アイスホッケーとは、氷上の格闘技の異名を持つ球技である。ホッケーの一種であり、それをホッケーリンクと呼ばれるアイスリンクの上でプレイすることからそう呼ばれ、代表的なウィンタースポーツの一つ。日本名で氷球と呼ばれることもある。スケートを使ってプレイすることからスピーディーな動きと巧みなスティック捌き、そして勇壮なボディチェックが醍醐味である。
カナダの国技として知られ、他にチェコ、スウェーデン、フィンランド、ドイツ、ノルウェー、スイス、スロバキア、オーストリア、ベラルーシ、ロシア、カザフスタン、アメリカ北東部など、軒並み寒冷な国や地域で盛んである。特にカナダでは国民的娯楽、生活の一つにもなっており、少年ぐらいからアイスホッケーに親しむ環境が整っており、NHLチームも7つ存在する(これは全米4大スポーツの中で最も多い)。ヨーロッパ(特に北欧、東欧)でも盛んな国が多く、チェコも国技と言われるほど盛んであり、ヨーロッパ屈指のホッケーリーグ、チェコ・エクストラリーグがある。スウェーデンもサッカーに負けず劣らずの人気を誇っており、スヴェンスカ・ホッケーリガン(通称エリテセリエン)という国内リーグがあるほか、NHL選手も数多く輩出している。フィンランドも国内人気の高い強豪として知られ、SMリーガという国内リーグがある。ロシアはカナダに匹敵する強豪で、KHL(コンチネンタルホッケーリーグ)というNHLに次ぐレベルのリーグがあり、これは周辺諸国との共同リーグとなっている。
また、男子アイスホッケー決勝は毎回のように冬期五輪のクライマックスに開催され、同大会の花形ともなっている。
NHL(National Hockey League)は世界最高峰のアイスホッケーリーグであり、北米4大スポーツの一つとなっている。ただ、肝心のアメリカ国内での人気は一部地区を除き今ひとつで、他のNFL、NBA、MLBと比較すると視聴率も観戦者数も競技人口も低い。一方のカナダでは4大スポーツで圧倒的な人気を誇り、NHL選手の半数近くをカナダ出身者で占めるほど(一方、アメリカ出身者は2割ほどにとどまっており、これもアメリカで人気がイマイチな理由の一つである)。また、トロント、モントリオール、オタワ、カルガリー、エドモントン、ウィニペグ、バンクーバーといった中心都市にフランチャイズを持っており、カナダ同士のダービーマッチには数万の観客が熱狂に沸く。また、アメリカにはAHLというアイスホッケーリーグもある。エンターテイメント性重視のNHLに対し、スポーツ的なアイスホッケーを重視しており、レベルも遜色ないといわれている。
日本ではお世辞にもそこまでメジャーではなく、過去に某ジャニーズ主演のドラマ『プライド』でにわかブームが勃発した程度である。だが、国内リーグの歴史はけっこう古く、現在は韓国、中国、ロシア極東地方の4カ国のチームで対戦するアジアリーグが行われている。また、伝統的に北海道(特に苫小牧市、釧路市)、青森県八戸市、栃木県日光市などで盛んであり、これらの4都市には実業団チームがある。特に苫小牧市と釧路市は共にアイスホッケーの町を自負しており、お互いライバル意識が強い(親会社が同業他社のライバル同士という背景もある)。ほかには北海道帯広市、旭川市など道内には少年ホッケーチームやママさんホッケーチームもあったりと、それなりに盛んである。
2つのチームの選手がスティックという棒を使い、パックと呼ばれる硬質ゴム製の球を弾いていき、お互いのフィールド上のゴールを狙う競技で、ゴールを決めると1点が入り、得点を競う。
試合時間は20分×3ピリオドの計60分で行われ、そのピリオドの間に15分のインターバルが設けられている。それで引き分けとなった場合は延長ピリオドを行い、サドンデス戦が行われる。それでも勝負が付かなかった場合はサドンデス方式のウィニングショット戦が行われる。
各リンク上に6人まで選手を配置することができるが、各チームとも18名ないし23名まで登録している。これが何を意味するのかというと、このアイスホッケーはとにかく体力を消耗する苛烈な競技なので、50秒~60秒の間に選手が次々入れ替わるからである。そのため、選手の交替は自由で、また、同時に何人が交代してもよいことになっている。ただし、その間時間が止まらないので、手薄になった隙を狙われるリスクが高い。そのため、選手の交代はスピーディーに、そして守備側がパックをキープしている際に行われることが普通である。
また、アイスホッケーならではの特徴は、他の球技のようにサイドラインやゴールラインをはみ出してもプレーが中断されることなく、アウトオブバウンズといってパックがフェンス外に飛び出さない限り、続行される(意外と起こる)。それはゴール裏でさえもプレーの対象になっているため、パックの奪い合いが絶えず繰り返される。
もし、アウトオブバウンズや後述する反則などでプレイが止まった場合、フェイスオフスポットと呼ばれる9箇所のエリアからフェイスオフ(スティックでパックを打つこと。フリーキックみたいなもの)が行われる。
ポジションにはGK1名(ゴーリーともいわれる)、C(センター)1名、あとはそれぞれ左右のFW(フォワード)とDF(ディフェンダー)があるが、その中でGKが一番重要なポジションとされる。そして、極端な話、GK次第でチームの強弱が決まってしまうとまで言われており、時速150キロとも言われるシュートを、体を張って止める仕事だからである。それだけにGKには防具やルールなど色々な特権が与えられている(尤も、アイスホッケーのゴールは狭いので、ハンドボールほどバカスカシュートを決められたりはせず、阻止率は平均で9割に達するという)。余談だが、世界最高のサッカーGKと呼ばれたレフ=ヤシン選手は元々アイスホッケーのGKだったことでも有名(同様にGKが過酷な競技としてハンドボールがある)。
スティックは危険であり、時に武器と化すため、ボディチェックに対する反則はかなり多い。主な反則にトリッピング(相手の足をスティックや足で引っかける)、ホールディング(相手を掴む)、スラッシング(相手をスティックで叩く)などがあり、それを犯した選手はペナルティボックスという空間に反則の度合いによって、一定時間ボッシュート(収容)される。この間は選手数を減らした状態でプレーしなければいけないため圧倒的に不利であり、得点も許しやすいことから、キルプレイ(一方、有利な方はパワープレイと呼ぶ)と呼ばれている。なお、キルプレイ側が1点入れられた時点でペナルティは失効する(パワープレイ側が入れられても持続する)。
アイスホッケーが氷上の格闘技といわれる所以は、激しいコンタクトもさながら、乱闘シーンがとにかく多いことである。他競技のように中断が少ない分、それだけ選手がヒートアップしやすい競技であり、人によってはこの乱闘も魅力の一つであると捉えているファンが少なくない。
何せ、NHLなどでは審判まで誰が乱闘を起こしやすいか把握した上で、乱闘も見せ場の一つとして、ある程度のプレイを流しているほどだからである。この乱闘要員をエンフォーサーと呼ぶ。一方、オリンピックでは厳しいペナルティが科せられる。
尤も、この乱闘にも暗黙の掟がある。1対1のタイマン勝負が前提であり、スティックを置いて殴り合いを行う。スティックを使って相手を攻撃するのは御法度である。スティックはホッケー選手の魂であり、下手するとチームを追放されてしまいかねない。あとはキック(選手はスケート靴を履いているため、ブレードで大怪我するリスク高いため)、頭突きなどもマナー違反とされている。
掲示板
8 単語記事巡礼中 ◆CBGbQXRNEo
2022/11/29(火) 16:42:00 ID: nTKYPZgbZj
9 ななしのよっしん
2023/02/21(火) 20:54:19 ID: dN6j/Yd1aF
アメリカだと野球とアイスホッケーは地域差によって人気が極端なイメージだな。ジョーダンとかブレイディくらい競技アイコンのスター選手が出てくれば、全国区になりそうだけど。
10 ななしのよっしん
2023/12/30(土) 14:12:33 ID: mq11X+Njz8
カナダでも史上最高の選手にグレツキー派とスーパーマリオ(マリオ=ルミュー)派にわかれてるらしい
かたやオンタリオ、かたやケベックのフランス系だしな
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/26(木) 12:00
最終更新:2024/12/26(木) 12:00
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