ホワン・ルイ(Huang Rui)とは、「銀河英雄伝説」に登場するキャラクターである。
CVは肝付兼太(石黒監督版OVA)、宇垣秀成(Die Neue These)。
小柄ながら大声の持ち主であり、血色の良い肌と短くも敏捷そうな手足から活力に富んだ印象を与える人物。自由惑星同盟で人的資源委員長を務めた。
良心的な政治家として知られ、政治的な考えでは、当初はジョアン・レベロと同調していたが、バーラトの和約後はレベロの考え方が変わり、心ならずも彼と袂を分かつことになる。オスカー・フォン・ロイエンタール新領土総督が討伐された後に、オーベルシュタイン軍務尚書によって行われた大規模な政治犯の逮捕「オーベルシュタインの草刈り」で逮捕、収監される。収監中にラグプール刑務所で囚人による暴動が発生(“血と炎の四月一六日”事件)し多数の死傷者がでたが、ルイの生死については作中で明示されなかった。
終始良心的な政治家であった。時期に分けて以下に記す。
ヤン・ウェンリーに率いられた第13艦隊及び「薔薇の騎士」連隊により、同盟はイゼルローン要塞を味方の損害なく奪取することに成功した。戦略的には銀河帝国に対して優位に立ったものの、ミラクル・ヤンがまたもや偉大なる戦果を挙げたことで、勝利に浮き足立った同盟市民の間には好戦的な空気が強まることとなった。この時期は同盟最高評議会の支持率が下落し不支持率が上昇しており、最高評議会内には選挙対策としてさらなる軍事的成功を求める考えが起きる。この機に乗じ、個人的に成功を欲していた同盟軍参謀アンドリュー・フォーク准将は、私的なコネで「帝国領侵攻作戦」を最高評議会議長に持ち込む。フォークと利害が一致した最高評議会議長は、軍からの作戦案としてこれを議事として最高評議会にかけた。
ルイ人的資源委員長は討議において、「本来、経済建設や社会開発にもちいられるべき人材が軍事方面にかたよるという現状にたいして、不安を禁じえない」とし、戦禍を広げることに反対の意向を示した。またレベロ財務委員長は長く続けた戦争により財政が悪化していることを挙げ、イゼルローン要塞奪取により戦局が有利になったことを根拠にし、有利な条件での帝国との和平を提案している。
しかしウィンザー情報交通委員長は「帝国を滅ぼすのは同盟の使命。全市民が死に絶えてもやるべき」と強硬論を主張し、これにはレベロが「それは政治の論理ではない」と反対したものの、支持率目当ての場当たり的な判断と主戦論は他の委員長も同様であった。評決は、反対はトリューニヒト国防委員長とルイ、レベロの三名のみとなり、作戦案は可決された。ただしトリューニヒトは作戦の失敗を見込んで、それに乗じて自己の政治的影響力を高めることのみを目的としており、以後の彼の政治家としての振る舞いからも、ルイやレベロとは基本的姿勢が全く異なっていると言えるだろう。
「大挙して帝国領に進行し、臨機応変に対応する」という、まともな戦略的意義も目的もないフォークの作戦が成功するはずもなく、同盟軍は回復不能な損害を受けて敗退した。作戦案に反対したことでトリューニヒト、ルイ、レベロは最高評議会における地位の継続を認められたものの、賛成した委員は議長も含めて全員辞職することになった。しかしこれは同時に、トリューニヒトの専横の始まりでもあった。
ルイとレベロの懸念は要点をついたものであり、政治家としての良心と判断力を示したと言えるだろう。
フェザーンのアドリアン・ルビンスキーは自己の思惑を達成するため、帝国に対しては既に懐柔しているシャフト技術大将を介し、ガイエスブルグ要塞によるイゼルローン要塞再奪取作戦を行なうよう働きかけた。一方で、ヤン・ウェンリーの社会的・政治的地位を危ういものとしつつ再奪取作戦への軍事的対応を遅らせるため、同盟には国債を盾にしてヤンに対する法的根拠のない査問を行わせた。この査問会は全く法的根拠のないものであったが、ネグロポンティ国防委員長が招集し行われる運びとなった。ルイは査問委員の一人として選ばれた。査問の理由は「反逆の疑義有り」という、根も葉もないものであるが、これもフェザーン側が促したものである。
査問自体は人民裁判の如き政治的リンチであった。査問官のヤンに対する追求は個人攻撃に終始し、全く中身のないものである。ルイは査問会では傍観に近い立場を保つ一方で、アレクサンドル・ビュコック宇宙艦隊司令長官やレベロらと共に、一刻も早くヤンを解放するために裏で奔走する。結果として、ヤンを解放したのは帝国軍であった。イゼルローン要塞再奪取作戦が始まると流石に査問会を継続することは困難となり、ネグロポンティはヤンの行動の自由を認め、迎撃指揮を執るよう下令した。
査問会の終了後、ヤンに対し「目上への礼儀を欠く」と不満を漏らす他の査問委員に対し、ルイは「あの生意気な青二才とやらがいなかったら、いまごろ私たちは帝国に降伏して、よくても政治犯監獄に放りこまれていたはずさ」「彼は吾々の恩人さ。それを吾々は恩知らずにもここ数日いびってきたわけだ」と戒めた。
自由惑星同盟の政治家として必要な「公正」という資質と良心を、ルイは改めて示した。
実質的な同盟の敗北であるバーラトの和約が成立すると、レベロが最高評議会議長になる。ルイは度々彼に助言を与えたが、レベロとは政治的な考え方において乖離していく。レベロが帝国に再侵攻の口実を与えないことに腐心し、帝国の機嫌を損ねない方向性で統治を行ったため、同盟内における自由を損ねる判断をし始めたのが原因。
帝国、なかんずくレンネンカンプ高等弁務官が多大な注意を払うヤン退役元帥は、レベロにとって蚊帳の中の蚊となっていた。レンネンカンプがヤンの身柄を確保するために謀略をめぐらし、またレベロが国立自治大学のオリベイラ学長などヤンを快く思わない人々に助言を得たため、最終的には帝国の手によらずヤンを謀殺することを決断する。
しかし「薔薇の騎士」連隊やダスティ・アッテンボロー退役中将、ヤン艦隊で情報将校を務めたバグダッシュ大佐らがヤンを奪還し、レンネンカンプを彼らが人質にして首都星ハイネセンを脱出したため、最悪の状況を迎えた。全ては皇帝ラインハルトの与り知らぬところで起きていたのだが、経緯を知ったラインハルトは「同盟は力によって正されなければならない」と再侵攻を決定したのだ。
この間、ルイは終始同盟憲章や民主政治の原則に基づいて対応するよう、レベロに忠告していた。しかしレベロにしてみれば彼の進言は有用性がない、少なくともそう判断されるものであり、受け入れられることはなかった。さらにレベロの精神状態が悪化していった為に、ついにはレベロのほうからルイとの関係を断ち切る。当時はルイだけでなく、宇宙艦隊司令長官代理であるチュン・ウー・チェン大将もルイと同様の意見をしてたが、これもレベロは聞くことはなかった。ラインハルトの侵攻理由が「同盟の不正義」であることから、ルイやチュン・ウー・チェンの進言は正しかったことになる。
オーベルシュタインが、イゼルローン共和政府を一網打尽にすることを目的とし、それを達するための人質として旧同盟要人を政治犯として逮捕、収監した。ルイもこの際に逮捕されている。この政治犯を収監したラグプール刑務所で、囚人による暴動が発生し多数の死傷者がでた(“血と炎の四月一六日”事件)。
この時、オリベイラやパエッタは死亡、ヤンの参謀であったムライ元中将やシドニー・シトレ元統合作戦本部長も負傷したが、ルイがどうなったかは知れない。
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最終更新:2025/03/16(日) 18:00
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