ラウタロ・マルティネス(Lautaro Javier Martínez, 1997年8月22日 - )とは、アルゼンチンのサッカー選手である。
イタリア・セリエAのインテル・ミラノ所属。サッカーアルゼンチン代表。
アルゼンチンのバイアブランカ出身。ラシン・クラブの下部組織出身で、2018年にイタリアの名門インテル・ミラノに移籍。裏に抜け出す速さ、ポストプレーをこなす巧さ、ゴール奪う決定力を併せ持ったオールラウンド型のストライカー。愛称はEl Toro(雄牛)。
インテルでは加入2年目となった2019-20シーズンに14ゴールを決めて頭角を現し、以降は不動のエースストライカーとして君臨し二度のスクデット獲得に貢献。特にキャプテンとなった2023-24シーズンは24ゴールをマークとして得点王となり、セリエAの年間最優秀選手に選ばれている。
アルゼンチン代表には2018年にデビューしており、2021年と2024年のコパ・アメリカ及び2022 FIFAワールドカップの優勝メンバーであり。特にコパ・アメリカ2024では通算5ゴールを決めて得点王となり、決勝のコロンビア戦ではアルゼンチンの連覇を決める決勝ゴールを決めている。
1997年8月22日、ブエノスアイレス州の港町バイアブランカで3人兄弟の二番目の子として生まれる。バイアブランカはセレブたちがバカンスを過ごす豪華なリゾート地だが、ラウタロの家庭環境は正反対で貧しいものであった。そのためたいへんな幼少期を過ごしたが、両親からは大切に育てられ、父親が元プロサッカー選手ということもあって家族でボールを蹴っていたのは大切な思い出だったと振り返っている。そんな幼少期だったこともあり、彼が将来プロサッカー選手を志すのも自然なことだった。
やがて地元の小さなクラブであるリニエルスのトライアルを受けて合格し、入団。その後サッカー選手として成長していき、順調に昇格を重ねていく。15歳のとき、名門ボカ・ジュニアーズからスカウトを受け、トライアルを受けるチャンスを得る。だが、首脳陣が下した評価は散々たるもので、酷評を受けての不合格。挫折を経験することとなったが、これで挫けることはなく、よりトレーニングに力を入れるようになった。
2013年にはU-17チームでプレーし、U-17リーグにおいて13ゴールを決め、リニエルスをナショナルリーグ準優勝へと導く活躍を見せている。
17歳となった2014年1月、ユース年代での活躍が認められ、ラシン・クラブへ移籍する。入団後すぐにホームシックに悩まされるが、周囲のサポートもあって克服。ユースリーグで26試合26ゴールという成績を残し、ファンやメディアからラシン・クラブの宝石と称賛されるようになる。さらにシニアであるリザーブリーグでプレーするようになるが、ここではなんと64試合で53ゴールというとんでもない記録を残す。2015年には、この活躍を聞きつけたスペインの名門レアル・マドリードからのオファーを受けるが、現在の自分にはまだ時期尚早と判断し、ラシンに残ることを決断する。
2015年11月1日のクルセロ・デル・ノルテ戦でディエゴ・ミリートとの交代で途中出場し、18歳でプロデビューを果たす。2016年4月17日のアルヘンティノス・ジュニアーズ戦では2枚目のイエローカードを受け、プロ初の退場処分を受けている。
2016-17シーズン、エースストライカーのリサンドロ・ロペスが負傷したことによって代役に指名され、出場機会を伸ばすようになる。11月のウラカン戦ではプロとしての初ゴールを記録。その後も順調にゴールを決め、23試合に出場し9ゴールをマーク。チームでの地位を確立させた1年となった。
2017-18シーズンも前線の軸としてチームを牽引し、エースとして成長。すると、2017年12月ラ・リーガの強豪アトレティコ・マドリードから獲得のオファーを受け、スペインまで赴きメディカルチェックまで受けたと報じられる。このまま移籍成立かと思われたが、結局ラシン・クラブと新契約を結び残留。年内最後の試合となったヒムナシア戦では1ゴール1アシストの活躍を見せ、MOMを獲得。2018年2月17日にはコパ・リベルタドーレス初出場を果たし、クルゼイロEC戦でハットトリックを達成。リベルタドーレスでは6試合5ゴールと爆発し、シーズンの公式戦27試合18ゴールという成績を残す。シーズン終了後には再び欧州のクラブによる争奪戦が繰り広げられるのだった。
2018年7月4日、イタリア・セリエAの名門インテル・ミラノに移籍金2700万ユーロの5年契約で移籍することが発表される。背番号も「10」を託され、大きな期待が寄せられていた。9月29日のカリアリ戦でセリエA初ゴールを決める。しかし、1トップには同郷のマウロ・イカルディが君臨していたことからトップ下が主戦場となり、慣れないつなぎ役を求められたことでなかなか本領を発揮できずにいた。それでも後半戦に入ってイカルディがチームと揉めて欠場するようになったことでスタメンでの出場機会を増やし、2019年3月19日の第28節ACミランとのミラノ・ダービーでは1ゴール1アシストの活躍を見せ、ダービーの主役となる。
加入2年目となった2019-20シーズンはイカルディの退団とアントニオ・コンテ監督の就任により、開幕からロメロ・ルカクとの2トップで定位置を掴む。フィジカルモンスターであるルカクとの補完性は抜群で、二人の連携から多くのゴールを量産。2019年10月2日のUEFAチャンピオンズリーグ FCバルセロナ戦ではCL初ゴールを記録。チームはグループステージで敗退したものの、CLで4試合連続ゴールを決めるなどインパクトを残す。この年のインテルは勝ち点82を稼ぎ、スクデット争いを演じたものの、最後はユヴェントス相手に勝ち点1届かずスクデットを逃す。
2020-21シーズンになると、2年目となったルカクとのコンビはさらに完成度を増し、前年を上回るペースでゴールを決める。CLでは2020年11月3日のレアル・マドリード戦でゴールを決めるが、チームは1勝しかできずにグループステージ敗退。自身も1ゴールのみに終わったことで批判を受ける。しかし、後半戦になるとコンテ監督の哲学がチームにより浸透したことでさらなる快進撃を見せ、自身も後半戦になってゴールを量産。セリエA第15節のFCクロトーネ戦で移籍後初となるハットトリックを達成。フィジカルと強度を重視するコンテ監督の戦術は、プレースタイル的にも相性が良く、才能がさらに開花されることになった。最終的にはリーグ戦17ゴールという成績を残し、インテルの11年ぶりのスクデット獲得に貢献。
2021-22シーズンにはコンテ監督が退任、相棒のルカクもチームを去ったが、インテルのエースストライカーとして一本立ちする。3月4日のUSサレルニターナ1919戦でハットトリックを決めるなど、リーグ戦では自己最多となる21ゴールを決める。2022年3月8日のCLラウンド16のリヴァプールFC戦ではアンフィールドでの第2戦でゴールを決めている。
2022-23シーズンのスーペルコッパ・イタリアーナではACミランを相手に1得点を挙げて優勝。コッパ・イタリアでも決勝のACFフィオレンティーナ戦で2ゴールを決めるなどし優勝を果たした。なお、この試合でインテルでの通算100ゴールを達成。2023年5月16日、ミラノ・ダービーとなったCL準決勝のACミラン戦では決勝ゴールを決め、チームを2011年以来11シーズンぶりとなる決勝進出に導いている。このシーズンではキャリアで初めて公式戦通算30ゴールの大台に到達している。
2023-24シーズンはチームのキャプテンに任命され、加入6年目にして名実ともにクラブの顔となる。セリエA開幕戦となった2023年8月19日のモンツァ戦ではチームのシーズン最初のゴールを決めるなど2ゴールの活躍という好スタートを切る。この年から新たに相棒となったマルクス・テュラムと早くも抜群の補完性を発揮し、開幕3試合で5ゴールとゴールを量産。2023年9月30日、第7節サレルニターナ戦で後半10分から途中出場すると、4ゴールを挙げて勝利に貢献した。途中出場から1試合4得点はセリエA史上初の記録となった。2024年1月23日に行われたスーペルコッパ・イタリアーナ決勝、SSCナポリ戦では91分にゴールを決めてチームを優勝へ導く。2月25日、第26節のレッチェとの対戦で2ゴールを決め、セリエA通算100ゴールをマーク。このシーズンは風格を感じさせるとなっており、ゴールを奪うだけでなくチャンスメークの面でも貢献するなど、能力の高さを見せつける。この結果、2020-21シーズン以来となる独走によるスクデット獲得に貢献。24ゴールを決めて初の得点王を獲得し、リーグの年間MVPも獲得。ついにカルチョの主役となるのだった。
2016年にU-20アルゼンチン代表に選出され、2017年1月にエクアドルに開催された南米ユース選手権2017に出場。決勝ラウンドのベネズエラ戦で2ゴールを決めるなど、通算5ゴールを決めて大会得点王に輝く。5月には、韓国で開催されたFIFA U-20ワールドカップ2017のメンバーにも入り、グループリーグ第3戦のギニア戦で2ゴールを決めている。
2018年3月にフル代表に初めて招集され、3月27日のスペインとの親善試合に途中出場し、アルゼンチン代表デビューを果たす。5月には2018 FIFAワールドカップの予備登録メンバーに選出されるが、この頃はまだ若かったこともあって最終登録メンバーからは外れている。10月12日のイラクとの親善試合で代表初ゴールを記録。 2019年6月にブラジルで開催されたコパ・アメリカ2019のメンバーに選出。グループリーグ第2戦のパラグアイ戦でセルヒオ・アグエロに代わってスタメンに起用されると、最終戦のカタール戦では決勝トーナメント進出を決定づける先制ゴールを決めている。さらに準々決勝のベネズエラ戦でも2試合連続でのゴールを記録し、MOMも獲得。3位決定戦のチリ戦は累積警告で出場停止となったが、代表での地位を確立させた大会となる。
その後は体格もプレースタイルも似ているアグエロの後継者として期待されるようになり、コンスタントに代表メンバーに名を連ねる。2019年9月10日のメキシコとの親善試合では代表で初のハットトリックを達成。
2021年6月には、ブラジルで開催のコパ・アメリカ2021に出場。スタメンで起用された開幕2試合は不発に終わり、第3戦からはアグエロにスタメンを奪われる。それでも最終戦のボリビア戦では途中出場からわずか2分後に大会初ゴールを記録。準々決勝のエクアドル戦からスタメンに返り咲くと、後半39分にチームの2点目を決める。準決勝のコロンビア戦では前半7分に先制ゴールを決め、PK戦では4人目のキッカーとして成功させ、決勝進出に貢献。決勝のブラジル戦でも後半34分まで出場し、コパ・アメリカ優勝を経験。
2022年6月1日にイングランドのウェンブリー・スタジアムで開催された欧州王者イタリアとのフィナリッシマ2022では、前半28分にリオネル・メッシのアシストから先制ゴールを決め、前半アディショナルタイムにはアンヘル・ディ・マリアのゴールをアシストする1ゴール1アシストの活躍でタイトル獲得に貢献する。
2022年11月にカタールで開催された2022 FIFAワールドカップのメンバーにも入り、当初はメッシの相棒の一番手とされていたが、初戦のサウジアラビア戦、第2戦のメキシコ戦でいずれも不発に終わるとグループリーグ最終戦のポーランド戦以降はフリアン・アルバレスにスタメンの座を奪われてしまう。決勝トーナメントに入ってからは途中出場が続き、準々決勝のオランダ戦ではPL戦で4人目のキッカーとして成功させ、決勝のフランス戦にも延長戦から出場。チームは優勝を果たしたが、個人としては最後まで調子が上がらず、大会0ゴールに終わってしまう。 2024年6月にアメリカで開催されたコパ・アメリカ2024ではフリアン・アルバレスの控えという立場となっていた。それでもグループリーグのカナダ戦、チリ戦でいずれも途中出場からゴールを決め、アルゼンチンの決勝トーナメント進出に貢献。最終戦のペルー戦ではスタメンで起用され、2ゴールを決める。グループリーグ3試合4得点という結果を残したことで準々決勝のエクアドル戦ではスタメンで起用されるが、不発に終わると準決勝以降は再びスーパーサブに戻る。それでも決勝のコロンビア戦では延長前半7分から出場すると、延長後半7分に値千金の決勝ゴールを決め、アルゼンチンのコパ・アメリカ連覇に大きく貢献。個人としても、6試合(途中出場4試合)で5得点を決め大会得点王に輝く。
シーズン | 国 | クラブ | リーグ | 試合 | 得点 |
---|---|---|---|---|---|
2015 | ![]() |
ラシン・クラブ | プリメイラ・ディビジオン | 1 | 0 |
2016 | ![]() |
ラシン・クラブ | プリメイラ・ディビジオン | 3 | 0 |
2016-17 | ![]() |
ラシン・クラブ | プリメイラ・ディビジオン | 23 | 9 |
2017-18 | ![]() |
ラシン・クラブ | プリメイラ・ディビジオン | 21 | 13 |
2018-19 | ![]() |
インテル | セリエA | 27 | 6 |
2019-20 | ![]() |
インテル | セリエA | 35 | 14 |
2020-21 | ![]() |
インテル | セリエA | 38 | 17 |
2021-22 | ![]() |
インテル | セリエA | 35 | 21 |
2022-23 | ![]() |
インテル | セリエA | 38 | 21 |
2023-24 | ![]() |
インテル | セリエA | 33 | 24 |
2024-25 | ![]() |
インテル | セリエA |
センターフォワードにもセカンドトップにも対応できる万能型のストライカー。アルゼンチンの同胞であるセルヒオ・アグエロに似たタイプのFWであり、ピッチ上でのリーダーシップ、粘り強さ、メンタリティにより、エルトロ(スペイン語で「雄牛」)というニックネームが付けられている。ダイナミックで、素早く、機敏で、テクニックに恵まれ、そのうえ強さも持ち合わせる。
174cmとFWとしては小柄ながらも体幹の強さ、ボディバランスの良さは特筆すべきものがあり、強靭なフィジカルを持っている。体の使い方がうまいこともあって巨大なCBをフィジカルで押し切ることができ、チャンスと感じれば、守備側にマークされていても強引にシュートまで持ち込める。バランスを取るのに長けているため、少々体勢が崩れてもしっかりとボールをミートして鋭いシュートを打つことができる。
南米の選手らしい足元の技術の高さも特徴で、狭いスペースを細かいタッチで突破をしていくこともでき、相手に囲まれても剥がして、スピードを上げて一瞬で抜き去っていく。ボールの置き所やコース取りも上手い。また、これも南米のFWらしく相手DFとの駆け引きにも長けている。多少雑なパスでも足元に収めることが可能で、どんな形からもシュートに持ち込めることもあって得点パターンも豊富で、両足、ヘディングで決められる。パンチ力のある強烈なシュートも魅力的で、得点感覚だけなら代表でポジションを争うフリアン・アルバレスを上回っている。
周りを活かすプレーもうまく、中盤に下がってボールを引き出し、周りと連携しながらゴール前にポジションを取りなおすことも多い。前線からの守備もサボらず、献身的にプレスをかけ続ける運動量もある。なんといってもFWに相当の守備意識を要求するアントニオ・コンテ監督からも重宝されたことが証明している。
欠点は試合から消えてしまう傾向があることで、アグエロやルイス・スアレスのように試合から消えてもワンチャンスを決め切れるタイプではない。好不調の波もあるほうで。不調時期はほとんど試合に影響を与えられない。
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最終更新:2025/04/24(木) 17:00
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