![]() |
ニコニコ大百科 : 医学記事 ※ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。 |
ムエンゴ病とは、野球選手に発症するどんなに好投しても勝てない病気である。
どんなにいい投手、たとえ完封しても勝ち投手になれない重篤な病である。
打撃不振やペナント下位のチームの投手でよく見られ、自らがどれだけ好投しようとも『打線の援護が無く勝ちが付かない』、『自分が降板した後でチームに点が入る』状態を主に指す。
一方で打撃好調なチームでも援護に恵まれる投手と全く恵まれないムエンゴな投手に二分されることが多い。
ムエンゴとカタカナで書く理由は、ドミンゴ・グスマンに由来するからである。2008年の派手な炎上から「ンゴw」という用語を生みだした彼だが、その後先発に回ったドミンゴは見事なムエンゴであった(防御率3.87、2勝7敗、援護率3.00。ただ規定投球回に達していないのでこの年のムエンゴ1位は大竹寛)。
東京ヤクルトスワローズの館山昌平は、登板数45回、内15回先発で登板したが防御率3.17と好成績であったにも関わらず、3勝12敗と無惨なムエンゴっぷり。7月から翌年4月にかけて9連敗を喫してしまった。
契約更改の場では祖父が200ページにも及ぶ「07年館山昌平データ」を自作して持ちより、本来の提示額より300万多い1600万円アップとなった。
ちなみにこの年一番ムエンゴだったのは朝井秀樹である(ムエンゴランキングを参照)。
千葉ロッテマリーンズの渡辺俊介は、3,4月と6月は援護率は0.00、シーズン通して2.55で3勝13敗という悲惨な結果になってしまった。渡辺俊介自身の防御率は4.05と、こちらの成績もあまり振るわなかったが、それでもQS数が13(6回以上自責点3点以下で計測される数値)あるにもかかわらず、僅か3勝に留まったというのは驚異的である。(2008年は防御率4.17で13勝8敗であった。)
横浜ベイスターズの加賀繁投手が発症し、防御率3.66 登板数27回 投球回数145回という
上々の成績にもかかわらず、援護率2.44 3勝12敗という結果に終わっている。(この年、防御率の成績が近い
ヤクルトスワローズの由規投手は防御率3.60 登板数25回 投球回数167.2回で12勝9敗である。)
ちなみに加賀繁は2010年はルーキーでありながら『規定投球回到達+防御率10強入り(10位)』と活躍したが、ムエンゴ病を発症したためにプロの洗礼を別の意味で味わうことになった。
2011年以前にプロ野球で採用されていた公式球がホームラン量産の原因(極端な打高投低の原因)になっている、2013年にWBCが開催される(統一球はMLBやWBCで使われる球に近い)等の理由から『飛ばない』統一球(低反発球)がセ・パ両方で採用される。
2011年は節電の影響で3時間30分ルールが作られ、試合時間の短縮が求められていた。
統一球導入後は試合時間や1イニングに費やす時間が短縮され、節電に貢献していることが明らかになる。
「例年ならホームランになっていた軌道で凡フライになる」、「芯で捉えないとゴロになる」など、統一球の影響が開幕前から言われていた。
実際にシーズンが開幕すると開幕直後から貧打戦(投手戦)が増え、「完封試合が異常に増加」、「防御率1点台の投手が続出」など極端な投高打低なシーズンに。
当然、貧打戦が増えることはムエンゴな試合が増えることでもあり、2011年は武田勝、高崎健太郎、 牧田和久、岩田稔、澤村拓一・・・とムエンゴ病の発症者が次々と増えている。トウイツキュウクンサイコウヤ!
なお武田勝は5試合連続完封負けという不名誉な日本記録を更新してしまう羽目に。
結局多くの投手がムエンゴ病に泣かされた2011年は高崎健太郎が近年最悪の援護率を叩きだして終わりを告げた。
順位 | 名前 | 所属 | 援護率 | 防御率 | 勝敗 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1位 | 高崎健太郎 | 横浜 | 2.20 | 3.45 | 5勝15敗 | セ・リーグ最多敗 |
2位 | マキシモ・ネルソン | 中日 | 2.29 | 2.54 | 9勝14敗 | |
3位 | 武田勝 | 日本ハム | 2.43 | 2.46 | 11勝12敗 | |
4位 | 岩田稔 | 阪神 | 2.51 | 2.29 | 9勝13敗 | |
5位 | 杉内俊哉 | ソフトバンク | 2.58 | 1.94 | 8勝7敗 | |
6位 | チェン・ウェイン | 中日 | 2.59 | 2.68 | 8勝10敗 |
当然、開幕前には前年同様投手戦の増加が予想された。
その一方で野手が統一球に適応し、打撃戦が増えるのでは?という見方も少なからずあった。
が、実際に開幕すると2011年以上に投手戦の試合が増加。
完封試合が2011年以上のペースで極端に増加、とにかくホームランが出ない、リーグ全体の得点が大幅に減少etc・・・と去年以上に統一球が猛威を奮う事態に。
投手戦の年を代表するかのように4月6日には広島東洋カープの前田健太がノーヒットノーランを達成。
更に5月30日に読売ジャイアンツの杉内俊哉もノーヒットノーランを達成。
10月8日には西勇輝がノーヒットノーラン引退試合クラッシャーを達成。
一年にノーヒットノーラン達成者が3人も出る珍しい年となった。
同時に援護率1点台という驚愕快挙の数字まで出る(ムエンゴランキング参照)という、超投高打低な年でもあった。
順位 | 名前 | 所属 | 援護率 | 防御率 | 勝敗 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1位 | ジェイソン・スタンリッジ | 阪神 | 1.98 | 2.69 | 7勝12敗 | |
2位 | 木佐貫洋 | オリックス | 2.41 | 2.60 | 5勝9敗 | |
3位 | 野村祐輔 | 広島 | 2.47 | 1.98 | 9勝11敗 | ルーキーイヤー |
4位 | ブライアン・バリントン | 広島 | 2.48 | 3.23 | 7勝14敗 | セ・リーグ最多敗 |
5位 | 山内壮馬 | 中日 | 2.60 | 2.43 | 10勝7敗 | |
6位 | 岩田稔 | 阪神 | 2.63 | 3.52 | 8勝14敗 | セ・リーグ最多敗 |
前年まで続いていた3時間30分ルールが撤廃される。
しかし統一球は撤廃せず、2013年度も採用されることが決定。
またWBCが開催される年でもあるため、統一球の効果が期待された・・・
しかしメジャー使用球と統一球の差が激しく「滑って投げにくい」、「ボールの質が各々で違いすぎる」など選手達の間から不安文句が多く出てしまうことに。統一球とは何だったのか。
と思ったらシーズン中に統一球の反発係数が変わっていた、というか去年は違反球だったことが発覚。結果として打撃成績は向上し、バレンティンがプロ野球記録を塗り替える60HRを打ったりした。
そんな中巨人の澤村拓一は援護に恵まれず援護率2.78で両リーグ最下位、5勝10敗と大きく負け越した。チームは優勝しチーム得点も600近くあるのに。またスタンリッジも去年に引き続きムエンゴ病を発症してしまった。
オリックスの金子千尋は、パ最下位の援護だったため防御率2.01(パ2位)なのに8敗している。特に8月は月間防御率1.09でQS率100%なのに援護率1.29で2勝2敗と、ムエンゴに泣かされた。
その一方、驚異的な成績を残し沢村賞獲得の田中将大は援護率6.22で援護率1位、セ・リーグ新人王の小川泰弘は援護率5.26でセ・リーグ3位の援護率と、極端に援護の良かった選手もいたのもまた事実である。
順位 | 名前 | 所属 | 援護率 | 防御率 | 勝敗 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1位 | 澤村拓一 | 巨人 | 2.78 | 3.13 | 5勝10敗 | |
2位 | ジェイソン・スタンリッジ | 阪神 | 2.84 | 2.74 | 8勝12敗 | |
3位 | 三浦大輔 | 横浜 | 2.87 | 3.94 | 9勝13敗 | セ・リーグ最多敗 |
4位 | 金子千尋 | オリックス | 3.22 | 2.01 | 15勝8敗 | |
5位 | 吉川光夫 | 日本ハム | 3.44 | 3.31 | 7勝15敗 | パ・リーグ最多敗 |
6位 | 八木亮祐 | ヤクルト | 3.56 | 4.44 | 5勝13敗 | セ・リーグ最多敗 |
前半戦では内海哲也が見るも無残、9試合勝ち星0という呪われているレベルのムエンゴを発症。4月は援護率0点台と言うから2009の渡辺俊介並の凄惨さっぷり、一時は内海の援護点より大竹寛の打点の方が多いという酷さであった。後半はそこそこ援護され援護率最下位は脱出しているがそれでもワースト3位である。
防御率は去年よりいい3.17なのに、勝ち数はほぼ半分の7勝というのがそれを端的に物語っている。
ムエンゴ総合一位は以前から負け運に定評のある岩田稔であった。リーグシーズン防御率2点台は4人いるが唯一2桁勝利を逃している。援護率は2.71で規定投球回以上を達成した両リーグ選手唯一の2点台であった。
反面去年ムエンゴに泣かされた金子千尋は今度はリーグ一位の援護で大幅に勝ち越し、防御率両リーグ唯一の1点台と躍進した。
順位 | 名前 | 所属 | 援護率 | 防御率 | 勝敗 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
1位 | 岩田稔 | 阪神 | 2.71 | 2.54 | 9勝8敗 | |
2位 | 涌井秀章 | ロッテ | 3.29 | 4.21 | 8勝12敗 | |
3位 | 内海哲也 | 巨人 | 3.42 | 3.17 | 7勝9敗 | |
4位 | 辛島航 | 楽天 | 3.57 | 3.79 | 8勝13敗 | パ・リーグ最多敗 |
5位 | 前田健太 | 広島 | 3.63 | 2.60 | 11勝9敗 | |
6位 | 菅野智之 | 巨人 | 3.67 | 2.33 | 12勝5敗 | セ・リーグ最優秀防御率 |
メッセンジャーと則本が発症し、それぞれ援護率2.25、2.41と2点台に沈む。メッセンジャーは9勝12敗、則本は10勝11敗と当然のように負け越した。
また巨人の菅野もこの年は本当に援護に恵まれなかった(防御率1点台なのに負け越し。これは2012の野村以来)。同僚のマイコラスと比較してもマイコラスが援護率4.50に対して菅野は3.13で約1.5倍差である。
菅野智之が本格的にムエンゴ病に陥り、唯一の援護率2点台に沈んだ。その結果二桁勝利も逃している。
最優秀防御率・最多奪三振・ジエンゴできる(打率.222)、四球少ない(規定投手でリーグ最少)・リーグ最多の5完投であるのにこの有様である。勝ち星の大体は後続が悪いけどね。
反面野村祐輔は広島の打線援護を全面に受け、両リーグ最高の援護率で最多勝を手にしている。
なお菅野と野村の援護率は約倍の差がある(菅野が2.92、野村が5.74)。
セ
年度 名前 所属 援護率 勝敗 備考 2004 福原忍 阪神 3.56 10勝15敗 最多敗 2005 三浦大輔 横浜 3.15 12勝9敗 最優秀防御率受賞 2006 黒田博樹 広島 2.82 13勝6敗 最優秀防御率受賞 2007 大竹寛 広島 3.32 9勝10敗 2008 大竹寛 広島 3.25 9勝13敗 最多敗 2009 前田健太 広島 3.28 8勝14敗 2010 加賀繁 横浜 2.47 3勝12敗 ルーキーイヤー 2011 高崎健太郎 横浜 2.20 5勝15敗 最多敗 2012 スタンリッジ 阪神 1.98 7勝12敗 2013 澤村拓一 巨人 2.78 5勝10敗 2014 岩田稔 阪神 2.71 9勝8敗 パ
(2ちゃんねるプロ野球板用語辞典wikiより引用
年度 名前 所属 援護率 勝敗 備考 2004 川越英隆 オリックス 3.34 7勝9敗 2005 JP オリックス 3.41 14勝12敗 2006 久保康友 ロッテ 2.80 7勝13敗 2007 朝井秀樹 楽天 2.60 8勝8敗 2008 グリン 日本ハム 2.75 7勝14敗 最多敗 2009 渡辺俊介 ロッテ 2.55 3勝13敗 最多敗 2010 岩隈久志 楽天 3.46 10勝9敗 2011 武田勝 日本ハム 2.43 11勝12敗 2012 木佐貫洋 オリックス 2.41 5勝9敗 2013 金子千尋 オリックス 3.22 15勝8敗 最多奪三振 2014 涌井秀章 ロッテ 3.29 8勝12敗 )
上の引用を見れば明らかだが、ムエンゴになると勝利数<敗北数になるのが殆どである。
ムエンゴ王でもタイトルを獲っている投手がいるが、あくまで例外中の例外である。
QS(クオリティ・スタート)とは先発投手が6イニング以上を投げ、3自責点以内に抑えた時に記録される非公式の指標である。
勝利投手になるには運が必要→でもそれって先発投手自身の実力じゃないよね→じゃあ運に依存せず、投手の実力に依存した指標を作ろう→QSの誕生
MLBの先発投手の評価に使用される指標として有名である。
たとえムエンゴ病を発症してもQSを満たした数が多ければ、優秀な投手としてMLBでは評価され、オフシーズンの目玉選手になることがあるほどである。
2010年のサイ・ヤング賞を受賞したフェリックス・ヘルナンデスは防御率2.27、投球回249回2/3(両方ともリーグ1位)、奪三振232(リーグ2位)の成績ながら13勝12敗という凄まじいムエンゴぶりを見せつけ、一部で話題になった。
日本でも同様に先発投手の評価の指標として一部で使われているが、元々MLBの指標であるため一概にNPBに適用できないことが問題視されている。
登板した24試合全てで、6回3自責点(QS)を記録し、規定投球回(144回)を投げた投手がいたとする。
この投手の防御率は4.50である。
NPBでは防御率4.50は一軍投手の防御率としては二軍落ちのレベルである。
また日本では先発投手に対する評価は勝利数で決まる部分が極めて大きい。
セイバーメトリクスやQSという言葉が普及しつつあるとはいえ、『勝利数=選手の実力』という風潮は今でも強く、沢村賞の選考基準でも『勝利数>>防御率>>>>その他の基準』ぐらいに各基準の間には極端な差がある。
つまりNPBにおけるQSの位置づけはムエンゴ病を発症した投手の評価指標である。
ムエンゴ病の対極にいるのがこの勝ち運投手である。
有名なのは斉藤和巳で、2004年には防御率6.26ながら10勝7敗を挙げている。
更に通算で79勝23敗(勝率.775)と驚異的な数字を残しており、ダルビッシュ有でさえもこの数字を上回ることはできなかった(ダルビッシュは93勝38敗、勝率.710)。
ダルビッシュ自身は勝てる投手の代表格だったが、年を経るごとにムエンゴの度合が酷くなっていった。
最多勝のタイトルを唯一獲得できていないあたりからもそのことが伺える。
ア行 | カ行 | サ行 |
---|---|---|
タ行 | ナ行 | ハ行 |
マ行 | ヤ行 | ラ行 |
ワ行 | 数字・その他 | |
|
掲示板
提供: 横顔新幹線
提供: 金魚網
提供: 核乃砕星
提供: HAKUA(白鴉)
提供: 青葉
急上昇ワード改
最終更新:2025/04/28(月) 03:00
最終更新:2025/04/28(月) 02:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。