ユダヤ教の聖典「タナハ」のうち、「トーラー」という部分の、最初の書「ベレシート」に登場する。最初の人間アダムとイブの三男セトの、孫の孫の息子。「ノアの方舟」で有名なノアの曾祖父である。
「タナハ」は派生宗教であるキリスト教やイスラム教においても、名前を変えて聖典として継承されている。例えばキリスト教では『タナハ→旧約聖書』、『トーラー→モーゼ五書』、『ベレシート→創世記』と呼び換えられている。
よって、キリスト教やイスラム教においてもエノクは聖典に登場する人物としてそれなりに敬って扱われる。新約聖書の『ルカによる福音書』によればイエス・キリストの先祖の一人でもある。ただし、後述するように広く正統と認められている聖典では文中でチラリと触れられるだけなので、メジャーな大人気キャラというわけではない。
タナハが書かれた原語であるヘブライ語での表記は「חנוך」。現代ヘブライ語の発音では「ハノーホ」「ハノッフ」という感じで発音される。現在ではこの単語は「教育」「訓練」を意味する言葉となっている。
英語では「Enoch」と表記し、「イーナック」または「イーノック」と発音される。
ニコニコ動画では、2010年ごろにシュールなプロモーションビデオのために一躍話題となったゲーム「エルシャダイ」の主人公「イーノック」のモデルとなったことで有名かもしれない。それに関連した事柄については下記の「エノク書」の項で触れる。
ユダヤ教はユダヤ人の民族宗教と言う性質が強く、一般的にはさほど布教や教義宣伝に熱心ではない。そのため、ユダヤ教の聖典としての「タナハ」の情報は乏しい。よって、キリスト教によってまとめられた「旧約聖書」における情報を記載する。
旧約聖書では、「創世記」の第5章でエノクの名前が登場する。この章はアダムからその子孫をたどって、ノアの息子までの系譜を列挙している項である。
その章からエノクに関する記載を抽出してざっとまとめると、
「ヤレドの息子で、ヤレドが162歳の時に生まれた。エノクが65歳の時、エノクの息子のメトセラが生まれた。メトセラが生まれて300年後、エノクは神とともに歩む者になった。よって彼の人生は365年間である。神とともに歩むようになり、神が彼を連れて行ったので、彼はもう居なくなった。」
とある。これが旧約聖書正典において、彼に関する情報のすべてである。
「神とともに歩むようになった」「神が彼を連れて行った」と意味深な表記がしてあるのが特徴的である。これは「死」を暗喩しているだけのようにも思えるが、注意すべきは第5章で登場する他の人物は皆「死んだ」とはっきり記載してある点である。エノクだけがこういった謎めいた書き方をされているのだ。つまり、「彼だけは死ぬことなく神の御許に引き上げられた」と解釈する事もできる。
この不思議な記述から、下記の「エノク書」の内容が派生したのかもしれない。あるいは逆に「エノク書」の内容が影響して「創世記」第5章のエノクの部分だけに手が加えられたのかもしれないが……。
なお、旧約聖書の物語の多くの部分は古代メソポタミア地方(シュメール、アッカド、バビロニアなど)の神話の影響を受けているとされる。例えば旧約聖書のノアの大洪水に類似した話は、それより時代をさかのぼる古代メソポタミアの神話にも登場している。
そしてシュメール神話では「大洪水以前の時代の」「7番目」の王エンメンドゥルアンナ(Enmendurana)について、「神によって天に挙げられ、知識を授けられた」という伝説を伝えている。
「ノアの大洪水以前の時代の」「アダムから数えて7番目」のエノクが「神に連れていかれた」という上記の旧約聖書内のエピソードについて、このエンメンドゥルアンナの伝説からの影響ではないかという説もある。
エノクについて詳細に記された聖書関連文書。いずれの「エノク書」も、多くの宗派では「外典」「偽典」と分類されてしまっている。
これらによって描かれるエノクの運命や天使たちの堕天については、ゲームソフト「El Shaddai - エルシャダイ -」のストーリー全体のモチーフにもなっている。
キリスト教の一派「エチオピア正教」(および1993年のエリトリア独立時にそこから分派したエリトリア正教)においては、他の宗派と違って「旧約聖書正典」として認められている。外典や偽典と見なされてばかりのエノク書の中では貴重な例外である。
下記の「第二エノク書」「第三エノク書」と区別するために「第一エノク書」などとも呼ばれる。単に「エノク書」と言った場合はこれを指すとも言う。エチオピア語版エノク書、ゲエズ語版エノク書とも。
「見張り番の天使」たちの堕天、エノクが神から得た啓示などが語られていく。ちなみに、この「見張り番の天使」たちはギリシア語だと「ἐγρήγοροι(エグリゴリ)」。「見張る」の意である。スラブ語の「第二エノク書」ではそのまま音訳され「グリゴリ」となっている。彼らエグリゴリのメンバーには、「アザゼル」などが居る。
「エグリゴリ」や「アザゼル」は、漫画「ARMS」に登場する固有名詞の元ネタとなっている。
第一エノク書の影響を受けて記されたと思しき書。スラヴ語(古代教会スラブ語)版のみ現存する。スラヴ語(古代教会スラブ語)版エノク書とも。
この第三のエノク書では、特にエノクが「天使となる」という点を強調して描いている。その天使の名を「メタトロン」と明記していることも特徴らしい。
死海文書の中には、エノク書の断片が含まれていたと明らかにされている。
ユダヤ教に無いキリスト教独自の聖典「新約聖書」ではどうかと言うと、三つの部分にだけその名前がちらりと登場する。
「ルカによる福音書」では、イエスの先祖がアダムまでさかのぼる形で書き連ねられ、その過程でエノクの名も記される。つまりエノクはイエス・キリストの先祖である。
しかし「ノアの方舟」の神話を信じるならば現存する人類はすべてノアの子孫である。ということはノアのひーじーちゃんであるエノクは、イエスに限らず全人類の先祖でもあるのだ。
「ヘブライ人への手紙」では、信仰の尊さを語る章で、「エノクはその信仰のために、神によって天へと移され、死に遭わなかった」と言う事が引き合いに出されている。
この「ヘブライ人への手紙」の著者も、旧約聖書の創世記第5章の記述を「エノクだけは死ななかった」と解釈していたことが解る。
「ユダの手紙」では、不信心者への戒めを語る章で、「不信心者はなー、そいつらがやったろくでもないことや神への悪口のせいで、神の子分たちにギッタギタにされるんやで」というエノクの預言を紹介している。
この預言は前述の「エノク書」からの引用とみなされている。「正典内に偽典からの引用がある」という、珍しい例として知られる。
掲示板
6 ななしのよっしん
2020/04/26(日) 16:46:18 ID: KJ8EViGG2n
>>5
おっしゃるとおりで聖書は誤謬と矛盾だらけです。
https://
>「ユダの手紙」の著者はいったいどこから、エノクの預言の言葉を持ってきたのでしょうか。それは「エノク書」という書の1章9節の直接引用なのです。ところが、この「エノク書」なるものは、後にユダヤ教からもキリスト教からも、偽物であるとして拒否された「偽典」の一つなのです。
>もし聖書だけが神の言葉であるというキリスト教の主張が正しければ、その聖書を書いた一人であるユダは間違って「エノク書」を神の言葉と信じていたことになり、聖書はすべて神の言葉であり、間違いを含まないという主張が崩壊します。
7 ななしのよっしん
2023/06/12(月) 16:13:01 ID: OZyBZNIeUm
>>5
個人で探してる感じだから、
こういう話はほとんど縁がない感じかな
8 ななしのよっしん
2024/01/06(土) 11:13:19 ID: GWuDulJj/j
>>5
普通に読んでる
いくつか訳を比べて読んでる人も当然いるし
変えてそうな所とかにも一定以上に詳しそうな人とか見てると
疑問点がつく様なとこは意外に少ないというか
パソコンとかない時に今の人と似たような解釈できてたら
その人多分信仰者側か、少なくとも保留側になってたと思うわ
新しさで言えばエホバの証人だってまだ全然最近だし
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最終更新:2025/03/17(月) 09:00
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