「SAW」とは、
- 鋸(のこぎり)、糸のこぎり。[1]
- 「see(見る)の過去形=見た」。
- 2004年に公開されたソリッド・シチュエーション・スリラー映画
- 分隊支援火器。(Squad Automatic Weapon)
機関銃の分類で特に軽量・機動性のあるもの。 …詳しくは 機関銃 の項目を参照。
足首には鎖
対角線上にもう一人の男
Hello, Adam, Dr. Gordon.
I want to play a GAME.
概要
※※注意※※ これ以降の記事には、本作のネタバレが含まれています。 |
most people are so ungrateful to be alive those who don't appreciate life do not deserve life |
謎の男「ジグソウ」が、心に傷や隠部を持つ者を「被験者」として監禁、「生きる意味を見出させる」というテーマに沿った「ルール」と「ゲーム」を仕掛けるスリラー映画。
「ルール」に従えば「後の世に加われること」すなわち生還という報酬を受け取れる。しかし被験者は大抵疑心暗鬼に陥ったり、「ゲーム」において要求されるもの(多くの場合は肉体的な苦痛、恒久的な障害を伴う)に躊躇したり、生死の瀬戸際で勇気を振り絞れずに中途半端に脱出しようとしてしまい、「ルール」違反を犯して自滅してしまうことが多い。
1作目の監督はジェームズ・ワン、脚本はリー・ワネル。
総制作費120万ドルという、非常に低予算で製作され、しかも総撮影日数は18日ときわめて短いものだった。参考までに、同年制作の『LotR』第一部の総製作費はは9400万ドルである。
しかし視聴者の意表をつく巧みな撮影手法や、ジグソウの哲学的思想に基づく「殺人ゲーム」の描写などが人気を呼び、全世界で約1億ドルの興行収入を計上した。
二度に渡りゲーム化されており、ニコニコ動画では実況動画も投稿されている。
続編
続編としてSAW2、3、4、5、6、そして7作目に当たる「SAW 3D(邦題:SAW ザ・ファイナル 3D)」が制作された。
2の途中から監督が変わったために少しずつ映画の雰囲気が変化したとされ、特に3以降は過激なゴア描写を増やしたため、単なるスプラッター映画に堕し、SAW全体の持ち味が失われてしまったと批判されることも多い。
しかしストーリーの構成上仕方ないと意を汲むこともでき、公開される度にきちんと設定と伏線を張るため、公開ごとに怖いもの見たさと好奇心旺盛なファンを呼び込んでいる。
7作目に当たるSAW ザ・ファイナルをもってSAWサーガは完全に終了。「本作が完結編となり、続編・外伝さらにビギニングも製作はしない」とプロデューサーのマーク・バーグは宣言した。
……はずだったんだけど。
2017年、完全リニューアルの最新作「JIGSAW(邦題:ジグソウ:ソウ・レガシー)」が発表。
ジグソウが死亡して十年後の世界が舞台。しかし不可解な殺され方をした死体が相次いで発見され、捜査線上に再びジグソウの名が上がってくる。しかし犠牲者の傷口に埋め込まれていたUSBの音声ファイルは、紛れもなく死んだはずのジグソウの声。
「ゲームは始まった。4人の罪人が犯した罪が償われるまで終わらない」
ジグソウは生きていたのか。それともジグソウを崇拝する何者かの仕業なのか……?
2020年2月、『SAW』シリーズをリブートする映画『Spiral』の予告編が公開。
タイトルには「『SAW』の物語に基づく(FROM THE BOOK OF SAW)」とあり、シリーズに忠実である一方で新たな物語が描かれる。主演はクリス・ロック、ほかサミュエル・L・ジャクソンが出演。
当初2020年5月15日の米国公開を予定していたが、新型コロナウィルスの影響により延期。公開は2021年5月14日となった。日本では『スパイラル:ソウ オールリセット』と題し、同年9月10日に公開。
2021年4月に10作目が製作中と報じられ、その後2023年9月に『Saw X』が全米公開。時系列は1と2の間に当たる。
日本では劇場公開されなかったものの全世界で1億1,100万ドルの収益を上げ、高い評価を得た。これを受けて続編の製作が決定、『Saw XI』は2024年9月に公開予定。
登場人物
- ジグソウ
- 連続殺人鬼。拉致した犠牲者を「被験者」として「ゲーム」と称した儀式を行い、計算され尽くした複雑なトラップを幾つも周到に準備している。犠牲者は数十人とも言われ、巷を騒がしている。
「ジグソウ」とは、死体がジグソーパズルの形に皮膚を切り取られている事からメディアに命名された名前。ジグソーパズルは「人間として必要な要素(ピース)」を意味し、それが欠けているという象徴になっている。ただし本人は一度も自分から名乗ったことはない。また、被験者の前に姿を現す時は、ビリー人形という不気味な腹話術人形を代理に立てている。
連続殺人鬼とは言うが、ジグソウの目的は自分の生命や生活を大事にしない者の「更生」であり、死を望んでいる訳ではない。またシリーズを通じて彼自身が「直接」被験者を殺害した事は一度もない。その為「ルール」に従い「ゲーム」をクリアした者は、たとえどのような犠牲を払ったにせよ生還できるようになっている。生還者の中には彼を恨む者、トラウマによって自暴自棄になる者もいれば、一周して彼に感謝する者さえいる。
また彼の教えに感化されて「弟子」または「協力者」となる者も存在する。
本名、ジョン・クレイマー。
実業家で、機械工学や建築学に精通、住宅地の開発にも携わる名士だった。物事を論理的に見る性格で、彼の行動はすべて精密な計算に基づいている。
薬物中毒者の更生クリニックを経営する妻、ジルと共に順風満帆な日々を送っていたが、強盗に入った男により、妊娠中のジルが暴力を振るわれて流産。排卵日まで計算された上で産まれる筈だった我が子を失った悲しみに暮れる間もなく、完治不能の脳腫瘍が見つかり、余命いくばくもない事実を突き付けられて絶望。自殺しようとしたが奇跡的に生き延び、人の生死について大悟する。更に、自分が生き延びたのは「自分を省みない人間に生きる意味を見出させるため」と結論づけた。ジルを巻き込まないように離婚後、妻を襲った男を最初の被験者として最初の「ゲーム」を行う。
3作目以降の「ゲーム」の舞台はかつて自分が設計を手掛けた食肉工場で、通称「ギデオン・ビル」。生まれる事のなかった我が子につける予定だった名前を冠している。
3作目にして死亡するが、死後も弟子がその後を継いで「ゲーム」を始める。しかし…… - アマンダ・ヤング
- 「1」においてジグソウに誘拐された被験者。
かつて無実の身でありながら、でっち上げに近い形で薬物使用の容疑で逮捕・収監。以後は心を病み、本当に薬物中毒になってしまった。堕落した生き方をしていた為にジグソウに誘拐され、ヘッドギアトラップによる「ゲーム」を仕掛けられるが、奇跡的に生還する。
生還後は自暴自棄になっていたが、ジグソウが直接接触してきた事ですべてが変わった。どうしようもなかった自分を「再生」してくれた事に感謝し、教えに感化されてジグソウの弟子となる。以後、病状の進行によって車椅子生活のを余儀なくされたジグソウの代わりに密室を用意したり、被験者を誘拐する役目を負う。
しかし「被験者に生きる意味を見出させる」為に行われる「ゲーム」を「殺人嗜好」と曲解。数々の「命を顧みない」トラップを仕掛け、被験者を殺すようになる。そのためジグソウにひそかに「テスト」を仕掛けられ、看破できずに失敗、死亡した。
実はジグソウの妻が流産した事件の犯人とは共犯で、強盗計画の首謀者だった。後になってそれを知り、後述するホフマンに脅迫された結果、「ゲーム」に失敗して己の死に繋がった。 - マーク・ホフマン
- 「3」から登場。ジグソウ事件の担当刑事。かつて妹が殺された事もあり、犯罪に対しては厳しい態度で臨んでいる。
実は妹を殺害した犯人に復讐する為、当時世間を騒がせていたジグソウの手口を真似て犯人を殺害。これをジグソウは劣悪な模倣と見なし、「殺人」と「更生」の違いを探求するかどうかの選択を迫る。これによってジグソウの弟子となり、刑事の立場を生かした情報提供や被験者の誘拐などを行った。
ジョンとアマンダの死後、彼らの後継者として「ゲーム」を行うようになる。一見ジョンの意思を継いだように見えて、ゲームの成功率を極めて低いものに設定し、ゲームそのものに喜びを感じるようになるなど、快楽殺人者としての本性を見せるようになる。更に自分の正体に迫る同僚も容赦なく手にかけ、ゲームを続けようとする。
しかしジョンは彼の行動を見越しており、妻に対していざという時はホフマンをゲームにかけるよう遺言していた。遺言に従った彼女の手でヘッドギアトラップをかぶせられるが、ギリギリの所で生還。逆に彼女を返り討ちにして満足するが…… - アダム・フォークナー
- 「1」に登場する被験者。職業はカメラマン。なお演じているのは脚本のリー・ワネル本人である。
ある人物に依頼された仕事を果たし、帰宅後に写真を現像していたところを何者かによって昏倒させられる。目覚めた時にはゴードンと共にバスルームに監禁されていた。
当初はパニックに陥るが、ゴードンと会話を交わし、お互いの状況を確認。巷を騒がせる連続殺人鬼・ジグソウの手に落ちた事を理解する。
実はある人物から依頼を受け、秘密裏にゴードンを付け回して盗撮していた。最初は自分の立場を隠していたが、「ゲーム」からの生還を目指す中で素性がバレてしまう。時間切れとなり、自分達を殺す為に現れた犯人の意表をついて反撃するが、その犯人さえもジグソウの駒だったことを知り愕然とする。
直後に正体を現したジグソウによって「ゲームオーバー」を宣告され、外界へと通じる鉄扉を閉じられて絶叫。「3」では衰弱して死にかけていた所を、アマンダによって窒息死させられた。「ファイナル」では干からびたミイラとなってバスルームに転がっているのが確認できる。 - ローレンス・ゴードン
- 「1」に登場する被験者。外科医師で、ジョンの脳腫瘍を発見して告知した人物。
冷徹な性格で、診療行為はただの仕事と割り切っていた。家族に対しても娘以外は蔑ろにしていた為、命や家族の大切さを知る為として「ゲーム」にかけられる。
「1」終了時点では生死不明。だったが、その後ジグソウからの生還者として「ファイナル」でテレビ番組に登場。他の生還者達と共に、その体験を語っている。
「1」では当初冷静を保っていたものの、家族の悲鳴をテープで聞かされる内に錯乱し、鎖で繋がれた足を自らノコギリで切断。救助を求めて脱出するが、出血多量で昏倒。しかし倒れている所をジョンに救われて治療を受け、自分を「再生」してくれた恩人と認識して協力者となる。
劇中での描写こそなかったが、「2」の時点からジョンでは不可能な「被験者への手術」を担当。アマンダやホフマンを差し置いて、ジョンからは最も信頼されていた。一方のアマンダ達はゴードンを「単なる生還者」と認識しており、最後まで自分が監視されている事に気づかなかった。
「ファイナル」終盤、証拠隠滅をはかり逃亡しようとしたホフマンを2人の協力者達と共に捕らえる。昏倒したホフマンを「1」で自らが捕らわれていたバスルームに監禁。かつて自分が脱出に使ったノコギリすら与えず、「ゲームオーバー」を告げて立ち去った。
その後はジグソウの後継者になるかと予想されるが、小説版においてゴードンは「ジョンの敷いた道を歩める者はジョン以外にいないのかも知れない」「ジョン亡き今、誰も彼を真似する事は出来ない」と独白しており、自分がジグソウになる事に対しては否定的。また「1」で同じ部屋に監禁されていた被験者・アダムの亡骸を前に「一緒に過ごしたのは数時間だが、ジョンを除けばこれほど深い結びつきを覚えた人間はいない」と、助ける事の叶わなかった「友人」に対する複雑な感情を吐露している。
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
- 映画の一覧
- サムネゲームオーバー(タグ検索)
- CUBE(同じく、低予算でありながら巧みなセッティングにより成功した映画)
- じぐ蔵(2015年のテレビアニメ「おそ松さん」の3話に登場したキャラクター。ジグソウのパロディー)
- Dead by Daylight(殺人鬼vs生存者の鬼ごっこゲーム。DLCにゲームの舞台となったギデオン食肉工場、およびアマンダが殺人鬼、タップ刑事が生存者として出演)
- 分隊支援火器(銃器、機関銃の分類のひとつ)
関連リンク
脚注
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