オスカー・フォン・ロイエンタール(Oskar Von Reuenthal)とは、「銀河英雄伝説」のキャラクターである。
近年では数少なくなった、若本規夫の真面目な演技と美声を聞くことが出来るキャラといわれている。
CVは若本規夫(石黒監督版)、中村悠一(Die Neue These)。座乗艦はトリスタン。黒に近いブラウンの髪、逞しい長身、左目が青で右目が黒の金銀妖瞳(ヘテロクロミア)の目を持つ。
銀河帝国の軍人(艦隊司令官)で、ウォルフガング・ミッターマイヤーとは無二の親友で“帝国軍の双璧”と謳われる仲、ラインハルト・フォン・ローエングラムやジークフリード・キルヒアイスとは盟友である。
帝国暦458年(宇宙暦767年)生。474年に帝国軍士官学校に入学し、卒業後は順調に進級するが、480年に交際していた女性の関わる決闘騒ぎで大尉から中尉へと降等。一歳下のミッターマイヤー中尉に出会い、親友となる。485年には第6次イゼルローン要塞攻防戦において准将・分艦隊司令官としてミッターマイヤーともども活躍する。
少将昇進後のクロプシュトック事件の際、ミッターマイヤーがブラウンシュヴァイク公に連なる貴族将校を軍紀違反で処刑したことで逆に収監されてしまい、この窮地を救うべくラインハルトに援助を頼んだことからその知己を得る。この出来事の後、ミッターマイヤーと共に「ゴールデンバウム朝打倒」というラインハルトの思惑を聞かされる。ラインハルトがキルヒアイス以外の人間に思惑を披瀝したのは初めてのことで、よって信頼も厚かった。以後、ラインハルト陣営の重鎮となり、特にキルヒアイスの死後にはミッターマイヤーともどもその役割の重要性が増していく。
ラインハルトがアスターテ会戦で同盟軍を破り元帥に任じられ、彼の元帥府が設置されるとそこへ所属する。同盟軍の帝国領侵攻作戦への対応、リップシュタット戦役で活躍。同盟領侵攻作戦「神々の黄昏」では、当初はイゼルローン方面に同盟の耳目を引きつける囮役を担う。本隊がフェザーンを突破して同盟領へ入った時は、ヒルダの提案でミッターマイヤーと共に同盟首都ハイネセンを急襲。同盟政府を降伏に追い込みラインハルトを救う。
ローエングラム朝成立後は元帥昇格と同時に統帥本部総長に就任し、同盟領再侵攻に携わる。ヤン暗殺後に旧自由惑星同盟領「新領土(ノイエ・ラント)」を統治する新領土総督に就任。総督は各省の尚書と対等で、皇帝に対してのみ責任を負うものとされた。新領土には新領土治安軍が駐留し、総督はその司令官も兼ねた。
新帝国暦2年、地球教の策謀により起こされたウルヴァシー事件によって、皇帝暗殺未遂の嫌疑をかけられる。当然本人に覚えのないことであったが、地球教の陰謀とは知らず、ハイドリッヒ・ラング内務次官とパウル・フォン・オーベルシュタイン軍務尚書による罠を想起した彼は、冤罪によって屈辱を味わうよりは自ら反逆者の汚名を着ることを選んだ。同年、戦闘中の負傷によりハイネセンポリスの総督府執務室で死亡。「遅いじゃないか、ミッターマイヤー……」「卿が来るまで生きているつもりだったのに、まにあわないじゃないか。疾風ウォルフなどという、たいそうなあだ名に恥ずかしいだろう……」と呟くなど、デスクの向かいで笑うミッターマイヤーの事を想いながらこの世を去った。
その遺体を見たミッターマイヤーは、執務室にあった黄金獅子旗をかけ親友の死を弔った。反乱鎮圧後帰途につく艦内での、バイエルライン大将の胸中の言葉がこの出来事の重大さをよく表わしている。
「あれを見たか。おれは一生、この光景を忘れられないだろう。
疾風ウォルフ(ウォルフ・デァ・シュトルム)が泣いているぜ……」
なお、ロイエンタールの死の直前、ラインハルトを侮辱したヨブ・トリューニヒトを銃殺している(敢えて地球教を利用したと発言したものだったが、制度でも“皇帝"でも利用すると発言し、「未熟な金髪の坊やだからさ」と余計な事まで言ってしまった為、「おれは、きさまごときに侮辱されるような方におつかえしていたのではないし、背いたのでもない」と吐き捨てられ敢え無くあの世へ。なお、ロイエンタールは死ぬ前に武器を持たない人間を殺した事を嘆いていた)。
元帝国宰相リヒテンラーデ公の親族を称するエルフリーデ・フォン・コールラウシュとの間に男子がいる。この子は遺言により、ロイエンタールの死後ミッターマイヤー家に引き取られ、フェリックスの名をつけられて養育を受けることになった。
白兵戦ではワルター・フォン・シェーンコップと対等で、艦隊指揮においてはミッターマイヤーやヤンなどと同等の能力を持ち、新領土統治においては柔軟で寛容、公平な治世を行うなど、様々な面において優秀である。当時の歴史を作った人々の中では、あらゆる面でバランスの取れた優れた人物と言えるだろう。
ヤンは軍人の資質が疑わしいほど白兵戦能力はなく、格闘戦はもとより銃を目標に当てることもままならない。シェーンコップは艦隊指揮能力はないと思われる。政治的背景が違うとは言え、民衆を尊重する姿勢は自由惑星同盟の政治家を凌駕している。これらとの比較を考えても、ロイエンタールがいかに優れているかが良く分かる。
メックリンガーは、智と勇の均衡という点では当時最高の人物という評価をしている。ロイエンタールに比べればラインハルトとミッターマイヤーは勇に偏り、ヤンは智に偏っているとのこと。
特に統治に於いては、その優れた能力や人物像がよく表れている。
同盟併呑前のレンネンカンプ高等弁務官が軍人の型に嵌りすぎていたのに対し、不敬罪を除いて言論の自由を保障し、帝国批判やヤン・ウェンリー賛美の声を弾圧せず、その自由を認めていた。全体的に見ても公平を心がけ、不正を正し、ほぼ民衆を擁護する立場を取るなど高い柔軟性を持つ。グエン・キム・ホア広場事件では、地球教と思われる者による策謀から暴動に発展し帝国兵が発砲するに到ったが、この事についても「武器も持たぬ民衆に発砲するとは、俺は良い部下を持ったものだ」と痛烈な皮肉を述べた。
但し、これらのことは言論の自由も民衆擁護も、今日で言うところの権利の尊重とは異なる。飽くまでロイエンタール個人の器量に依存したものであり、社会構造としてそれらを尊重するものではないという点で注意を要す。事実、ロイエンタール亡き後はオーベルシュタイン軍務尚書による俗に言う「オーベルシュタインの草刈り」が行われ、不穏分子の弾圧が行われた。これはユリアンらイゼルローン共和政府を潰す意図があった一方で皇帝及び各提督とも、政治弾圧に対しては否定的な態度を示しており、ローエングラム朝において自由の尊重を重視する視点が全くないわけではない。これは前王朝の政治弾圧に対し、ローエングラム麾下の諸提督らが苦い思いを抱いていたことあったと思われる(前王朝の政治弾圧に関しては、ウルリッヒ・ケスラーの項目も参照)。
私生活は荒んでいた。原因は彼の幼少期の家庭環境と、それによって醸成された彼の人格にある。
ロイエンタールの父は下級貴族ながら事業で成功し家は裕福であったが、実家の負債の肩代わりと引き換えにした伯爵家出身の母レオノラとの結婚は不幸であった。年と身分の離れた妻に対し夫は金品で愛情を示すしかなく、妻は愛人に走った。母は、自分と夫が青い目であるのに右目が黒い金銀妖瞳の赤子を産んだとき、黒い目の愛人の子ではないかと疑いロイエンタールの右目をえぐろうとしたものの未遂に終わる。やがて彼女は自殺し、幼少のロイエンタールは「お前は生まれてくるべきではなかった」という父の怨嗟の声を子守唄にして育った。
この経験から「女は男を裏切る為に生きている」という強い女性不信を抱いており、 女性には好かれたものの終始冷たい態度をとっていた。漁色家としてもつとに有名で、女性関係は派手であった。エルフリーデとの関係も破滅的と知りながら続けたこと、ウルヴァシー事件を罠と気付きつつも叛逆者の道を歩むなど、自己破滅的な考え方は最期まで続いた。余談だが金銀妖瞳(虹彩異色症)は遺伝子疾患などで現れるものであり、異なる目の色の父母の遺伝として表れるというわけではない。
人々からの人物評は概ね良好であった。その能力の高さと公平さから部下からの信頼は厚く、これは上席者たるラインハルトも同様である。一方で、ヒルダは彼の気質は謀叛に向かうのではないかと以前から懸念しており、司法尚書ブルックドルフは漁色家ぶりを快く思っていないなど、彼の気質や生活態度を快く思わない人々もいた。ラングは会議で罵倒されたことから深く恨んでいたが、これは単なる逆恨みに過ぎない。
ロイエンタールが叛乱した時、多くの人は驚きながらも納得する部分もあった。彼の矜持と能力は、人類史に輝く英雄ラインハルトにはむかうに足ると思われていたからである。これは人物が高く買われていた証左であろう。
ロイエンタール元帥叛逆事件に直接繋がるきっかけとなった、惑星ウルヴァシーにおける皇帝暗殺未遂事件。ロイエンタール麾下の帝国軍治安部隊が叛逆した。
新帝国暦2年10月7日。新領土行幸へ向かう途上にあった皇帝一行は、宿泊の為に惑星ウルヴァシーに立ち寄った。深夜、随行員のルッツ、ミュラー両上級大将は治安部隊の不穏な気配を察知し、地上車に分乗して皇帝の旗艦ブリュンヒルトと合流の為に宿泊所を出発。ギュンター・キスリング親衛隊長が運転する地上車にルッツ、ミュラー、皇帝、従卒のエミール・フォン・ゼッレが乗り、他の随行員は別の地上車に乗った。移動中に叛乱部隊に遭遇し攻撃を受ける。キスリング隊長は、グレーサーZやセリカXXを操るように地上車を巧みに操縦し、これを強行突破。しかし他の随行員が乗車した地上車は攻撃を受け破壊される。
途中で車両を放棄し、ブリュンヒルトと合流する為に森を徒歩で移動。森の中で皇帝副官のリュッケ大尉と合流したものの、叛乱部隊の追っ手と遭遇し銃撃戦になる。 これを辛くも凌いだものの追っ手は絶えず、 ルッツが足止め役を引き受けた。皇帝らは無事にブリュンヒルトに乗り込み脱出したが、ルッツは叛乱部隊の銃撃により殉職する。またミュラーも被弾により腕を負傷した。 ウルヴァシーを脱出したブリュンヒルトは追撃を逃れる為に通信を封鎖しフェザーン方面へ撤退し、無事に本隊と合流することができた。
この事件は地球教、潜伏中のアドリアン・ルビンスキー、ロイエンタールを罠に嵌めたい内務次官ラングの策謀によって起こされた。しかし三者が同一の目的を持っていたかというとそうではない。地球教は復興の為に双璧の一人をラインハルトから離反させ、不穏な情勢を作り出す目的があった。歴代のフェザーン自治領主は地球教と深い関係があり、ルビンスキーもそうであったが、彼は自身が再び返り咲くという目的を有していた。ルビンスキーは帝国にとっては政治犯であり、ラングはこれを追う立場にあったものの、彼はロイエンタールに対する私怨をルビンスキーに利用されて加担した。ロイエンタールは事件が自分を貶める為のものだと察した時、ラングと軍務尚書の思惑を疑った。しかし実際には軍務尚書は事件の発生に一切関係がく、一方で地球教のことは思いもよらなかった。
またこの事件にはそこに至る経緯があった。皇帝の新領土行幸に先立って、ルビンスキーはフェザーンに残っていた元同盟特使のオーデッツを言葉巧みに誘い、ロイエンタール謀叛の噂を市井に流布させた。これは上記に記した思惑を実行する前の準備段階であり、総督と皇帝の気質を利用して行幸を確実に実行させ、その上で治安部隊の叛乱により「噂が事実であった」と人々に思わせる効果を狙ったものである。両者の気質とは何か。ロイエンタールにしてみれば事実無根の噂であるから、臆することなく堂々と視察を要請するだろう。一方のラインハルトにしても、ロイエンタールは盟友であるから噂に怯むことなく彼への信頼に基づき、視察を実施しようとするだろう、と。この見込みは正しく、視察は実施され、三者の思惑通りに事は進んだ。
さらに遡れば、エルフリーデとの関係が周囲に発覚したことで謀叛の意図を疑われたこともルビンスキーの意図であり、彼と手を組んだラングが司法尚書を利用した結果である。
事件がロイエンタール謀叛に到った要因として、グリルパルツァー大将の故意による怠慢も重要である。彼は事件調査の為に総督命令によって現地へ派遣された際に、地球教徒が何らかの形で関わっていることを知るに到ったものの、総督に対する報告を故意に怠り調査結果を隠蔽した。その意図はロイエンタールを反逆に到らせ、彼の首を取ることで昇進の機会を得ようとしたもの。意図を達成する為に、ロイエンタールに一度は恭順の姿勢を見せ、後に裏切った。ロイエンタールが死に到る傷を負ったのも、グリルパルツァー艦隊の攻撃によるものである。この経緯は事件を再調査したメックリンガー上級大将が知るところとなり、グリルパルツァーは自裁させられた。
掲示板
335 sage
2024/03/07(木) 03:28:22 ID: lIKZMqK2VT
藤崎版2015年末からだから8年ちょっと
もう結構長くやってるんだね
藤崎先生の連載だと最長
魔術師還らずまでたどり着いたし
次は例の反乱
内面に的を絞って伏線というか、伏流で叛意の芽みたいなのはずっとやってたから
その回収もあって掘り下げるのか
とにかく完結させようと原作なぞるだけみたいになるのか
まあどっちにせよ楽しみ
今登場してるフェリックスくん土偶か埴輪のようなんだがw
(省略しています。全て読むにはこのリンクをクリック!)
336 ななしのよっしん
2024/03/12(火) 07:36:27 ID: QBdWzU0q4A
旗艦がトリスタンってピッタリだよな
アーサー王の死だと悲しみの子って意味らしいし女癖悪いし
337 匿名希望
2024/10/19(土) 06:33:00 ID: UbgubZY+TJ
今日発売のウルトラジャンプ2024年11月号では、どこまで描かれるのか気になります。
提供: iyos
提供: 犬山わんこ
提供: ゲスト
提供: むう
提供: ふゎりぃん
急上昇ワード改
最終更新:2025/03/21(金) 16:00
最終更新:2025/03/21(金) 16:00
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