたい人は鹿乃さんのアルバムyuanfenexit』をチェックしよう!(作曲はすべて田中秀和)

転調⑥: D→G (P5↓)

EVERMOREの1番サビから間奏にかけての「D→C」の転調を利用した転調です。EVERMOREの間奏の最初のコードがCなので、はじめてのかくめい!イントロの最初のコードAm7だったものをCM7に変更することで繋ぎました。

13: はじめてのかくめい! (→フル版MVexit)

作詞作曲ベース演奏UNISON SQUARE GARDENベーシストである田淵智也さんが関わっている曲。ベースの難解さに関していえば40曲中トップクラスです。
コード進行に関していえば、最初の「Hello, nice to meet you, yeah!」のaug進行や、Aメロ
IV#m7-5IVM7I/IIIIIIbdim7IIm7IIb7-5I
のような連続半音下降などの特徴的なものは多いですが、サビコード進行はかなり素直です。最後のサビで今までIだった部分がVIm7になるというポップスでは定番のコード進行があるのですが、そのようなコード進行田中秀和さんが使うのはしく、かえって意外性を生む結果となりました。(ここについては作曲田淵智也さんの影もありそうです)

14: 灼熱スイッチ (→ショート版MVexit)

Iaug/VIIbサビをはじめるくらいの"殺気"、帯びていきたい」というツイートの約1年後に発表された曲は、サビIIIaug/VIIbから始まる殺気MAXな曲でした。(「上モノはIIIaugじゃなくてIaugじゃないの?」という意見がありそうですが、本人が「IIIaugのベースを裏にしたexit」と言っているのでIIIaug/VIIbとします)
しかしながら、こんな殺気ある和音バンドサウンドとは意外とマッチします。理由として考えられるのが、和音としての密度が低いことです。IIIaugは音同士のインターバルが長3度離れています。そのため、複雑なテンションコードのような濁りがあまりないためギターなどのサウンドにも合っています。そして、灼熱スイッチサビの最初のメロディは(移動ドで)「ミ」のロングトーン、ハモリはその長3度下の「シ/ド」となっていて(エンハーモニックを許容すれば)ダイアトニックケール上に乗っています。つまり、サビロングトーンによってさらなる安定感を生み出してことになります。
サウンド面に関しても、バック卓球の音が入っているなどかなり挑戦的な楽曲となっています。
このように終始技巧が散りばめられた楽曲であり、本人も気に入っているのか、YouTubeでの再生リストである『Hidekazu Tanaka's Works #01 "the best"exit』には堂々の1曲として入っています。

ちなみに灼熱スイッチサビの最初のコードIIIaug/VIIbに関してはthe band apart作曲Be mine!サビの最初にあるIVmM7/VIIbオマージュではないかと言われており、非公式であるもののそれを認めた発言もあるようです。

15: 恋?で愛?で暴君です! (→フル版MVexit)

とってもとってもった曲。しかし、『Hidekazu Tanaka's Works #01 "the best"exit』の3曲に入っている田中秀和さんお気に入りの楽曲。
まずにつくのがAメロBメロサビ構成の破壊。サビが「Why? 理由なんて知らない」から始まる部分なのは何となく分かるのですが、それ以外をAメロやBメロという既存の組みに充てるのが困難になっています。
コード進行もかなり特殊で、例えば最初の「こっち向いて 向いちゃって」では「II7V7I7IV7」というコード進行が用いられています。ドミナントセブンスまみれですね。このようなドミナントセブンスを多用するコード進行自体は田中秀和さんの得意技で、有名所のサビだと『恋は渾沌の隷也』に使われていますね。ドミナントセブンスを多用する楽曲は歴史的に見れば「ドミナントブルース」が含まれるブルースが恐らく発端であり、ファンクが(少々遠いですが)ブルースジャンルであることと、田中秀和さんがファンク調の楽曲を得意としていることから、この曲もファンクの影を受けていると考えられそうです。
また、上記のコードに乗っているメロディも面く、コードの変化に合わせて「ド→シ→シ♭→ラ」がコードトーンとして自然に乗っています。
ミクロに見てもマクロに見ても挑戦的なことをしているすごい楽曲ですね。

16: Let's アイカツ! (→ショート版MVexit)

転調が非常に特徴的な曲。この曲で使われているのは全て短3度転調であるのですが、それら全てが印に残るような使われ方をしています。短3度転調が「さりげない転調」として使われることがあることを考えるとある意味意外だと思います。
キーEでスタートするこの曲は、Aメロの途中でキーGに切り替わります。いくら短3度とはいえどもそんなタイミングで転調したらインパクトは強いです。キーGのままBメロに突入して、サビキーEに短3度転調。ここの開放感が最高ですね!
2番のサビが終わると間奏を挟んでキーC#に転調してDメロに入ります。(ここでキーDbとしないのは、調号が#っていて、#の数も1,4,7個で綺麗に3個ずつ動くからですね)
キーC#のまま落ちサビへ。短3度下のサビメロディはもの悲しくて良い雰囲気が出ていますね。そしてキーEに戻してラスサビへ。この「落として上げる」転調、とても破壊が高くて素敵です。

転調⑦: G→E (m3↓)

『Let's アイカツ!』のサビでの転調を意識した短3度転調ですね。

17: 桜の風 (→試聴動画exit)

終始ふんわりとした楽曲。しかし、そのふんわり度合もAメロサビでは全く異なるものとなっています。サウンドで明確に差をつけているのも事実ですが、ここではコードに着したいと思います。
Aメロコード進行は「I Iaug I6 Iaug」や「IV IVaug IV6 IVaug」を繰り返したり、「IIm7→IImM7」などを用いることで底した半音進行を作り上げています。その一方でサビaugやmM7などのコードを用い半音進行を入れつつも、強進行や「VIIb6VI7」「IIIm7IIIb6IIm7」などの裏コードの変形などを取り入れてグイグイ進んでいきます。
メロディも特徴的で、音をあまり取りません。例えばAメロの最初は(弱起を除くと移動ドで)「シラシ」ですね。最初のコードである「I→Iaug」のコードトーンにも乗っていません。サビの最初も、コードが「IM7→Iaug」なのにもかかわらず、「レドミ」となっています。2つのドの音が短いため、こちらも音は少なめです。逆に、サビの最後では堂々の音を取るので解決感は強めですね。

18: カレンダーガール (→ショート版MVexit)

'10年アニソンアンセム。『Hidekazu Tanaka's Works #01 "the best"exit』の9曲にも入っています。
サビコード進行はまごうことなきハレレ進行。2回I7ではIVM7に行かずIV#m7-5に行く田中秀和特有のお約束もしっかり備。あまりにもまっすぐすぎるサビコード進行にはもう何もいうことはありません。とっても美しい!あとメロディすき。
コードに関して特筆すべきなのはAメロコード進行ですね。最初の8小節が
II7 | V7 | II7 | VM7 | II7 | V7 | III7 | VI7
となっています。
4小節を除いて全てドミナントセブンスですね。先述したファンクの影を受けたコード進行だと推測できます。4小節は一時的な5度転調か、リディアンへのモーダルインターチェンジと考えるのが適当でしょうね。

16~18曲ピアノパートについてはKetokuさん(user/18771216exit_nicovideo)の打ち込みとなっています。作者ピアノ打ち込みで途方に暮れているところを助けてくれました。

19: Move on now! (→ショート版MVexit)

アニメアイカツ!』の第1話でいきなり登場する楽曲。作中のトップアイドル神崎美月」がこの曲を歌っていたのですが、ある意味トップアイドルが歌うのにふさわしいようなガッツリ攻めた楽曲になっています。
全体のコード進行を見てみるとっ先に立つのはIaug/IV#ですね。息を吸うように入ってきます。そして地味に面いのがIIIm9の多用。9thの音がファダイアトニックケールに乗っていません。この2つのコード進行の登場するパターンの1つに「IIIm9Iaug/IV#IVM9」という形がありますが、「ファ」の浮遊感を用いた面コード進行ですね。
この曲の最も攻めた部分はサビコード進行でしょう。キーEの曲に対してEm9というコードが出てきます。このコードが出てきたときの空気の変わり具合は身体で感じられるほどです。トップアイドルが醸し出すオーラを体現したかのようなIm9をぜひ感じてみてください。

転調⑧: E→B (P5↓)

Move on now!』が(移動ドでの)「ファ」を多用するため、キーBとの相性が良いことを利用した転調です。メドレーにおける『土曜日フライト』の最初のコードF#m7でキーEのダイアトニックコードであることも利用しています。

20: 土曜日のフライト (→試聴動画exit)

初出はライブでの初披露を経ての総集編アルバムの『Wake Up,Best! MEMORIAL』から。80年代シティポップ調のこの楽曲はライブなどで演奏された回数こそ少ないものの根強い人気を誇る楽曲で、この楽曲の解説などに関しては「曲名と同名の人物が書いた気合の入りまくったnoteexit」があるのでそれを読んだ方がはるかに有意義だと思います。

作者メドレーに落とし込む際に苦労していて、以下ブロマガの記事より引用します。

まず、曲調が他の楽曲と違いすぎました。この楽曲が根強い人気を誇ることは知っていましたし、原曲キーで繋ぐメドレーの都合上入れたいという気持ちもありました。とりあえず入れることは決定しピアノのみの仮打ち込みまで終わらせたのですが、全に何をすればいいのか分からなくなってしまいました。今まで自分が学んだ打ち込みはほとんど'00年'10年代のアニソンポップスです。あるいは原曲璧に耳コピしたとしてそれがメドレーとして映えるのかは未知数です。全に困り果ててしまいました。どうしようもなくなったので今回のメドレーメロディミックスアドバイスなどをしていただいたキットカットおいしいさん(user/25346888exit_nicovideo)に打ち込みを手伝ってもらいました。というよりほぼやってもらいました。この『土曜日フライト』に関しては40曲のうち最も苦労した曲かもしれません。本当にありがとうございました。

転調⑨: B→Ab (m3↓)

ただの短3度転調なのですが、『土曜日フライト』の最後のコードG#7と『リトル・チャレンジャー』の最初のコードDbM7が偶然上手いこと強進行で解決できています。偶然です。

21: リトル・チャレンジャー (→試聴動画exit)

熱さと爽やかさを兼ね備えた楽曲。1番サビが終わったあとの間奏が特に素敵ですね。この曲はサビは非常に熱い楽曲なのですが、作者はここでも苦労していて、以下引用

理由としては、「メドレーテンポ原曲より著しく遅いから」ですね。原曲145bpmで、メドレーだと128bpmとなっています。バラードゾーンのように明確にアレンジが定まっているのならどうにかなったのですが、1曲前の『土曜日フライト』のアレンジがあやふやであることに連鎖してここも困ったことになってしまいました。……ここもキットカットおいしいさんに手伝ってもらいました。本当にありがとうございました。はっきり言ってこのメドレーは個人作ではないです。

転調⑩: Ab→Fm (Rel.)

行調への転調です。特に言うことはありません。

22: ヒミツキチューバー (→フル版MVexit)

田中秀和さんの隠れた技巧が見え隠れする楽曲。
一般に田中秀和さんの書くメロディは歌うのが非常に難しいことが多いです。実際、田中秀和さんの魅を一言で表すなら「難解なコードの上でも説得をもつような気持ちのよいメロディ」なのですが、歌うぶんには本当に難しいです。例えば『PUNCH☆MIND☆HAPPINESS』のサビを例に取ると、高音の連打からはじまり、減5度の難しい跳躍をして、半音進行に合わせた臨時記号を歌いこなして、最後の方にはクロマティックな動きも混ざってきます。
しかし、『ヒミツキチューバー』に関していえば、普段より対年齢が低めなことを考慮してかメロディは非常に分かりやすく口ずさみやすいものとなっています。
しかし、後ろのトラックに関しては全に秀和。ディスコファンクノリを歌モノに凝縮した素敵な曲になっています。当然のようにblackadder chord備。

23: 這いよれOnce Nyagain

曲の知名度では圧倒的に『太陽曰く燃えよカオス』や『恋は渾沌の隷也』の方が有名なのでそっちの方を入れようかと思っていたのですが、構成の都合上OVAの方の少しマイナーな曲を入れることになりました。
しかし、曲の傾向に関しては似ているところも多く、例えば上記2曲とこの曲の3曲でサビコード進行較してみると、
太陽曰く燃えよカオス
  VI7(#9) | II7 | VII7 | III
恋は渾沌の隷也
  VIm7 | II7 | VII7 | III7
・這いよれOnce Nyagain
  VI7 | II7 | V7 | I7
……と、このようにかなり似せて作られていることが分かります。逆に、田中秀和さんが手掛けた曲でサビがこのようなコード進行をした曲は「這いよれ!ニャル子さんシリーズ以外の曲では見つかりませんでした。

転調⑪: Fm→Eb (Rel.&P5↑)

Fm行調のAbにしたあと、『花ハ踊レヤいろはにほ』の「Ab→Eb」の転調をそのまま利用した形になります。

24: 花ハ踊レヤいろはにほ (→ショート版MVexit)

田中秀和さんのコードワークがぎっしりと詰まった楽曲。『Hidekazu Tanaka's Works #01 "the best"exit』の2曲にも入っています。
最初から最後まで難解なコード進行が現れるため、この曲のコード一通り解析するだけでかなりの勉強になります。また、この曲のコード進行解説は多くの人が行っているので、それらの解説は他のサイトに譲ります。
今回は、メドレーで用いられたサビの前半8小節をサウンドと絡めて解説します。
コード進行は次のようになります。
IVM7 | IVmM7 | IIIm7 | IIIbdim7 | IIm7 | V#aug | VIm7 | Vm7 Iaug
まず注するのは1~5小節ハモンドオルガンの下降が美しい所です。最初はIVM7の長3度がトップノートで、そこから半音ずつ下降していますね。この曲のコード進行るならハモンドオルガンの下降は絶対に外せないです。
続いて5~8小節。ここではピアノのバッキングが面いです。伸びやかなメロディリズムと対するかのように、ピアノリズムは16分音符を交えたメリハリのあるリズムになっていますね。

25: PEACE☆マジカルフラワーズ

少々マニアックな曲なので出典から。アニメサーバント×サービス』のエイプリルフール企画のために用意された曲であり、特設ページではムービーを今でも閲覧することができますexit
曲調については、いつものポップ田中秀和さんといったところなのですが、サビ12小節ではVI7(b9)の短9度の部分をメロディとして取っています。この音はサビの最高音になっているのですが、サビの最高音がノンダイアトニックな音なのは非常に面いですね。

26: GOOD DAY!

ひたすらにループしやすい曲。田中秀和さんの曲にしては難しいコードもほぼ入っていません。しかし、サビコード進行が「IV V/IV IIIm VIm」だったり、BメロPPPHを意識していたりと、王道な要素を多数詰め込んでいるので非常に聴きやすいものとなっています。
それでも、Bメロからサビへのコード進行が「IIm7IIIm7IVM7IV#m7-5」だったりと田中秀和さんの癖や傾向はそのまま残っています。

27: LUCKY DUCKY!! (→ショート版MVexit)

なんといってもサビへの入り方が印的な曲。サビコード進行IVM7から始まり、そこに対する入りのコードIaug/IV#なのですが、弱起のメロディIaugの増5度に堂々と乗せてしまっています。ここのインパクトは強で、絶対に忘れられないメロディとなっていますね。
それ以外でも、イントロ5,6小節の「IVM7 V7 | IIIm7-5 VI7」に対しての(移動ドで)
ラーシード レーミーファ | ソーラーシ♭ ラー
というハモンドオルガンの音がに残ったり、2番Aメロの構成がかなり特殊だったりと面い要素が多数詰まっています。

28: 神SUMMER!!

サビコード進行がよく見ると面い曲です。最初の4小節に着すると
I | IIIaug | VIm7 | Vm7 I
となっています。2,3小節コードを転回させて4小節をひとまとめのI7とみなすと「IIaugI6I7」となり、サビコードはこれが原になっているだろうと推測できます。
IIaugI6I7」はにAメロで使われること多いですね。理由としてはベースが移動しなかったり、2小節augのせいでメロディに大きく動きがつけづらかったりすることが原因でしょう。しかし、『神SUMMER!!』では転回することによってベースに動きを付け、2小節IIIaugではメロディに堂々と臨時記号を付けることによってメロディも大きく動かしたためにサビらしいものに仕上がっています。

29: Dance in the rain

サウンドの雰囲気がとっても素敵な楽曲。最初のの音とともに入るコーラスが非常に味わい深いです。Aメロの後半の「粒+グロッケン」も素晴らしいですね。
そして外せないのがサビ4小節VI7上での短9度のメロディが入ってきます。『PEACEマジカルフラワーズ』と同様に、この音はサビの最高音になっています。この曲を印づけるとても大切な1音ですね。さらに、サビ8小節VIIb7sus4では「ラ♭」がキメの音として使われています。

転調⑫: Eb→Gb (m3↑)

Dance in the rain』の該当部分が同短調からの借用が多いことを利用した転調です。Ebの同短調Ebmからの借用はGbからの借用とみることもできるので、そのままGbへと転調しました。

30: ススメ☆オトメ ~jewel parade~

多数のバージョンがある楽曲。メドレー動画では全てのバージョンの出典を表記しています。
AメロBメロエレピギターのシックな雰囲気から、サビでは一気にストリングスなどが入ったきらびやかな雰囲気になります。
サビの最初のコード進行
IVM7 VIIbM7 | IIIm7 VIm7 | VIIm7-5 III7 | VIm VIbaug Vm I7(11)
なのですが、1小節後半のコードVIIbM7とそこに乗っているメロディが非常に特徴的ですね。このコードについてはTAKU INOUE氏も絶賛しており、泥酔しながら一晩中絶賛し続けたという話もあります。

IVM7VIIbM7というメジャーセブンス同士の強進行は、ダイアトニックコード世界だとIM7IVM7しか存在しないためメジャーセブンス同士の強進行では後半のコードサブドミナントのように感じられるかもしれません(参考:「接続系理論 ⓬ 不定調性と調性スキーマ - SoundQuestexit」)。すなわち、今回の場合だとサブドミナントの2連続であるかのように知覚できるかもしれないということですね。
また、ジャズ系の理論においてVIIb7IVmSub Chordとして扱われています。今回は少しコードが違うのですがIVM7VIIbM7IVM7IVmM7などの亜種としても認識できそうです。
メロディは「レミ」となっています。メロディの「ミ」とルートインターバルが増4度になっていて少々癖がありますね。ただ、ルートが薄くなるように編曲しているおかげか違和感は強くないです。

31: Polaris (→試聴動画exit)

『ススメオトメ』と同系統のサビがきらびやかな曲。この曲はサビの最初のコードが面いです。サビ1~5小節コード
I | VIIm7-5 III7 | IVM7 | IIIaug/VIIb | IIIm7
なのですが、4小節blackadder chordがちょっと難しいです。これはIVmM7/VIIbの上モノのルートを抜いたものと考えるとうまくいきそうです。
サビでは他にも「IIIm7IIIm7/VIVIm7IIm7」などの音響依存しそうな難しいコード進行も取り入れていたりと、他の田中秀和さんの曲でもあまり見かけないようなことをやっています。

32: 女の子になりたい (→フル版MVexit)

まふまふさんが作詞作曲ボーカルで参加しています。メドレーにはサビを入れたかったのですが、構成の都合上入れられなかったのでこっちで解説します。サビの最初のコード進行
I | VIIm7-5 III7 | VIm7 | IIm7/V Iaug/IV# | IVM7
と、田中秀和さんが得意とするコード進行になっています。バックの流れるようなピアノも聴いていて非常に面いので、余裕がある人はスケールまで追ってみるといいと思います。
個人的に大好きなのは落ちサビの2小節の「可くなりたいな」の部分。ここでは裏でウィスパーボイスが重なっています。WaveToneなどの耳コピソフトではLチャンネルにRチャンネルの逆位相をぶつけるオプションなどではっきりと聴くことができます。はじめてその部分を聴いたときは思わず「かわいい」と言ってしまうほどです。また、落ちサビすぎるコード進行も魅的なのですが、作者が別のメドレー作品で軽く解説したexitのでそちらに譲ります。

転調⑬: Gb→Gb[-25cents] (-0.25)

『ワタシ*ドリ』に合わせて25セント落としました。

33: ワタシ*ドリ (→試聴動画exit)

ある意味一番ヤバい曲。常時ピッチがずれています。そしてピッチがずれたまま転調を17回もやってのけます。とてもヤバいです。
しかし本当にヤバいのは、ここまでおかしなことをしていても5分あるこの曲のなかで世界観を一定に保ちつづけたことだと思っています。
それができたのにも立な理由があって、一番の理由が底したリフですね。この曲では終始「だいたい同じ」リフを弾いています。キーコードによって変化はさせていますが、実音にしてだいたい同じリフです。また、多数の転調に耐えられるような分数コードの多用や、調性を曖昧にするようなaugの多用など、最初から最後まで丁寧に作られているのは職人技と言っていいでしょう!そしてこんな難解な曲を綺麗に歌いきった上田麗奈さんもすごいです。

転調⑭: Gb[-25cents]→Ab[-25cents] (M2↑)

転調⑮: Ab[-25cents]→Bb[-25cents] (M2↑)

『ワタシ*ドリ』の曲中で行われる転調ですね

転調⑯: Bb[-25cents]→Gm (+0.25&Rel.)

落とした25セントを戻したうえで行調へと転調しました。

34: Share the light (→フル版MVexit)

非常に挑戦的な楽曲。今までの田中秀和さんの楽曲にはなかった攻撃的なトラックに圧倒されます。メドレーでの再現が非常に困難でとても苦労しました。
コードについても少々しいものが使われています。具体的には「Ab7-5」ですね。この和音キーGでもキーGmでも使われている和音です。この和音ジャズ理論でいうD7の裏コード(トライトーン代理)の変化と捉えることもできますが、クラシック理論でいうところの「属七の和音の五度の下方変位の第二転回形」と捉えることもできます。すなわちD7-5/Abですね。「7-5」の和音が(エンハーモニックを許容すると)構成音を全く変えずにひっくり返せるのも大きいですね。
一般的なポピュラーミュージック音楽理論ジャズ系に影されたところが大きいと思うのですが、この曲では曲調がシンフォニックなのも相まってクラシック方面からもアプローチできる特異な曲となっています。

転調⑰: Gm→G (Par.)

曲中にある同調転調です。

転調⑱: G→C (P5↓)

5度転調です。特にいうことはないです。

35: Memories of days gone by

田中秀和さんのデビュー曲です。編曲岡部啓一さんと共同で行なったようです。最初期の頃の曲だけあって癖の強い曲ではないものの、メロディラインにはすでにコードを意識したような跡が残っています。(例:サビ3小節III7)
このメドレーは構成の都合上バラードは多く入れられませんでしたが、田中秀和さんはこの曲を出した後何曲もバラードを書いています。バラード編曲にも自身の色が現れていて、例えば『ありふれたしあわせ』だとサビへの入りが分かりやすいくらいにIaug/IV#となっています。

転調⑲: C→F (P5↓)

5度転調です。これも特にいうことはないです。

36: CAFUNÉ (→試聴動画exit)

編曲Aireさんによるものです。カッティングギターがすばらしい曲で、グルーヴを最後まで支えてくれます。
ガチガチダンスミュージックとして仕上がっているので、コード進行も今までとは少し異なっているものとなっています。例えば「III7(#9)IIIm7/VIVm7」といったコード進行。かなりふわふわしているのですが、これがむしろサウンドマッチしています。ジャンルによって合うコードが異なってくる好例ですね。
2番Bメロも魅的で、このまま間奏に入るのが素晴らしいです。
今回のメドレーにおいては「逃げちゃうsunrise にふ"ら"ふら」もしくは「さよならなんて言わないで"ba"by」の音が曲者でした。コードはどちらもIaugで、作者がはじめにメロディを打ち込んだときは(移動ドで)「ミ」で打ち込んでいたのですが、全曲耳コピチェックをしてくださったFullKenさん(user/21014875exit_nicovideo)に「ここはミ♭ではないか?」と摘を受けました。該当箇所を確認してみると、はじめの自分の打ち込みが合っているような気がするし、摘された通りな気もする。何度も聴いているとどちらでもない中間的な音のような気がしたので、伝統的な方のブルーノートを参考にして「ミ♭より約40セント高い音」としました。
田中秀和さんの曲のコード進行をスケールまで解釈しようとするとき、augのほとんどはホールトーンスケールとなりますが、もしも今回の件の音が全な「ミ♭」で取れた場合、オルタドドナントケールシンメトリックオーギュメントスケールあたりが妥当だと思います。今回のブルーノートにまでコードケール理論を持ち込むのは少々危ない気がしますね。

37: prism spiral (→ショート版MVexit)

アイカツ!」初期のダンスミュージックですね。田中秀和さんはダンスミュージックを書く際は(普段よりは)大人しいコード進行を使うため、例えばサビの最初のコード進行
IVM7 | IIIm7 VIm7 | IVM7 | IIIm7 VIm7
と繰り返し体ですね。
他には2番の後の間奏のボーカルチョップの多用ですね。これは他の曲でも使われている表現です。
この曲のBメロ2小節後半のコードについてですが、「V(b13 omit5)」という冗長な表記を採用しました。普通Vaugと書かれる場面です。前半のV6の長6度からメロディが露に下降しているので、その下降した音は増5度ではなく短6度が適切であると判断しました。augにはこのように厳密に書くと(b13 omit5)のような表記になる場面は少なくないのですが、判断に迷う場面が多いことと表記が長すぎることから、明らかに適しているこの部分だけはそのように表記しました。
ちなみにこの手の問題はdim7でも同様に発生しており、SoundQuestさんが動画で解説していますexit

38: M@GIC☆ (→試聴動画exit)

集大成のような曲。メドレーでは少し変則的な繋ぎ方をしています。
ブラスストリングスピアノなどを手に使った曲で、個人的にはサビ9小節からのストリングスが大好きです。
サビコード進行
I | VIIm7 III7 | VIm7 | I7/V Iaug/IV#
というハレレ進行の変形。ただし、2小節の前半がVIIm7という難しいコードになっています。サビ以外でもAメロ後半からBメロ前半のコードは非常に難解で、解釈もその活用も困難かと思われます。

39: Beyond the Bottom (→ショート版MVexit)

この曲も集大成のような曲。ただし、コード使いに関しては『M@GIC☆』とは大きく異なります。コードのメリハリがはっきりしているのが最大の特徴で、前半はIVM7VIm7の繰り返しから始まり、調を揺らしたBメロを経てサビへと入っていくのですが、サビの最初はIIVm6を交互に繰り返すだけの大人しいものです。しかし、サビの後半に入るとIII7VIIbなどを用いた強い進行へと変わっていきます。ここのギャップにはきっと心を揺さぶられるのではないかと思います。また、複雑なコード進行を多用する田中秀和さんの曲を多数聴いているとうっかり勘違いしそうになりますが、「ノンダイアトニックコードにもちゃんと使い所がある」とどこか教えてくれるような楽曲でもあります。
なお、『Hidekazu Tanaka's Works #01 "the best"exit』には最後の曲として入っています。

転調⑳: F→Dm (Rel.)

少女交響曲』と同様にアウトロで行調へ転調します。

40: 少女交響曲 (→ショート版MVexit)

場面の切り替わりがはっきりとしている曲。現代の曲の解析においては行調を同一視した方がいい場面がしばしばあるのですが、この曲のサビと間奏は別のキーとして解釈したくなります。サビはハレレ進行(いつものようにblk込み)で、間奏は田中秀和さんの曲にしてはしい小室進行。どちらもにすっと入ってくるような分かりやすい進行ですね。今回は間奏・アウトロ部分のストリングスが好きだったのでそこを入れました。

関連リンク

関連項目

脚注

  1. *IIm7キー(もとのキーがCならDm/F)のダイアトニックケールに乗っている音という解釈もできる。
  2. *ちなみに田中秀和制作した『アイカツ!』の劇伴に『らぶゆ~♪なのです~exit』という楽曲が存在する。

【スポンサーリンク】

  • 1
  • 0pt
スマホ版URL:
https://dic.nicovideo.jp/t/v/sm37305311

この記事の掲示板に最近描かれたお絵カキコ

お絵カキコがありません

この記事の掲示板に最近投稿されたピコカキコ

ピコカキコがありません

~田中秀和組曲~

まだ掲示板に書き込みがありません…以下のようなことを書き込んでもらえると嬉しいでーす!

  • 記事を編集した人の応援(応援されると喜びます)
  • 記事に追加して欲しい動画・商品・記述についての情報提供(具体的だと嬉しいです)
  • ~田中秀和組曲~についての雑談(ダラダラとゆるい感じで)

書き込みを行うには、ニコニコのアカウントが必要です!


おすすめトレンド