エンソ・フェルナンデス(Enzo Jeremías Fernández、2001年1月17日 - )とは、アルゼンチン出身のサッカー選手である。
イングランド・プレミアリーグのチェルシーFC所属。サッカーアルゼンチン代表。
ポジションはMF(ボランチ)。178cm78kg。効き足は右足。
2001年、ブエノスアイレスで生まれる。「エンソ」という名前は、父親がリーベル・プレートのスター選手だったエンツォ・フランチェスコリの大ファンだったことから名付けられた。後に「幼少期は食糧不足だったか」という質問に対して「そうだった」と回答しており、裕福な家庭ではなかった。中等教育も修了していないと答えている。ただサッカーの才能は突出したものがあり、上の世代でも躊躇なくプレーしていたとのこと。
5歳の頃に地元のクラブ・ラ・レコバというクラブでサッカーを始め、そこでスカウトを受け、6歳のときにCAリーベル・プレートの下部組織に入団。そこからリーベルでずっと技術を磨いていき、順調にカテゴリーを駆け上がって成長していく。
2019年1月27日、パトロナート戦において初めてトップチームでベンチ入りを果たす。2020年3月5日、コパ・リベルタドーレスのLDUキト戦で18歳でのトップチームデビューを果たしている。しかしマルセロ・ガジャルド監督からはまだトップチームでは厳しいと判断され、レンタルで放出されることになる。
2020年8月22日にプリメイラ・ディビシオンの中堅チームであるデフェンサ・イ・フスティシアにレンタル移籍。9月18日のコパ・リベルタドーレス デルフィンSC戦でデビューする。当初はレギュラーでは無かったものの、与えられた出場機会でのプレーをエルナン・クレスポ監督が高く評価し、次第にレギュラーの座を獲得し、チームの中心へとなっていく。デフェンサというクラブは他のクラブでチャンスを失った“あぶれ者”の中から名手を選び抜く優れたマネージメントに定評があり、エンソが成長するには打ってつけのクラブだった。コパ・スダメリカーナ2020では高いパフォーマンスを披露し、クラブ史上初となるタイトル獲得に大きく貢献する。コパ・スダメリカーナでの出場した6試合でパス成功率91%を記録して大会のベストイレブンにも選出される。
SEパルメイラスとの対戦となったレコパ・スダメリカーナ2021でも1stレグと2ndレグの両方に出場し、チームは1-3でリードされている状況から追い付いてPK戦に持ち込むと、自身もPKを成功させるなどし勝利。立て続けのタイトル獲得でエンソは注目の若手として注目されるようになる。
デフェンサでの活躍が認められ、ガジャルド監督の要請によって2021年7月にレンタル期間を半年間打ち切ってリーベル・プレートに復帰する。このときデフェンサの監督だったセバスティアン・ベカセッセが不満を露にし、ガジャルドとの間で深い溝が生じたと言われている。8月14日、CAベレス・サルスフィエルド戦でリーベルでの初得点を記録し、アシストも記録。競争率の高いリーベルでもレギュラーを獲得するほどになり、ガジャルド監督の信頼を得ていくと、フリアン・アルバレスと共にチームを牽引。リーベルの2021年シーズンのリーグ制覇に大きく貢献する。
2022年シーズンになると、攻撃面で飛躍的な進化を遂げていき、公式戦10得点7アシストとボランチとは思えない数字を残す。その存在はもはや欧州のクラブが争奪戦を繰り広げるようになり、21歳でアルゼンチンを離れることを決断する。
2022年7月14日、ポルトガル プリメイラ・リーガの名門SLベンフィカへの完全移籍が発表される。契約期間は5年。背番号はかつてクラブのレジェンドであるエウゼビオが着用していた「13」。
加入後すぐにポルトガルの環境に順応すると、2022-23シーズンのUEFAチャンピオンズリーグのホームミッティラン戦で、ペナルティエリア外からのハーフボレーでクラブ初ゴールを決め<る。直後のFCアロウカ戦でもプリメイラ・リーガでの初ゴールをマーク。8月、10月、11月の3度に渡ってプリメイラ・リーガのリーグ最優秀MFに選ばれ、早くもチームの中盤で絶対的な存在になる。だが、2022 FIFAワールドカップでの活躍によってその価値は飛躍的に上昇し、わずか半年で次のステップに進むことになる。
2023年1月31日、イングランド・プレミアリーグのチェルシーFCに完全移籍することが発表される。契約期間は8年という異例の長期契約となり、移籍金は当時のイギリスの最高額となる1億680万ポンドという大型契約となった。
2月3日のプレミアリーグ第23節フラムFC戦で早速スタメンで起用され、新天地でのデビューを果たす。2月11日の第24節ウェストハム戦では決勝ゴールをアシスト。大型補強を続けるチェルシーの目玉選手として大きな期待を寄せられ、自身はアンカーとしてまずまずのパフォーマンスを見せるが、新加入選手の多いチームは不振から脱することができず、混迷が続いていた。
2023-24シーズンからは背番号を5から、クラブのレジェンドであるフランク・ランパードが長年愛用していた8に変更となる。ボランチにモイセス・カイセドが加わったこともあり、同郷でもある新監督のマウリシオ・ポチェッティーノからは前のシーズンよりも攻撃に絡む役割を与えられる。2023年8月30日のカラバオカップ2回戦AFCウィンブルドン戦でチェルシーでの初ゴールを記録。12月3日の第14節ブライトン戦ではプレミアリーグでの初ゴールを含む2ゴールを決め、勝利に貢献。2024年4月後半にかねてから痛めていた鼠蹊部の手術を受けることになり、一足早くシーズンを終える。
2024年7月のコパ・アメリカ終了後での差別的発言からチームでの立場も危ぶまれたが、謝罪が受け入れられたことで無事チームに合流する。
2019年7月にCOTIFトーナメントに出場するU-19アルゼンチン代表に選出されるが、アンダー代表での経歴はこれくらい。
2021年11月3日、2022 FIFAワールドカップ南米予選のブラジル戦、ウルグアイ戦という大一番に挑むアルゼンチン代表のメンバーに初めて招集される。このときは出場機会を得られなかったが、2022年9月24日のホンジュラスとの親善試合で途中出場し、代表でのデビューを果たす。
予想では当落線上だったが、2022年11月からの2022 FIFAワールドカップ カタール大会の出場メンバー26人の中に選出される。2試合続けての途中出場となった第2戦のメキシコ戦では、後半12分から出場すると中盤のバランスを整える役割を果たしながら、42分にダメ押しとなる代表初ゴールを決める。この活躍によって第3戦のポーランド戦からはギド・ロドリゲスからレギュラーを奪うことになる。ラウンド16のオーストラリア戦ではオウンゴールを献上し、準々決勝のオランダ戦ではPKを失敗したものの、リオネル・スカローニ監督からの信頼を得て、決勝トーナメントに入ってからの4試合は全てフル出場。アレイシス・マック・アリスターと共に途中からレギュラーに定着したことで中盤のバランスの悪さを改善し、アルゼンチンの巻き返しに無くてはならない存在となる。結果、22歳の若さでワールドカップ優勝を果たし、さらに大会の最優秀若手選手賞に選出される。
大会後もアンカーのレギュラーとしてプレーし続け、2023年9月12日の2026 FIFAワールドカップ南米予選第3節、難所として知られる高地ラパスでのボリビア戦で先制ゴールを決め、勝利に貢献。
2024年6月にアメリカで開催されたコパ・アメリカ2024では、4月に鼠蹊部の手術を受けたことで合流が遅れ、第2戦のチリ戦からの出場となる。決勝トーナメントに入ってからはコンディションも整い、準決勝のカナダ戦ではメッシのゴールをアシストするなどアルゼンチンの連覇に貢献。
大会後、他のアルゼンチン代表選手と共にチームバスの中でフランス代表選手の出身地について人種差別的なチャントを連呼する動画を自身のインスタグラムに投稿してしまったことが騒動となる。フランスサッカー協会は抗議と共に法的措置を取ることを表明し、チェルシーでのチームメイトからも非難を受けることになる。
シーズン | 国 | クラブ | リーグ | 試合 | 得点 |
---|---|---|---|---|---|
2019-20 | リーベル・プレート | プリメイラ・ディビシオン | 0 | 0 | |
2020-21 | デフェンサ | プリメイラ・ディビシオン | 4 | 0 | |
2021 | デフェンサ | プリメイラ・ディビシオン | 10 | 0 | |
リーベル・プレート | プリメイラ・ディビシオン | 20 | 2 | ||
2022 | リーベル・プレート | プリメイラ・ディビシオン | 20 | 8 | |
2022-23 | ベンフィカ | プリメイラ・リーガ | 17 | 1 | |
チェルシー | プレミアリーグ | 18 | 0 | ||
2023-24 | チェルシー | プレミアリーグ | 28 | 3 | |
2024-25 | チェルシー | プレミアリーグ |
優れたボール奪取力と精度の高いロングパスが持ち味のボランチ。アンカーでもインサイドハーフでも対応できる万能型のセンターハーフ。つまりは6番でも8番でもプレー可能。
ボランチの位置からサイドバックのフォローに入りボールを受け、そのまま逆サイドのWGの選手までパスを通す場面が多い。サイドチェンジのボールは寸分狂わず相手の足元や危険なエリアへボールを送り込むことが出来る。ビルドアップでもセンターバック間やサイドバックの位置まで降りて参加しつつ良質なパスでゲームメイクを行い司令塔としても機能する。イメージとしてはドイツのトニ・クロースに近い。
危機察知能力が高く体幹が強い為、地上戦での1対1のデュエルは勿論の事、死角からボールを掻っ攫ってしまう等優れたボール奪取力を持っている。ボディコントロールもうまく、相手選手とボールの間に割り込みクリーンに奪えるのも売り。ボールを奪った後の判断も速いためカウンターの起点になり、自ら持ち上がって攻めあがることもできる。
気持ちを前面に出すタイプの選手でもあり、「魂の選手」と表現されている。相手選手への圧だけでなく味方を鼓舞して立ち回り、アルゼンチン代表やチェルシーでは将来のキャプテン候補にも名前があがっている。
欠点は、ビルドアップ時でのポジショニングには課題があり、降りすぎて逆にパスコースを塞いでしまう場面が見受けられること。また、アジリティが低く、足の回転数自体も多くないため守備の局面で剥がされやすい。
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最終更新:2024/12/01(日) 10:00
最終更新:2024/12/01(日) 09:00
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