DTPとは、パソコンなどを利用して印刷物データをこしらえることの総称である。
この項目は印刷関係の記事です。 記事をカッチョ良くしてくれるデザイナーやコピーライターを募集しています。 編集・情報提供にご協力ください。(掲載理由:[筆者がプリプレス担当であるため]) |
概要
DTPとは、Desk Top Publishing の略で、日本語では卓上出版と呼ばれている。ワープロとは別物。
薬品や多くの職人と時間を必要とした印刷工程(デザイン、版下、製版、印刷、製本)のうち、デザインと版下、製版部分が高性能なパソコンとソフトのお陰で、一人でもこなせるようになった。
DTP以前
→ 作業の流れ → | |||||||||
コピーライター・記者 手描き原稿、ワープロで打ち出した原稿入稿 |
デザイナー デザインする 最終イメージ作成 |
電算写植オペレータ 文字組み 印画紙出力 |
レイアウター アタリで版下のレイアウト 写植張り付け ヌキノセ網フセ指示など |
製版カメラオペレータ 製版カメラで版下の線画をスキャン フィルム出力 |
レタッチマン ルーペとカッターナイフだけで フィルムを切り張り合成 カラーの場合は4倍、ページ物ならページ数だけ労力がかかる フィルムや紙焼きを焼く 検版 |
校正 紙焼きやコンセンサスで原稿通りに仕上がっているか確認 文字校正、色校正 |
刷版 フィルムをプレートに焼き付ける 検版 |
校正刷り 校正機で校正刷り 色味やトビ、ツブレなどの確認 |
印刷へ |
カメラマン 撮影 写真、ポジフィルム入稿 |
修正 写真の上からピースを吹いて修正 |
製版カメラオペレータ ダイレクトスキャナで写真分解 フィルム出力 |
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デザイナー・企画担当者・営業 内容を確認 デザイナーのこだわり炸裂 |
営業・工場長 確認 |
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← おkが出るまで無限ループ ← |
1996年頃、デザイン事務所や製版会社にMacintoshが導入され、低コスト・高品質・短時間の“デジタル化”の波が押し寄せたが、平成不況とその後のインターネットの普及により、情報を得るための紙媒体需要が激減し、DTPの黄金期は5年ほどで終息を迎える。
DTP黎明期
→ 作業の流れ → | ||||||||
コピーライター・記者 テキストデータ原稿入稿 |
デザイナー Illustratorでレイアウトデザイン 画像はアタリの粗画像 この版下データにカンプを付けて入稿 |
スキャナオペレータ・画像 シリンダスキャナで写真分解 Photoshopで 画像修正、合成、切り抜き、色補整 |
組版 IllustratorやQuarkXPressでレイアウト ロゴのトレース 実画像データの貼り替え 文字訂正 プリントアウトで校正 |
出力 フィルム出力 検版、校正 |
校正 紙焼きやコンセンサスでカンプ通りに仕上がっているか確認 文字校正、色校正 |
刷版 フィルムをプレートに焼き付ける 検版 |
校正刷り 校正機で校正刷り 色味やトビ、ツブレなどの確認 |
印刷へ |
カメラマン 撮影 写真、ポジフィルム入稿 |
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デザイナー・企画担当者・営業 内容を確認 デザイナーのこだわり炸裂 |
営業・工場長 確認 |
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← おkが出るまで無限ループ ← |
「Macintoshがなくなると日本の9割の印刷物が姿を消す」と言われていたほどその環境に依存していたが、DTPソフトのWindows版が登場すると、デザイナーが徐々にWindows環境に手を出し始める。
IllustratorやPhotoshopのデータ形式は相互互換があっても、フォントの互換性はなく、現場の人間を悩ませていた。
当時の主流であったモリサワフォントのアウトライン化ができなかった状態で、Illustratorのバージョンが違っていると字詰めが狂う仕様だったので、レイアウトデータを開く度に字詰めや字送りを確認しなければならず、“互換性”の面ではデジタル化の恩恵を完全に引き出せていなかった。
また、マシンやLANの性能の向上により、出力機側にPSフォントを搭載していなくてもストレスなく出力できるようになったこともあって、PC本体の安いWindows環境で制作するデザイン会社も増えたが、MacintoshのOCFやCIDフォントとWindowsのTrueTypeフォントとは、まだまだ相容れない壁があった。
それを受ける製版会社では、Windows環境の導入は遅れた。セッターや出力機がMacintosh向けに作られていたからである。
DTP黄金期
→ 作業の流れ → | ||||
コピーライター・記者 テキストデータ原稿入稿 |
デザイナー IllustratorやInDesign、CorelDRAWでレイアウトデザイン そこそこの字詰めで文字組み そこそこの画質でスキャン 実画像で切り抜きや合成までする 素材となるデータは全て作成 この完全データにカンプを付けて入稿 文字や画像の再修正がある場合はデザイナーが修正して再入稿 |
出力 基本的に“出すだけ” 検版 デジコン出力確認後おkならCTPやオンデマンド出力 |
校正刷り 校正機で校正刷り 色味やトビ、ツブレなどの確認 |
印刷へ |
カメラマン 撮影 デジカメデータで入稿 |
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デザイナー・企画担当者・営業 内容を確認 ほぼカンプ通りならおk 少々色が転んでもGO! |
営業・工場長 確認 |
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← おkが出るまで無限ループ ← |
プラットフォームに依存しないOpenTypeフォントが導入され、OSに関わらずレイアウトデータのやり取りができるようになると、 Windows環境はさらに広まった。
製版会社は消えて無くなり、 残った総合印刷会社や出力センターでは、Windowsデータの入稿を受け付けるようになった。
Acrobatの機能向上とPDFデータの仕様改良により、 プリントアウトせずとも画面で校正確認ができるようになったり、 画像やフォントが埋め込まれたPDFデータのまま最終出力ができるようになるなど、 デジタルデータとしての効率が向上した。
DTP終焉期
→ 作業の流れ → | |||
新卒独立デザイナー 最新バージョンのIllustratorで新機能使いまくりで作成 よく見ると罫が切れていたり 仕上がり領域の外側にデータの残骸が残っている 画像は埋め込みで再修正不可能 ノセヌキ設定があったりなかったり フォントをアウトライン化せずにRGBデータで入稿 |
出力 基本的に“出すだけ” 最新機能で作られた部分が正しく出るかどうか 検版 プルーフやゲラで確認しておkならCTPやオンデマンド出力 |
印刷へ | |
営業 内容を確認 ほぼカンプ通りならおk 少々色が転んでもGO! |
相変わらずの低賃金、長時間労働、衰退産業だが、完全になくなる仕事ではない。
また、電子書籍化やweb、XML等との融合で、わずかに生き残るのは、印刷知識とコーディング知識を持ち合わせた“デザイナー”だけである。
DTP末期
→ 作業の流れ → | ||
クライアントの一担当者 ExcelやWord、PowerPointで作成 禁則処理もされていない文字組み 解像度不足でRGBの画像 素材となるデータは全て作成 欠陥だらけの完全データにカンプ無しで入稿 「うちのプリンタからはちゃんと出たので、印刷もちゃんと出るはずです!」 |
出力 強引にPDF変換したものをカラープリンタから出力 おkなら、CTPやオンデマンド出力 |
印刷へ |
営業 先方がおk言うとんねんからもう行こうや わしゃしらんけどw 官公庁は予算も決まってとおるし三校目はあれへんねん 文字の内容さえおかしなかったら行け行け 今日こそは定時で帰るでぇw←これいつも言うとんなw |
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関連項目
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