ジト目とは、「じと~っ」と見つめる目やその表情のことである。半目と同様に用いられることもある。
概要
主に軽蔑・不審・不快・反抗・呆れ・企みなどの負の感情を込めて見るときの、目を細めたような表情を指す。ジト目という名称の由来は、この負の感情を表す「じと~っ」というオノマトペにあると考えられる。こういった感情が必要かどうかについては後述。
外見上は半目や細目とほぼ同じである。また、二次元に独特の描き方として、目を下半分のみ残して上側に水平に近い直線を足すという方法があり、デフォルメなどでは目は半分の円や楕円に簡略化されることもある。見下されている感じがするため、Mっ気のある人にはたまらない萌え属性の一つ。
「古くからある正式な日本語表現」とは言いがたい、いわゆる俗語であるようで、純文学作品などで使用されることはほとんどない(ただし、ライトノベル作品などでは数多く使用されている)。
「かしこまった」文章作品においてこのような表情を表現したいときには、「半眼(はんがん)」が用いられることが多い。ただし「半眼」と言う言葉は特に負の感情の場合のみに使われる言葉ではない。これは以下で論じられる「半目(はんめ)」と同様である。
ちなみに、よく誤用される「目を細める」とは、可愛いものを愛でると言った、笑った際に目が細くなることを指す言葉である。
ジト目と半目の関係
上記のような負の感情が無い場合でもジト目と呼べるかに関しては、俗語ということもあって、どちらとも言い切れないところである。
現在も人によって必要・不要の二つの考え方があり、それはそのままジト目と半目はイコールと言えるかということに直結してくる。これを理解していないと、寝起きや陶酔で半目になっている画像をジト目とコメントしたような場合に、両者が対立して殺伐とした雰囲気になりかねないので注意が必要である。
ジト目≠半目(負の感情が必要)
負の感情が込められていなければ、ジト目とは呼べないという考え方。ジト目の由来の「じと~っ」を重視するとこちらになりやすい。
また、Mな人からすれば、そういった感情もなしに半目なだけではゾクゾクしないといったところだろうか。
ジト目=半目(負の感情は不要)
負の感情が込められていなくても、ジト目と呼べるという考え方。見た目自体が好きで、外見がほとんど同じという点を重視するとこちらになりやすい。実際、ストーリーの分からない画像などでは感情を汲み取るのは困難である。
この考え方によると、『ぱにぽに』の一条さんや『涼宮ハルヒちゃんの憂鬱』の長門有希、『はなまる幼稚園』の柊のように、常時半目のようなキャラでもジト目と呼ぶことがある。感情の起伏や口数が少ない不思議キャラが多いようである。
ジト目と三白眼の関係
目の形のうち、『瞳の外の白目部分が瞳の左、右、だけでなく、下方(合計三方向)にも見えている眼』のことを三白眼と呼ぶ。一般的には凶相であるとされ、目付きの悪い例としてイメージされることが多い。
この三白眼とジト目の関係についてだが、【上まぶたが瞳の一部~半分ほどにかぶさる】ことが多いジト目要素の特性は、往々にして「三白眼」の要素とも同時成立することが多い。但し、必ずしも二者が完全同一であったり、一方の要素が他方に包括されるとは限らず、あくまでも『相性が良く両立しやすいが、別々の属性』である。
例えば、ジト眼は上まぶたのラインが必ず水平か直線に近い形をとるが、三白眼は必ずしも上まぶたが直線である必要は無く、瞳上方に被ってさえいればラインが曲線でも成立してしまう。(例;L(DEATH NOTE)、ミミック(DQ))
また、上の項にあった通り、ジト目には「=半目(元から)」と「≠半目(負の感情で一時的に)」の2通りが考えられたが、三白眼に関しては「ジト目=半目」の例に同じく、別に負の感情がなくても普段から三白眼のままという事が殆どである。
ジト目の歴史
概要でも触れたとおり俗語であり、辞書などに掲載されたり、誰かが使用例を調べてまとめたりする性質の言葉ではなかった。そのため、いつごろから使用されるようになった言葉なのか、そしてどのように広まっていったのか、突き止めるのはやや難しい。
だが、古めの使用例を地道に探して行くことで「この頃には既に使われていた」という情報は最低限得られる。
例えば「国立国会図書館デジタルコレクション」で「ジト目」や「じと目」を検索してみよう(後者は「見逃さじと目をこらした」「負けじと目下猛練習中である」といった関係ない情報が多数混じるが)。すると、1970年代の少年少女向けの雑誌(『週刊少女フレンド』『別冊少女フレンド』『小学六年生』『ひとみ』『セブンティーン』)などで使用され始めていることが確認できる。ということは、少女の間で使用され始めた言葉だったのかもしれない。
小説における早めの使用例としては、久美沙織による小説「丘の上のミッキー」内で使用されているのが確認できる。この作品は、1980年代に集英社文庫コバルトシリーズから発行されており、やはり少女向けの作品である。
また、1970年代後半には実写作品の脚本でも使用され始めたようだ。以下は、「シナリオ作家協会」が出版している月刊誌『シナリオ』に1979年に掲載された、映画『九月の空』の脚本からの引用である。この映画自体は1978年公開の作品。
世津子「(ジト目で見て)何すんのよ、陰険な子ねえ」
勇「見せたきゃ、彼氏の前でやればいいだろ」
世津子「(からかうように)いやーね。自分がもてないからって姉上様にあたることないでしょう」
勇「そんなんじゃないよ」※Google books内のデジタル化データより。
この部分の他にも、同じ脚本内で複数回「ジト目」が使用されている。
演じた役者がこの脚本を元にどのように「ジト眼」を演じたのか気になるところである。
上記の初期の用例群では、その記述に際して「ジト目とは……」といったような説明は行われていないようである。つまりこれらを記した筆者らは、読者が「ジト目」という言葉を当然に理解することを期待していたと思われる。よって、さらに以前から使用されていた可能性もある。
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関連項目
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