H&K MP5 単語

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エムペーフュンフ

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H&K MP5(Heckler und Koch Maschinenpistole 5 ; ヘックラー ウント コッホ マシーネンピストーレ フュンフ)とは、ドイツへッケラー&コッホ(H&K)社が1960年代に開発した短機関銃
特殊部隊向けの高精度として注され、軍・法執行機関向け短機関銃スタンダードとして定着した名である。

※Hecklerの音写はヘックラ―の方が原には近いのだが、日本では何故か慣例的にヘッケラーと音写される。もはや何だかわからないが「ヘッケラアンドコッホ エムピー ご」ともたまに呼ばれる。

特徴

使用弾薬9mmパラベラム弾。標準的なマガジン装弾数は30発(20発のショートタイプや50発をえるドラムマガジンもあり)。初期はストレートマガジンを使用していたが、ホローポイント弾の給弾性を高めるために湾曲マガジンが標準となった。
重量は3.08kg。発射速度は毎分約800発。

同社のG3自動小銃から基本構造を受け継いでいる……というより、実質的に9mmパラベラム弾仕様G3である。製造当時の短機関銃で一般的だったオープンボルト構造ではなく、クローズボルト方式を採用したことで、当時の短機関銃としては際立った命中精度を獲得した

反面、ドイツ製特有の高品質・高コスト製造であり、オープンボルト短機関銃べてデリケートでメンテが欠かせない。G3同様にローラロッキング構造ゆえの煩雑なリロード手順も敬遠された。なにより、発表当時の短機関銃は「命中精度は多少劣ってもよいので、近接戦で弾をばらまければよい」という運用思想が多数であり、MP5は短機関銃としてはオーバースペック気味と持て余され、セールスはいまいち伸びなかった。

転機となったのは、1977年ルフトハンザ機ハイジャック事件と、1980年イギリスイラン大使館占拠事件であった。この作戦ドイツGSG9、英国SASがそれぞれMP5を装備し、突入作戦を遂行したことで「自動小銃並みの命中率を持ちながら、段違いに取り回しやすい」点が評価され、軍・警察特殊部隊向けの名として評価を確立したのである。
※ここで重要なのが、映画では大抵フルオートで連射しているが、現実軍事作戦ではほぼセミオート射撃のみの簡易狙撃銃として運用される点である。いくら命中精度が良いと言ってもフルオートではを制御しきれず、誤射跳弾の危険性が跳ね上がる※

以後、世界の軍隊やSWATに採用され、価格が低下した現在では警察の一般部隊でも採用されることが多くなった。米軍ではヘリコプターパイロットの自衛火器としても採用されている(ブラックホークダウンCOD4墜落したヘリパイロットが使用しているシーンを覚えている人もいるはずだ)。日本でもSATが装備している。

何故命中精度が高いと言われているのか

トンプソンPPSH、ステンMK-2UZI等の当時のサブマシンガンどがオープンボルトという方式を採用していた。これは引き金を引いてからボルトが前進して弾薬管をくことで発射する作動方式である。

部品点数が少なくできて耐久性にも優れていたが、弾が発射される前に重いボルト内部で前後するため(こんな感じ→( )三 三( )ヒュンヒュン)射手がどれだけ正確に狙っても本体がブレてしまう、更に引き金を引いてから発射されるまでにタイムラグが発生するので命中精度が極めて悪いという欠点があった。

クローズボルトアサルトライフルハンドガンで採用されている方式で、オープンボルトとは正反対に弾の発射される間までボルトが動かないのでブレにくく、引き金を引いてから発射されるまでの時間も短くできる。MP5はクローズボルト方式を採用した初のサブマシンガンだったのだ。

デリケート?

前述の通りデリケートでメンテ難があると言われていたが、これは「オープンボルトサブマシンガンべて」という条件付きの話。実際は軍用アサルトライフルと同レベル耐久性がある。

筆者は20年程前の刊GUN誌で部品を見たがごく普通アサルトライフルとほぼ同じ部品点数であった。世界4大アサルトライフルに数えられるG3を元に設計されているので当然である。ましてはイギリスジャムおじさんとは較にならない。

21世紀の動向

1997年ノースハリウッド銀行強盗事件において、防弾チョッキを入念に装着すれば、9mmパラベラム弾クラス拳銃弾であればなんとか耐えられることが広く知れ渡った。それ以降は軍隊でボディアーマーが広く普及し、民生用でも高性なアーマーが販されるようになったため、軍の後方部隊はおろか警察の一般部隊においても、MP5などに代わってAR-15(M16)突撃銃カービン仕様(M4カービン)を標準装備する流れが広がっている。

といって、MP5を始めとする9mm短機関銃の出番が消えたわけではない。コンパクト故の扱いやすさ、携行弾数の多さは突撃銃では決して真似できない。更に高威小銃弾では、貫通弾による二次被害が発生することもある。このため、都心部など人口密集地の警備隊や、船舶オイルプラントでの戦闘を前提とする海軍・沿警備隊では変わらず重宝されているし、人質解放のための突入部隊でもM4系と合わせて装備されている。

流石にMP5自体は誕生から半世紀以上が経過したこともあって、先進国の軍隊では、より洗練された後発の短機関銃更新されている。しかし長年の運用ノウハウが蓄積されていることもあり、全に現役を退くのはしばらく先の話と思われる。

バリエーション

基本モデル

消音モデル・SDシリーズ

ハンドガード部を設計変更し、サイレンサーをバレル自体に組み込んだモデル。もっぱら特殊部隊用で実にする機会は少ないが、COD4MGS4等のゲームにはやたら登場しており密かに人気がある。
静音性は非常に高く、2階で撃つと1階では聞こえないと言われるほど。一方で・射程距離は.380ACP弾程度にまで低下する。

コンパクトモデル・クルツ

「Kurz(短い)」の名の通り、携帯性を重視してマシンピストルと言ってもいいレベルまで小化したモデルである。バレルが極端に短い上にストック省略されたため、MP5の長所である命中精度の高さが全に殺されており、あまり売れなかった。

その後、1990年代PDW需要に伴い、アメリカのコエート社製折りストックを装着した「PDWモデルが登場。こちらはパイロット戦車兵の護身用武器として良好なセールスを記録した。日本でも警視庁一課特殊捜班(SIT)の隊員が装備している。

コンパクトなためか映画ではテロリストが使用しているシーンが多い。

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