外山恒一が東京都知事選に立候補し、そのとき放送された政見放送。
「立候補の目的は、選挙を通じて諸君に政府転覆を呼びかけるためだ。詳しくは掲示板のポスターを見よ。少しでも共感できる者は、まず私に会いにきてほしい。選挙期間中は毎晩夜8時、高円寺駅南口で待っている。中高生などの非有権者や、非東京在住者も歓迎する。政府転覆の作戦会議を始めよう」- 無所属 外山恒一 2007年東京都知事選の選挙公報より
(ナレーション)
今時、政治犯として2年投獄され、現在にいたるも、反体制知識人。
(演説)
有権者諸君!私が外山恒一である。
諸君!この国は最悪だ。政治改革だとか何とか改革だとか、私はそんなことには一切興味がない!あれこれ改革して問題が解決するような、もはやそんな甘っちょろい段階にはない!こんな国はもう見捨てるしかないんだ。こんな国はもう滅ぼせ!
私には建設的な提案なんか一つもない。今はただ、スクラップ&スクラップ、全てをぶち壊すことだ!
諸君!私は諸君を軽蔑している。このくだらない国を!そのシステムを!支えて来たのは諸君に他ならないからだ。
正確に言えば、諸君の中の多数派は、私の敵だ!
私は、諸君の中の少数派に呼びかけている。少数派の諸君!今こそ団結し、立ち上がらなければならない。奴ら多数派はやりたい放題だ。我々少数派がいよいよもって生きにくい世の中が作られようとしている。
少数派の諸君。選挙で何かが変わると思ったら大間違いだ!しょせん選挙なんか多数派のお祭りに過ぎない。我々少数派にとって選挙ほどばかばかしいものはない。多数決で決めれば、多数派が勝つに決まってるじゃないか!
じゃあどうして立候補しているのか。その話は、長くなるから、掲示板のポスターを見てくれ。ポスターは二種類あるからどちらも見逃さないように。
私は、この国の、少数派に対する迫害にもう我慢ならない。少数派の諸君!多数派を説得することなどできない!奴ら多数派は我々少数派の声に耳を傾けることはない!奴ら多数派が支配する、こんなくだらない国は、もはや滅ぼす以外にない!
改革なんていくらやったって無駄だ!!今進められている様々の改革は、どうせ全部すべて奴ら多数派のための改革じゃないか。我々少数派は、そんなものに期待しないし、もちろん協力もしない!
我々少数派はもうこんな国に何も望まない。我々少数派に残された選択肢はただ一つ。こんな国はもう滅ぼすことだ!ぶっちゃけていえば、もはや政府転覆しかない!!
少数派の諸君!これを機会に、政府転覆の恐ろしい陰謀を、共に進めていこうではないか。ポスターに連絡先が書いてあるから、選挙期間中でも、終わってからでもかまわない。私に一本電話をいれてくれ。勿論、選挙権のない未成年の諸君や、東京都以外の諸君でも構わない。我々少数派には、選挙なんか元々全然関係ないんだから。
最後に一応言っておく。私が当選したら、奴らはビビる!私もビビる・・・。
外山恒一に悪意の一票を!外山恒一にヤケッパチの一票を!じゃなきゃ投票なんか行くな!どうせ選挙じゃ何も変わらないんだよ!!
(ナレーション)
政府転覆
ただフザケテイルと思われるのもシャクなので
たまにはマジメなことも書いておくか
現在我が国は戦時下にある、というのが私の基本的認識です。これは、何かレトリックとして言うのではありません。
また、「2001年の同時多発テロ以来の、アメリカのいわゆる『対テロ戦争』に、我が国は巻き込まれ、事実上参加しているに等しい」などと云っているのでもありません。私の認識は、そんな寝ぼけた左翼のようなものとは違います。
いま起きている戦争は、アメリカ対イラク(やアフガン)の戦争ではないことはもちろん、アメリカ対テロリストの戦争でもないのです。では、いったい何が起きているのか?
本当は内戦が起きているのです。
これは、私の独自の見解ではなく、欧米の一部の哲学者たちの見解に私も賛同しているだけですが、彼らの文章はコムズカシくて一般の人にはとても読めたものではありませんから、私なりにかみくだいて説明すると、現在おこなわれている戦争は、かつてのような国家対国家の戦争ではなく、国家の内側での多数派対少数派の内戦であるということです。
今回の戦争(内戦)は、最初は「テロ防止」を口実として始められますが、取締る相手は当初の「テロリスト」からどんどん拡大し、最終的には多数派に不安を抱かせるような言動をするすべての人間が監視・摘発の対象になります。
これは現在、世界のあらゆる国で程度の差はあれ進んでいる傾向で、実はアメリカの「対テロ戦争」の本質もここにあります(その証拠に、内戦の場合には通常、軍隊ではなく警察がその前線で主役となりますが、米軍は「世界の警察」としてふるまっています)。
我が国が突入しているのも、実はこうした内戦です。
我が国の内戦では、それは最初、95年にオウム信者の監視・摘発として始まりましたが、やはりその後、なし崩し的にその対象を拡大し、今や、かつては「迷惑」ではあっても「犯罪」ではなかった行為さえもが新規立法によって次々と取り締まられています。
痴情のもつれ(現在では「DV」とか「ストーカー」とか呼ばれます)や、路上での喫煙などはその典型ですし、また、私たち大人が作っている社会のひずみが原因であるに決まっている少年犯罪の増加に対し、その原因を反省し改善する努力をまったく放棄して、ただ厳罰化で対応しようという方針もその一環です。
社会のこうした風潮を、「いかがなものか」と憂えているのは私一人ではないはずです。もしかすると、これを読んでいるあなたも同じ気持ちでいるかもしれません。しかし、残念ながらあなたは、つまり私たちは現在、圧倒的な少数派であります。しかも、その問題意識をいいかげんなところでアイマイにせず、よーく突き詰めてみればやがて気づくと思いますが、もはやこの社会の多数派にとっては、そんな問題意識を持ってしまう私たちのような存在自体が、何やら不気味で恐ろしい「敵」なのです。
奴ら(多数派)は、私たち(少数派)に対して戦争を仕掛けてきているのです。
我が国における(他の国でも同じですが)多数派と少数派の対立は、すでに戦争(内戦)の域にまで達しているのです。
私は、この期に及んで「反戦」を訴えるような非現実的な夢想家ではありません。奴ら多数派は、不安が高じてヒステリー状態になっていて、もはや説得に耳を貸さないことが明らかであるからです。この内戦は、私たち少数派が一人残らず消えていなくなる(何か口実をもうけて「犯罪者」とされて投獄されるか、それを恐れて完全に沈黙するか)まで終わりません(ブッシュも、「永久戦争」だと云っています)。
また、私はもともと改憲論者であり、軍備拡大には反対しない立場です。例えば北朝鮮などとはむしろ戦争すべきだと思っています。
私たち少数派にとって、現在もっとも憂えるべきは軍隊の拡大ではなく警察の拡大です。従来の寝ぼけた左翼の「反戦派」は、ここのところがまったく分かっておりません。
むしろ寝ぼけた左翼は、そのお家芸である「単純で分かりやすい正義」を掲げ、警察力の拡大を率先して推し進めているようなありさまです(「DV」や「ストーカー」の取締りを要求するフェミニストや、路上喫煙の取締りを要求する嫌煙権論者などがその代表です)。
私は、現在のさまざまの不気味な犯罪増加の背景には、伝統的な家族共同体や地域共同体の崩壊があると考えています。
「治安回復」のためには、奴ら多数派が推進する厳罰化のような対症療法ではダメで(そのような監視社会化は、ますます人々の心にストレスを生み、結局はさらなる犯罪の増加を招きます)、伝統的共同体を再建する粘り強い努力が必要です(「市町村合併」などはこれに反する、共同体の破壊行為です)。
このあたり、私の見解はむしろ右翼に近いのですが、残念ながらほとんどの右翼は、考えが浅いのか、「治安回復」には厳罰化を、という奴ら多数派のヒステリーに同調しています。
私は、奴ら多数派から「犯罪者予備軍」のように見なされている少数派のみなさんに、団結を呼びかけます。
奴ら多数派の勢いは、とどまるところを知りません。先述のとおり、もはや「話し合い」は不可能です。
何度も云うように、私は「反戦派」ではありません。私たち少数派に残されたただ一つの選択は、団結して「応戦」することです。
現段階では、まず団結し、私たち少数派の側の隊列をととのえることです。
今回の私の立候補は、何よりも少数派のみなさんに、このような形で大々的に団結を呼びかけるための手段です。
私の見解に「なるほどそのとおりかもしれん」と思う方、まずはじっくり話をしましょう。選挙期間中(3月22日~4月8日)毎日夜8時、高円寺駅南口集合です。奴ら多数派に反撃していくための、「作戦会議」を始めようではありませんか。もちろん中高生など未成年者や、東京都以外からの参加も大歓迎です。
何しろ奴らは圧倒的多数派であり、私たちは圧倒的少数派ですから、今回の選挙で、私が当選する可能性は、完全にゼロであると自信(?)を持っています。
むしろ何かの間違いで当選しちゃうと私自身がビビってしまいますが、まあそのようなリスク(?)は覚悟の上での立候補です。
しかし少数派のみなさん。
私が獲得する票が多ければ多いほど、私ですらビビってしまうのですから、奴ら多数派はなおのこと恐怖のズンドコに突き落とされるのは間違いありません。当選するかしないかは二の次です。たとえ当選しなくても、一票でも私の得票が多ければ、奴ら多数派はそのぶんだけ慌てふためくのです。
私たち少数派の存在を、目に見える形で奴ら多数派の前に突きつけてやることには、これから反撃を開始するにあたって、大きな意味があります。
そもそも奴ら多数派のために存在する、私たち少数派にとってはバカバカしいかぎりの選挙という制度(多数決で決めれば多数派が勝つに決まっています)において、「一票の重み」など嘘八百もいいとこです。
誰が当選しようが落選しようが、奴ら多数派の支配はこれっぽっちも揺るがないからです。しかし、今回の私のような立候補のしかたとなると話は変わってきます。当選しようがしまいが、その一票は奴ら多数派を心の底から動揺させる「重み」を持ってしまうのです。ざまあみろであります。
どうせ選挙では何も変わらないのです。選挙ではとりあえず奴ら多数派に一泡ふかせておいて、私たち少数派は、議会などというクソみたいなもんの外で団結を開始し、奴ら多数派を本格的にギャフンと云わせる、政府転覆の恐ろしい陰謀を、着々と進めていこうではありませんか。
古今の例を鑑みるに、カリスマ的指導者にはやはりそれなりのドラマチックな出生秘話が必要だと痛感し、このたび急遽思いついた伝説によれば、1970年、鹿児島県隼人町の熊襲の穴で、「造反有理革命無罪」と唱えながら、処女の馬から生まれた。
投票用紙(ゴミ)はとりあえず「外山恒一」と落書きして投票箱(ゴミ箱)へ
当選の暁には何をなさいますか?
外山「私が当選する可能性は百パーセントありませんから、その質問は無意味です」
ではなぜ立候補するんですか?
外山「現在この国には言論の自由がないからです。ちょっとしたビラまきやデモで逮捕、なんて事件がここ数年やたらと増えています。ところが選挙となると、正式に立候補しさえすれば、明白なウソや誹謗中傷などでないかぎり、どんな過激な主張でも可能です」
具体的にはどのような主張を?
外山「政府転覆を呼びかけます。この国はもうおしまいです。あれこれ改革したって無駄、もはや改革ではなく革命しかないということです。しょせん選挙で何かが変わると思ったら大間違いだということも呼びかけます。現段階では、もはや革命しかないという真実に気づいた少数の人々が、議会政治の枠の外で団結するところから始めるしかありません。つまり私は、選挙戦をとおして同志発掘をやるために立候補するんです」
この国はおしまいだというのはなぜですか?
外山「私が一番危惧しているのは昨今の警察権力の拡大です。かつては単に痴情のもつれで片付けられたような言動をDVだのストーカーだのと呼んで取り締まったり、路上喫煙を処罰の対象にしたり。街は監視カメラだらけだし、息苦しいったらありゃしません」
しかしマナーを守らない人が増えたし、治安も悪くなってるから仕方ないのでは?
外山「程度問題です。ある程度はやむを得ませんが、現状は行き過ぎです。度を超すと監視社会、警察国家になるし、実際この国はもうそう呼ばれるにふさわしい段階にあります。そして、そうした風潮を批判する行為自体がすでに取り締まりの対象になりつつあります。さっき言った、ビラまきで逮捕などのケースが増加しているというのもその現れです。批判すら許さない政府は、革命によって打倒する以外にありません」
実際に同志が集まったら何をやりますか?
外山「私は投票日の翌日には九州に帰ります。革命をやるんなら、権力の中枢である首都東京で正面衝突をもくろむのは愚の骨頂です。今回発掘する同志諸君にも一緒に九州に来てもらいます。十年もすれば、九州は日本の革命勢力の一大拠点となっていることでしょう」
ではやはりあくまでも同志獲得のための政治宣伝が目的で、選挙結果には関心がない?
外山「いえ。落選は前提ですが、私が掲げる政府転覆というスローガンに、どれくらいの人が反応するのかには興味があります。逆に言うと、私の得票が多ければ多いほど、政府に心理的打撃を与えることができます。仮にこの首都東京で、数万人が政府転覆を支持、なんて結果になれば、安倍クンたちはもう不安で不安で夜も眠れなくなるでしょう。当選を目的とする通常の候補と違って、私に投じられる票はつまり死票になることがないのです」
掲示板
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最終更新:2024/12/20(金) 15:00
最終更新:2024/12/20(金) 15:00
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