世界三大珍獣

世界三大珍獣とは、一般的にジャイアントパンダ・オカピ・コビトカバをまとめて指す名称。

この項目では世界四大珍獣、世界五大珍獣、中国三大珍獣についても触れる。

概要

世界三大珍獣は「特に理由なく世間に知られている通説」^[1]であり、学術的な根拠や基準はない。そもそも「三大」「珍獣」の明確な定義もない。

では何故この3種が世界三大珍獣なのか？というと、小宮輝之・著『動物園ではたらく』によれば、1960年に上野動物園に初めてコビトカバが導入された事がきっかけで動物学者の高島春雄(たかしま はるお、1907-1962）が世界三大珍獣を提唱、定義したようである^[2]。つまりそれ以前は「世界三大珍獣」という言葉はなく、日本発の概念であるといえる(というか日本以外では知られていない)。選定基準は同著より「限られた地域に少数しか生息せず、発見史が興味深いこと^[3]」とのこと。

なお、後に上野動物園は1972年にジャイアントパンダ、2001年にオカピを導入しており、現在は日本唯一の世界三大珍獣全てを見ることができる動物園となっている。

ジャイアントパンダ

世界三大珍獣が一、(主に)中国四川省の竹林に生きる超人気者の白黒の熊。学名はAiluropoda melanoleuca。

1869年にフランス人宣教師のアルマン・ダヴィド(1826-1900)が、現在の四川省で猟師が持っていたジャイアントパンダの毛皮を「発見」した。

日本では上記通り1972年に上野動物園にオスの「カンカン」とメスの「ランラン」が導入されたのが初来日となる。

国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは絶滅危惧(EN)だったが、2016年からは危急(VU)に指定されている。

オカピ

世界三大珍獣が一、中央アフリカのコンゴ民主共和国の森に住まうお尻が目を引く森の貴婦人にしてキリンの仲間。学名はOkapia johnstoni。

1900年にイギリスの探検家ハリー・ジョンストン(1858-1927)が、先住民のピグミー族がオカピの毛皮を使っているのを「発見」した。当初はシマウマの仲間だと思われていた。

日本では1997年によこはま動物園ズーラシアに導入されたのが初来日となる。

IUCNレッドリストでは絶滅危惧(EN)に指定されている。

コビトカバ

世界三大珍獣が一、西アフリカの森や湿地で暮らす小さめのカバ。カバの祖先的な形質を残している。学名はChoeropsis liberiensis。

1800年代中期から発見報告や飼育事例もあったが当時の学会からはカバの奇形扱いされていた。ドイツの動物商カール・ハーゲンベック(1844-1913)が1913年に生きた個体の捕獲に成功して存在が認められた。

日本では上記通り1960年に上野動物園に導入されたのが初来日となる。

IUCNレッドリストでは絶滅危惧(EN)に指定されている。

世界四大珍獣

世界三大珍獣にアフリカに生息するウシ科の仲間、ボンゴ(Tragelaphus eurycerus)を加えて世界四大珍獣とすることがある。オカピやコビトカバを聞いたことがある人でも、ボンゴと言われてピンと来る人は少ないのではないだろうか。マツダ・ボンゴの名前の由来でもある。

ボンゴは栗色の体毛に白い帯模様があるとても美しいレイヨウで、オスメスともに長い角を持つ。

ボンゴはIUCNレッドリストで準絶滅危惧(NT)に指定されている他、亜種のケニアボンゴ(T. e. isaaci、マウンテンボンゴとも)は100頭前後しかおらず、深刻な危機(CR)に指定されている。

世界五大珍獣

世界四大珍獣に更にカモノハシ(Ornithorhynchus anatinus)を加えると世界五大珍獣になる。説明不要のオーストラリアの珍獣中の珍獣である。出てくるのがちょっと遅いとか言わない。

カモノハシはIUCNレッドリストで準絶滅危惧(NT)に指定されており、オーストラリアではメジャーな動物だが、個体数がかなり減少していることが分かっている^[4]。

世界四大珍獣や世界五大珍獣は誰が最初に言い出したかは不明である。世界六大珍獣以降は通説と言えるものはないが、もしかしたら勝手に作られるかもしれない。

中国三大珍獣

ジャイアントパンダにウシ科ヤギ亜科のターキンの亜種、ゴールデンターキン(Budorcas taxicolor bedfordi)とオナガザル科のサルの仲間、キンシコウ(Rhinopithecus roxellana)を加えると中国三大珍獣になる^[5][6]。いずれも中国国家一級重点保護野生動物に指定されており、中華人民共和国の野生生物保護法で保護されている。なお中国国内では中国三大珍獣とは呼ばれないようである。

これにトキ(Nipponia nippon)^[7]を加えたものが「秦岭四宝(汉中四宝、秦嶺の四つの宝物)」と呼ばれている^[8]。

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関連項目

• 三大○○の一覧
• 珍獣
• 哺乳類
• 動物
• ジャイアントパンダ / オカピ / コビトカバ
• ボンゴ / カモノハシ
• ゴールデンターキン / キンシコウ
• 恩賜上野動物園
• 世界三大奇虫

脚注

1. *恩賜上野動物園に全部いる！通説「世界三大珍獣」とは - ソロ活 / レッツエンジョイ東京
2. *世界三大珍獣 説のはじまり 起源 - アリエスコム（ARIEScom.jp）
3. *動物園ではたらく - 小宮輝之 - Google ブックス(閲覧にはGoogleアカウントへのログインが必要)
4. *カモノハシは減っている、260年分の記録で判明 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
5. *中国三大珍獣とは？ターキンとキンシコウに会いに行こう！ | zoo zoo diary｜動物園と豆知識
6. *「中国の三大珍獣」ゴールデンターキンの赤ちゃん誕生　和歌山・アドベンチャーワールド - 毎日新聞
7. *こちらも中国国家一級重点保護野生動物に指定されている。
8. *汉中四宝_百度百科