ウィナーズサークルとは、
本稿では2について記述する。
父*シーホーク、母クリノアイバー、母父*グレートオンワード。
アイネスフウジンやモンテプリンス・ファスト兄弟を輩出したシーホークはともかく、母父や母は地味である。一応半兄にダイオライト記念勝ち馬こそいるが、当時としてもかなり主流から外れた血統と言えなくもない。
それというのも、 彼が生まれた栗山牧場(現・ユタカファーム)の所在地はなんと茨城県江戸崎町(現・稲敷市)。美浦トレーニングセンターの隣町とはいえ、馬産の主流地からは外れている、どころじゃない地域にあったことと無関係ではないだろう。
7月に福島でデビューするが4着に敗退。12月まで自重した後、中山で復帰。2連続2着と詰めの甘さを見せるが、ダート未勝利戦を勝ち上がる。
この後、ダート条件戦でまた2着続きとなるが、皐月賞前に条件戦を圧勝で突破。賞金が不安視されたものの滑り込みで皐月賞に出走する。
この年のクラシックの中心はサクラホクトオーで間違いない……と思われていたのだが、彼は前走、土砂降りの極悪馬場となった弥生賞で大敗、「雨に弱い」という弱点を晒して評価を下げていた。
そして、皐月賞本番も大雨。しかしサクラホクトオーが大敗した弥生賞を圧勝したレインボーアンバーは、その激走の反動で脚を痛めて離脱するハメになっており、更に前哨戦の重賞を連勝したような馬もおらず、オッズは大混戦となった。結局サクラホクトオーが1番人気に推されたが、2番人気には弥生賞3着以外特に実績のないアンシストリーという大混戦となっていた。ウィナーズサークルはというと、前走ダートとはいえ圧勝したのが評価され、7番人気とそれなりに高い評価を得ていた。
レースは道営から移籍して来た3番人気ドクタースパートが泥田んぼ馬場を突き抜け快勝。ウィナーズサークルは泥田んぼ馬場が幸いしたのか2着に激走。アンシストリーは3着に入り、サクラホクトオーは……やっぱり駄目だったよ……(ドベ)。
そして、この2着でダービー出走をほぼ確実のモノとした。
まずサクラホクトオーは、二連続大惨敗で完全に失墜。5番人気にまで評価が落ち込んでしまった。
ならば皐月賞馬が中心かと思われたが、ドクタースパートはハワイアンイメージ二世乙とでも思われたのか4番人気にとどまり、アンシストリーは怪我で戦線離脱。
1番人気はパーソロンのラストクロップで、今となっては懐かしい関西の秘密兵器の称号を背負った三連勝中、しかし重賞実績皆無のロングシンホニー。
2番人気は父クライムカイザーで、皐月賞は頓挫があり出られず、休み明けのNHK杯を3着した共同通信杯勝ち馬マイネルブレーブ。
3番人気に皐月賞2着のウィナーズサークルという並びになった。
……む? ダービートライアル勢ってこいつら以下の人気だったの? と思う方々も多いだろう。実は、当時オープン競走だった青葉賞は8番人気、NHK杯に至っては11番人気の馬が、上位人気が総崩れになる展開で勝利する流れが繰り返され、勝ち馬が評価されていなかったのだ。
また、関西の「東上最終便」である京都4歳特別を上位人気で勝ったスターサンシャインも怪我で戦線離脱(その後引退)を余儀なくされていた。
こうした要素が積み重なり、単勝オッズは5番人気のサクラホクトオーまでが10倍を切っていたばかりか、ロングシンホニーも単勝6.0倍と「たまたま推せそうだったからなんとなしに押し出された」感じがする有様だった。
言い方は悪いが、史上稀に見る低レベルでの大混戦となってしまったのである。 今こんなメンツになったら、某大型掲示板で始まる前から「今年イチの糞GI」スレが乱立するレベルである。
そんなレースは中団から抜けだしたウィナーズサークルが、NHK杯2着ながら1着馬より人気のあったリアルバースデーを抑え優勝。 第56代にして芦毛・茨城県産馬として史上初のダービー馬となったのである。芦毛の後輩であるビワハヤヒデやゴールドシップすらダービーは勝てなかったことを考えると、彼は凄まじい事をやったとも言える。
その後、秋は菊花賞路線に進むが菊花賞で惨敗。レース後に故障が発覚し、引退を余儀なくされた。
引退後は種牡馬となったが、ステイヤー血統と見做され人気が出ず、早々に第一線から退く事になった。
晩年はモンテプリンスがいた事で有名な茨城県岩間町(現・笠間市)の東京大学大学院農学生命科学研究科付属牧場に繋養。東大牧場ではダービー馬・芦毛の馬であることに加えて人懐っこい性格であることも手伝って大変可愛がられたという。
様々な史上初の記録を持ち、翌1990年アイネスフウジンのダービー制覇でシーホークの産駒ダービー連覇の起点ともなった彼だが、現代での評価はおっそろしいほど低い。上下の世代が強烈な個性を放つ強い世代だった上に、同期たちがパッとしなかったのがいけないのであろう。何しろ89年世代で古馬になってGIを勝ったのはオサイチジョージ(90年宝塚記念)のみなのである。しかも同期で牝馬で南関東所属のロジータが同年のジャパンカップでシンガリ負けを喫した際に出した府中2400mのタイムが、ダービーよりも1.9秒速い2分26秒9。開催時期や条件が異なるので単純な比較はできないが、ダービーにロジータが出てたらウオッカ並みの話題を独り占めしていた所だった。
ひたすら雨に祟られた影響かダービー前までもスターサンシャインらがリタイア、ダービー後も「ダービー出走さえできれば、後は野となれ山となれ」という気風が残っていた時期とはいえ、脚をぶっ壊した素質馬が続出したこの世代は不運に見舞われたとも言える。
ウィナーズサークル自身も怪我があったとはいえ菊花賞路線でろくに勝てず、現役も短かった。同じダービー馬と比べると、オペックホースのように連敗記録こそつくったがタフに走ったわけでもなし、さりとて同じく競走馬として短命に終わったアグネスフライトのような「わかりやすいドラマ」を持っているわけでもない。
彼が話題に出るのは芦毛馬に関するピンポイントな話か、あるいは上記二頭などと共に史上最弱のダービー馬を競う時くらいではなかろうか。評価が好転する機会は望み薄なのが悲しいところだが……。きっと幸福な晩年を送れたであろうことはせめてもの慰めである。
*シーホーク Sea Hawk 1963 芦毛 |
Herbager 1956 鹿毛 |
Vandale | Plassy |
Vanille | |||
Flagette | Escamillo | ||
Fidgette | |||
Sea Nymph 1957 芦毛 |
Free Man | Norseman | |
Fantine | |||
Sea Spray | Ocean Swell | ||
Pontoon | |||
クリノアイバー 1977 栗毛 FNo.21-a |
*グレートオンワード 1971 鹿毛 |
Sir Ivor | Sir Gaylord |
Attica | |||
Princess Isabelle | Prince Chevalier | ||
Isabelle Brand | |||
*クロシェット 1958 鹿毛 |
Mossborough | Nearco | |
All Moonshine | |||
La Cloche | Le Lavandou | ||
Angelus | |||
競走馬の4代血統表 |
掲示板
19 ななしのよっしん
2022/11/19(土) 12:25:47 ID: m031f+g7Tx
>>15
ここみたいに他世代に負けまくったんならともかく
同世代最強場馬が独占したのでその世代は層薄い!
とか言われてもなー
20 ななしのよっしん
2023/01/12(木) 20:52:29 ID: ufsxc8wAed
>>15,19
ここで話すことでもないが2002年生まれならスズカフェニックスも古馬GI勝っとるで
あと古馬GIの世代別独占率(開催レース数に対するその世代の勝利数)でいえば
ルドルフの世代もディープの世代も(当の最強馬二頭を含めたとしても)数字的には
あんまり高くないのよな
21 ななしのよっしん
2024/10/22(火) 19:00:05 ID: zQcrByZFmE
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最終更新:2025/03/28(金) 16:00
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