ハヤカワSFシリーズJコレクションとは、2002年から2015年まで早川書房が刊行していた日本SFの叢書。
四六判変形ソフトカバー。2002年4月創刊。初期は青い背表紙が目印だったが、最近は作品によって背表紙の色は異なる。略称は主に「Jコレ」。
そもそも日本SFは、70年代の小松左京『日本沈没』に端を発する爆発的ブームのあと、徐々に下降線を辿り、90年代には商業ジャンルとしてはほぼ壊滅的な状態に陥っていた。1997年には『本の雑誌』の「この10年のSFはみんなクズだ!」と題された特集を発端に、「SF冬の時代」と言われ大論争が巻き起こった。
しかし21世紀の到来に前後して、小松左京賞、日本SF新人賞と、新人賞がふたつ創設。文芸書全体の売上げが落ち込みだしたこともあり、固定読者のついているSFの立場は相対的に復権していった。
そんな中、SFの老舗にして牙城・早川書房の『S-Fマガジン』編集長・塩澤快浩が、日本SFの最先端のショウケースとして2002年に満を持して創刊したのが、ハヤカワSFシリーズJコレクションである。
創刊当初から野尻抱介『太陽の簒奪者』、牧野修『傀儡后』、飛浩隆『グラン・ヴァカンス 廃園の天使Ⅰ』といった力作・意欲作を次々と送り出し、ハヤカワ文庫JAが仕掛け冲方丁や小川一水をブレイクさせた「次世代型作家のリアル・フィクション」とともに、21世紀初頭の日本SFを牽引していった。2007年には円城塔、伊藤計劃をデビューさせ、2009年には長谷敏司をSF界に紹介、2010年は上田早夕里が『華竜の宮』でブレイクするなど、現在の日本SFはこの叢書の存在なくしてあり得ない。
基本的に新進気鋭のSF作家の力作・意欲作を刊行する叢書。2013年以降は主にハヤカワSFコンテストの受賞者の受け皿となった。娯楽SFの大作から、とてつもなく実験的な作品まで、非常に様々な作品が刊行される。また刊行物は小説に限らず、漫画、戯曲、歌集まで出ていたりする。それ故に文庫化されないものも多いが、わりと長く細々と売られているので、古めで文庫化されていない作品も本屋さんで探してみよう。
2023年現在、2015年11月の小川哲『ユートロニカのこちら側』を最後に新刊が出ておらず、ハヤカワSFコンテストの受賞作も第5回からはこの叢書とは関係ない単行本として出ているので、公式にアナウンスは出ていないが叢書としての刊行は終了したものと思われる。刊行されたのは全71タイトル(76冊)。
掲示板
1 ななしのよっしん
2016/04/02(土) 12:50:56 ID: /Mx9+yK0ye
>70年代の小松左京『日本沈没』に端を発する爆発的ブームのあと
{当初は3万部ずつだったが、版数を重ねるごとに出版数が増え、上巻204万部、下巻181万部の計385万部まで伸ばし「空前の大ベストセラー」とも評された}てあるからそうなんだろうけどこれがそんなに読まれてたとは知らなかった。
にしてもSFに関してはなんで漫画の方が色々と早いんだろうな。
2 ななしのよっしん
2017/01/29(日) 21:49:43 ID: B/BwVLEZ13
戦後の空白地帯を手塚と石森が盛り上げ、漫画家志望だった小松と筒井らがそこに入れず小説に流れたから?
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最終更新:2025/03/28(金) 10:00
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