チョコレートの名前の由来については諸説あるが、材料であるカカオの原産地、メソアメリカを研究している八杉佳穂氏は、『おそらくユカテク・マヤ語(マヤ文明北部の有力語)の「チャカウ・ハ(熱い・水)」が、ナワトル語(アステカ文明の共通語)に借用語として入り「チョコハトル」と変形したのが語源ではないか』としている。
マヤやアステカなどで飲まれていた当時は、カカオ豆を磨り潰したものをお湯で溶き、ドロドロになったところへ粉にした玉蜀黍や唐辛子を混ぜて飲む、一種の栄養剤のようなものだった。現地の人々の間では「王者の飲み物」として珍重されていたが、その反面でヨーロッパ人たちからは「豚の飲み物!」と呼ばれてしまうような味わいで、甘くないどころか今とはずいぶんと違う食品だったことが分かっている。
しかし確かに栄養はあり、また一部にはクセになる味わいと感じる者もいたことから、いつの間にかヨーロッパ人たちからも受け入れられ、ごく自然に飲まれるようになっていった。最初に砂糖を入れ始めたのはあるスペイン人の尼僧だったと言われるが、産業革命のころにはココアバター(カカオバター)で固める技術なども取り入れられ、しだいに現在のような甘い、固形のお菓子として人々の間に定着するようになった。
初めて日本人がチョコレートを食べたのは、支倉常長の率いる慶長遣欧使節(1613年)がメキシコを通った時のことだったとみられる。しかし一行は日本が鎖国となったあとにキリスト教徒となって帰国したため、下手に海外での体験談を話すこともできず、詳しい記録を残すことはできなかった。そののち明治維新を経た1877年ごろになり、初めて日本に輸入されるようになった。
日本においてもチョコレートはさまざまな出来事に遭遇したが、特に戦後、技術の発展に伴って一躍お菓子などの材料として欠かせない存在となったことが挙げられる。普通の菓子としてはもちろん、菓子パンやアイス、他のスナックのコーティングにおいても幅広く使われているが、同時に非常食、携帯用の食料品として今でも重宝されている。手軽に糖分を補給できる為、勉強や推理などに重宝したことのある人もきっと多いだろう。
ともあれ、或いは『菓子類の食べ物戦争はだいたいこいつのせい。』と言われ、或いは『表面張力の戦いを挑まれてもこれ一つで安心』とも呼ばれ、これからも圧倒的な人気菓子の一つとして、周辺ではさまざまな話題が振りまき続けられて行くものと思われる。
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最終更新:2025/03/24(月) 22:00
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