羅貫中 単語

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ラカンチュウ

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羅貫中とは、中国の元末~明初の作家である。小説三国志演義」の著者として知られる。

概要

一般に「羅貫中」として知られるが、「貫中」は字(あざな)であり、諱(いみな)は「本」、つまり姓名は「羅本」であるとされる。
(名より字で有名な人物というのは項羽(名は「籍」)、蒋介石(名は「中正」)など結構いたりする)
ただし姓名は「羅貫」で字が「本中」と一字入れ替わった異説もあったりする。

名前さえもはっきりしてないが、それ以上に詳しい事績が残っていない。出身も山西だ、いや山東だとはっきりしない。
どういう人物だったのかもほとんど記録に残っておらず、当然生年は不明であり、「沢山小説や戯曲を書いていたが人づきあいが苦手で、何時しか行方知らずとなった」なんて記述が残っている程度である。

あまりにはっきりとしないため実在するかも疑われており、かのペンネーム説、講談師達の共同ペンネーム説、はては本当の作者は全く別人説(Wikipediaでも水滸伝作者である施耐の名が挙げられている)まである。

彼の正体はともかくとしても、通俗小説三国志演義」は中国四大奇書の一つとしてあげられ、現代にまで残る名著となっている。
現在日本三国志に一定の需要があるのも、彼の功績が大きいといえる。

参考資料

彼が演義を書く際に資料とした(とされる)ものとしては、「説三分」と呼ばれる三時代に関する講談、「三国志」などの史書、世相という3つがに挙げられる。実際のところ、羅貫中が独自に創作した部分は意外と少ない。

羅貫中は歴史書を細かい所まで読み込んでいたらしく、一見すると荒唐稽な逸話――例えば仙人や占者――も実は史書に存在したものを脚色した、いはそのまま持ってきただけというケースがよく見られる。当時はそういう物が信じられている時代だったのである。
また羅貫中が生きていた当時は3つの軍閥が長江流域で争う時代であり、それを演義を書く上で参考にした……というのは古くからある説で、朱元璋に仕えていた基は演義における諸葛亮モデルだと言われている。

「羅貫中の被害者」

彼の名前から転じて、三国志演義において正史三国志の記述より明らかに割を食っている人物について、「こんなに書くんじゃねえ!」という思いを込めて“羅貫中の被害者”や“「羅貫中被害者の会」会員”と言われて同情されることがある。
史実にない負け戦をさせられた、惨めな死に様が付け足された、そもそも登場すらさせてもらえない……等々。
確かにそりゃねーよと言わざるをえない程酷いに遭ったり、悪いイメージが付いてしまった人物もいるのだから、後世のファンが文句を言いたくなるのも当然だろう。

一応、羅貫中を擁護しておくと、上述のように元々民間で好まれた講談ベースである以上、史書と違うイメージで書かれるも仕方がないことである。
そもそも当時の認識では、通俗小説というもの自体が史実かどうかの正確さなどめていないものだったらしく、他の歴史小説や現代も残る「三国志話」(講談の種本とされる)の記述を見るに、元々の講談小説というものはかなり荒唐稽なものだったことがうかがえる。
むしろ「小説なんて庶民の読み物」だという認識の中で「知識人が読むに耐える」ほどに史書に即した記述に書き換えたのだから、 当時としては画期的なほどに『史実に即した』小説とすらいえるのだ。
当時の中国と現代日本との歴史背景も違う以上、好まれる描写というのも全く違うのであり、後世の価値観で「流石にこの描写はやりすぎだろ常考……」と思われるのも、致し方ないことことなんである。

……とは言っても、やっぱり何かしらで思い入れのある人物の史書の活躍をなかった事にされたら、ファンとしては悲しい思いをせざるをえないわけで、その悲しみをぶつけらられることもまた仕方ない、ともいえる。

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