ジョーゼフ・グリーンバーグ(1915~2001)とは、アメリカの言語学者である。
言語類型論の分類を作成したことで有名な人物である。
ブルックリンでユダヤ系の家に生まれた。青年期に言語学習をはじめ、ドイツ語、ラテン語、ヘブライ語を学び、さらにはイディッシュ語、古典ギリシア語、アラビア語もある程度独学した。
コロンビア大学でも言語講座を多く受講したが、フランツ・ボアズの授業でアメリカ先住民言語を経験し、またアフリカ研究にも関心を持ち始めた。その後ノースウェスタン大学の人類学の博士課程に入学し、一方イェール大学でも1年間を過ごし、エドワード・サピアから学ぶことはできなかったものの、レナード・ブルームフィールドの教えを受けることができた。そして博士号を、ナイジェリアで行ったハウサ語を中心としたフィールドワークで得ることとなる。
このあと5年間の兵役につき、はじめはミネソタ大学で、続いてコロンビア大学で、最期はスタンフォード大学で教職に就きながら、研究を進めた。このように学者としての初期段階で様々な言語に触れ、人類学、アメリカ構造言語学のみならず、ロマン・ヤコブソンを通してプラーグ学派言語学にも影響を受け、これらのすべてが言語類型論、言語普遍性、言語の系統的分類に関する研究方法に寄与したのである。
グリーンバーグはその後アメリカ言語学会夏季言語学講習会でのチャールズ・オズグッドの言葉、言語学のより素晴らしい目標は「すべての言語に当てはまること」を発見すること、という言葉に感銘を受け、言語類型論へと歩みを勧めたのである。当時まだ、19世紀の孤立的、膠着的、屈折的な3分類が幅を利かせたままであり、グリーンバーグはアメリカ構造言語学とプラーグ学派構造言語学の手法を用い、オズグッドとジェームズ・ジェンキンズと協力して「言語普遍性に関する覚書」を出版したのであった。
グリーンバーグはさらに、1961年のドブズ・フェリーで研究成果を発表し、「特に有意味要素の語順に関する文法の普遍性」という論文を出版した。この論文はインド・ヨーロッパ語族に偏向していると本人も認めつつも、言語の普遍性に関する番号付の一覧をまとめたのである。彼の提唱によってバーナード・コムリー、マシュー・ドライヤー、マーティン・ハスペルマス、ジョン・ホーキンズ、ハンスヤコブ・ザイラーといった学者たちが研究を行い、「データ主導」の現代言語類型論が発展していったのだ。これらの研究はノーム・チョムスキーをはじめとした「理論主導」の生成文法学者からは軽く受け止められたが、グリーンバーグは両者が相補的な関係になっていることを主張し、彼らの批判に応じたのである。
こうして21世紀になっても生成文法と言語類型論はどちらかがどちらかをとってかわることなく、深化し続けている。
いっぽうグリーンバーグはその後もこの手法を用いて、アメリカ、アフリカ、オーストラリアといった地域の言語を調査し、アフリカの言語がアフロ・アジア語族、コイサン語族、ニジェール・コルドファン語族、ナイル・サハラ語族の4つに分類できることなどの業績をあげていった。死の直前には印亜語族を仮定し、その研究成果は彼の没後発表されたが、彼はついに生涯の中で東南アジアの言語を取り組めずに終わったのだった。
彼の個別的研究は批判も多いが、現代的言語類型論を発展させた業績は、言語学史に残っているのである。
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最終更新:2025/04/25(金) 23:00
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